ありふれたやり甲斐と生き甲斐を探して   作:戦鬼

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今回で自分のなかではこの小説の第一章が終わったって感じです。詳しくは後書きで


浅薄愚劣

愛子達と護衛の神聖騎士の面々、マッドとパーンズ、町の重鎮数名、そして七海とハジメ達とウィルは町外れに移動していた。

 

「もっと他に連れてくる方法があったでしょうに」

 

「こいつは魔物の群勢を使って町を襲うような奴だぞ?生かして連れてきただけで感謝してほしいくらいだ。スピードだってあまり出さなかったんだからな」

 

「時代劇の市中引き回しじゃないんですから」

 

清水はハジメによってワイヤーで括り付けられ、バイク…ハジメ命名《シュタイフ》で引きずられてきた。いくらかこの世界に来て身体が強化された事とワイヤーが強靭なものなのもあって生きてはいるが、七海の言う通り、もっと他にあったろ、と言いたくなるほど、あまりにもむごい。実際呼ばれて来た愛子達の顔は引き攣っている。

 

「打首、獄門してないじゃん」

 

「そういう問題じゃないです」

 

ため息をついてとりあえずは清水を起こす必要があるなと七海は考えたが、七海が動く前に、愛子が誰より早く清水に近付く。ちなみに拘束具はしていない。愛子曰く、それでは清水ときちんと対話できないからだそうだ。

 

「いいんですね、畑山先生?」

 

「はい。私はあくまでも先生と生徒として話がしたいんです」

 

甘い考えだなと七海は思うが、教師としては立派であるとも思っていた。自分にはできないだろう、できて高専のように尋問という形にするだろうとも考えていた。

 

愛子が清水の前でしゃがみ込み、声をかけて身体を揺らしていると、清水の意識が回復しだし、目がゆっくりと開いた。

 

「ぐ、ぅぅ………⁉︎」

 

清水は意識を取り戻した。頭を打ったこともあって状況が一瞬理解できなかったが、すぐに理解して後退りをする。

 

「清水君、落ち着いてください。誰もあなたに危害を加えるつもりはありません」

 

愛子は柔らかな声で言い、清水のオロオロとした動きが止まる。

 

「先生は、清水君とお話がしたいのです。どうして、こんなことをしたのか…どんなことでも構いません。先生に、清水君の気持ちを聞かせてくれませんか?」

 

清水はその質問に対して、ボソボソと語りだした。

 

「なぜ?そんなことも分かんないのかよ」

 

とはいえ、悪態だが。

 

「だから、どいつもこいつも無能だっつうんだよ。馬鹿にしやがって…そんなの決まってるだろ?勇者、勇者とベラベラ言って、俺の方が、俺の方が、俺が!本当の勇者だからだ!だから俺の価値を示してやろうと思っただけだろうが」

 

目にも言葉にも反省の色はない。自分は正しいと、自分の価値と自分だけの歪んだ正しさを証明する為だけに大勢の無関係な人を殺戮しようとした。

 

否、ティオを操っていたことも踏まえれば、既に無関係な人を巻き込んで殺している。

 

「お前、わかってるのか⁉︎お前のせいで危うく町がめちゃくちゃになるところだったんだぞ!」

 

「何の罪のない人を犠牲にして、何を示すってのよこのバカ!」

 

「愛ちゃん先生がどんだけ心配してたと思ってんだ!」

 

「七海先生もお前の為に、ここまで来てくれたんだぞ‼︎七海先生に救われたことも忘れたのかお前‼︎」

 

清水の罵倒に次々と反論をする生徒達の1人、園部の肩を持って、七海は反論を止めるよう目で語る。七海としても言いたいことは山程あるのだが、今は愛子が話している。それを止めるつもりはなかった。それに愛子も気付き、少し微笑み、心の中で感謝した。

 

「不満を溜め込んでいたんですね……でも清水君、なおさら先生にはわかりません。大勢の犠牲者を出そうとしてまで…それで君の価値を示せるとは思えません」

 

「…示せるさ、魔人族になら」

 

この場にいた者のほとんどがその言葉に驚愕をあらわにする。平常な顔のままなのはハジメ達と七海だった。

 

「なるほど、合点がいきました。何故こんな戦略的に落としても意味のない町を、あれだけの数で襲撃したかが疑問でしたが……狙いは畑山先生でしたか」

 

「え?」

 

愛子は驚いた表情のままそう言った七海を見る。七海は最初から清水が魔人族についたことは察していたが、理由まではわからなかった。

 

「くくく、さすが七海先生ってとこか?そうだよ。ある意味勇者より厄介な存在だ。魔人族が放っておくわけないだろ。《豊穣の女神》のあんたを町の住人ごと殺せば、俺は魔人族側に勇者として招かれる。そういう契約だったんだ」

 

会ったのはおそらく偶然だ。魔物を集める最中にそのような提案をされたのだろう。勇者になりたいという願望を持っているから、人間族よりも勇者として迎え入れる魔人族についた。あまりにも単純、あまりにも短絡的な彼の行動に七海は己を恥じる(・・・・・)

 

「操られていない魔物は、魔人族から提供されたものですね?」

 

「ああそうだよ。当初の予定以上に強い軍団も作れて、絶対に、殺せるはずだったのに!なんであんたがこんなとこに来るんだよ!七海ぃ‼︎」

 

ついさっきその理由を生徒達が言っていたのにもかかわらず、清水は七海の存在そのものを罵倒する。

 

「それになんで異世界にあんな兵器があるんだよっ!お前、お前はなんなんだ!この厨二野郎‼︎」

 

元からあまり関わりもなく、そもそも外見が全く違うハジメを同一人物と思えないのか、清水はそう言う。そんな罵倒を聞いて尚、愛子は語りかける。

 

「特別でありたいという君の気持ちは間違ってません。それは、人として自然な望みです」

 

自分の命を、大勢の命を狙った相手だというのに、それでも愛子は手を差し伸べる。そのさまは豊穣というより慈愛の女神に近い。

 

「でも、魔人族側には行ってはいけません。彼らは君の純粋な思いを悪用しているだけです。そんな人達に、大切な生徒を預けられません」

 

(純粋…か)

 

七海は純粋という言葉に僅かに反応する。清水の願いは確かに大きく見れば純粋だ。幼い子供が夢を見て、現実を過ごすことで簡単に諦めることのできる夢想が、目の前にあれば、それを実現させてくれる高待遇なら、心の中でその思いが生きていれば誰でも飛びつくだろう。

 

「清水君、もう一度やり直しましょう?清水君が頑張りたいというなら、先生は応援しますし、七海先生に頼んで天之河君達と戦えるようにしてもらいます。そしていつか、皆で日本に帰る方法を見つけて帰りましょう?」

 

清水は肩を震わせて俯き、愛子はそれを泣いているのだと思い手を出したが、清水はそれを逆手で握り返して引き寄せて首をそのまま絞め上げた。

 

「動くなぁ!動いたらブッ刺すぞぉ‼︎」

 

狂気を宿し、血走った目をして清水は叫ぶ。

 

(クソっ。距離を離しすぎていた。というか、南雲君…)

 

七海がちらりとハジメを見ると、どうやら先程清水に厨二野郎と言われたことに気付き呆然としていたようだ。ハジメは今の事態にようやく気付き、七海が睨んでいることに多少驚く。

 

「この針は魔物から採った毒針だ。刺せば数分も保たずに苦しんで死ぬぞ!殺させたくないなら全員武器を捨てて手を上げろ!」

 

「…皆さん、武器を捨ててください。それと下がってください」

 

七海は率先して持っている大鉈を地面に突き刺し(・・・・・・・)、もうひとつの剣も捨てた。

 

「…もう少し下がりましょう」

 

武器を捨てて下がり、動きを止めた者達を見て、清水は自分が再び優位に立ったと思い込み、ニヤリと笑みを浮かべた。その視線をハジメに向けて吠える。

 

「おい、お前!厨二野郎‼︎…お前だ!後ろじゃない‼︎ふざけるならマジで殺すぞ‼︎」

 

自分の姿を厨二と認めたくないハジメは後ろを向くが、当然誰もいない。仕方なく「何か用か」と気怠い表情で見ると、それが清水を刺激する。

 

「お前の兵器、全部よこせ!全部だ!」

 

「そんなことだろうと思ったよ…断る。魔人族への手土産が畑山先生なら、どの道殺すんだろ?なら渡し損じゃねーか」

 

「いいから黙って…」

「南雲君、君も下がってください。…危険ですから(・・・・・・)

 

清水の言葉を遮り、七海は言う。

 

「は、え、南雲って、コイツ南雲⁉︎死んだはずじゃ」

 

それに清水は戸惑いを見せるが、一方でハジメも戸惑う。七海の言葉に違和感があったからだ。だからあえてハジメは下がった。

 

「清水君」

 

「⁉︎」

 

「私も畑山先生と同様に、教師として、君の担任として話があります」

 

突然厨二野郎と呼んでいた者の正体を告げられて混乱していたところだった為か、清水は少し驚く。しかし今さら七海に何を言われても止める気はない。それにハジメを下がらせたということは、依然として自分が優位だと清水は考えていた。

 

「私の術式は、対象を線分した時7:3の比率の点を、強制的に弱点にします」

 

だがいきなり、それも術式という魔法が使えないはずの人間から、説得でない訳の分からない説明をされて再び清水に戸惑いが出る。

 

「線分するのは全長やウイングスパンだけでなく、頭部、胴、上腕、前腕、脚部など、各パーツまで対象として指定できます。そしてこの術式は生物以外にも有効です」

 

七海がこのような事をするのを見るのはハジメ達は2回目だ。そして、あの時聞くことができなかった愛子達やパーンズとマッド、そして清水は突然の手の内を曝け出す行為に疑問を覚えるが納得もできる。それなら今まで七海が鈍でさまざまな物を斬ってきた事にも繋がる。

 

「さて、清水君…君とは面談ができてなかったですね。だからちゃんと親御さんと共に話をする機会を作れなかった私にも不備があった。申し訳ない」

 

今度は突然話しを変えて謝罪をされたが、清水はそれで止まるはずもない。むしろ七海が頭を下げたことに高揚すら感じていた。…だが。

 

「そしてまずはっきり言いますが、私は君の言ってる事が何ひとつ理解できない」

 

愛子と違い、七海がしたのは全否定。そもそも七海は勇者という存在から最も遠い存在、《呪術師》なのだ。理解などできるはずもない。

 

「掲げた目標も、目的も、全部聞いてましたが…正直言って何も共感できませんでした」

 

愛子は純粋と言っていたが、七海から言うならそれは。

 

「畑山先生の言う純粋というのは、私は呪いに近いとすら思ってます」

 

清水にどんどんと黒い感情が溜まっていく。いつ愛子を刺してもおかしくない。だが「しかし」と七海が言い出して止まる。

 

「勇者という言葉の意味くらいは知っています。その上で言わせてもらいますが、君の言う勇者とは、そうやって君の事を本気で想い、大切にしようと考えてくれている人を、平気で切り捨てることができる者の事を言うのですか?」

 

その言葉にピクっと清水の手が動く。

 

「勇者と名乗るなら、守るべき者がいてこそだと私は思いますが?」

 

「……るさい。…っうるさいんだよ‼︎どいつもこいつも馬鹿にして‼︎俺は何も間違ってない‼︎俺が勇者なんだ‼︎いつまでも教師面してんじゃねー‼︎殺すぞ‼︎」

 

その言葉の後、愛子だけが気付いた。七海の表情が変わった。諦観そして無…そういったものだ。

 

ため息を小さく出し、七海は更に開示(・・・・)をする。

 

「先程の続きですが、対象となる点を攻撃しなければ正しく発動しないので、常に形が一定でない相手、または対象をとることのできない大地などは効果の対象外です。…しかし、あらかじめ対象となる点を決めて、そこを起点として後から7:3の比率を作れば、大地にも作用します」

 

一瞬、また何を言っていると思ったがハジメとシアはすぐに気付き、遅れて清水も気付いた(・・・・・・・)。さっきわざわざ突き刺した大鉈から、微弱だが魔力のような水色のエネルギーが出ていることに。だが、もう遅い。

 

(十劃呪法…牽牽(グラグラ)‼︎)

 

刺された大鉈から呪力が地面に放出され、周囲に足下がふらつくレベルの地震が起きる。

 

「「きゃぁ!」」

 

「「ぬぉあ⁉︎」」

 

(地震を起こした⁉︎ほんと、なんなんだよあんたは⁉︎)

 

ハジメですらふらついてしまう揺れ。さらに地面から呪力が飛び出し小さな地割れを起こす。

 

七海が別の世界の地球に来て8年………その時間は、七海が己の術式ともう一度向き合うには充分な時間だった。

 

十劃呪法、牽牽(グラグラ):あらかじめ7:3の点を決めて、そこに起点を起き、その後で比率の線を作り、本来ならできない地面に術を発動させる拡張術式。発動条件は1、7:3の比率の点に置くべき自身の呪力。2、自身と自身以外の呪力(・・・・・・・)で線を作る。

 

それについては少しだけ賭けがあった。闇魔法はもっとも呪力に近いエネルギー。それは清水からも感じていた。それを術を発動する際に呪力の代用に使えるか?結果はこれだ。

 

ちなみに、本来この技は対象範囲内にいる相手の動きを止めつつ地面から放出される呪力で攻撃する、所謂ザコ専用の技だが、今回は出力を抑えつつ相手の動きを封じる為、大鉈にはあまり呪力を込めず、術式開示で出力を上げた。

 

「うおぉぉ⁉︎」

「きゃあぁ⁉︎」

 

バランスが崩れ、毒針を持った手と絞め上げていた手が離れて愛子は自由になる。瞬時に七海は飛び出して救出をするつもりでいた。自身で起こした術の威力はある程度予想でき、発動した瞬間に脚を身体強化した事で揺れに耐え、すぐに向かう………はずだった。

 

「避けて‼︎」

 

それよりも早く、シアがこの揺れの中でも動いた。魔力で身体強化したのだろう。高速移動で愛子に飛びつく。少し遅れて七海は飛び出したが、シアが何をするつもりなのか脳内で考えを巡らせた。

 

(彼女は確か未来が見えるはず………まさか⁉︎)

 

瞬時にその考えがよぎり、七海はシアを庇うように抱きとめていた愛子ごと後ろに引っ張る。その瞬間、清水の胸をレーザーのように鋭く速い水流が貫通して、七海に命中する。

 

 

「っ!(これは、たしか水属性の魔法〝破断〟でしたか?)」

 

呪力で強化された肉体と七海が持つ水属性の耐性があった為ダメージは0であったが。次が来る可能性を考え皆に「伏せて!」と指示する。だがハジメは伏せず、〝遠見〟という技法を使って射線を辿り、そこにいた鳥のような巨大な魔物に乗る魔人族を見つけて撃った。

 

「チッ!シア!大丈夫か⁉︎」

 

仕留め損なったので追ってもよかったが、今彼にとって優先すべきはシアだった。すぐに駆け寄る。

 

「だ、大丈夫ですぅ…愛子さんも…あの人のおかげで」

 

「……七海先生。とりあえず、感謝する」

 

その言葉を聞いているのか聞いていないのかわからないが、七海は腹を魔法で貫通された清水を見て、次にマッドを見た。

 

「………わかりました」

 

「救うのかよ」

 

「正直嫌ですが、私は医者だ。それに、建人殿の頼みだ」

 

パーンズが「ケッ」と悪態を吐くのを見つつ、マッドは清水に近付く。もう抵抗する事もできないだろう。

 

「うぅぅ……!清水君…清水君‼︎」

 

少し頭を打ったのかふらついていたがすぐに清水に近付く。血溜まりができ、それでもまだ出血は止まらない。マッドはすぐさま回復魔法を行う。

 

「マッドさん‼︎清水君は⁉︎」

 

「…ダメですね。傷が深すぎる上にいくつもの臓器が破損している。香織殿や綾子殿ほどならどうにかできるかもしれませんが、私の力では良くて死ぬ時間を延ばすことしか」

 

「そんな!」

 

「死ぬ、ウソだ、死に、たくない。だ、だずけて……あり、えない」

 

愛子は手を握り必死で清水に諦めないように促すが、焼け石に水だ。清水の方は自分が死ぬ現実を受け止められず、ぼやいている。

 

「…南雲君!何か、何かないんですか⁉︎今ならまだ!あるなら、お願いします!」

 

藁にもすがる思いで最後の可能性としてハジメに頼む。予想していたのかハジメは溜息を吐く。

 

「あるにはあるが、助けたいのか畑山先生?自分を殺そうとした相手だぞ?」

 

生徒だからという理由だけで自分を殺そうとした相手を助けたい。それはもはや異常、イカレていると言っていい。そんな感情を理解したのか愛子は「それでも」と続ける。

 

「確かに、きっと南雲君が正しいと思います。でも、私はそういう先生でありたいのです。何があっても生徒の味方。そう誓って先生になったんです。だから、南雲君……お願いします」

 

(…畑山先生)

 

その姿を七海は眩しく、美しく思えた。どこまでも尊いイカレっぷりをただ眩しく。

 

ハジメはまた溜息をだしつつ頭を掻いて清水の側に歩み寄る。

 

「清水、聞こえてるな?俺にはお前を救う手立てがある」

 

それに清水はすぐに反応した。『早く助けてくれ』、そう目で訴える。

 

「だがその前に聞いておきたい。……お前は、敵か?」

 

清水は秒で首を振る。

 

「て、敵じゃない。俺、どうか、してたんだ…もうしない、本当だ」

 

今にも消えそうな蝋燭の火のように、ゼェゼェと呼吸が小さくなっていくなかで、清水は卑屈な笑みを浮かべて言う。

 

「助けて、くれるなら、あんたの為になんだってする。軍を作るし、女だって洗脳して…ち、誓う、なんでも、するから、助けて」

 

その言葉にハジメは無表情になり、ジッと清水を見つめる。それに清水は目を逸らしたのを見て、何かを確信したのか、一瞬愛子に視線を合わせた。

 

「ダメェ‼︎」

 

愛子はその瞬間に理解し、それを止めようとするが圧倒的にハジメの方が速い。銃声が周囲に轟く。

 

「……………」

 

「………なんのつもりだよ、七海先生」

 

だがそこから放たれた弾丸は清水ではなく、空に向かった。七海はハジメのする事を察して動く準備をしていたのだ。腕を握り無理矢理上に銃口を向けて、清水の殺害を止めた。

 

「黙ってないで答えろ。なんのつもりだ」

 

当然ハジメは邪魔をされたことに腹を立てる。そして、突然とはいえ自分の腕を無理矢理動かせたこの男はやはり敵か?と疑問が湧くが――

 

「・・・、・・・・・・・ですよ」

 

「!」

 

七海が近くで小さく言ったその言葉に、ハジメはその時の疑問が消える。七海が腕を離すとハジメは手を下ろした。銃を向けるつもりもない。

 

「マッドさん、彼に回復魔法を」

 

「…私では、治せませんよ?」

 

「分かってます。しかし、時間が欲しい」

 

マッドは言われた通り回復魔法を行うが傷の治りは遅く、これでは間に合わない。愛子は七海が説得してくれるのかと考えたが、現実はそう甘くない。七海は清水の前に来て屈む。

 

「清水君、私には、私達には君を救えない」

 

「‼︎」

 

「⁉︎」

 

はっきりと絶望を告げる。

 

「唯一の頼みである南雲君は、君を救うつもりがない。言葉で彼はもう動かないですし、戦って屈服させることもできない。彼らは私より強いですし、できてもその間に君は死ぬ」

 

何故、そんなことを言えるのか。清水は怒りと絶望でどうにかなりそうだった。

 

「だから……何か言い残すことはありませんか?ご家族に言いたいこと、知り合いに言いたいこと、なんでもいいので話してください」

 

最後の言葉を聞く…その為の延命。それがわかり、清水はギリっと歯を軋ませる。

 

「ねぇよそんなの」

 

そして。

 

「七海ぃ…このクソ野郎‼︎偽善者‼︎何が教師だふざけんな‼︎いっつも、いっつも、俺の邪魔をして!この世界に来た時から!皆の心を折りやがってこの野郎‼︎生徒の思いくらい悟って協調しろよ‼︎」

 

吐かれる言葉は、『本当に同じ人間か』とハジメが思うほどの罵詈雑言。

 

「カス野郎!クズ野郎!ゴミ野郎‼︎俺らを家族の元に帰す?誰がそんなこと頼んだ‼︎仮にするにしても、簡単に俺を切り捨てやがって‼︎それに魔力がないことも騙した‼︎あの青い光と黒い光(・・・・・・・)‼︎魔力があったくせに…嘘つき嘘つき嘘つき‼︎死ね!苦しんで死ね!俺より酷く醜く死ね!呪ってやる‼︎お前を呪って……ゴァア!」

 

呪いの言葉を吐き出している最中、残った生命力の全てを罵倒と共に出したかのように、口から大量の血を出し、それっきり清水はなにも言わなくなった。

 

「清水君、そんな、そんな…」

 

「…………ユエさん、でしたか?」

 

泣きじゃくる愛子に視線を向けることなく、七海はユエに声をかける。

 

「彼の身体を、凍結させてもらえますか?わがままなのは、理解しています」

 

「ひとつ聞きたい、その理由は?」

 

「自分の息子は異世界の戦争に巻き込まれて死にました、でも遺体はありませんでは、乗り越えたくてもできないでしょう」

 

その言葉にユエは何を思ったのか。ハジメを見て彼が頷いたのを確認すると、清水に近付き、その肉体を凍結させた。

 

「ありがとうございます」

 

「別に」

 

ユエは「一時凍結だから管理はするように」と告げてハジメの元へ行くのを見つつ、七海はハジメに問う。

 

「南雲君、私が止めなければ、君は彼を殺してましたね?」

 

「ああ。理由は先生も理解してんだろ?あいつはなんの改心もしてない。あれは、完全に堕ちた目だった」

 

「でも」

 

愛子はようやく、涙を流しながら声を出す。

 

「それでも、可能性はいくらだってあったはずです!七海先生も、どうしてあんな」

 

「私も半分は南雲君と同じ考えだったからです」

 

愛子はそのとき、今の今まで抱いていた感情が砕ける音がした気がした。彼女にとって、七海はたとえどれだけ厳しくとも生徒は見捨てない人だと考えていた。自分と同じく、皆で日本に帰る事を考えてくれていると。だが、先程に清水に見せた表情と彼の呪いの言葉を聞く時の顔を見てわかる。最初からこの人には全員で帰るという考えはなかったのだと。

 

「それに………呪われることには慣れていますから」

 

七海は清水が罵詈雑言を浴びせてくることもわかっていた。その上での行為だ。

 

「許してくれなんて言いません。言い訳もするつもりもないです。これもまた、私の判断、私の考え、価値観です」

 

見殺しにし、清水に人として最悪の呪詛を吐き出させて死なすというあんまりな仕打ちを、自分が尊敬していた人がしたという事に、愛子は自分の魂を握りつぶされたかのような気すらしていた。

 

「俺の方も同じくだ。理由をどれだけ言っても納得しないのはわかってる。俺も畑山先生の大事な生徒を見殺しにし、剰え最初は殺そうとしたんだ…敵に情けはかけない。そんな余裕は俺にはない。まぁ、七海先生の方は、敵じゃなくて、人として見てたようだがな………畑山先生、あんたの言う寂しい生き方っていうのは色々考えさせられた。七海先生も、本当は俺にこんな考えを持ってほしいなんて思ってないことも理解してる。けど、そう簡単に変えられない」

 

凍結した清水の遺体を見てハジメは言葉を続ける。

 

「違うって思うなら、畑山先生も思った通りにすればいい。だが、俺に敵対するなら、たとえ先生でも引き金を引くことを、俺は躊躇わない。それだけは覚えていてくれ」

 

もう用はないと言わんばかりにハジメは踵を返し、ブリーゼを取り出してウィルを呼ぶ。ここを去るのだろう。

 

「南雲君、頼みがあります」

 

「………!」

 

「私を、君の旅に同行させて欲しい」

 

七海の言葉で、一瞬静寂が周囲を満たす。

 

「な、七海先生⁉︎」

 

すぐに園部が声を出して驚き、他の生徒達、パーンズとマッドも声こそ出さないが驚き、愛子はもはや目に光が消えて七海の背を見る事しかできない。

 

「………聞いていいか、なんでだ?」

 

「その答えは、君が1番知っていると思うのですが?」

 

ハジメの目には確信と疑心という相反する感情が混ざっている。七海が共に行きたいと言う理由はわかっているが、七海という人間に対する疑問があった。『あの力は、能力はなんだ?』という疑問だ。もちろん他にも同じ気持ちを持つ者はいる。だが、彼らは七海への強い信頼がある。しかし、ハジメは少し違う。信用してはいる。だが、疑問がいつか自分を蝕む毒にならないかというリスクがある。それを踏まえてハジメは言った。

 

「ウルの町に荷物があるならさっさと取って来てくれ。30分以内に用意できなきゃ置いてく」

 

「ありがとうございます。15分あれば問題ありません」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ七海先生‼︎説明してくれよ‼︎」

 

「南雲について行くってどういうことですか⁉︎」

 

玉井と宮崎が説明を求めてくる。

 

「時間がないので簡単に言うと、君達を元の世界に帰す為です。詳しく聞きたいのなら、メルドさんか、白崎さんか、八重樫さんに聞いてください」

 

「…やはり、ですか」

 

「おい、マッド。お前知ってたのか?」

 

「なんとなくだがな」

 

パーンズとマッドの会話を聞いた七海は少しだけ息を出して、もう少し説明しようと思い、続ける。

 

「そもそも私は、南雲君にこの世界の魔物を調べる事と自身の術の理解を深める事、さらにこの世界の様々な事を調べるように頼んでました」

 

異世界から過去に召喚された者が他にいないか、召喚する魔法に関する調査、この世界の各地にある伝説や謎。それらに帰る手段のヒントがあるかの考察だ。

 

「私がしていたら怪しまれますが、南雲君は当時《無能》の烙印を押されていた。故に、彼に他の方々…特に教会の人達からの眼が向く事は無いと判断したんです」

 

「で、見つかったら見つかったで、それを手に入れる為に、どの道王国を離れる算段だったって事だ」

 

ハジメは頼まれていた張本人。知らないはずもなかった。

 

そこで園部含めた、この場にいる生徒達はわかった。

 

なぜ七海は危険なのに迷宮へ行く事を最初承諾したのか、なぜ、光輝達を香織の意思があったとはいえ急速に強くしたのか、その全ては離れても死なないように、自分達の命や王国にいる他の戦わない生徒達を守る為だった。

 

「既に迷宮攻略をしている方々は、私が離れても、私より強い相手が来ても、生き残れると判断しました。そして、貴重な戦力である他の生徒も、王国や教会が捨てるとは思えない」

 

だが、当然これにはリスクがある。まず、七海が離れることによって彼らがどう利用されるかわからない事。次に、生き残れる可能性はあるとはいえ、死ぬ可能性もあること。そして――

 

「私が異端認定されたら各地を巡る時に面倒になる。そのリスクだけはどうにかしたかった」

 

それが今、移動は車という高速手段があり、異端認定されてもどうにかなる為の手段が、ハジメという自身より強い強者にある。ここでは言わないがハジメにもそのリスクがあるのはわかり、何かしらの手段は今回の愛子の件も含めていくつかあると七海は踏んだ。

 

「可能性の高い物があり、リスクはある程度解消された。……私が今君達にすべきは、1人でも多くの生徒を元の世界に帰す事です」

 

だから、動く。だから去る、彼らから、愛子達から……

 

「ただ……パーンズさん、マッドさん」

 

「「!」」

 

「この先の旅は、私で最低ラインです。あなた方は足手纏いになる。こんな事を頼むのは間違っているでしょうが、彼らを、畑山先生や他の生徒達を任せていいですか?」

 

七海のこれからする行動は、人間族の未来に関わる。勇者含めた戦力を失うことにつながる。

 

「「ハッ!お任せください‼︎」」

 

「お、おい貴様ら‼︎」

 

2人は受け入れた。七海への想いはわかるし、なによりメルドが認めているという事も大きかった。

 

「ありがとうございます。それと、君達を元の世界に戻しはしますが、私は残るつもりでもいます」

 

「「「「「「え⁉︎」」」」」」

 

「私は南雲君と違い、別にこの世界の人達がどうなってもいいというわけではないんです。それに、仮に戦争が終わらなければ、また君達を身勝手なエヒトが召喚する可能性もある。それもどうにかしなくてはいけない」

 

「き、貴様!エヒト様を侮辱するのか‼︎」

 

「神の御使として呼ばれてその態度、許さんぞ‼︎」

 

マッドとパーンズの言葉にどうにか抑えていた神聖騎士の面々は、流石に自分達の崇める神を侮辱されたことで、怒りと共に剣を抜こうとするが、愛子の護衛の生徒達が立ち塞がる。

 

「七海先生になんかしてみろ!ぜってー許さないからな‼︎」

 

「私達の為に、いつも、いつも、戦ってくれて、南雲について行くのも、すごい考えて決めた事なんだって分かってる‼︎」

 

「清水を見殺しなんて本当はしたくなかったんだって事もな‼︎」

 

「!」

 

彼らの言葉で愛子の目に光が戻る。

 

「お前達……!愛子、そこを」

「どきません‼︎」

 

愛子は立ち上がり、生徒の前に立つ。

 

「私の有用性はあなた方もわかってますよね?私を利用し続けるなら、そうしてもいいです!けど、七海先生への干渉は一切させません!」

 

「畑山先生?」

 

「正直、私は七海先生のとった行動を、容認できません。でも、これから生徒の為に動くなら、止められない」

 

「……………」

 

「だから、早く行ってください。そうじゃないと、嫌いになります」

 

七海は一礼し、早足でウルの町へと戻る。パーンズとマッドも「荷物整理を手伝います」と言ってついて来て、ハジメ達も何故かついて来た。

 

「ここで待つのはなんかめんどくさいからな」

 

との事だ。

 

 

準備は早く終わり、軽い手荷物のみで済んだ。

 

「荷物、あんまないんだな」

 

「元々ここに来たのは清水君の捜索がメインでしたから」

 

ハジメはブリーゼを出してそこにもたれていた。シアとユエはすでに中の後部(・・)に入っており、何か話していた。

 

「まず旅の目的の前に、ウィルをフューレンに送り届けるが、いいよな?」

 

「ええ、もちろん」

 

「……あの、お2人とも本当にいいのですか?愛子殿と話すべきでは?」

 

ウィルはあまりにも不憫な彼女に同情してそう言うが、七海もハジメも「あれでいい」と言う。

 

「これ以上いても面倒にしかならないからな」

 

「彼女自身も我々がいない方が冷静にもなれます。それに、あのまま話しても、何も進まないですし」

 

「あの、あなた方は建人殿のお付きなのですよね?何も言わないで良いと思ってるのですか?」

 

パーンズとマッドはその問いにコクリと頷く。

 

「建人殿が決めた事だ。我々はそれに寄り添う」

 

「我々のことも考えてくださっている方に、これ以上言うことなどありませんよ」

 

それでも何か言いたい事があるのかウィルが声を出そうとしていると、後方から園部達が走って来た。

 

「皆さん、どうしました?畑山先生は?」

 

「2人に言いたい事があるって言ったら、なら行って下さいって言われて…」

 

「悪いが俺はもうお前達と話す事はないぞ」

 

ハジメが拒絶の言葉を言うが、それでも園部は息を切らしながら続ける。

 

「言いたい事はいっぱいあるけどそれぞれ1つずつにする。まず南雲、あの時、大迷宮で助けてくれてありがとね‼︎」

 

園部の言うあの時とはハジメが奈落に落ちた時の事だ。

 

「ちょっと落ち込んでたこともあったけど、助けてくれた命は、絶対に無駄にしないから」

 

きょとんとした表情でハジメは見る。

 

「これから先、なんの役にも立たないかもしれない。……悩む事もいっぱい出てくると思う。それでも、立ち止まることだけはしない。拾った命、助けてもらった命を無駄にしない」

 

ハジメはフッと小さく笑う。

 

「なかなか根性あるじゃねーか。多分だけど、お前みたいな奴は強くなるよ」

 

少し間を置いたが、コクリと園部は頷き、次は七海の方を見る。

 

「七海先生、清水の事は、どう整理すれば良いかもわかってないし、愛ちゃん先生に関しては、今はそっとしておくのが良いと思う。けど、先生が色々考えて今の行動をしてるのもわかってる。きっと、私達以上に悩んで考えてるのも……だから、また会った時は愛ちゃん先生ともう1回話をしてください。正直、七海先生と愛ちゃん先生が仲悪いところとか、見たくないんで」

 

七海は一瞬視線をハジメに向けて、すぐに園部を見る。

 

「……この先の旅はより危険で、私も死ぬかもしれない。だから約束はできません。しかし、もう1度あった時は、話をしましょう」

 

七海の言葉に、パァと園部達は明るくなる。

 

「いってらっしゃい、七海先生!」

 

「気をつけて!」

 

「おい、南雲!七海先生に迷惑かけるなよ!」

 

「わがまま言うなよ!」

 

「俺はガキか‼︎」

 

「君は子供ですよ。少なくとも私より」

 

「七海先生〜ちょっとは俺のフォローもしてくれていいんじゃないかぁ〜」

 

ハジメの額に血管が浮き出ているが、七海は無視して前のドアを開けて車内に入る。イラァとしたままハジメも運転席に乗り込み、発進させる。生徒達は見送った後、各々の意思のもと、歩み出した。

 

 

 

 

北の山脈地帯を越えて、広大な大地を高速で駆けていく。その車、ブリーゼの内部は沈黙で満ちていた。ウィルは何か言いたいのだが、それができないくらいに沈黙が重い。原因は前の席に座る2人にあるのはわかるが。シアとユエはハジメに事前に言っていたのでこの後の事もわかっている。ティオの方は入ってきたばかりなのもあるがこの状況は何かあるなと判断して黙っていた。

 

周囲に人の気配も魔物の気配もない場所になったとき、スピードを落として停車させた。

 

「急ぎの旅なのでは?もう少し進んでもいいでしょう?」

 

「ああ、進むぜ。用事を終わらせたらな」

 

ハジメは懐のドンナーを出して隣の席にいる七海に向けて構える。ウィルは突然の事に右往左往している。

 

「先生、色々と答えてもらうぜ。それ次第ではこの場であんたを殺す」

 

「………わざわざここに来てそうするというこうとは、旅の途中で私が死んだということにできるからですか?」

 

「あぁ、そうだ。畑山先生のもとに得体の知れない奴を置いておくより、連れてきた後で殺した方がいいからな。それにあの場で殺せば、他の奴らが鬱陶しいしな」

 

間違いなく実弾が入っている銃器を突きつけられた状況にもかかわらず、七海は平然とした表情と態度で言う。

 

「嘘ですね」

 

「あ?」

 

「君の実力ならあの場でどうとでもできた。それをしなかったのは、彼らに心の傷をつけない為だ。そして、ここで質問するということは、私が彼らに話したくない内容なのだと思ったから……だいたいそんなところでしょう?」

 

「………」

 

「沈黙は肯定と見ていいですか?」

 

いつか聞いた事があるセリフをまた言われ、ハジメの中で目の前にいる人物の警戒度がわずかに上がる。

 

「そもそも、私を前の席に座らせた時点で違和感がありすぎです。彼女達、特にユエさんは君の隣に座りたがっていましたしね」

 

ユエ達が後部座席にいたのを見た時から、すでに七海は自分に何かするつもりか、隣にいる事で監視しやすくする為かと考えていた。

 

「引き金に手をつけて脅しても、殺す気がないのでは意味がない。まして、殺すのなら何も聞かずに殺せばいい。君は私を殺す事を迷っている」

 

ハジメの目が見開き、一瞬指が動くがそれはどうにか七海には気付かれなかった。

 

「なんで、そう簡単に言える」

 

「君がわかりやすいだけです。これまで君がどのような大人と会ってきたかは知りませんが、きちんと観察のできる大人ならすぐわかる。大人を舐めないでください」

 

ハジメがこの世界に来て、確かにロクな大人というものを見てはいない。強いて言うならメルドだが、彼の場合は過ごしてきた期間が七海よりも少ないのもあり、ここまでハジメの行動を読めない。

 

また、七海は生まれ変わってからの期間もあり、社会経験は普通の大人以上。観察眼はハジメの想像の倍以上である。

 

「さらに言わせてもらうと、現状の私もそうですが、どうして君は清水君の武装解除をしなかったんですか?」

 

「?」

 

「あの時君は清水君を気絶させて連れてきたなら、そのくらいはできたはず……そうしていれば、あのように面倒な事態にはならなかった可能性もある。わざとにしても抜けていたにしても、あれは君の油断が生んだ結果だ。一歩間違えていたら畑山先生どころか助けに入ったシアさんも死んでいた」

 

「‼︎」

 

質問していたはずが逆に質問をされ、注意を受ける。『質問に質問で返すな』と言えばそれまでなのだが、七海の言うことが事実なのもあって言い返せなかった。

 

「とここまで言いましたが、君の質問にも答えないといけないですね。どの道、この先一緒に旅をするならば、秘密にはできないですし、君から信頼を得るには話した方がいいでしょう」

 

七海は後ろにいるシア、ユエ、ティオ、そして最後にウィルを見た。

 

「あなた方にも伝える事になりますが、できれば他では秘密にしていただきたい。特にウィル君、君はこの後我々から離れるので」

 

「は、はい」

 

ウィルは即答したが――

 

「正直、私はあなたに興味がないからかまわないけど、あなたの答えとハジメの考え次第」

 

「そうですねぇ…私もユエさんと同じですぅ」

 

「妾はこの身に与えられた痛みの理由を是非とも知りたいのじゃぁ!」

 

他の3人はなんとも反応の困る答えだった。特にティオ。

 

七海は「ふぅ」と一息ついてからゆっくりと話しだす。ハジメはいまだに銃を向けられているにもかかわらず、足を組んで話しだす七海に若干イラァと子供らしい反応をする。

 

「まず、私はこの世界の住人じゃない」

 

そんなことは今更言わずとも知っていると視線が語るが、七海は無視して続ける。

 

「しかし、君の世界の住人でもない」

 

「は?」

 

「より正確に言うなら、君が住む世界と同じく地球のという名の日本で住んでいました」

 

ハジメは、その考えが頭をよぎらなかったわけではない。七海のあまりにも他とは違う強さ…ハジメに他にも異世界転移してきた人物がいないかと聞かれたときも、今思えば自分という事例があったからだと考えたが、

 

「しかし、ここから先は正直私にもよくわかってないのですが、その世界で私はある任務の途中で死にました」

 

「え、は」

 

さらなる衝撃。ハジメは転移してきた存在と思ったが違った。七海が経験したのは…そして任務とは…

 

「そして、気付いた時は多少……いまより多少、7〜8ほど若くなってました」

 

(やけに微妙な数字だな)

 

「なにか?」

 

「いや、なんでもない続けてくれ」

 

くだらないことを考えてるのをなんとなく感じたが続ける。

 

「そして、私の世界にあった力を持ったまま私は新たな命を持った。君が見たこの力、呪力を持ってね」

 

「じゅ、呪力?」

 

「そう。呪いの力です。…あらためて名乗りましょう。東京都立呪術高等専門学校…通称、呪術高専所属、1級呪術師、七海建人です。君の質問に、私が知っている事であれば全て話しましょう」

 

 




ちなみに
浅薄愚劣: 考えが軽薄で、知識が浅く、愚かなこと
清水を表す言葉として何がいいだろうと思い、最初は『固陋蠢愚』もいいかなと思ってましたが、これは頭の視野の狭い人のことでもあるが=軽薄ではないので違うなと思い、でも『愚』はつかいたいと思って探したらコレいいなと思いましたが、いかがでしょうか(ゲラゲラ)

ちなみに2
七海の清水に言った言葉の一部は私の考えもあります。ほんと、何回読み返しても、理解できない。勇者になりたいから自分の同郷の人、しかも大切思ってくれている人をその他大勢と共に殺すって…うん理解できない。俺だけ?
あとそんな奴をせよ生徒だからって理由で助けようとする愛子はまじでイカれていると思うのも俺だけ?

ちなみに3
本編に書けるかわからないのでここに書くと、清水君が見えていた理由は彼は脳が呪術廻戦の世界の一般人に近い脳だった為です。こんな人がハジメの世界で生まれる確率は低いです

ちなみに4

十劃呪法: 牽々(グラグラ)

あらかじめ7:3の点を決めて、そこに起点を起き、その後で比率の線を作り、本来ならできない地面に術を発動させる拡張術式。
発動条件は1、7:3の比率の点に置くべき自身の呪力。2、自身と自身以外の呪力で線を作る

発動条件が難しいので出そうと思えば威力は結構出るがそれは揺れのみ。放出される呪力は拡散するので威力はどこまでいってもザコ専用。でも2級くらいなら祓うことはできる




最後に、この話で第一章が終わった感じです。
次だす前に呪術廻戦の本編をしばらく見ておくのと、ありふれた職業のほうもちょっと読み直しをするべきところがあるのでしばらくストップします。が、できるなら10月31日は出したい
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