ありふれたやり甲斐と生き甲斐を探して   作:戦鬼

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以前彼を出すのはもう少し先と言ってましたがウソになりましたね。

番外編だからいいか的な感じですな


ありふれさんぽ:天職病

それは、薪割り訓練の際に気付いた。

 

「うおら!」

 

龍太郎は鈍大鉈を振りかぶり、薪を切ることには成功したが、

 

「あれ?これ刃こぼれしてるな」

 

「あ、私も」

 

香織もそれに気付いた。

 

「失格です。ハイもう一回」

 

「「えぇぇ〜!」」

 

当時記録、龍太郎:88本。香織:117本。

 

「って、香織は既に100本達成してるからいいじゃねーか⁉︎」

 

「今の目標は、200なの‼︎」

 

新たに大きな目標を持って更なる向上を目指す香織の姿に、龍太郎は『スゲー』と思うと同時に早く達成しなければと考える。少し前は光輝を追い越していたが、彼がスランプから脱するとあっという間に追い越されて今は最下位だ。

 

「なら、しゃーねーな。いっちょやるか。先生、次の鉈をくれ」

 

七海はコクリと小さく頷いて近くに置いてある袋から大鉈を渡す。受け取った龍太郎はさぁ始めるかと思ったがひとつ疑問が湧いてきた。

 

「なぁ、先生。この大鉈俺等だいぶ壊してきたけど、今は誰が作ってんだ?」

 

かなりの数が破壊されて最初に七海が持ってきた袋はとっくに空になり、次々と新しいものが運ばれてくる。

 

「そんなの、この国の錬成師でしょ?」

 

「いやだってよ、それにしちゃどれも鈍だし、しかもどれもおんなじくらいの」

 

「そのくらいの調整はできるでしょう。そうですよね、七海先生?」

 

雫の意見は、

 

「?」

 

「…………え?」

 

七海の『何言ってるんですか』的な顔を見て間違っているとわかった。

 

「え、ちょ、ちょっと待ってください⁉︎今の今まで私達が壊して来たの全部南雲君が作ったものですか⁉︎」

 

「えぇ、そうですが何か?」

 

その事実には生徒全員が唖然としていた。壊した数など数えることができないほどだ。最低でも200は軽く超えている。

 

「いったいいくつ作ったんですかこれ?」

 

「さぁ、とにかく彼には自身の術に対する理解を深めてもらおうと思っていたので、魔力がある限り作ってもらい、魔力回復薬を飲みながら1日にいくつも作るようにしてもらったので…1日100を目標として日課にさせてました」

 

ハジメに対してもスパルタであった。とここで、「そういえば」と香織は思い出す。

 

「作ってる時の南雲君、最初は大変そうな顔だったけど……大迷宮に行く前に見た時はなんか目に光がなかったような」

 

「なんだろう…私、南雲君に今すごく同情してる」

 

「今まで散々壊してきたけど、それ聞くとなんだか…ね」

 

鈴と恵里もそれぞれ同情を見せている。もしこの状況をハジメが見たら複雑な感情を見せるだろうなと思いながら。

 

「俺、かなり壊してきたけど、南雲は許してくれるかな?」

 

光輝ですら同情している。散々作ってきたものは全て鈍だとしても、時間がある限り限界まで作り続けたものを、容赦なく壊すのだから。

 

「ちなみに、今回の件が無くとも、皆さんにはこの訓練をしてもらうつもりでした」

 

「そのことって南雲君は…」

 

「知りませんよ」

 

言おうと考えてはいたが、その前に彼が奈落へ落ちてしまったのだから。

 

「さ、話は終わりです。続けてください」

 

皆心の中で『ごめん南雲』と思いつつ、薪割りを続けた。

 

 

とある大迷宮内。一般的には存在を確認されていない場所に、金髪の少女と白髪の少年がいた。少女は少年がなにかをしているのを見ていた。

 

……彼の目に光がないので、心配そうな顔で。

 

「なにしてるの?」

 

「ん?見りゃわかるだろ?錬成で…………大鉈作ってるぅ⁉︎」

 

彼の足元にはいくつもの大鉈があり、作った自分で引いていた。

 

ここ最近は命の危機の為できていなかった日課という名の職業病…否、天職病を無意識にしていた事実に彼は愕然とし、多少落ち込んだ。

 

しばらくそれは続き、そのたびに彼女に指摘され、作らないようになるにはしばし時間がかかったという。

 

 




続けることに意味がある………たぶん、絶対、間違いない(遠い眼をして)

お気に入りが1000を越してました。ちょっと嬉しい。
皆さんありがとうございます。それと毎回誤字脱字を指摘してくださる方々、ありがたく思っております
この場で感謝をさせてください、ありがとうございます!

次回は…たぶん4月の終わり頃か、5月の始めに出します
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