ありふれたやり甲斐と生き甲斐を探して   作:戦鬼

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初めに
タグにあるように七海はある程度強化しますが最終的に真人には勝てません
勇者組も光輝含めて微強化させます。それが後にどうなっていくか未定(ある程度は考えてますが)
ある程度の独自解釈、オリジナル設定がありますが作品を壊さない程度にします
他作品ネタというタグもありますがこれに関しては後書きにて。ただこれも作品を壊さないようにします
他に何かあればここやタグを付け足していきます。アフターストーリーは書く予定なしですがおまけや補足話的なのは書くかもしれません

と書きましたがもうひとつの方を優先的に投稿するのでぶっちゃけ更新遅いです



転生転移

男は引きずるように足を進める。身体の半分以上が焼かれ、頭部の半分は骨が見える。意識が消えそうになるたび残った片目は白目になる。

 

「フーフー」

 

それでも意識を保ち半分無意識のうちに渋谷の地下を降りて行く。だがそこには壁があった。…壁と言ってもそれは生きている人間だ。もっと正しく言うなら元人間。悪意(呪い)によって改造され人間に見える形は何も残っていないに等しい。

 

そしてその眼光は自分にあり、すぐにでも襲いかかるだろうと男は理解している。

 

「マレーシア…そうだな…マレーシア……クアンタンがいい」

 

そんな状況にもかかわらず、以前に考えていた物価の安い国に住むならどこにしようと唐突に思った。

 

(なんでもない海辺に家を建てよう。買うだけ買って手を付けていない本が山ほどある。1ページずつ、今までの時間を取り戻すようにめくるんだーーーーー)

 

場違いにも程がある事を考える程に意識は朦朧し、

 

(違う。私はいま伏黒君を助けに…真希さん、直毘人さんは?二人はどうなった?)

 

何とか自分のすべき任務のために進む。

 

(疲れた、疲れたな。そう疲れたんだ、もう充分やったさ)

 

切り裂いて絶命させる。殴ってミンチにする。そうして改造人間を無意識のうちに全滅させた時、

 

胸元を何者かの手が触れたのがわかる。意識を向けると改造人間達を作った存在、名を真人というーー呪霊。

 

「…いたんですか?」

 

「いたよ、ずっとね。ちょっとお話しするかい?君には何度か付き合ってもらったし」

 

とぼけた感じでいう相手に何も言わず、ぼうっとなる。真人は原型の手で触れた相手の魂に干渉し、思うがままに変形改造ができる。当然、身体を爆弾のように爆ぜさせるのも可能だ。今の彼、七海建人には守る力はない。死が確定していた。

 

(灰原、私は結局何がしたかったんだろうな。逃げてーー逃げたくせに。やり甲斐なんて曖昧な理由で戻ってきて)

 

走馬灯を見ようとするかのように死んだ友人に届かない問いを投げる。その時、七海は死んだはずの灰原の幻影を見る。目の前の灰原は指をさす。そこには、

 

「ナナミン‼︎」

 

数奇な運命でその身に呪いを宿した少年、虎杖悠仁。共に任務にあたり、そのあり方を、生き方を知った。ーーーだからこそ、

 

(駄目だ。灰原それは違う、言ってはいけない。それは彼にとって“呪い”になる)

 

たとえこの戦いがどう終わったとしてもその呪い(想い)を負いつづける。そんな事をさせたくないと思っているのに、

 

「虎杖君」

 

その言葉を、

 

「後は頼みます」

 

呪いを口にして、七海の身体が爆ぜた。

 

こうして、七海建人は死んだ。身体も魂も消し飛び、呪いだけを残して……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのはずだった。

 

(………ここは、どこだ?)

 

路地裏というのは周囲を見てすぐわかる。

 

「天国なんて信じてはいませんが、ここがそうだとも思えないですね」

 

次に自分を見る。鏡がないので顔以外、手や足、身体を見る。五体満足、そのうえ服まで着ている。

 

「夢……な訳がありませんね」

 

とりあえず身体を起こし路地の出口に向かう。ガヤガヤと人や物の騒音がする。また周囲を見てここがどこか判明したがそれがまた七海を混乱させる。

 

「渋谷?」

 

渋谷は七海を含めた呪術師や呪霊との戦いで壊滅的なダメージを受けた。それが2、3日でこんなに賑わいを戻すとも思えなかった。適当なコンビニに寄る時自分を鏡で見た。

 

「……若い」

 

少し皺がなくなっている。推定だが20以下18以上といった所だろう。そしてどうにか気持ちを落ち着かせてコンビニに入る。新聞を購入しようと思ったが財布はない。仕方なくマナーが悪いかもしれないが立ち読みをする。

 

どこにも渋谷のことは書かれていない。それどころか、

 

「2012年」

 

信じたくはないが信じるしかない状況に陥る。疲れるがとりあえず七海が通った呪術高専にどうにか連絡をつけるため、今度は交番に行き、電話を借りる。しかし高専関係者には誰も連絡が繋がらない。というより現在使われていないとコールがくる。ふつふつと嫌な予感がしていた。その場所の住所を警察に調べてもらうが、そこには学校などないと言われた。

 

「すいません、勘違いでした」

 

落ち着いた声だが内心は違う。そうしているとあることに気付く。

 

呪霊は人の負の感情から生まれる。人口に比例して呪いも強くなる。だというのにここまで進んでも呪いを全く感じない。

 

どうにか見つけた心霊スポットに行くも何もない。負のエネルギーが溜まりそうな場所にも何もない。こうして行く中、ある結論が出る。

 

「…私のいた地球ではない?」

 

その結論が出た。だが、それをこれ以上調べるにも手持ちは何もない。

 

「どうしましょうね」

 

少し考えて、七海は少し怪しめな日雇いのバイトをしながらお金を多少稼いだ(ちなみにのちにこの仕事を斡旋していた組織は七海が叩き潰し真っ当な裏組織になる)。その後、役所で住民票を作った。……ある程度の捏造を含んだ

 

その後は色々あった。住む場所を見つけるのにも苦労したり、自分がいる世界が本当に違う地球なのか調べたり。だが、七海が1番に悩んだのが何をしたいかだった。

 

時には他人の為に命を投げ出す覚悟を仲間に強要しなければならない呪術師の生き方をクソと判断した七海は、一度逃げるように呪術師を辞め、サラリーマンとしての道を歩んだが、金のことばかりを考える生き方をしていた為に労働もクソと判断し、とあるきっかけからやり甲斐と生き甲斐を得るべく呪術師に舞い戻った身だ。だが、この世界には呪霊はいない。

 

「呪力はあるみたいですが」

 

七海は呪力を持っていたし自分の術式も使用できた。だがあっても使い所がない。

 

「かと言ってサラリーマンに戻るのも嫌ですね」

 

そもそも以前と同じような暮らしにするにもいまの七海はなにもないのと同じだ。時間かけて戻すことは出来るかもしれないが、嫌なことに向けて時間を費やすのも……となっていた。

 

「…………どうしましょうかね、灰原、虎杖くん」

 

また、届かない相手に問う。今度は生きているのに走馬灯のように過去を振り返る。

 

〔七海せんせー、気をつけてね〕

 

「先生か」

 

一度言われた程度。経験なんてない。だが、

 

「彼に恥じない大人にはなりたいですしね」

 

そんな、なんてことのない理由で教師を目指すことにした。当然だがなろうと決めてなれるものでもない為、お金の用意からパソコン、携帯電話などの用意に始まり、通信制の大学に通いながらバイトしてどうにか生活して、教員免許を取るためにまた勉強をして、研修をして、

 

そうしてようやく教師になったのは25歳。そしてそこからさらに時間が過ぎていつのまにか自分が死んだ時の27歳になっていた。ちなみに大学は19歳として入っているので教師になるまで6年以上かかった事になる。そして、そんな七海が最近考えついた答えは、

 

(教職もクソかも(・・)しれないですね)

 

「七海先生、校長がお呼びです」

 

「今行きます」

 

 

「くれぐれもお願いしますよ七海先生、期待していますから」

 

「…失礼します」

 

なんて事はない。生徒の親からの理不尽なクレーム。一応言うが七海は教職員としては並以上だ。社会人経験は周りの同年代達より実際は長いのもあり、受け持ちの授業以外でも教えられることが多く、他の教職員、ほとんどの生徒の親から面談での会話もあり信頼されている。そう、ほとんどかつ生徒の親だ。生徒の方はというと全員ではなく、信頼がないというわけでもないが尊敬はない。

 

今回のクレームもその生徒のものから始まった。成績が落ちたのはあなたの教え方が下手だから。

 

もう一度言うが七海は教職としては並以上であり優秀だ。授業はわかりやすくするため事前準備は徹底し、要点を絞って教えている。あとは日々の予習復習をしっかりとしていれば良いというもの。

 

(この学校に来て2年…受け持ちのクラスを持ってからはさらに心労が増えた気がしますね…おまけに今の私のクラスには問題が)

 

「七海先生、おはようございます」

 

物思いに耽っていた七海に声をかけて来たのは小柄というよりもこの学園内で1番背の低いと言っても良い女性。椅子に座っているのにもかかわらず、身長差で七海が少し見下ろすほどの身長の彼女はここの生徒ではなく教師だ。それも25歳と七海とそこまで変わらない。

 

「おはようございます畑山先生」

 

社交辞令の挨拶をする七海に畑山愛子はニコニコとしている。

 

「今日も早くから授業の用意ですか?」

 

「ええ。朝のHRが終わったあとはそのまま授業ですからね。そのくらいはするでしょう」

 

「でも七海先生はそうでなくても早くから来て先の先の授業の準備してる時が多いじゃないですか」

 

「彼らに理解できるよう授業に試行錯誤を求めているだけ当たり前のことしているだけですよ。ただでさえ、数学なんてつまらない授業でしょうからね」

 

「で、でもでも、七海先生の教え方は上手だと評判ですし…」

 

「…私が校長に呼び出された理由を知って応援と励ましをくださるのはありがたいですが、別に気にしていません…結局は私の力不足なだけです」

 

「う…」

 

ついに押し黙ってしまったことに、罪悪感を感じた七海はフォローをする。

 

「…私は、教師としてあなたを尊敬してます。生徒はもちろんこうやって私のフォローをしたり、その気持ちは伝わっていますよ。ですから畑山先生、ありがとうございます」

 

「あ、は、はい!こちらこそ‼︎」

 

「まぁ、生徒に愛玩動物のように可愛いがられるのはどうかと思いますが…」

 

「うっ、そ、そんな事ないですよっ⁉︎」

 

冗談ですと言って席を離れる。身長差が40センチ以上のため自然と見上げてしまう愛子だが元の笑顔になっていた。

 

「では、行かせてもらいます」

 

七海が職員室を出ると他の教師が愛子に話しかける。

 

「それにしても七海先生って担当のクラスにいくの少し早くなりましたよね。初めの方はチャイムが鳴ると同時に入れるくらいに行ってたのに」

 

「七海先生のことですからね。きっと理由があるとおもいますけど…」

 

 

 

 

結論から言えば理由はある。しかし、自分の受け持ちのクラスとはいえ1人の生徒に肩入れするのはどうかと七海は思ったが、だからこそ知らぬフリは出来なかった。そしてその件の人物は、

 

「おはようございます南雲くん。遅刻ではないですので息を切らす必要はありませんよ」

 

「あ、はい!七海先生、おはようございます」

 

南雲ハジメ。いつも始業チャイムギリギリに登校し、授業中居眠りが多く世間一般で言う『オタク』というものの為、さらにとある生徒の気になる存在というのもありクラスメイトの数人に絡まれている。

 

「では、お先にどうぞ」

 

七海は先に教室へ入るようにうながすとハジメはうなずいて入る。続けて七海もほんの一瞬間を空けて入る。

 

「よぉ、キm……ッチ」

 

「私の方を見て今の舌打ちは勘違いを起こす原因にもなります。気をつけてください檜山くん」

 

「……はい」

 

おそらくハジメに対して絡んでこようとしていたであろう檜山大介を筆頭に4人が嫌な顔をしている。知らぬふりをして教卓へむかおうとすると、

 

「ちょっと待ってください‼︎そんな言い方はないでしょう七海先生‼︎」

 

天之河光輝。容姿、成績、スポーツ、全てに完璧な青年だ。七海も気にしている。良い意味でも悪い意味でも。

 

「そんなとは?抽象的な言葉はあまり好みではありません」

 

「檜山に対する言葉です‼︎舌打ちくらい誰でもするし、嫌なことがあって思い出した時もするでしょう‼︎」

 

「…ええそうでしょうね」

 

「なら…」

 

「しかし私は、誰かがいる方向に向けての舌打ちを注意しただけです。——君は顔を見た瞬間に舌打ちする相手に好意を抱くことができますか?」

 

「檜山はそんな事をしない‼︎」

 

「そうかもしれませんね。しかし、実際彼の目線は私の方にあった。たまたまであろうとなかろうと目のあった人に舌打ちされるのは不快に感じるのが殆どです。それに対しての注意に何か問題がありますか?」

 

「ん、ぐ、ありません…」

 

「……熱くなるのが君の悪いクセです。社会に出れば理不尽は有象無象にあります。冷静さを忘れずにいれば君はさらに素晴らしい人になれますよ。保証します」

 

「…はい」

 

最後の言葉含めて七海の語ったことは真実だが、光輝にはそう感じていないのか苦虫を噛み潰したような顔で頷いた。教卓に着くと連絡用のファイルと授業用のまとめノートを置き、挨拶をする。

 

「遅れましたが皆さんおはようございます。私は教卓で少し作業をしますがチャイムがなるまでは好きにしてください」

 

聞いているのか聞いていないのかわからないが、静かさは一瞬で消えガヤガヤとした声は消えない。しかし何も悪い事をしていないのならこちらから言うことはない。というよりできないだろう。これでいつもの風景になったと思い、ふと見るとハジメが女子生徒に話しかけられている。

 

学校では二大女神などと言われている1人。長い髪をきらめかせ、顔はそれ以上にきらめかせている。名は白崎香織、責任感が強く全学年、教師陣にも頼られている。しかし…

 

(彼女の目には基本的に南雲くんしかなく、しかも犯罪スレスレのストーカー化しだしていますね)

 

彼女がハジメが図書館で読んでいた本を抱きしめていたり、ハジメの趣味を理解する為18禁のアダルトゲームショップに入りその注意に七海が行ったことで七海はだいたい彼女のことがわかりだしていた。

 

(南雲くんの何に惹かれたかは分かりませんが……ああなると周りも大変でしょうに)

 

おまけに彼女はハジメに絡んでくる人から守るつもりでいるが、それが逆効果になっているとは気づいてない。当然、七海はそれに気づいている。

 

(仮にあの2人が付き合いだしたら、もっと面倒になりそうですね)

 

教師としてクラス担任として、なるべく皆に居心地良い学生生活をしてほしいと思うが、そう上手くもいかないことにため息がでそうになるのを必死で抑えているとハジメと香織の周囲に3人の人物が集まる。先程の光輝とその幼馴染(香織もそう)ポニーテールと女性にしては高い身長をし剣道大会で表彰やインタビューも受けるこの学校で二大美女と呼ばれるもう1人、八重樫雫。

 

因みに彼女の家は八重樫流の剣術道場を営んでおり、光輝と雫はそこの門下生だ。また、以前家庭訪問をした際に七海がデキる人物だということは彼女の家族は知っている。七海もただの剣術道場でないと薄々感じたが無視をした。

 

最後1人は光輝の親友、坂上龍太郎。刈り上げの髪をぼりぼりと掻き、細かい事は気にしない陽気な性格。身長は七海を超えて190センチ、それに合ったガタイのいい体格をしている。熱血と根性が好きでいわゆる脳筋タイプだ。

 

クラスどころか学園の有名人4人があのように集まれば、視線は自ずとそちらに向き、そのたびにハジメはチクチクグサグサとした視線を受ける。

 

(前途多難ですね)

 

そう思っていたらチャイムが鳴る。ファイルを閉じて教卓から立ち上がる。生徒も席へ戻り、完全に戻ったのを確認して、

 

「挨拶はしましたが、改めましておはようございます。出席を確認します」

 

出席をとり、簡単な連絡事項をして授業を始めた。

 

 

 

七海は授業中に寝ている人物がいても基本的に起こさない。それは授業を聞かないのは自己責任とも思っているからだ。だが、あくまで基本的に。今日は起こしに行くことにした。

 

「あでっ」

 

軽く教科書で寝ている人物を叩いた。

 

 

side:ハジメ

 

「あでっ」

 

夢の世界にいると頭部に痛みを感じて目を覚ます。そして見ると七海先生が怒っているわけでないのだろうがいつもの鋭い目で見下ろしていた。

 

「私の授業はつまらないですか?南雲くん?」

 

「あ、いえ」

 

七海先生は基本的に寝ている生徒を起こさない。起こすのは「ここはテストに出しますのでここだけ起きていてください」という時と「授業ではなく大切な話があります。起きておいてください」という時、そしてもう1つが気まぐれだ。今回はこの3つ目だろうがその後「つまらないですか」と聞くのは初めてで少し動揺する。

 

「君の成績は平均を取っています。こんな事を言うのもどうかと思いますが、ある程度寝ても成績が良いならそれも良いと思っています」

 

教師が言うセリフではないと自覚して言っているのだろう。

 

「かつ、君はその年で将来設計もしっかりしています。君のように将来を見据えた学生はそういません」

 

しかし、と先生は続ける。

 

「君が将来するであろう職場でバイトして即戦力になっていても、君が学生である限りバイトの延長にしかなりません。学生の本業は学習です。君は、自分の会社で本業を疎かにしバイトに力を入れる人を迎えますか?」

 

何も言えない、事実だ。生き方を変える事はないけど事実は事実として受け取らないといけない。何より、とあることで問題になる可能性を考え、あえてバイトの内容には触れていないんだから合わせた方が良い。

 

「君の将来に向けての努力は評価しますが、それで今の本業を疎かにしないでください……授業がつまらないのなら寝ても構いませんが聞くべき時は聞いてください。…まぁ、わかっているから成績に表れていると思いますが…一応私も教師ですから……脱線してしまいましたね。授業に戻ります」

 

先生が黒板の方へ戻る途中「ブハっ」という気持ち悪い笑い声がする。檜山だろう。

 

「何が面白いか知りませんが檜山くん、以前出した課題はしてきましたか?」

 

「えっ、あ!すいません…」

 

「提出期限は本来なら10日以上前です。明日まで待ちますが、明日提出しない場合には補習がありますので注意してください」

 

檜山は睨んでいるが七海先生は無視して授業を続ける。

 

正直、この先生を嫌う人はいるが、自分はどうかというと尊敬しているし、良い先生だと思う。

 

 

ある日先生に「放課後に残れる日はありますか?」と聞かれバイトが無い日を聞いてきた。空き教室に入り授業中に寝ている事を怒られるのかと思っていたが違った。

 

「単刀直入に聞きます。南雲くん、君はクラスでイジメにあっていますね?」

 

「………」

 

「無言は肯定と捉えていいですか?」

 

「あ、ハイ。あ、いえいえいえ!」

 

他の教師は気づいてないのか、それとも気づかないフリをしているのかと思っていて、そんな事を聞かれたのは初めてだった。少なくとも他の教師は気づいてなかった。

 

「そんな、気にするほどのものじゃないです」

 

大袈裟になって問題が起こるのを危惧して否定をした。

 

「そうですか?教室に入るたびに罵詈雑言、暴力沙汰はまだのようですが…遠くないうちにくるかもしれないと思ってるのでは?……原因の白崎さんはクラスの君への視線に気づいてない気すらしますし」

 

全部、理由も含めてこの人は知っていた。

 

「それと、大袈裟にしたくないと思っている可能性があると考え、いまこの事を知っている教師は私だけで、当然ご両親にも話していませんので安心してください。私は今知りたいだけで、知っても職員会議にもご両親にも、君から許可をもらわない限り喋らないと約束します」

 

まっすぐな目で見て「なんなら証明書とサインも書きましょうか?」と言った時は流石にこちらも冷静に「それはいいです」と拒否した。

 

「正直、君に聞くかどうかも悩みました。…教師と生徒という立場があれど、君の人間関係問題にズケズケ私が介入していいのか…とね」

 

「………」

 

自分のことでこんなに悩んでいたことに恥ずかしさと、七海先生なりの優しさを感じた。

 

「しかし、大きな問題が起こってしまったときのリスクを考え、聞く選択をしました。いま一度聞きます。君はクラスでイジメにあっていますか?」

 

「……はい」

 

言うつもりはなかったのにそう頷いていた。

 

「なるほど。……私は、1人の教師として生徒にはより良い学校生活をしてほしいと思っています。そして、理不尽なことを受けているならたとえ生徒と生徒同士のことでもどうにかしたいとも思っています。……この学校で私は君の味方です。少なくともこの件については」

 

そう言って椅子から立ち、先生は扉に向かう。

 

「正直に話してくれてありがとうございます。話は終わりです。もう一度言いますが、この件は君の許可なく話しはしません」

 

翌日HRの時や先生の授業の時は(毎回やるとイジメの事を話したと思われるからか間隔をあけつつ)早く教室に来るようになった。だがそのせいで一部の人からギリギリまで授業の用意ができない人と思われるようになった。

 

「罪悪感を感じる必要はありません。何より、教師は嫌われるのも仕事です」

 

こちらの考えはお見通しで先に言われた。また、イジメられているとはいえ贔屓にもしない。注意すべきところはちゃんと注意をする。

 

たとえば、家庭訪問の時はイジメの件はまったく触れず、僕の仕事風景を見せてほしいと言って、

 

「自分の趣味を職業に活かし、趣味を仕事にできる人は少ない。そのまま頑張ってください」

 

と言うものの「できれば授業ではあまり寝ないでほしい」と言ってもいた。……そこはちゃんと報告するんだ。

 

 

「では今日はここまでです。復習を忘れないように。あぁ、白崎さんと天之河くん。申し訳ないのですが書類と重い資料を運びたいので少し手伝っていただけますか?」

 

授業が終わると再び眠気がくる。落ちるまえにいくつかの声がする。七海先生に頼まれはっきりはいと言う天之河くんと、すこし残念そうにして一瞬こちらを見た白崎さんは七海先生について行く。ちなみに七海先生は多分、いや、絶対荷物運びに人手はいらない。以前学校の近くに不法駐車していた中型車を腕で動かしているのを1度だけ見た。どこにそんな力がと思うが、言っても誰も信じないだろうから言わない。ともかく、これも七海先生の配慮だろう。

 

「ったく‼︎七海のやろういちいちネチネチ煩いんだよな」

 

檜山は先程のことで七海先生に理不尽な怒りを向けていた。やれやれだなぁという思いの後、夢の中に意識が飛ぶ。注意されたけど…ねむいものは、ねむい。

 

 

side:愛子

 

四限目授業後、生徒の数人と談笑している。これはまぁ、いつものことです。……えぇ、「愛ちゃん」とか言われていますが、七海先生が言うように愛玩動物にされているわけではありません…きっと。

 

私の背が低いせいなのでしょうか…そりゃ七海先生と比べたらあれですけど(現在七海の背は原作より少し伸びてます187くらい)。

 

「でさでさ愛ちゃん、どうなの最近?」

 

ニコニコと話しかけてきた谷口鈴さんはまた同じ事を聞いてくる。

 

「ですから、七海先生とはそう言う関係じゃないです」

 

「え、私最近の調子がどうって意味で聞いたんだけどな〜」

 

「………」

 

ぐっ、のせられた。

 

「七海先生ねー。なんで愛ちゃんあの人なの?」

 

「ね。ちょっと目つき怖いし、愛想がないっていうか、基本的に厳しい事しか言ってない気がするし」

 

「悪い人でないと思うけどね」

 

「散々な評価を受けていますがそんな事はないですよ。皆さんの事を大事にしていますし、言ってくれていることが大切な事なのは皆さんもわかってるでしょう?」

 

みんな黙ってますけど納得してくれてるみたいですね。

 

「あと、七海先生とはそういう関係ではないですし、そもそも恋愛に興味無いと思いますし」

 

というよりあの人は、常に他の人とも一定の距離をとっている気がする。職員同士の親睦会とかにも絶対参加をしない。まるで誰にも覚えていてほしく無いと言わんばかりに。

 

「あー確かに」

 

「七海先生が女性とお付き合いしてるってイメージがなんかわかない」

 

「目つきちょっと怖いけどイケメンって感じはするんだけどねぇー」

 

また散々言われてる…

 

「でも、愛ちゃんとはダメな気がする、だって2人が付き合ってもカップルというより親子みたいだし」

 

「ちょ、失礼ですよー!」

 

「だったらやっぱり愛ちゃんアタックしてみたら?意外と押しに弱いかも」

 

「だから、なんでそうなるんですかぁー七海先生とは…」

「私がどうかしましたか?」

 

「「「「うわぁ⁉︎七海先生⁉︎」」」」

 

い、いつの間に⁉︎というか、今の話聞かれた⁉︎

 

「あ、あの、どうしてここに?」

 

いつもは職員室で黙々とパンを食べているはずなのに。

 

「いえ、特に用があったというわけでは無いんですが…」

 

…七海先生にしては歯切れが悪い。特に用事もなくというのが余計にそう感じさせる。

 

 

side:フリー

 

時間は少し遡る。四限目に担当するクラスがない七海は職員室で事務作業をし、チャイムが鳴った後ノートパソコンを閉じて昼食にしようとした時、

 

(‼︎なんだ、これは?呪力…いや違う気がする)

 

この世界に来て、呪力を持っているのは自分だけであると思っていた七海にしてみれば突然のものだった。感じたものは弱いが気にはなる。

 

(まだ発動していないのか、それとも今呪力に目覚めた者がいるのか。何にしても確認は必要ですね)

 

そもそも呪力なのかもわからない。異世界というなら呪力に似た力かもしれないと考えつつ、その場所に向かう。一瞬とはいえその場所はすぐにわかった。自分の担当クラスだからだ。

 

(中にも入ってみますか)

 

教室の外からではわからないと思い室内に入ると先程授業をしていた愛子がいた。

 

「だから、なんでそうなるんですかぁー七海先生とは…」

「私がどうかしましたか?」

 

以上が七海が教室に来た経緯であるが、まさか呪力などと言って信じるわけないと思い、つい適当に答えてしまった。

 

「(話を変えた方がいいですね)それより、私がどうかしましたか?」

 

「えっ⁉︎あ、いやその〜」

 

「七海先生って誰かとお付き合いしてるのかなーって話しです」

「ちょ⁉︎」

 

(最近の子はこういう話が好きなんでしょうか?)

 

自分の女性関係のことで話題になって何が面白いのかと思う七海だが、しっかりと答えることにした。

 

「特にそのような相手はいませんね」

 

「学生時代もですか?」

 

「私の学生時代にクラスに女性はいませんでした」

 

((((男子校にいたのかな?))))

 

嘘はついてないが本当のことも言ってはいない。というより言えるはずがない。

 

「まぁ、いまそんなことを考えることもないですね」

 

「へー。だってさ愛ちゃん」

 

「え⁉︎」

 

「畑山先生?私はあまり自分のことを話さないとはいえ、聞きたいことがあるなら直接聞いてください」

 

「いえ、その」

 

とばっちりを受けてどうしようと愛子があたふたしだしたとき

 

(また⁉︎今度は近く強い‼︎)

 

先程の呪力と思われる力を感じた瞬間、教室にいた光輝を中心に幾重もの模様のある円環が出現し、教室全体に広がっていく。

 

「(しまった‼︎発動まで気づかなかった)全員、外へ…‼︎」

 

逃げてくださいと言う前に、円環は輝きを増し皆は光に包まれる。

 

 

 

一瞬意識が飛んだと錯覚してしまうが、眩しさで目を閉じていただけだと理解して目を開けるとそこにあったのは巨大な壁画、見た感じ何かの神をイメージした女性とも男性ともとれる人物が描かれている。台座のような場所に皆が立ち、周囲を囲むようにフードの人物達が祈りを捧げている。その後周囲を見て巨大な広間だと確認した生徒が混乱をする中で光輝が点呼をとろうとする。一方で七海は別の考えをしていた。

 

(これは、生得領域…ではないですね。おそらくこれは移動の術式。…いや、落ち着くべきですね。まずは皆の安全確認を…)

 

「ようこそ、トータスへ」

 

声がした方から周囲を囲んでいる者達の長と思われる老人が出てくる。

 

「異世界から参られた勇者様にそのご同胞の皆様。私は聖教教会の教皇、イシュタル・ランゴバルトと申します。以後お見知り置きを」

 

この日から呪術師、七海建人の新たな戦いが始まる。

 

男は戦う。新たな生き甲斐とやり甲斐を探して。

 

 

 

 




七海「随分前に別の方で呪術廻戦のを出すと言ってどれだけ経ってるんですか」

い、いや書いてたんですよ。順平のを

七海「私のではないんですか」

いやね、順平が生きてたらので書こうとしたけど全然上手くいかず放置してました

七海「………」

で最近になってラノベまた読み出してたらありふれた職業がいいなと思い、

七海「今別のをしてるのに、ですか?」

…で、でも出そうとしたら俺より面白くありふれた✖️呪術の小説してる人いるしどうしようかなーって

七海「これ作ったのいつですか?」

……6月頃かな?あと、ネタいくつか拾ってきたんだけどジャンプの新作にそれが出ててたからそれもあってどうしよかなーって

七海「…………」

すいませんでした‼︎言い訳です‼︎すいませんでした‼︎あと、更新は遅いですすいません‼︎
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