ありふれたやり甲斐と生き甲斐を探して   作:戦鬼

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シアのほうでーす。

アニメの後編が楽しみ&灰原の術式がでて興奮ぎみ。芥見先生にはファンブック2を出して欲しい今日この頃


向壁虚造 ②

大きめの木々に囲まれた森の中(・・・・・・・・・・・・・・)

 

【えぇーもう終わりですかぁ?】

 

その内の1本の木の枝に乗る、虚像のシア。木漏れ日のような光が降り注ぐ森の中央には落ち続ける砂が入った砂時計。そして

 

「うっ、うぅぅ」

 

倒れ伏すシアがいた。

 

数分前。

 

シアもまた、ハジメと同じく虚像に勝った。自身に語りかけられる、抱えていた闇に対してまるで揺らぐこともなく、過去ではなく未来の為に頑張るという志しを見せて、弱体化した虚像に打ち勝った。

 

【お見事】

 

そう告げて消えた虚像は、

 

【では、ここからは害徒…呪術師の試練です】

 

突如、虚像に勝った事で気を抜いていたシアの眼前に再び現れた。

 

「っ!」

 

そして虚像はドリュッケンで攻撃をしてきた。シアは術式を使って虚像の攻撃を緊急回避をしたが、

 

(なんで今、術式を使わなかった?)

 

シアはなんとなく気付いていた。目の前にいる虚像が先程までと違い、自分と同じ術式を使えると。ならばこの先はどちらがどれだけ術式に与えられる時間を利用するかの勝負になると思っていたので、てっきり術式での瞬間移動合戦が始まる予想をしていた。

 

【ふふ】

 

だが、虚像はシアの記憶と経験を元に作られている。だから弱点もわかっている。トレイシーとの戦闘と同様に、未来視のできないラグを作る為に、その後の行動の為に

 

すぅと虚像のシアは片腕を前に出し、その手の型を所謂幽霊がするような所作をして作り、その言葉を呟く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【領域展開】

 

「なっ⁉︎」

 

【◼️◼️◼️◼️】

 

虚像がその名を告げ、世界が形成されていく。

 

*

 

そして、今に至る。

 

(さっき、何を言ってたけ?掠れて、よく聞こえなかった)

 

自分の虚像が言っていたこの領域の名。何故か耳に入ってきた情報が理解できず、唐突にシアはそれを考えていた。

 

……違う、思考がグチャグチャになるほどのダメージを負い、シアの感覚がおかしくなっていた。

 

(いや、立て!立ち上がって挑め!)

 

ググっと地にふしたシアが全身に力を入れて立とうとした瞬間、

 

【回帰】

 

痛みと絶望を与える言葉が虚像から告げられる。

 

「⁉︎」

 

その瞬間、シアは身体が凍結したかのような感覚を一瞬感じ、次に全身に凍傷の跡がつく。

 

「アァァァァァアアアァァァ‼︎」

 

そして来るのは凄まじい痛み。シアは周囲からバグウサギと揶揄されるほど丈夫で、再生魔法を習得してからは、自身の状態異常も傷も、瞬時に回復させることができる。そしてそれらを受けた痛みを感じていないのかと思うほどの動きも見せる。

 

そんな彼女が、痛みに悶えてしまう。

 

(なんで⁉︎)

 

そんな中でもシアには疑問が浮かぶ。虚像がしたのは術式反転、回帰。マーキングした対象の時間を戻すものであるが、戻せる時間はほんの僅かな上に、消費呪力と対価の使用時間が多い。本来なら1日1回が限界で、使うタイミングも極めて少ない。

 

その使うタイミングを強いて言うなら、トレイシー戦の時のように、相手にクリティカルヒットを当ててすぐの場面だろう。その際に相手にマーキングをしなければならない。

 

だが、目の前の虚像はどうだ?術式反転を使ったのは、今ので3回目。しかもマーキングをされた瞬間はわからず、回帰で受けたダメージが直前に受けたものでは絶対ないものと断言できるものばかり。特に今の3回目は

 

「い、ば、のは」

 

【そう、まだ私(あなた)が、ハジメさんとユエさんと共に旅をする前に、ユエさんと修行してた時受けた魔法の回帰です】

 

あまりにも過去すぎる。通常であればそこまで戻すなど不可能だ。呪力量的にも術式的にも。更に驚きなのは、今のシアであればあの時と同様の魔法を受けても痛みに耐え、動ける筈だ。しかし、痛みは当時感じたものと同じどころか、それ以上ある。

 

1回目と2回目はどこで受けたものかは定かではないが、シアには確信がある。その時以上の痛みとダメージがあると。

 

 

『領域内はその術師がもっとも戦いやすいホームグラウンドのようなもの。領域内でのみ使えるようになる術式や、同じ術でも通常ではできない規模の攻撃など、術式能力は120%以上の上昇をします』

 

 

その時、シアの脳内でエリセンで七海から教わった知識が再生されていた。

 

(これが、領域内での術式のポテンシャル上昇)

 

シアは1度、トレイシーの領域に入った経験があるが、それは領域展開がデフォルトで備えられていた術式であり、尚且つ必殺のない必中のみの領域だった。加えて自身の術式の領域などシアは考えたこともない。当然だ、自分にできる筈がないと、聞いた時から思ったのだから。

 

必中必殺の領域という理不尽を押し付けられる脅威と、自身の術式の最大のポテンシャルを引き出す空間。シアは感じた。

 

(だめです、このままじゃ、勝てないかも、です)

 

自分が戦っているのは、技術で絶対的な実力の開いた相手であること。今の自分には相手の技量そのものに勝つのは不可能だと。

 

(でも)

 

同時に、1つの結論…いや、極論にも至る。

 

(私は、こんなにも強くなれるんですねぇ)

 

虚像は強くなった自身の可能性の再現。自分にはその潜在能力がある、そこに辿りつける可能性がある。それを理解するのには充分すぎた。

 

【まだやるんですか?】

 

「えぇ、当然!」

 

シアは速攻で全身を回復させた。血の後は残るが、それでも万全に動ける。

 

【回帰】

 

瞬間、またどこで受けたか判明のつかない痛みに襲われて…

 

「奥義、〝めちゃくちゃ我慢する〟‼︎」

 

果たしてそれは奥義と言えるのか。それの使用とほぼ同時にシアは術式を使い、瞬間移動し、虚像に渾身の右ストレートを与える。それは黒く輝く光だった。

 

領域内の森の中をズザァァァと虚像が転がっていく。

 

【だからそれは奥義でもなんでもないですぅ!】

 

先程の虚像戦でもシアが〝耐える〟などという奥義とは言えないものを見せたことに対して虚像はツッコミを入れたが、今回も同様なツッコミを入れた。

 

そんな事をしていたせいで出来た隙を、シアが見逃す筈もない。どうにか虚像は回避をしようとするが

 

「逃がすかぁぁ!」

 

瞬間移動で追いついて逃がさない。

 

虚像が領域でポテンシャルを引き上げるなら、シアは黒閃で上げる。

 

だがそれだけはない。痛みに耐え、傷を再生することもしない。この戦闘中は傷を治さないという縛りで更に底上げし、術式の発動速度を上げ、次の術式発動の際のラグを更に落とす。

 

「ラァアァァァシュですぅ!」

 

シアは咆哮をあげて、虚像のホームグラウンドである筈の領域内を縦横無尽に跳躍している。

 

虚像は術式を使えばいいのに、それができないでいた。

 

領域の対策はいくつかあるが、シアがしているのはその中でも最も原始的な方法で、しかも本来なら領域を展開した直後する方法だ。

 

領域の展開と術式の発動の間にはほんの僅かなラグがある。その隙をついて領域の主を叩くというものだ。だが既に領域は展開されて、いつでも術式を発動できる状況下。今更しても意味がない……通常なら

 

【っっっ!】

 

「使えないんですね!」

 

ずっと、虚像が術式の行使をする際に気になっていたことが2つ、シアにはあった。

 

1つ目は術式の発動が遅いこと。領域のバフを受けているのに連続で発動させてない。回帰を出し惜しみせず何度も連続で発動すれば、シアは身動きを取ることもできず、連続でダメージを受けて敗北しただろう。それをしないということは、できないということ。そもそもバフをしても、回帰で戻せるダメージとしてあまりにも受けた期間は空きすぎていたし、それにダメージがその時よりも確実に大きい。

 

(それを実現させる為になんらかの縛り、もしくはデメリットになるルールが存在している筈です。それがどちらで幾つあるか分かりませんが、少なくとも次の回帰をする際のラグ!これは絶対です!)

 

シアの見立て通り、それがあった。だからこそ、虚像は今も対応ができていない。シアと同じく虚像も未来を見ることができるが、どれだけ見れても、避けれなければ、対応できなければ意味がない。

 

そして2つ目に、相手が術式反転の回帰以外を使わないという違和感。現在シアは黒閃と縛りで自分にバフをかけているが、それでも領域のバフと比べた時、その差は天と地ほどある。

 

にも関わらず相手が瞬間移動を、順転の術式を使わない。

 

(1、使わないという縛り。でもこれはあり得ないです)

 

何故なら相手は自分の虚像。自分がしない筈のことはしない。ある程度の縛りをすることはシアも了承してるし、これまでしてきている。だが自分の手数をこの状況下で無くす判断は、シアならしない。

 

(つまり……2、まだ相手は強くなった私の再現が完全に出来きってない)

 

どうなるかわからない可能性を再現し、且つ呪術戦の極致、それも必中必殺の領域展開の発動。今のシアにできない事をするのは困難過ぎた。7つ神代魔法をもってしても、領域…術者の精神世界の形成、術式世界を最初から完全再現するのは到底不可能だった。結界の質も、構築の為のプロセスも、結界としての構造も、魔法によるものとはまるで違う。

 

この世界の結界系の魔法を、自分なりに最大限に使えるユエ、ティオ、鈴が使う結界術と違い、七海のいた世界、呪術による結界術は文字通り別次元の難しさ。感情由来のエネルギーから形成されているが故に、コントロールも発動もそのコスト(呪力)の制御も難しい。領域展開という呪術戦の極地ともなれば尚更に。

 

それを、本来ならできない筈のシアの領域を、無理矢理再現したのだ。綻びや欠陥がでるのは当たり前だ。

 

今虚像は、大迷宮は、シアの術式情報を解析し、シアが七海から受けた知識と、トレイシー戦での経験から領域を生み出し、再現したに過ぎず、仮に七海から領域の情報、もしくはトレイシーの領域を見ている。このどちらかが欠けていれば、虚像は領域を展開することはできなかっただろう。

 

虚像は、この大迷宮までのシアの情報から再現していた。つまりそこでシアの術式情報も筒抜け。それでも領域の完全な使用はできないでいる。

 

(でも裏を返せば、時間をかければかけるほど、情報を新たに虚像にインプットされてしまい、いずれ術式順転も使えるようになる可能性が高いです)

 

だから

 

「ここでぶっ潰したらぁぁぁ!」

 

相手が知覚するよりも速く、術式による瞬間移動を連続行使。コンマの時間使用による超速移動。

 

【ぐっ、ぎぃ、ばっ】

 

「ぅっ…るぁぁぁぁぁ!」

 

シアの渾身の蹴りが黒く輝く。

 

【防御、が、】

 

虚像は間違いなく防御をした。魔力と再現した呪力、それらでの身体強化をした。それすらも突破する黒い閃光による破壊の1撃。シアは、術式と技能、持ち得る全てによって、本来なら狙って出すことなどできないものを引き寄せる。黒い閃光に愛される為にあるかのような力。

 

「くひ、ひひ、ひゃっはぁぁあ!」

 

再びの黒閃に、シアのボルテージが更に上がる。ハウリアモードになったが、それでも、いや寧ろ更に戦闘センスは上がる。

 

【回…】

 

虚像が術式を発動されるよりも前に、シアの方が速く動き、速く術式を発動する。そもそも、虚像が使うのは術式反転。順転とは違い、通常でも発動させるのは困難だ。ただでさえ領域の再現を最初にした弊害がある。術の発動までのラグが大きく、

 

「ぜぁ!」

 

【ぐう!】

 

簡単に止めれてしまう。だが発動されたら厄介なのも事実。だからこそ相手の術式を発動はさせない。故に更に速く、シアは行動する。しかし

 

「っ!」

 

限界が近付く。術式にある使用時間もだが、シアの脳への負荷もだ。シアの術式は彼女の未来予知ありきで成り立つ。それを連発での、未来視。未来を見る際の別の未来を見る際のラグ。これをほぼ無くす為の行為だが、過度に見る行為は頭の中に雑音が響くようなもの。頭に未来という情報を次々とインプットしており、それに対するアウトプットが追いつかない。脳が限界を迎えてパンクし、倒れてもおかしくない。

 

(それ、で、もぉ‼︎)

 

続ける。何よりそうするべき相手なのは、今この瞬間も攻撃を受け続けているにも関わらず、

 

【まぁぁぁぁだあぁぁぁあ‼︎】

 

再生と破壊を繰り返しながら、少しずつシアの瞬間移動攻撃に慣れてきている虚像を見れば当然だろう。

 

シアの攻撃が緩んだとき、回帰をされて終わるか、虚像の回復できなくなった時か、それに決まる

 

もしくは

 

【◼️◼️:◼️】

 

虚像の再現が、1段階上がった時。

 

「…え」

 

瞬間、シアは自分に何が起こったか理解できなかった。

 

(今、なにが、呼吸が…意識が、全身も、うごかな)

 

【黒閃!】

 

黒い閃光に愛されたシアなら、虚像もまた、愛される。

 

「ぎっ」

 

領域内に顕現した木に激突し、声を上げることすらできないダメージを負い、シアは倒れてしまう。

 

(また、聞こえなかった。いや、それもですけど、今、なにが…?)

 

思考が一瞬ブラックアウトした。そしてその一瞬が終わったと同時に、シアの身体に起こった異常事態。不整脈、強烈な眩暈、まるで全力疾走をした後のような倦怠感と息切れ、全身の筋肉が攣ったかのように痙攣し、うまく動かせず、術式発動の瞬間もあり、体制はぐちゃぐちゃになっていた。

 

(あ、たまが、キーンとするです)

 

虚像の黒閃を受ける直前にも耳鳴りがあったが、それが今もなお続いている。姿勢は保てず、ばたりと倒れる

 

【ぎ、ギリギリ、でした、ねぇ】

 

一方、虚像としても、大迷宮側としてもそれは大きな賭けだった。

 

その理由は、今の技ができる確信はないから。虚像の元となる情報源のシアがそれをできるという自信がまるでないのもあるが、それの情報があまりにも断片的過ぎたから。その為、再現できたのは凡そ、1秒未満。おまけに

 

【でも、なんでも、情報ってのは、聞いておくべきですねぇ。…まぁ、それは私じゃなくて、あなたの情報ですから、この場合は聞いておくべきではなかった、ですかねぇ?】

 

シアが考たものでなく、大迷宮側がシア記憶から考察し、行使した、いうならば草案に近い。よって、虚像には致命的なバグが起こる。

 

【………うご、く、だ…じゃないで、会話も、あと…すこ…で、できな…なる、で、す」

 

呪術と呪力の再現と、本来なら無理な領域の再現。そもそも先程の術を使う前の時点で限界でもあった。虚像の全身が消えかけている。ここまで受けたダメージと、領域含めた無理な再現をした結果、その存在を維持するのができなくなっている。

 

人間が本来できない速度で動いたら?その機械のスペックでやれないことを無理矢理させればどうなるか?答えは簡単、壊れるだ。

 

【でも、とどめくらいなら、できます、ね】

 

虚像はどこからかドリュッケンを出して振りかぶる。

 

【なっ⁉︎】

 

が、振り下ろせなかった。何故なら、振り落とす対象のシアが、虚像を正面から抱きついていたから。

 

【術式を、使って!】

 

意識朦朧状態でもできたのは、シアの意地と、黒閃によってハウリアモードになった事によるもの。

 

(ぶっ潰したらぁぁぁあぁ!)

 

強い感情は、殺意は、時として人の行動力と限界を引き上げる。

 

「ぞりゃぁぁぁあぁぁ‼︎」

 

抱きついた状態で、シアは身体を後ろに勢いをつけて傾けて、そこで術式を発動し、瞬間移動で宙に移動しそのまま虚像を頭から落とす。

 

虚像が地面にめり込んだと同時に、

 

バリン‼︎

 

と領域が崩壊した。

 

【うぅがぁ】

 

シアが拘束を解くと、虚像は力なく仰向けに倒れた。

 

「はぁ、がぁ、はぁー!」

 

ダメージの痛みをどれだけ我慢しても、身体の方がついて行けず、シアは吐血し、そのままシアもバタリと仰向けで倒れた。

 

「術式の順転と反転術式の併用なんて、今の私じゃ絶対できないですよ」

 

【ふふ、気付いてい…でしょう?私は、あな…の、可能性の再現。あなた自身…、そ…が、できる……ないは関係な………よ】

 

「理不尽すぎるですぅ」

 

まるで対比のように、鏡に映ったかのように、倒れた2人は先程までの殺し合いが嘘かのようにヘロヘロな状態で若干の笑みを浮かべて話す。

 

【そ…、理不尽、こ…が、超えるべき、も…】

 

「ですね、理不尽、ドンとこいです」

 

シアはこれまで数多の理不尽と戦ってきた。だからこそ出せる言葉だろう。虚像は再び笑う。

 

【…この先、も、害徒、呪術師、なな…さんと、関わるんですかぁ?】

 

「どういう、意味ですか?」

 

どうも今虚像が伝えようとしているのが大迷宮側、解放者達のメッセージだとシアは確信した。

 

【かつて、この世界に来た、とされ…、がい…は、神を、おそらく、ほろぼ…、直前まで、いった。でも、それによ…、この世界は最初の、へんか、をした。神の作る盤上、より、も、より、あくい、に満ちた世界への、へんか】

 

「それは宿儺とやらの話しでしょう?七海さんには関係ないですぅ」

 

【ぜん、あく、の問題で、ない、変化による】

「ごちゃごちゃ、うるさいです」

 

ズガンと力んでシアは立ち上がる。そしてその手にはドリュッケンがある。

 

【え、いや、まだ、はな…の途中】

「だから、鬱陶しいんです。よく考えたら、もう試練終わってんですから、聞く必要性ないですし」

 

振り上げられた巨大なハンマーの影が、消えかけの虚像を包む。

 

「危険って言うなら、私も、ハジメさんも、ユエさんも、強い力を持つ人全員にあたります。でも結局は、その人がどういう人か。これでいいでしょう?もう七海さんが良い人すぎる事は、承知してます」

 

だからシアには関係ない。たとえこの先多くの悪意ある呪術師が出てきても、多くの呪霊が生まれるとしても

 

「その時は、その時で考えて、解決していけばいいです」

 

七海がこの件と自分のことで色々悩んでいることもシアは承知済み。

 

「起きる未来を考えるのが悪いとは言いませんが、そこに七海さんを犠牲にするとか、んなもんクソ喰らえです」

 

ハジメとユエ、香織やティオともまた違うが、シアにとって七海は失ってはいけない仲間の1人。

 

「早いとこ、消えろやぁぁぁぁ!」

 

破壊音が響く。その一撃で、今度こそ虚像は消えた。

 

「ま、それでも呪霊が生まれるなら、七海さんの手助けくらいならしますけどねぇ」

 

バタっと、再びシアは倒れた。

 

「ダメージ受けすぎた上に、呪力も使いすぎたですぅ」

 

すぐさまシアは回復を始めるが、黒閃を受けた部分、それと肉体内の筋肉や臓器の回復に少々手間取る。更に脳機能にも異常があるのか、そちらの回復にも対応しなければならない。そこまで細かく、繊細な部分ともなれば、さすがに回復に少々時間がかかるようだ。

 

「あー、しかもなんか急激に眠くなってきましたぁ〜」

 

脳の酷使とも重なり、シアは眠気に襲われる。今のシアなら、寝ていても自動で無意識に回復はできるが、この大迷宮で不用心に眠るなど、ハジメや七海が見たら注意の1つでもするだろう。ましてここは氷の洞窟、こんな所で寝るなど自殺行為に等しい。ハジメが渡してくれたアーティファクトがあるが、それでも寒さは感じる。シアも重々理解しているが、疲労が勝った

 

瞼が閉じられるその最中、シアは思う。

 

(あの時の、言葉、なんて言ってたんでしょうか)

 

領域の名と、自分に最もダメージを与えたあの技。どうにもそれが気になったが、それはほんの一瞬

 

(でも、いい夢が、見れそうですぅ)

 

すぐに眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 




ちなみに
シアの虚像の使った領域と技名が◼️にしてるのは作者がまったく名前を考えてないからです
前の話の後書きにもあるように、虚像が使っていた技の全てを本人も使えるようにするかは不明なので、一応こういう能力を考えたが、実際に出すかはわからないです。だからもし出したとしても、◼️の数と同じ文字数になるかも不明

ちなみに2
原作だと本来ならこの後シアはユエと合流しますが、ちょっと休憩してるので……
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