ありふれたやり甲斐と生き甲斐を探して   作:戦鬼

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後書きだから短め…って思ってたんですが、後々のことも考えて愛子と勇者サイドも書き加えました


商業都市・跋

「それで、言われた通り捕らえられていた子供達は遺体も含めて避難させましたが、どうするんでしょうか?」

 

七海は保護した子供達の表情を見つつ、シアに問う。

 

シアが拷問して引き出した情報をもとに、ハジメがミュウを助けだしたことを聞き、その後3人は残りの施設を調べて子供達を保護した。

 

「さぁ、そこまでは…って、七海さん、あれ!」

 

「!」

 

その輝きは、一瞬。次に来たのは轟音と巨大な揺れ。さらに以前ウルで見た膨大な魔力の塊と言っていい〝雷龍〟が4体。それらがフューレンを飛び、おそらくフリードホーフのアジトやオークション会場を破壊してるのだろう。

 

ミュウの事が心配になり首輪につけられたアーティファクトでシアが連絡するのを、横目に見ていると、子供の1人が七海のズボンをくいっと引っ張る。

 

「もう、帰れるの?」

 

「………ええ。今まで、よく頑張りましたね」

 

しゃがみ込んで、できるだけ柔らかな声で言う。サングラスをつけていて、表情が読みきれないが、それでもその子は安堵し、

 

「ありがとう、ありがとう、ありがとう」

 

感謝していた。それが他の子にも伝わり、次々と子供達が涙を流して感謝した。七海は駆けつけた保安署の人間と思われる男に子供達を託す。

 

「……この子達をお願いします。シアさん、南雲君は?」

 

「支部長さんのところで合流しようと言ってますぅ」

 

(彼も、この事態の後処理をしなければなりませんね…)

 

イルワに同情しつつ、七海は子供をあやすティオに声をかけて向かった。

 

 

「倒壊した建物15棟、半壊は32…消滅が9。死亡及び負傷者は全員フリートホーフ構成員。死者46、再起不能50、重傷37、行方不明110」

 

書類に書かれた情報を震えた手で持って語るイルワの表情は、胃痛にでもなっているのか、蒼い。そして、それに対するハジメの言い訳が、「カッとなって計画的にやった」と反省も後悔もない顔と声なので更に気が滅入る。

 

「……………」

 

「私は彼らのお目付役ではないので」

 

『オメーがいるならもっとどうにかしろよ』的な目で七海を見るが、その七海も容赦なく壊滅の手伝いをしてたので、何も言えなくなる。

 

「そんなことより、一般人への被害は、ないんですね?」

 

「あぁ、それはない。正確に組織のみを狙い、囚われていた人達も避難していた」

 

ならいいと七海はほっとする。いないとは思っていたが気にはなっていたのだ。

 

「フリートホーフには正直手を焼いていた。やり過ぎではあるが、助かったとも言えるよ」

 

「組織は壊滅したとして、あれがここの唯一の裏組織ではないでしょう?」

 

七海の考えは当たりらしく、この一件で裏世界の均衡は大きく崩れるそうだ。今回はそういう組織への見せしめだが、ハジメは裏世界の均衡など知ったことではない。フューレンだけではない。全てが善人というわけではないなら、このような組織は探せば出てくるだろう。

 

「だが、その辺りは心配いらない。こちらでどうにかなる。むしろ、最大級の組織が壊滅したから、他はその蜜のおこぼれを吸うだけの弱小しか残っていない。支援も無くなったなら、早いうちに取り締まれる」

 

イルワ曰く、「少なくとも、この都市で子供が犠牲になることはない」とのことだ。

 

「それと、必要なら俺等の名前を使って構わないぞ。支部長お抱えの冒険者と勇者一行の最強の男ってな」

 

「…良いのかい?そこの七海殿はともかく、君は利用されるのを嫌うタイプだと思うんだが?」

 

「これから世話になるしな。俺等のせいで裏組織での戦争が起きました、一般人が巻き込まれてしいました…なんて、気分が悪いしなって、なんだよ七海先生?」

 

「いえ、別に」

 

七海は少しだけ嬉しく思えた。彼女の、愛子の想いが彼に届いて、確実に良い方向に向かっていることに。

 

(意外と早くに彼の捨てたものは取り戻せるかもしれませんね)

 

次にミュウの方に話題が変わる。この子が故郷に帰るには2つの方法がある。ひとつは、ギルド側で預かり、正規の手続きでエリセンに送還すること。今回の一件で、流石に狙う者はいなくなっただろうからほぼ確実だ。

 

ミュウの表情に不安が募る。引き離されるのを恐れているのだ。見知らぬ誰かより、信頼できるハジメ達が今のミュウの拠り所なのだろう。だから、選ぶのはこれからイルワの口から出る後者だ。

 

「もうひとつは、君達に預けて、依頼という形で送還してもらうことだ」

 

本来なら、海人族という要人なら前者の公的機関に預けるものだが、ハジメの冒険者ランクが最高位の〝金〟であること、今回の件のそもそもの原因がミュウの保護だった為だ。

 

「私としては、後者を選択したいと思ってますが、南雲君達はどうですか?」

 

七海の言葉にミュウは反応する。これまで彼女はハジメ達を信頼していたが、見た目もあって七海には警戒心があったのだ。そしてハジメ達の方は驚きが出る。大迷宮攻略の面を見ても、足手纏いになるのはまず間違いない。力のあるハジメ達ならともかく、力のない子を危険な場所に連れて行くことを七海が承諾するとは思わなかった。

 

「正直、前者の方がこれからの旅には良いでしょうが、ミュウさんにとってはこちらが良いとおもうからです。もちろんこれは、全員納得するプラス、必ず、どんなことがあっても自分もこの子も守れるという確信があることが条件ですが」

 

七海のその言葉にまず真っ先に反応したのはシアだった。元々彼女はそうしたいと、ミュウと会った時からハジメに言っていたからだ。

 

「ハジメさん…私、絶対、この子を守って見せます!」

 

「私は構わないけど、ハジメの判断に任せる」

 

「妾もじゃ」

 

4人の目線がハジメに向かい、そこにミュウも追加される。膝の上から上目遣いで。

 

「……まぁ、最初からそうするつもりで助けたからな。構わないんだろ、七海先生」

 

「良いと最初に言ったでしょう?ただ、大迷宮の方はどうするか、ちゃんと考えておいてくださいよ」

 

ハジメが「おう」と言うと、ミュウはパァと輝いた顔でハジメに「お兄ちゃん!」と抱きつく。

 

「なぁ、ミュウ。そのお兄ちゃんってのは止めてくれないか?普通にハジメでいい」

 

「別に良いんじゃないですか?君が年齢で言ってもお兄ちゃんというのもありますし」

 

「いやまぁ、そうなんだけどよ」

 

七海には理解できないが、ハジメはこうなっていてもオタク。〝お兄ちゃん〟という呼び方には色々とクルものがある。

 

「うーんと、…うーん……じゃあ」

 

考えたミュウは告げる。

 

「パパ」

 

ハジメは一瞬フリーズした。

 

「あー悪い、ミュウ。よく聞こえなかったんだが、もう1度頼む」

 

「パパ」

 

「……………………」←顔を下に向けて笑いを必死で堪えている七海

 

「それはあれか、海人族の言葉で〝お兄ちゃん〟とか〝ハジメ〟って意味か?」

 

現実逃避をしているが、当然そんなわけない。どんな世界だろうがパパ=パパだ。

 

ミュウ曰く、生まれてくる前に父親が死んでしまったようで、自分を助けてくれたハジメに父親というものを感じたのだろう。

 

「ミュウ、なんとなく理解したがそれは勘弁してくれ」

 

「やっ!パパなの!」

 

「駄目だ!お願い!お兄ちゃんでいいから!」

 

「やぁぁぁぁ!」

 

「……良いんじゃないですか、別に」

 

「他人事だからって投げやりになんな!つうか、七海先生さっきから笑ってんだろ‼︎」

 

「さて、共に旅するなら自己紹介は必須ですね」

 

「無視すんなぁ‼︎」

 

七海は目線をミュウに向ける。先程の警戒心はなく、ピュアな目で七海を見ている。

 

「シアさんとユエさんは自己紹介済みですし、後は私だけですね」

 

「のう、七海よ、妾は?」

 

子供の教育上どう考えても悪影響なティオはあえてこの場ではスルーしておくことにした。ハジメ達も大概だがティオはまた別次元である。

 

「ティオだ。以上」

 

「それだけ⁉︎ご主人様も酷い‼︎もっとなのじゃぁあぁぁ」

 

「………南雲君」

 

言われるまでもないとばかりにハジメは速攻で縄で縛りあげたが、どうにも嬉しそうであるのを見ると、やはり変態は変態だった。

 

「さて、気を取り直して名乗るとしましょう。私は七海。七海建人です。彼の教師……先生をしています」

 

子供にわかりやすい言葉を選んで自己紹介をしているあたり、七海らしいなとハジメが思っていると、ミュウは何度かパチクリと瞬きして言う。

 

「ナナ、ミィ…」

 

「七海です。言いにくいなら別の呼び方でもいいですよ」

 

「………」

 

少しだけミュウは考えて

 

「ナナミン」

 

「「「「ぶぅぅぅ!」」」」

 

一斉に吹き出す。

 

「南雲くん、ユエさん、シアさん、ティオさん…引っ叩きますよ」

 

「い、いや、だってよ…ぐふふっ」

 

「ナナミンって…ナナミンって」

 

「お、女の子みたいな名前ですぅ」

 

「いじりがいのない男と思うておったが、これは、ミュウ、素晴らしいのじゃ」

 

言い出した本人のミュウは、なんで笑ってるのと言わんばかりに疑問符を頭に出していた。

 

「……ミュウさん、七海です」

 

「ナナミン!」

 

ついにハジメの笑いのツボにハマる。あまりに見た目とのギャップがある呼び方に、イルワも笑いを堪えていた。

 

「ナナミン?どうしたの?」

 

ミュウがのぞきこみながら聞くので、怒ってるように見えたのかとハジメは思い七海を見る。しかし、

 

「…………いえ、別に。ちょっと懐かしいだけですよ」

 

七海のその表情は、暗いようにも見え、嬉しいようにも見え、困惑しているようにも見えた。

 

 

 

 

ウルの町、時間はハジメ達に七海がついて行ってから3日が経過している。避難していた住人の帰還は済んでいるが、町そのものは無事でも大量の魔物の死骸の処分や、主にユエの魔法によってできた地表の変化の後処理が残っている。だがそこには笑顔が溢れている。

 

「おお、見ろ!豊穣の女神様だ!」

 

「実に神々しい!ありがたやありがたや」

 

「女神様ーこっち向いてー!」

 

すっかり豊穣の女神の名がウルの町の人々に伝わった。この町以外にその名が広まるのも時間の問題だろう。

 

「あははは…はぁ」

 

「また苦笑になってますよ、愛子殿」

 

マッドは彼女がそんな表情でもちゃんと市民に手を振るのを見て、『慣れなくてもさまになってきたなぁ』と思っていた。

 

「慣れなくてもさまになってきましたね!」

 

「…パーンズ」

 

マッドは『あえて言わなかったのにこの男は』と言いたいが、これもパーンズなりの気遣いだろう。少なくとも神聖騎士の連中よりは今の愛子には良いかもしれない。

 

「…………」

 

時折、心ここに在らずというように彼方を見る。いや、七海が向かった先を見ている。

 

「ずっと私、助けてもらってばかりですね」

 

 

 

 

愛子はあの日の夜、寝ずに考えていた。「どうして」と。

 

信頼し、信用し、誰よりも尊敬できる人。それが愛子にとっての七海だった。

 

だからこそ、七海があの時とった行動の理由を考えた。

 

(生徒たちが、七海先生は清水君を殺したくなかったと言っていた。多分それはそうだ。そうでなければ、あの時清水君と話すと決めた私を咎めていただろうし、七海先生も清水君と話をしようとは思わないですし。でも南雲君が清水を殺すのを止めて、そこから清水君にあんな…)

 

とそこで疑問が出てきた。七海がハジメの行動を止めた事に。

 

(そうだ。死ぬとわかってる人をわざわざ殺す必要はない。一方で七海先生の方も、結局清水君を見殺しにするならあの場で止める必要もない)

 

それはつまり、ハジメは何かしらの為に清水をわざわざ殺そうとし、それを察して七海は止めたという事。

 

(可能性があるとすれば、南雲君に殺しをさせない為?いや、七海先生は南雲君が人を既に殺している事に気付いていた。そもそもなぜ南雲君は…!)

 

愛子は気付いてしまった。

 

清水が死ぬとわかっていた。ならその原因は何か?魔人族の攻撃だ。そして、魔人族が清水を利用して行わせたのは愛子の抹殺。

 

「私が、私のせいで、清水君が」

 

そこから先、ハジメが殺そうとした理由も、それを止めた七海の理由も理解した。

 

(私が折れない為…でもそうすると七海先生は、私や南雲君に責任を押し付けず、背負う為に……自分の担任する生徒だから?ううんそれだけじゃない)

 

ハジメは今の愛子がこうなる事を予測していた。ハジメができる事を七海が予測できないはずもない。

 

(私が立ち上がれると信じているから。そして……)

 

七海は言っていた。たとえ生徒達を元の世界に返しても、自分は残ると。

 

(私は、もうこれ以上誰も犠牲も出さず元の世界へ帰りたいと思ってる。けど、七海先生は今も犠牲者が出るのを前提で行動している)

 

そこから導かれる結論。

 

(自分に責任を負わせ、清水君を含めた親御さん達の恨みを背負い、私に責任を負わせないため、全部終わった後で償うつもりなんだ。たった1人で)

 

七海の性格は理解している。この世界に来たことで新たな面を見たが、それでも日本にいた時に感じた根本的な優しさは変わっていないと信じている。

 

愛子の考えは当たっている。実はあの時、愛子を助ける時に清水を傷つけてしまうが殺すつもりはなかった。

 

(自分を犠牲にしているつもりも死ぬつもりもないと言っていた。それは、自身の罪を償わないといけないからだ)

 

他人の為に自身を犠牲にする。それは並大抵の覚悟ではできない。だからこそハジメに協力を要請しなかった。たとえこの世界の人を殺していても、元の世界の人をどんな理由があろうと、殺せばその罪はハジメをいつかなんらかの形で影響を与える。それが良いものである可能性は0だろう。

 

(私は、あなたにとってただの足手纏いですか?七海先生)

 

愛子は自分になにも背負わせてくれない七海の優しさを理解しつつも、納得できなかった。

 

 

 

 

愛子は今、『七海先生はこの彼方でどうしているのだろう』とそう思いつつ、いまだ考える。七海の事を考えない日はない。

 

「愛ちゃん先生」

 

「!、園部さん…どうしましたか?」

 

「いや、どうしたのかはこっちのセリフなんだけど」

 

土壌を豊かにしつつ、彼方を見る彼女を心配して言っているのもあるが…

 

「あ」

 

あまりに土壌を豊かにしすぎたせいで植物が異常に育っている。農作物だけでなく、所謂雑草までもが急成長していた。

 

「あ、あははは、ちょっとやりすぎましたね。一回枯らせて、そのまま肥料にして、もう1回…作物だけ成長させましょうか」

 

「……ねぇ、愛ちゃん先生、もしかしなくても七海先生のこと考えてる?」

 

「………はい。あの日は1日かけて考えて、そのおかげで南雲君と七海先生がどういう考えのもとにああしたのかが分かりました」

 

だからあの時の疑心はほぼ晴れている。それでも。

 

「だからこそ、他になかったのかなって思ってしまって、どうしてあそこまでして自分で背負おうとするのかなって、私には背負わせてくれないのかなって、あの人にとって私ってなんなんだろうって、七海先生の事を考えない日は、正直ないです」

 

(うーん、これは…どうなんだろう?進展してるのかな?)

 

いまや彼女達《愛ちゃん先生親衛隊》は《七海先生と愛ちゃん先生くっつけ隊》にもなっていた。少し前までは七海と愛子の両者に恋愛的な感情はないと思っていたが、ここ最近の愛子のそれはどっちに捉えていいのか判断しかねていた。デリケートな問題もあって特にだ。

 

「それと、色々と隠していることにも不満があります」

 

「確かに、謎があるよね」

 

この世界に来た当初から、七海は自身を強いと言っていたが、それは本当だった。だが今になって考えたら、ステータスプレートを見る前からあのような事をできる自信があった。つまり、元からあれほど強かった可能性がある。そしてウルの町を覆った帳と、清水の時に言っていた術式。魔力のない人にあの力があることに疑問を持ち始めていた。

 

「じゃあさ、少なくとも愛ちゃん先生は七海先生を信じてるの?」

 

「そうですね…今はハイと言えます」

 

「なら、きっと七海先生もそうだと思う。確かに隠し事は多いし、口数がそこまで多い人じゃないけど、愛ちゃんの事を信じてなきゃ、私達を任せてないと思うし」

 

「………」

 

「それに、七海先生にはもう一回会った時は話してって言ってあるから。今の南雲達と一緒なら大丈夫だとも思うし、本人の実力もあるから、きっとまた会えるだろうし」

 

「ええ。次に会ったら、なにを話しましょうかね」

 

「………ところでさ」

 

優花が別の話を切りだす。今度はなんだろうなと愛子は思っていると。

 

「愛ちゃん先生って、七海先生のこと好きなの?」

 

「ふぇぁ⁉︎だから、違いますって⁉︎」

 

「じゃあ、なんでそんなに七海先生のこと考えてるの?南雲じゃなくて」

 

「それは、それは…………」←考え中

 

考えるほど、七海の顔が出てくる。そしてそこで七海のことばかり考えていたことに気付いて、愛子の顔が赤くなる。

 

「愛ちゃん先生、そもそもさ、七海先生とどういう出会いだったの?」

 

「え⁉︎あ、あーそうですね。まず、七海先生は私より歳上なんですが、教師歴なら私が上で、私の後に就任したので一応私が先輩みたいな感じで」

 

『ちょっとややこしい関係だなぁ』と優花は思った。あと…

 

「初めて会った時は、目つきが悪い人で怖かったですけど、話してみたらものすごくいい人で、生徒達の相談にもそれとなく対応してて、今卒業してる子達の中には今でも慕っている人がいて、私の理想の教師像そのもので」

 

「…………惚気?」

 

そんなふうに感じた。

 

「だからぁ⁉︎」

 

なんにせよもう一回会って話したいと愛子は思っていた。いまだ彼女は自分の中にある気持ちがこんがらがっている。それを整理するには必要だと感じていた。だがその時があまりにも劇的な場面になるとは思ってもなかった。そして、

 

(いや、違います!確かに今ではカッコいい大人だなぁとか、思ってましたけど、そういう関係では)

 

自分がそういう気持ちになることなど想定もしてなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時はハジメ達がフューレンに着いた頃、オルクス大迷宮。

 

 

「「!」」

 

「雫、香織?どうした?」

 

「うん、なんか嫌な感じがした」

 

「魔力が動く感じと、何かに見られている気がしたの」

 

その瞬間に光輝は一時止まるように指示して警戒心を強める。10秒ほど沈黙が続くが、今度は誰も、なにも感じない。

 

「……気のせいじゃないのか?」

 

「……辻さん、恵里は?」

 

「ごめんなさい。私は回復に集中してたから、分からなかった」

 

「私も感じなかったかな」

 

数秒ほど雫と香織はその場所を見て、雫は目で香織に問い、その内容を悟った香織はコクリと頷いた。

 

「光輝、今日はここまでにしましょう」

 

「そんな、ここまで来て」

「光輝君、私も賛成。七海先生が言ってたでしょ?少しでも相手が強い、もしくは強い相手がいる可能性のある場合は逃げるようにって」

 

光輝を含めた数人は渋い顔をしたが、最終的に光輝が2人の幼馴染の言に折れる形でその日は撤退した。

 

 

 

 

見つめていた先

 

(気付かれたかと思ったよ)

 

その存在がいた。

 

(まさか、こちらが見えていた………いやありえないね。となると直感か?)

 

常識的な考えでそう判断し、彼らを追って仕掛けるかと考えるが…

 

(いや、万が一を考えて万全の状態といこう。2日後またここに来ると言っていた。なら、もう少し下の階層に降りて待ち伏せ。来ないようなら本来の目的、迷宮攻略に移る)

 

計画的に、そして確実に事を成す為に動く。

 

(それと、あの見た目甘ちゃんの勇者はともかく、あの女2人は要注意、警戒しといた方がいいかもしれないね)

 

その判断が間違っていたと気付くのは2日後となる。

 

 




跋:いわゆる後書きのことエピローグ的な。『葦を含む』を見た時にこの漢字カッコいい!と思って使いたいと思いここで使おうと考え使いました。またどこかで出す……かな?

ちなみに
七海のことをナナミンと呼ばせるキャラ欲しいというのはずっとありました。で、それができそうなキャラがミュウしかいないなと思いこうしました。それと七海にはモブ含めて色々な人に「ありがとう」を言わせてあげようかと思ってます。

ちなみに2
次回より魔人族カトレア襲撃編ですが活動報告にあるように追加で隠し玉、さらにオリジナルの魔物をつけることにしました。
タイトルしかまだ決まってないけど
ただ言えるのは、光輝とハジメ、両方にちょっとした変化を持たせようとは考えてます

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