ありふれたやり甲斐と生き甲斐を探して   作:戦鬼

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モジュロ、完!

短い間でしたけど、本当に楽しめた。本音言うならあと27巻分出してほしかった。

数100年後にまた呪術師が出るようになっても数は少ないから
「私は◯◯、見習い呪術師よ!」

「僕も呪術師だよ」

「はぁ⁉︎」

っていう展開は多分ないんだろうな


寒気凜冽④

ビッグフットを殲滅した七海は投げた武器を全て回収していた。それを見つつ、ハジメ達は感想を言っていた。

 

「相変わらず力技だな。いやまぁ、色々と戦略を練ってるのはわかるが…あと、お前らもよく冷静に見れてたよな」

 

ハジメは光輝達勇者グループの面々を見てそう言う。

 

「いや、南雲君がそんな落ち着いて撮影してる時点で、大丈夫なのはだいたい分かるわよ」

 

雫の答えに龍太郎と鈴は頷いて同意するが光輝はまだ言いたい事があるのか、続ける。

 

「それに、何より七海先生がやれるって言ってたんだ。途中で援護を要請しないなら、こっちも別に心配なんて必要ないだろって、なんだその眼は」

 

「いんや、別に」

 

「……おい、南雲。なんか最近俺を見る視線がその、なんて言うか、気味が悪いんだが」

 

「俺は今のお前のほうが気味が悪い」

 

「なっ⁉︎なんだそれ!」

 

光輝は馬鹿にされたと思い憤るが、彼をよく知る雫と香織からは言葉には出さないものの『なんか分かる』と表情に出ていた。

 

「お待たせしまし…どうしました?」

 

戻ってくると離れている間に何故か険悪モードになってる事に七海は尋ねるが、両者とも「なんでもないです」で済ます。

 

「ところで、七海先生。怪我が治ってますけど、それって」

 

話題を変える為、香織が聞く。戦闘中に怪我をしているのを気付いた香織は治そうと思っていたが、戻ってきた七海には服に汚れや傷があるものの、身体には怪我らしい怪我がなかった

 

「反転術式です。白崎さんは見るのは初めてでしたね」

 

「えと、たしか負のエネルギーである呪力を掛け合わせることで産まれる正のエネルギーを利用して、肉体の回復をするんですよね?」

 

「その通りです。他にもそのエネルギーを流し込んで術式の効果を逆にする、術式反転というのもあります」

 

「ちなみに、私もできますよ」

 

「反転術式だけなら、俺もな」

 

シアとハジメがアピールしていたので、光輝が質問する

 

「やっぱり、すごい技術なんですか?」

 

「ええ。私が知る限り、私の世界でこの反転術式を使えるのは、例外(秤君)を除いて3人しかいません。しかも、私の反転術式はかなり精度が低い。欠損した四肢や内臓なんかは回復できないです。…昇華魔法の習得後、こうして使えてますが、少し前は覚醒状態でなければできませんでしたし」

 

自虐的に言う七海に、『あれ?』と違和感がハジメがでたので、聞く

 

「けどよ、初めて反転術式使った時、ノイントのやつに胸を貫かれてただろ?内臓を回復できないなら、あの時はどうやって?」

 

「ああ、あの時は縛りを入れたんです。以降の戦闘時では私が手に触れた場所以外は治さないという縛りで、一時的に反転術式の効果を底上げしました」

 

「あ、なるほど。で、今は戦闘時じゃないから、手で触れてない所でも回復できるってわけか」

 

ハジメの考察に七海が肯定していると、ユエも疑問に思ったのか、聞いてくる。

 

「ここまで聞いた限りだと、随分と効率が悪い技術に思える」

 

「回復魔法のあるこの世界と違い、回復手段が基本それ以外にないんですから、あるだけでも戦いに幅が効き、耐久性も上がるんですから、相当重宝する物ですよ」

 

七海の言う基本とは、術式を絡めたものである。術式の中にはそういった回復できるものがあってもおかしくないからだ。

 

「そういえば、反転術式の正のエネルギーはこの世界魔力に近いから、私達でも見れるみたいだけど、それならシアは魔力を術式に流し込んだらもっと効率がいいんじゃない?」

 

「あーそれ、試そうとしたんですけどできませんでした。あくまでも似てるだけですから、根本的に使えるエネルギーとしてはまったく違うというか」

 

「雷の光と、太陽の光、どちらも光であっても、まるで違う。そんなもんだよ」

 

ハジメもどうにか自分の呪具に魔力を流し込んで何かできないかとしたが、何もできないので、そういうものだと考えるている。

 

「…………」

 

「光輝?」

 

「いや、…先生は戦い方が色々とすごいなって」

 

以前の光輝なら、七海の戦い方に思う所などなかった。否、ある程度はあるが今ほどではない。光輝は今まで七海は強者だと思っていたが、そうではない。

 

「相手を戦闘中に油断をさせる技術、動きを限定させる技術……あれは本当に凄いよ。腹立たしいけど、それに何回も土をなめさられたからな」

 

光輝は分かる。七海は強者ではなく、持てる全てを駆使して強くなった人だと。自分の手のひらをグッと握り。光輝はハジメと歩く七海を見つめる。

 

「少なくとも、あの人を追い越すくらいしないと、俺は何にもなれないし、何もできない。惨めだよ、今の俺は。でもそのままでいたくない」

 

(光輝がこんなふうになるなんてね)

 

言ってる事はあまりにも自虐的で、嫉妬に塗れている。だがそれを口に出すことなんてなかった。そして、今の自分を本気で脱却しようとしている。心身共に。そうなる理由の1つが七海であるのは、間違いないだろう。それ故に

 

(でも何か、こう、無理してる感じが)

 

その《無理》が、何かが分からない。

 

「さて、お前ら、覚悟はいいな?」

 

そうこうしつつ氷雪洞窟の入り口に着くと、ハジメが不敵に笑い、覚悟を問いかける。ユエ達も、光輝達も、無言で力強く頷く。七海はそんな光輝達を見ている。強がっていたり、緊張しすぎていないかを観察していた。それに対してハジメは何も言わない。七海に覚悟を問う必要がそもそもないからだ。

 

「それじゃあ、最後の大迷宮攻略といこうか」

 

 

氷雪洞窟内はまさにその名の通りというところか、通路には透明度が高い氷の壁があり、ある程度の光を反射するのか、うっすら影を映す。さながらミラーハウスのようで気味が悪い。警戒心が高い光輝と龍太郎は一瞬戦闘体制になるが、自分の影だとわかり、龍太郎は舌打ち、光輝は息を吐いて落ち着くようにしていた

 

「早速解放者の嫌がらせでしょうね、これも」

 

「だろうな。特に問題ないみたいだが、人影がチラつくのはウゼェ」

 

氷の壁を観察しながら、七海とハジメは言うと、雫が昔聞いたことある怪談話を例にしてだす。雪山の小屋で会話してるうちにいつに間にか人数が増えるという古典的なものだ

 

「や、やめてよ雫ちゃん!そういう話は私苦手なんだからぁ!」

 

「あ、ごめんなさい」

 

「まぁ、その手の怪談話はよく聞きますし、私の世界でも実際にありましたよ」

 

「先生までやめてくださいよ!」

 

七海の場合は怖がらせたい訳ではなく、事実としてそういう事件を担当したことがある経験者としてのものであるが、それに気付いたハジメを含めてた数名は、藪蛇だと言わないことにした。

 

「あれ?」

 

「っ!ど、どうしたの雫ちゃん」

 

ビビりながら香織が問うと雫は「うーん」と考える。

 

「あ、ごめんなさい。なんか忘れているような気が、いるはずの誰かがいないというか」

 

「だからそういうのやめてってばぁぁぁ!」

 

「いや、怪談話をしたいわけじゃなかったんだけど」

 

(遠藤君のことでしょうね)

 

七海だけはそれに気付いている。怪我をしていた当初は皆気付いていたが、それ以降、最近はもう話題どころか、存在していた記憶にすら忘れさられるレベルで影が薄くなっている気がしていた。

 

七海がその事を声にだそうとした時、ひゅるりと風が吹くと同時に、

 

「ティオ!結界を…」

「大丈夫」

 

ハジメが指示を出す前に、既に谷口が動いていた。展開された〝聖絶〟の結界によって正面からくる強い吹雪から守られる。

 

「この雪、普通じゃねぇ。触れた瞬間に凍傷を起こすぞ」

 

「ドライアイスみたいなものか…実際はそれの何倍も厄介なんだろうけどってそれより、鈴」

 

「大丈夫だよ。香織も手伝ってくれてるから」

 

光輝の心配に対して鈴が片手を見せると、香織がしっかりと手を握っている。魔法使用時の魔力の流れを香織を通して別に作り、負担を軽減している。

 

「それにしても鈴、いつから展開してたんだ」

 

「ついさっき。少し風が強くなってきたなって思ったから。香織がいれば、普通に魔法が使えるから」

 

龍太郎は心配そうであるが、香織を見ると『大丈夫』と言うような表情をしていたので、落ち着く。

 

「ふむ、今回は呪具もアーティファクトも使っておらんな。それでこの精度か。結界術の精度がどんどん上がっておる。じゃが、忘れるでないぞ鈴。おそらくこれも昇華魔法と、あの技能によるもの。精度が上がれば上がるほど、負担が増す。香織と共に行動する時はよいが、そうでない時は積極的に呪具とアーティファクトを使うのじゃ」

 

今回は急だったので取り出す前に展開したのだろう。それもわかって尚、ティオは注意をする。七海も言いたいことはだいたいティオが言ったので、ジッと鈴を見つめるだけである。

 

「わかってます。あと、南雲君、七海先生。勝手なことして、ごめんなさい」

 

「別にいい。いちいち謝んな」

 

「構いません。自分の命を大事にしているなら、それでいいです」

 

少しだけ重い雰囲気になっても進んでいると、道の先でハジメが何かを発見した。その視線の先には、眠るように目を閉じたまま、氷の壁の中に埋まる男の姿があった。

 

「この遺体」

 

「ですよね、七海さん。壁にもたれたままじゃなくて、壁の中っておかしいですよね?」

 

七海とシアは思った事を言いつつハジメを見る。

 

「ああ。だが死体にも氷壁にも魔力反応はない。死ぬと壁に取り込まれる仕様なのかもな」

 

「だとしてもなぜそんな仕様を?」

 

「さぁな。これも解放者の嫌がらせの1つかもしれんが」

 

ハジメはドンナーを抜いて遺体に銃口を向ける。昇華魔法習得後に作った新しいタイプである。ちなみにシュラークも呪具としての精度は上がっており、完全呪具化はしてないが、ハジメの電気を帯びた呪力を効率よくまわせる使用になってる

 

「念の為、殺って……いや、壊しておくか」

 

スパーク音が出てすぐに撃つと氷壁と、その内部の遺体を貫く。もちろん額と心臓をだ。

 

「……………」

 

死体に鞭打つ行為に光輝は何も言わないし、ハジメの方も向かない。ただ、目を閉じることなく、諦観したようにしばし見ていた。

 

「1人1人にそんなふうにしていたら、キリがない上に、自分自身を傷付けることになりますよ。ましてこの魔人族に至ってはあなたの責任でもないんですから」

 

七海に注意されると、光輝はビクっと僅かに身体が震えた。図星だったからだ。

 

「わかってます。でも、俺がそうしたいんです。無駄でも、誰かのいつかを、祈りたいんです。たとえ、呪いになっても」

 

「ハッ、詭弁で傲慢だな」

 

「そうだな…でも、傲慢って部分に関して言わせてもらうが、お前が言うな」

 

「オ」

「ア」

 

「喧嘩しないでください、時間の無駄です」

 

言い合いなりそうなくらいに互いにメンチ切るハジメと光輝に冷淡に七海が言うと、「ふん」と2人は『まぁいい』と言わんばかりに進む。

 

「なんか、光輝君もだけど、ハジメ君もちょっと対応が変わっていうか、あんな風に光輝君に絡まなかったのに」

 

「そうよね。正直仲がいいなんて全く思わないけど、お互いがお互いを妙に意識してるみたいな」

 

香織と雫がそんな2人をみてそう感想を言っているなか、

 

「光輝君も変わってるってことでしょ?良いことだよ。少なくとも正義感だけを振りかざす見っともない姿じゃないよ」

 

「鈴、褒めてるの、貶してるの?あとずっと言おう思ってたけどツッコミが毎回冷たいわよ」

 

香織と手を繋いでいるので、当然の如く鈴も会話に入る。地球組みの少女3人が以前とはまるで違うが、表情は穏やかだ。

 

その前で歩く七海は静かに笑う。光輝は己の負を抑えず、向き合い、表に出しはじめた。鈴は緩やかな回帰をしている。自分がした事など微々たるもの。殆どが生徒自身が、周囲の人の関わりで、大なり小なり変わりゆく様子が…

 

(やれやれ、こんな様子を五条さん辺りに見られたら、腹を抱えて笑われそうだ)

 

 

「痛つぅぅ、すまねぇ香織」

 

「別に良いけど、注意はしてよね。進みながらでも回復はできるけど」

 

「いいよ香織、私がもう少し結界の範囲を広げて」

 

「ダメ。確かに今は私と手を繋げば負担が軽減できるけど、軽減だけで、ある程度は鈴に負担があるのは変わらない。再生魔法にも限界はあるんだから」

 

通り道を黙々と進むさい、龍太郎の七海より大柄な身体が結界から漏れてしまい、雪に触れて凍傷を起こしては香織が治すを何度か繰り返していた。

 

(そういえば…)

 

治療をしつつ香織は気になることに気付いた。

 

(なんか最近、龍太郎君の性格が落ち着いてきた(・・・・・・・)ような…ちゃんといつも通りな事が多くなってきたような)

 

そんなアクシデントこそあれど、順調に進んでいる。それが

 

「逆に不気味ですね」

 

「わかる。それなりに進んだはずなのに、何も起きないってのが不思議で、不気味な感じだ」

 

七海とハジメは警戒感が上がる。その会話にユエも入る。

 

「それに、何も起きない道で、こんなにも死体があるのはおかしい」

 

ユエの言う通り、進めば進むほど氷壁の中にいる死体に目がいく。

 

「単純に龍太郎が受けた雪で凍傷になってショック死したっていうのはどうだ?それなら遺体に損傷が少ないことにも多少の納得はできる」

 

「それだとコイツらは何もせずにただやられた事になるぞ。谷口ほどじゃないにせよ、防御魔法はできるはずだろ?」

 

光輝の推測にハジメは否とするが、特に気にしたようすもなく、「じゃ違うか」と光輝は考えながら近くの氷壁の死体を見る

 

「あと、魔人族の領土は近いから魔人族が多いのはわかるが、この服装って」

 

死体の殆どは魔人族だが、服装に見覚えのあるのが幾つかある。王都侵攻時で見た魔人族の軍服と同じだ。

 

「おおかた、フリードが攻略したのをきっかけに、魔人族側で国を挙げた大迷宮攻略が実行されたんだろう」

 

1人が攻略してしまえば、大迷宮内の試練の内容は、魔人族の軍全員に伝わる。タネが割れてるなら攻略も多少は楽になると思うのも納得はできる。七海は「それと」と追加で言う

 

「フリードが挑む際に連れて来た部下もいるでしょうね。南雲君ですら攻略にユエさん含めた複数人の協力無くしては、攻略は難しい所ばかりでしたし」

 

「あぁ、確かにそれもあるだろうな。他にもルートがあるとするならどちらにしろ、そんな簡単じゃないってことだ」

 

「じゃが、国を挙げたのなら、数名くらいは攻略できた者もおるかもの」

 

ティオの考察に香織や雫は心配そうな顔をする。王都に残したクラスメイトとリリアーナ達の心配だろう。そんな香織の表情を見た雫が表情を明るくして言う。

 

「大丈夫よ、香織。少なくとも直ぐに攻められることはないと思うわ。大結界は完全に修復されているし、内通者は……優花達が目を光らせてる。それに向こうは、あのレーザー兵器が損壊していることを知らない。戦力が揃っても安易には」

「それはどうでしょうか」

 

雫の言葉を遮って否定したのは七海だ

 

「すみません、八重樫さん。安心させたくて言ってるのはわかりますし、客観的な予測なのも理解しています。それでも、その考えはもうあまり意味がないかもしれない」

 

「ど、どうしてですか?」

 

「…恵里の存在、ですか?」

 

先程雫が内通者の件を話す際に、少し躊躇いを見せたように、光輝も同じように躊躇いつつも言うと、先程の雫の時同様、鈴が僅かに動いていた。それに気付いているが、言い出したからには言うべきだと光輝は続ける。

 

「前に、飛行艇で七海先生が話してた恵里の成長速度と、恵里の術式。それを考えるなら、魔人族は以前とは比べ物にならない多大な戦力を持っている。俺達含めて呪力が見えない人じゃ、呪力と術式を使える相手に圧倒的に不利になる。その上、生まれた術式にはどんな効果があるか未知数だ」

 

それに雫も言い返せる言葉が見つからない。七海は「その通りです」と肯定した。

 

「だからこそ、急がないと。七海先生には悪いですけど、俺はこの世界の人を、見殺しにはしたくない。身勝手に呼び出されたのは事実でも、だから誰が死んでも関係ないって、俺には言えない。もう、いろんな人と、関わっているから」

 

以前までの光輝であっても、同じくこの世界に残る選択をしただろう。だが、今の光輝にあるのは正義感とは少し違う。

 

「天之河君、仮にこの世界に残って戦い、生き残ったとしましょう。その際、帰る手段は?君1人で残りの神代魔法を手にするのは不可能に近いですよ」

 

「……」

 

七海の問いに、光輝は答えない。否、答えることはできない。

 

「戻れるとは思ってないんですね」

 

「それは、先生もじゃないんですか?人のこと言える立場ですか?」

 

「お、おい光輝」

 

一触即発。そんな雰囲気になりかける親友と慕う教師を見て、龍太郎は止めようとしたが、その前に前にいるハジメが苦言を言いだす

 

「少なくとも、絶対帰れないってことはないぞ」

 

ぶっきらぼうに言うハジメに光輝は「なに?」と問う。

 

「神代魔法全部手にして、帰る手段が見つかったとして、その時そこにいる連中しか帰れないかもしれないってのは最初から考えてたことだ。七海先生との縛りがある以上、元の世界に戻っても、他の奴らを戻す為に、俺は全力を注がないといけない」

 

「でも、それができるとは限らないだろ?なんでそんな自信ありげなんだ」

 

光輝が聞くと、ハジメは「フン!」と鼻で笑う。

 

「娘に約束して、破る父親なんざ、格好が悪いだろ?」

 

「……それ、俺の言葉より根拠なくないか?」

 

「根拠とか、できるできないじゃない。やるんだよそんだけだ」

 

「………根性論にも程がある」

 

「あ?お前に言われる筋合いはねぇ」

 

これまでのハジメと光輝とはまた違う喧嘩がまたしても勃発しそうになる。『あーもう』と言うかのように七海が止めようとした時、シアのウサミミが反応し、ハジメにそれを伝える

 

「ハジメさん、何か来ます。大量ですよ」

 

「魔物か?それにしちゃ、魔力の反応が、あまり感じないが…どこからだ?」

 

「…四方向、全部からです」

 

「は?後ろからもか?」

 

シアの言葉を疑うわけではないが、それでも訝しい顔にハジメはなってしまう。ここまで来る最中に魔物は1体もいなかったにも関わらず、背後から急に現れたのだから。

 

「気配を消す系の固有魔法を持っている魔物か、それとも一定以上進む事で出現する使用なのか。どちらにしても、強行突破をした方がいいと思います」

 

「俺も七海先生に賛同する。道がわかっているなら、狭い場所で囲まれるよりも広い所に出てから戦闘した方がいい」

 

「…いや、まだ通路から出るな。敵の程度や、ざっくりとしたものでも能力がわからない内に包囲されるのは避けたい。後方は香織と谷口がそのまま後ろにつけ。直線場なら分解砲撃が1番優位だ」

 

ハジメの指示に七海は従うように頷き、光輝も不満はあるが、未知の敵への襲撃に備え、聖剣に魔力をチャージする。

 

「来るぞ」

 

かすかな呻き声が聞こえてくる。怨嗟、苦渋、苦悶、絶望、憎悪。そんな負が感じるようなおどろおどろしい声。それに、聞き覚えがある…

「天之河君、大丈夫ですか?」

 

「心配いりません」

 

僅かに手が震えていたのを見逃さなかった七海が聞くと、一呼吸して光輝は返す。迷いが全くないわけではない。今もあるが、ある程度は割り切る事くらいはできていた。

 

そして、ソレは姿を見せる。ぬるっと、滲み出るように見せたのは黒い軍服を纏い、何度か見た特徴的な長耳。魔人族の軍人だが、肌は同じく特徴的な褐色肌ではなく青白く、目も白濁として、生気はない。動きは壊れた人形のようにぎこちない。そして龍太郎も受けたこの通路の凍傷になる雪の影響なのか、全身が霜だらけだ。

 

「氷壁の死体、でしょうね。相変わらず大迷宮の反吐がでる演出ですよ」

 

湧き出る亡者は、生者を狙う。まさにそれは七海の言う通り、生命を冒涜した反吐がでる演出だった

 




ちなみに
雫が光輝に違和感を持つように、ハジメが現在の光輝を気味が悪いと思うのも同じ違和感が原因です。今の彼の言動を見るとわかりますが、原作とは違う考えをし、現実を見ようとは、してますけど。
今回の大迷宮で彼に神代魔法渡そうかずっと悩んでいました。でもそろそろ決めないといけないな。現状どっちと聞かれると『こっち』って言えるけど、書いてる途中で変わるかも。

ちなみに2
さらっと書きましたが、ハジメは簡易領域も反転術式も使えます。ほんと、術式がないのが悔やまれますねぇ

ハジメ「殴るぞ」

反転術式制度は細かい内臓は無理、四肢はある程度(指の欠損くらいはいけるが腕を生やすのは無理)
今後この描写はするかは、不明。彼がエヒトに勝つのは確定ですが、ちょっと原作とは、違うとハッキリと言えます
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