ありふれたやり甲斐と生き甲斐を探して   作:戦鬼

18 / 107
パフパフー!今日はナナミンの誕生日でーす!イエェェェェェ!

七海「なんですかそのテンション」

乙骨の時不満そうでしたから



急変邂逅②

「行方不明⁉︎」

 

回復を済ませてから皆を集め、七海は愛子から例の手紙がきた事を告げると、雫がまず声をあげて驚く。

 

「ええ。清水君が」

 

「それをどうして今ここで?この訓練と関係あるんですか?」

 

淡々と言う七海に、香織が聞く。

 

「既に捜索隊の編成をしているそうですが、畑山先生の手紙には私にもできることなら来て欲しいとありました」

 

七海の〔+視認(極)〕ならもしかしたら。そんな淡い思いからだ。だが、愛子とて七海が来てくれるかどうかで言えば微妙だと思っている。信頼していないのではなく、こちらにいる生徒達の事もあるからだ。

 

「正直、行くかどうか悩みました。捜索隊部隊の編成には時間がかかりますしね……だから、君達の実力を今1度確かめたかった。白崎さんには申し訳なく思います」

 

「い、いえ、そ、そんな…」

 

七海が悩んでいたことも知らずに彼に怒りを向けていた事が恥ずかしくなり、香織はあたふたする。

 

「それで、結果は…」

 

香織は不合格だろうと確信しているがあえて聞いた。

 

「……ギリ合格と言ったところですね」

 

「え?」

 

合格。そう言われた。信じられなかった。他の者達も同じなのか、それぞれ驚いていた。

 

「採点の基準は私と相手して10分耐えられるか、合格の線引きは9分経過していて、脱落しても8人以上気絶してないかでした」

 

結果は見ての通りだ。気絶したのは永山と龍太郎の2人。しかもその2人も回復があったとはいえ、すぐに意識を取り戻した。

 

「どのようになるかわかりませんが、いずれ私はここを離れる。それが今できるかそれを確かめたかった。今の君達なら、仮に私より強い相手が来てもあっさり殺されることはないでしょう。ただ、忘れてはいけません。君達は未熟、そして、少しでも相手が強い、もしくは強い相手がいる可能性のある場合は逃げなさい。そういった相手と接敵した時の選択肢は、逃げるか、死ぬかです」

 

それができるという信頼。皆、七海がこの件に関しては過大評価も過小評価もしない人物なのは理解している。七海を尊敬している者はそれがなによりも嬉しく思った。だが、光輝は悔しさの方が大きい。それを察知したのか七海は光輝に聞く。

 

「…天之河君、なんであの時…〝限界突破〟でなく〝覇潰〟を使わなかったんですか?」

 

「‼︎」

 

〝限界突破〟の終の派生技能〔+覇潰〕。〝限界突破〟は基本ステータスの3倍の力を制限時間内発揮する。だが〝覇潰〟は基本ステータスの5倍の力を得ることが出来る。当然だがその反動は〝限界突破〟の比ではない。今の彼ではどんなに頑張っても30秒維持できればいい方だ。だが単純計算で4250のステータスになれば七海にもっと食らいつけた。

 

もっとも、それで勝てるのかと言われれば、答えはNOだ。七海のステータスプレートに記載されている内容は基本的に魔力によって発現したもの。七海の魔力感知も、今まで(呪力だが)見るという行動をしてきたことが、この世界に来た際の魔力の影響によって、その能力を覚醒させたにすぎない。

 

そして、魔力と魔耐を除いた数値も、呪力による身体強化による変化は記載されない。それでも、一瞬とはいえ本気の七海とも戦うことはできたはずだった。

 

「しなかったのは、君の甘さです。しなくても今の自分なら勝てるという、目の前にいた私の強さを見誤った結果です」

 

「俺は‼︎…俺は…」

 

「もうひとつ理由があるとすれば、私を倒した際に怪我をさせないようにと言ったところですか?…その甘さも君の悪癖です。勝ちたいと思うなら、どんな相手も舐めてかからない。相手が強いならなおのことです。君が未熟なうちはね」

 

光輝は言い返したいが、言い返せない。なにもかも、その通りだ。ずっと彼は思っていた。今の自分なら、万全の自分なら、七海に勝てると…完全な驕り。

 

「君のその判断が誰かを傷つけ、殺す。よく覚えて置いてください。これからどうなろうと君は彼らを指示する立場になる。君のミスが誰かを殺すと」

 

「…ミスなんて、しない」

 

「今さっきそのミスをしたというのにですか?」

 

光輝はギリと歯を軋ませた。

 

「そんなふうに怒れば相手の思う壺です。怒りは時に強くするが、冷静な判断も鈍らせる。それは内に秘めてください」

 

「!………」

 

光輝は目を逸らす。それはまさしく子供の行動だった。

 

「今回のこと、全員忘れないでください。それと、死なないように、死なない程度に頑張ってください。そして、天之河君」

 

「…はい」

 

「君もしっかりと考えてください。君の持っている武器は人を守るものですが、同時に人を殺す物だという事を」

 

「わかってます。必ず皆を救い、守る。俺がやるべき事はわかってます」

 

「…人は、殺せますか?」

 

それは、七海が最初にこの世界に来て、戦う思いを口にした者達への問い。光輝にはずっと聞いていなかった問い。

 

「そんなことはしない‼︎誰も死なないし、殺させない‼︎」

 

やはりわかってないなと七海は実感した。それでも選択をする。

 

そうして、七海は派遣される部隊より早く、愛子のもとへ行く決断をした。不安がないといえば嘘になるが。

 

七海建人による評価点総合81点。合格ライン80点……結果、突破

 

 

 

翌日、最低限の旅の用意をして馬車が用意された場所に向かう。

 

「…これは」

 

いくつか予想から外れたものがあった。1つ目が今回の旅が馬車を動かす者以外は自分だけという考え。

 

「なんですかその荷物は?パーンズさん、マッドさん」

 

「我々も同行します‼︎」

 

「団長には許可をとっていますので、ご安心を」

 

旅の荷物の用意を彼らもしており、ついて来る気満々という事。

 

「こいつら2人が抜けたくらいでどうこうなるなら、騎士団などそれまでだ。それに、馬車を運転するのはマッドだ。信頼できるし武の心得もある。城外の魔物に接敵しても大丈夫だ」

 

七海を馬車ある場所に案内したメルドがそう言うが、もう1つの気になることを指差して、七海は問う。

 

「100歩譲って認めたとして、この馬達はなんですか?」

 

もう1つの予想外。それは馬が早馬で、しかもそれなりに数がある事だ。七海が外に出るなら、王国としては少しでも時間を稼ぐ為に遅い馬を用意してくるだろうと予想していた。それが今までホアルドへ向かうために使っていた早馬を借りられるとは思わなかった。

 

「教会には後でなんとでも言える。早く行って、早く帰って来い。迷惑かけるなんて思うなよ」

 

「………」

 

七海はふぅと息をだし、メルドにお辞儀をし、感謝を述べた。

 

「ありがとうございます、メルドさん。……彼らをお願いします」

 

「ああ。どこまでできるかわからんが、少なくとも教会からの圧力がかからんようにだけはする」

 

「………」

 

「まだ不安か?あいつらは強くなった。少しは、信じてやれ」

 

信じてないわけではない。だが心配になる要因の1人、光輝の甘さがどうなるかがあったのだ。だが決めてここに来た。だから七海は信じる選択をする。

 

「改めて、お願いします」

 

「うむ。それとこいつだ」

 

メルドは腰につけた剣を七海に出す。

 

「餞別に持ってけ。おまえの能力(・・)ならあの鈍大鉈でも大丈夫だが、いい武器のひとつ、持っててもいいだろう」

 

渡された刀身を見た。丈夫そうだが軽い。良い素材を使っているのがすぐわかる。動きが鈍くならない為の配慮だ。

 

「戻って来た時にお返しします」

 

「おう。結構高いからな」

 

軽口を叩いてメルドは笑う。

 

「準備、できました‼︎」

 

「ありがとうございます。それでは…」

「七海先生‼︎」

 

七海が声がした方を見ると光輝達がそこにいた。彼らを不安にさせないよう、寝ているうちに出発するつもりだったのにだ。

 

「………」

 

チラリと隣りのメルドを七海が見るが

 

「♪」

 

とわざとらしい下手くそな口笛をメルドは吹く。確信犯であった。

 

「先生、行くんですね」

 

「えぇ」

 

「俺を認めさせます。もっと強くなって、ミスをしないように‼︎」

 

光輝としては正直七海に対する気持ちは微妙なものだったが、行方不明の生徒を探す為に行くことは否定できなかった。だから俺は大丈夫だと強調する為にここに来た。

 

「早く帰ってきてくれよ先生!次は俺と1対1のマンツーマンで訓練してほしいからよ」

 

「って抜け駆けすんな!」

 

龍太郎と永山は今ではすっかり七海の強さに惹かれていた。力以外の様々なことを教わった。確実に強くなる自分にワクワクさせてくれたことに感謝をしていた。

 

「今日まで私達を育ててくれてありがとうございます!」

 

「私の我儘の為に、ありがとうございます!」

 

雫は弱さを受け入れる強さを教えてくれたこと、香織は我儘を受け入れてくれたことへの感謝を告げる。

 

「回避の仕方とか、色々教えてくれてありがとうございます」

 

「次先生が戻って来た時には、みんなを支える縁の下の力持ちになってます。気をつけてください」

 

辻と吉田はこのメンバーの中で弱者だ。だからこそ、弱者の戦い方を学び、強くしてくれたことに感謝する。

 

「先生、俺よく先生に吹っ飛ばされたけど、おかげで強くなったぜ」

 

何回でも食らいつく心と、想い人から応援してもらえるきっかけを作ってくれたことへの感謝を野村は告げる。

 

「結界の足し引き、もっと勉強しますから、心配しないでください!」

 

「降霊術、先生がいるあいだ結局使えませんでしたけど、色々勉強になりました」

 

鈴と恵里はそれぞれの力をフルに引き出す術を教わった感謝を告げる。

 

「……………遠藤君は、何もなしですか?さっきから黙ってますが」

 

「………気付いてくれるだけで、嬉しいです」

 

その存在を、皆忘れていた。気付いてくれる人がいなくなるのは正直辛いが、それでも彼は笑って見送る。

 

「それにしても、1人ずつとは…」

 

実は愛子達を見送る際に感謝された時にも思っていた事を七海は言う。

 

「卒業式ですかこれは?」

 

ぷっと笑いが起こる。

 

「そんなんじゃないけどよ、でもいつか先生には俺等の卒業式見てもらいたいな」

 

龍太郎の言葉に皆うんうんと頷く。

 

「なら、元の世界に戻ってからは単位を取る為に必死になるでしょうね。出席日数全然足りないので、土曜、日曜、祝日も補習になります」

 

ピシリと全員が固まってしまう。

 

「え、マジ?」

 

「俺等こんな状況なのに?」

 

「言っておきますがなんともなりません。留年が嫌ならきちんと受けてください」

 

ある意味今までで1番の絶望を聞かされてしまい、空気がどんよりする。

 

「まぁ、私も長いこと仕事してないですから、どうなるかわからないので、それ含めてどうにかするよう努力しましょう」

 

全員ちょっと情けない声で「はい」というだけだった。

 

「では、行ってきます。皆さん、無理はいけませんよ」

 

馬車に乗り、マッドが手綱を振るう。馬は進み、馬車を力強く引いていく。

 

「………」

 

「建人殿、ウルに着くのはこの馬でも途中街で宿泊したりするので、だいたい1週間以上かかります。道中は休んでください」

 

「えぇ」

 

パーンズの言葉に軽く、答える。手を振る皆の声が聞こえなくなって、七海は完全に沈黙している。

 

「今は、愛子殿達のことを考えましょう…と言ってもそうはいかないのでしょうね」

 

「そういう立場ですからね」

 

パーンズは、七海の表情に変化はないがそれなりに思い詰めているのだろうと考える。良い励ましの言葉など思いつかないし、そもそもそんな言葉は七海には意味がない。だから、すごいと思うのだ。

 

(誰かを常に想える強さ、やはりあなたはすごいです‼︎建人殿‼︎)

 

「パーンズ、建人殿、これより速度を上げます。揺れるのでご注意ください」

 

ピシッと音がした瞬間、速度が上がり揺れが強くなる。

 

「うぉ!」

 

蹄鉄の音が響き、速度は上がる。

 

「最短で行く道を使いますが道中の魔物が出た際はご了承を」

 

弱い魔物ならこの速さには追いつけないだろうが、それでも襲ってくるものはいるだろう。それらも含めた1週間以上という日数だ。

 

 

 

 

「っ⁉︎誰だ」

 

コンコンとノックされた部屋の主は檜山だ。あの日以降、彼は訓練にも参加できていない。七海がそれを禁止したからだ。当然檜山は不満があった。

 

『君の迂闊な行動で全体を揺るがした。ミスは誰でもするものですが、君の場合は許されないミスです。集団行動を乱して皆を危険に晒して、南雲君が死ぬきっかけを作ったのは君です』

 

『ちょ、ちょっと待ってくれよ先生⁉︎南雲が死んだのはあいつが勝手にやったことが原因だろ⁉︎』

 

『なら、それがなければ君はどうなってましたか?君だけじゃない、他の人達は?』

 

『そ、それは…そう、天之河がいれば…』

 

どうにかなった。その言葉を言わせない凄みがそこにあった。

 

『自分の行いを反省せず、他人任せでいる。そんな人が集団にいればまず間違いなく足手纏いとなる…君はもう訓練する必要もありません。許可はしません。この部屋で待機し、どこか行く時は誰かに言ってください』

 

そうして部屋を去り、扉の向こうへ行く時、最後に七海は言う。

 

『君はまず自分の行いをちゃんと考える所から始めてください。……南雲君が死んだ件は、私が背負いますので、ご安心を』

 

その時の檜山には怒りがあった。あまりにも理不尽で自分勝手な怒りだ。

 

なぜ自分がこんな目に遭わなければならない、教師なら生徒の事を考えろ、軟禁なんてさせるな。そして次に湧いた感情は恐怖。あの日、南雲ハジメを殺した日、それをあの時に見られた生徒からの協力要請。それが事実上できない事への恐怖。いつ自分がしたことが暴露されていないか、不安でろくに眠れない日々。

 

それが続いていたある日、その人物は来た。その名を明かし、部屋に入る。見張りの騎士は眠らせている。

 

「ようやく会いに来れたよ。僕が来なくて、寂しかった?」

 

「ふ、ふざけんなよ。もういいだろう‼︎俺は訓練に参加できな…」

 

「七海先生なら今ここにはいないよ」

 

檜山は一瞬何を言われたかわからなかった。だが、脳内でもう1回その言葉をリピートさせて、そこで理解できた。

 

「ま、まさか殺…」

 

「できると思う?ただここを離れる理由があったからさ。けど、しばらくは戻れないだろうね。僕達は運が良いみたいだ。改めて聞こうか?白崎香織が欲しくない?」

 

「⁉︎」

 

それはあの日持ちかけられた内容だ。その悪魔のような計画も知っている。それをわかった上で、檜山は頷いた。

 

「まずは、迷宮に行くように光輝君を説得だね。教会の人達にも声をかけておこうか。それと、計画に変更はないけど慎重にいこう。今の彼らなら、たとえば今迷宮で君が同じように南雲を殺しても、すぐにわかるからね」

 

「どういう事だ?」

 

その人物はこれまでの訓練で得た技能について説明した。それを聞いて檜山は焦りだす。

 

「残穢⁉︎そんなもん見れるなら、魔法使ったらすぐにわかるじゃねーか‼︎」

 

「心配ないよ。残穢を残さず魔法を使う実験をして、僕はもうできる。その証拠に、その実験をしてる事は七海先生にはバレてない」

 

それでも、少しでも踏み外してしまえば即座にアウトな綱渡りだ。だが、もう檜山は断ることはできない。既に戻れない立ち位置にいるのだから。

 

 

野宿をしたり、街に泊まったりしながら目的地を目指すこと6日目。

 

「道中の魔物が全く現れないなんて、正直言って逆に不安になりますよ」

 

最短ルートを通るだけに野宿も多い。なのに初日と2日目を除いてほぼ魔物と接敵しない。幸運と言うにはあまりにも不可思議な現象にあった。

 

「こっちは商業人が使う馬じゃなくて王国御用達の早馬だ。それも7頭だぞ?偶然追いつけてないんだろう?」

 

「だとしてもだ!」

 

「落ち着いて下さい。今日も野宿なんですから、魔物が出る可能性もあります」

 

パーンズとマッドが言い争いにならぬように抑えるが、そう言う七海も妙だと思っている。

 

「なら、フューレンによらないか?物資もギリギリだしよ」

 

「せっかくここまで来たのですから寄り道はあまり…計算では後2日で着きます…全部野宿で魔物に接敵しなければですが」

 

パーンズの提案に対し、七海を横目に見ながら、マッドは言う。

 

「建人殿、我々の事は気にしないでください」

 

「本当にですか?物資の事を考えて言えば…」

 

「確かにそうですが、せっかく早馬でこんなにも早く移動できたのですから」

 

「………あーもう‼︎迷うのは面倒だ‼︎俺より頭の良いマッドが言う事を推薦する‼︎」

 

パーンズはそう言って寝床に向かう。

 

「監視の交代時間になったら起こしてくれ‼︎」

 

ガバっと寝る。聞く気なしだ。

 

「パーンズさん…感謝します」

 

「‼︎……はい」

 

「では、まず私が警戒をしますので、建人殿は寝ていてください」

 

休息は最小限と決まった。

 

 

2日後

 

「そろそろ到着しますね」

 

「えぇ。まず向こうに着いたらしっかりと休息をとりましょう」

 

本来なら何日もかけるが王国御用達の早馬は早足、およそ15kmごとに進んで休憩を入れているが複数となっているのでそれなりに速度がある。これほど早くつけたのはその為でもある。だが、やはりもっと大きな理由は魔物と接敵しなかったこと。ここ最近はずっとだ。

 

「ほんと、何が起こっているのでしょうかね」

 

「マッドにわからないなら俺にもわからん」

 

摩訶不思議としか言いようがない。

 

「……止めて下さい」

 

「え、あ、はい」

 

七海が急に言うが、マッドは落ち着いて馬車のスピードを緩めていく。休憩時間には少し早い。

 

「建人殿、急がなければ暗くなり、着くのが遅れますよ」

 

「………」

 

七海は地面にある窪みを観察する。

 

(車輪の跡……だが、一直線)

 

馬車なら間違いなく4輪、あっても2輪だ。その2輪も左右についてるのがこの世界では常識。ゆえに一直線というのはおかしい。この世界に、バイクはない。

 

(1、我々以外にこの世界に来た存在がいてバイクごと来た。2、この世界の者が作った。どちらにしてもこの先の町にいる可能性がありますね)

 

七海はその相手が1でも2でも情報交換をしようと決める。

 

「急ぎましょう」

 

「は、はぁ」

 

これだけの技術がある物を作った存在がいるとして、ウルの町に何か仕掛けるならもうどうにかなっているし、音や煙が見えていてもおかしくない。それでも万が一を考えて進む。

 

休息をとって最後に馬車を全速力で走らせた。街灯の灯りが煌々としている。

 

「馬をお願いします」

 

「ゆっくり休ませてあげて下さい」

 

パーンズとマッドはここまで無理をさせた馬を気遣い、王国の許可証を門番に見せて入る。

 

「湖畔の町というだけありますね」

 

「えぇ」

 

「んな事いいから、早く宿に行こうぜ」

 

野宿ばっかりでげんなりしていたパーンズは子供のように催促する。

 

「まったく。えぇと愛子殿がいるのは確か《水妖精の宿》ですね」

 

「高級宿だろそこ?まさかそこに泊まるのか?」

 

「我々は別。建人殿はそこでだ」

 

わかっていたがパーンズはガッカリする。

 

「別に畑山先生と話した後はあなた方と同じでいいのですが」

 

「建人殿も神の御使ですからね」

 

「嫌な響きです」

 

マッドは別に狙って言ったわけではないが、教会にケンカを売った七海としては、皮肉にしか聞こえない。

 

「まぁ、そう言わないでくださ」

「お説教です‼︎そこに直りなさい‼︎」

 

近くでキーンと耳に響く声がした。

 

「な、なんだぁ⁉︎」

 

「愛子殿の声でしたが」

 

ハァと七海はため息を出す。

 

「おおかた生徒が町を遅くまで歩いてて、そのお説教を、と言ったところでしょうが」

 

近所迷惑な大声である。少し歩を早めて向かうと、ギャーギャーという声とそれを必死に止めているであろう声がする。止めているのは生徒達だ。

 

「落ち着いて愛ちゃん先生!」

 

「これが、落ち着いて、られますかぁ‼︎もう一度言いますよ、そこに直りなさい、なぐ…」

「何をしているんですかあなたは」

 

「「「「「「「⁉︎な、七海先生⁉︎」」」」」」」

 

来るかもしれないという事は知っていたが、こんなにも早く来るとは思ってなかったので全員ビックリした。

 

「向こうにまで聞こえましたよ。大人ならもう少し落ち着いてください。近所迷惑です」

 

俯いたことで小さな身体が余計に小さくなる。

 

「ってそうじゃないんです!彼、彼が⁉︎」

 

愛子が彼と言う方を見ると3人組がいた。その内2人は女性だ。1人は金髪で小柄な体型だが、大人の雰囲気を出す少女。制服のような白い服は金髪を映えさせる。紅い瞳はまるで宝石のようで、ずっと見続けた者を吸い込んでしまいそうだ。

 

もう1人の女性は薄い生地のコートを着ており、その下の豊満な肉体をこれでもかと見せ付けている。それ以上に目立つのは、薄水色の髪の上にあるウサギを思わせる耳。亜人族の1つ、兎人族だろう。

 

そして最後の1人は男。大柄で黒い服を着こみ、左手腕はまるで機械のようにも見える装備、所謂ガントレットになっていて、右目は怪我でもしているのか黒の眼帯を付けている。髪は真っ白で、目は金髪の女性とはまた違う紅の瞳だ。

 

「ナナミ?」

 

その男は、先程愛子を見つけた際の失敗もあり、今度はあえて七海を呼び捨てにする。

 

「ちょ、呼び捨てはダメですよ!な」

「南雲君?」

 

「そう、そうですよ!南雲く……ん?」

 

死んだと思った人間はまったく違う姿だがそこにいた。

 

邂逅を果たし、物語は進む。だが、少しずつ、確実に正史を外れて。

 




ちなみに
ハジメは腕が欠損してませんがかなりの大火傷と傷だらけの為それを隠す目的としてもガントレットをつけてます
つけた自分を見て一瞬「よし!」と思うも厨二デザインに気付き数日凹んだ機能の問題で変更できないのでなおさらに

ちなみに2
前回書き忘れてましたが愛子も七海もお互いを信用し、信頼し、尊敬してますがお互い今は恋愛感情はありません
ただ
七海:信用信頼50%尊敬50%
愛子:信用信頼45%尊敬54%好意(恋愛的)0.9%疑心0.1%
の感じです愛子の疑心が変わるかでこれから決まります

もう1話出しますが13時くらいになります
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。