ありふれたやり甲斐と生き甲斐を探して   作:戦鬼

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呪術がない。呪術ロスになりかけている自分の為、頑張りました!


引喩失義②

聖剣を光輝は構える。

 

「さぁ!行きますよ!なな」

 

その瞬間、光輝の胸部、鎧部分に強い衝撃が来たと感じた瞬間、光輝の身体が宙を舞う。

 

「私の勝ちですね。あ、聞いてませんか」

 

七海は少し皺になっているスーツの両襟をもち、ピッとそれを伸ばしたと同時に光輝が落ちてきた。心身共にボロボロだった光輝は気絶していた。

 

「さて、それでは……なんですかその顔は」

 

生徒たちも、ハジメ達も、七海のあんまりな、卑怯そのものな攻撃に引いていた。

 

「いや、今のはねーだろ。天之河の奴、距離あけようとしてたのに、引くわ」

 

「君だけには言われたくありません。それに、戦うことに肯定しましたが、決闘をするとは一言も、私も彼も言ってないので。相手が後ろを見せたならそれに対して速攻を仕掛けるのは合理的かつ当たり前です」

 

「ま、まぁそうだろうけどさ」

 

というより、ハジメでも同じことをするだろう。

 

「何より、あのまま動くのは彼の肉体にも精神にも響く。今の一撃は、鎧を破壊しないレベルに抑えたものですので」

 

相当な手加減をされていたことを知れば、光輝はどう思うだろうか。ハジメは呪力を、術式を知った。だからこそ、七海の手加減のレベルがわかる。実際、今の攻撃に術式は使ってないし、呪力も拳に乗せてない。

 

「それに、彼だけですからね」

 

「?」

 

「話を聞く限り、私の宿題を完遂してないどころか、やろうともしてないのは」

 

『何のことだ』とハジメは思うが――

 

「ところで、この後はどうしますか?」

 

ハジメは七海が聞いてきたので周囲の数人を見る。メルド、気絶している光輝、香織、雫。

 

「ちょうど物資の補給もあるし、白崎がついて来るならも用意があるだろうし、今日はここに泊まっていく」

 

「え、ハジメ君私なら………ううん。なんでもない」

 

正直、香織は用意ならすぐにできる。物資の補給も正直微々たる物。出発しようと思えば今日中にできる。それをしないのは、ハジメの優しさか、それとも、単なる慈悲か、気まぐれか。それに気付いた香織はすぐに言葉を訂正した。

 

「ありがとうございます。……八重樫さん、申し訳ないですが天之河君の方をお願いします。私は、メルドさんを。……辻さん、野村君()着いて来てください。他の方々は、白崎さんの方に。あぁ、メルドさんの方は先に行ってください。私は、白崎さんと少し話があるので、すぐに追いつきます」

 

力の入らないメルドが片腕に杖、もう片方で野村に抱えられて行くのを見つつ、七海は白崎の前に再び立つ。

 

「白崎さん、色々と言いましたが、私はあなたがついて来ることに関しては反対です」

 

「!」

 

「とはいえ、私は南雲君の方針には逆らえない。どうやら、彼はあなたの同行を許可してしまった。反対意見くらいなら言えますが、今回はどうも無理そうだ。彼だけでなく、ユエさんも賛同してるなら尚更」

 

わざとらしく頭をかいて、「ただ」と続けて言う。

 

「現状、彼らの中で圧倒的に1番弱いのは私です。……この意味が、わからないあなたではないでしょう?」

 

「‼︎」

 

足手纏い。その言葉が香織の中で反復される。

 

「そして、彼らと進むなら、今回以上の残酷があなたを襲う。そして、多くの命が消える瞬間を見ることもあるでしょう。それでも」

「それくらい、わけないです」

 

香織はハジメが好きだからという理由があれど、彼らについて行くことがどういう意味かわからない程愚かではない。そして、今七海がしているのが、値踏みではなく、覚悟を問うているのもわかる。

 

「知らないなら知っていく。弱いなら強くなる。その為に惨たらしいものから目を逸らしていたら、きっと立ち止まっちゃう。それだけは、絶対したくない」

 

七海はただ香織を、睨むように見つめる。サングラスがなければ、否、あろうがなかろうが、

 

(目を逸らさない…か)

 

七海は受け入れる気はあったが、きちんと聞いておくべきとして聞いた。こうなれば、もう無理だ。彼女の強い意志を、無下にできない。

 

「では、強くなりなさい。手伝いくらいなら、私もしましょう。ただし、遅れるなら容赦なく私は置いていきます」

 

香織は「はい!」と力強く答える。

 

(七海先生が置いて行くなんて、ありえないだろうけど)

 

(と思ってるでしょうね。……当たってるだけに、面倒だ)

 

心労がどんどん増えていくが、これも七海が選んだ結果だ。

 

「私から言うことは、もうありません。メルドさんの方に行きます」

 

七海は正直、彼らを巻き込むことに不安がないわけではない。ただ、香織の覚悟を聞いた今、思うことがあった。

 

(覚悟がないのは、私か)

 

自虐をしながら、先に向かったメルド達の方へ向かう。

 

「と、そうでした………八重樫さん」

 

「はい?」

 

 

 

 

少し雫と話した後、七海が去って行くのを見つめて、その背に向かって香織はお辞儀をした。その後、ハジメ達の方を向くと――

 

「…香織さん、でした…ね?」

 

「うわっ!え、ええと、シアさんだったよね?これから」

 

いつの間にか後ろに来ていたシアに驚きつつ、よろしくと言う前に、香織のその両手をガッとシアは同じく自身の両手で包むように掴む。

 

「一緒に頑張りましょう‼︎」

 

「へ?」

 

「一緒に頑張りましょう‼︎あんなゲスメガネに負けないように‼︎一緒に強くなりましょう‼︎」

 

「え、えぇと、うん、はい」

 

香織は唐突なシアの行動に混乱しつつ、ついそう答える。

 

「お仲間ゲットです!ウォォォォォ!」

 

遠くの空を見つつ、拳を掲げている。香織にはその後ろに炎のようなものが見えていた。

 

「あー白崎、コッチ、コッチ。ちょっと来てくれ」

 

「もー香織って呼んでって言ったでしょう」

 

「いや、だからしらさ」

「か、お、り‼︎」

 

「あああ!わかぁった!香織!ちょっとこっち来い!」

 

名前を呼ばれて、ウキウキと香織はハジメの方に行く。

 

「香織、さっき七海先生が、俺等の中では圧倒的に自分が弱いって言ってたろ?」

 

「え、うん。そうだけど」

 

「言っとくがな、それは、ない!」

 

「ほえ?」

 

「後で七海先生から説明があると思うが、俺とシアはあの人からとある修業を受けてんだが、大抵は模擬戦だ。ハッキリ言うが、マジでやらないと容赦なく潰される!シアなんて何度もあの人にぶん投げられて、ふっ飛ばされてる!少なくとも、最低でも、現状であの人は本気になったシアとなら互角だ!」

 

「え、え、え?」

 

ハジメのその必死な形相に、香織はうまく声が出ない。あれだけの力を見せていたハジメの言葉故に尚更だ。

 

「俺なんてな!実弾をバンバン撃ってるのに、平然と特攻して来るんだぞ!ターミネー○ーよりも怖いんだよあの人!」

 

実力で言えば既にハジメは七海より上。それは間違いない。ただ、対人戦の経験が圧倒的に違うこと、そして、呪力強化による肉体の向上は、重装甲戦車の突撃のようだとハジメは考える。そして、香織は思い出す。

 

(そうだった。七海先生、修業は容赦ないんだった)

 

こうして、七海の手加減ない修業に、新たな犠牲者…もとい、参加者が加わる。

 

 

 

一方、七海はメルド達に追いついた。指定していた部屋に入り、周囲を警戒してから鍵をかけてその部屋にいる全員に目を向ける。

 

「どうやら、治療の方は終了したようですね。辻さんの治癒魔法も、だいぶ上がっていて何よりです」

 

「えと、はい」

 

そう受け答えるが、上手く七海を見れない。それは野村と――

 

「遠藤君、他に来ている人などは、いませんね?」

 

「「「え⁉︎」」」

 

「………はい」

 

気付かれなかったことにちょっとショックを受けた遠藤もだった。ちなみに、彼は辻と野村よりも前についてくるように伝えていたが、それに気付いている者は1人もいなかった。

 

「君の能力も、相当だ。私もそろそろ本腰を入れなけば、見つけるのが困難になってきている」

 

「ど、どうも」

 

遠藤的には褒めてもらえて喜んでいいのか、凹めばいいのかわからないが、とりあえずお礼を言う。しかし、彼も今の七海と、どう向き合うべきかを計りかねている。自分の尊敬し、信頼している人からの拒絶と、今のハジメに同行していることが、彼らに疑心を与えていた。

 

「さて、まずは遠藤君」

 

「は、はい」

 

「あの時、君の救援要請を1度は断ってしまった件を、ここで謝らせてください」

 

「え、え?」

 

「辻さんと野村君も、迷惑をかけてしまったことを謝罪します」

 

「「………」」

 

3人の生徒は、どう言えばいいかわからない。謝罪をしてほしいわけではない。ただ、今の七海から聞きたいことが多すぎるのだ。

 

「その上で、これからのことに関して、私の独断に君達を巻き込むことを、謝罪します」

 

「これ、から?」

 

「ええ。言い訳になるかも知れませんが、遠藤君、君の要請を断った理由も含めて、私のことと、現状をお話します。それと、メルドさん」

 

自分にもふってくるとはおもわず、メルドは「なんだ」と問う。

 

「これより話す内容は、ショックを受けるでしょうし、信じがたいとは思います。ただ、あなたには知っておいてほしいのと、冷静な判断ができるとして、言うことにします」

 

「………わかった」

 

メルドは覚悟を決める。七海は今から言うことがどれほど傷付けてしまうかを考えており、メルドもその意図を察していた。治療を他の者でなく辻に任せたのも、ここに来る理由を作る為。回復が終わっなら、すぐ退出できるように。

 

「話せ、建人」

 

「では、まずはメルドさんには教えていますが、私のことについて」

 

そこから七海は、しっかりと己の正体を告げた。

 

「他の世界から………転生したって、言えばいいんでしょうか?」

 

「……呪術師」

 

元の世界で呪術師として活動し、その過程で死んだこと。

 

「南雲との縛り。そうか、そのせいで」

 

ハジメとの間で結ばれた契約、縛りについて。

 

「元の世界に、帰れるかもしれない?」

 

「それを得るために、その為に私達を強くして、南雲君達の旅に」

 

現状の旅の目的と、縛りによって帰還方法が発見できた際は、他の者達も帰ることができること。そして――

 

「………」

 

「め、メルドさん?」

 

険しい顔になっているメルドに、遠藤はどうにか声をかける。無理もない。この世界の神に対する常識の否定、侮辱行為に等しい七海の発言を聞いて、穏やかにいられるはずもない。

 

「建人、今の発言が、どれほどのものかはわかるか?」

 

「……ええ」

 

「それを、よりにもよって俺の前で話すことが、どれだけ怒りを買うかもしれんことなど、わかっているだろ?」

 

「わかってます。何より、事実と言える確たる証拠も示せない中で、このような発言など、何の意味もないかも知れないことも」

 

「そうか」

 

メルドは立ち上がり、扉の前に行く。

 

「今の発言は、聞かなかったことにしてやる。今は、それで手を打とう」

 

「ありがとうございます。それだけで充分です」

 

この世界の神が狂っている。その神による遊戯がこの戦争なのだと言われても、信じられないのが現状だろうが、それでもメルドのその対応だけで充分だ。もちろん、言葉だけでは足りない。メルドを信用してないわけではないが、不安要素でもある。それをわかってか――

 

「建人、俺ともその縛りとやらを結べるか?」

 

「!」

 

七海が切り出せずにいた方法を言い出す。

 

「呪力がある人とは他世界の南雲君、シアさんとで結べましたが、あなたのような方とできるかは、まだ試してませんね」

 

「なら、実験も兼ねてやろう。その方が確実だ。お前からは、さっきの発言を聞かなかったことにして、話さない」

 

「………いえ、パーンズさんとマッドさんは除外しても構いません」

 

2人のことは何度も見て来た。彼らは神の意志より、メルドと同じく七海やその生徒達を巻き込んでしまったことに負い目があった。故に、彼らを除外する。

 

「いいだろう。ただし、話すかどうかはこちらが決める」

 

「かまいません。それで、そちらは」

 

メルドは自身の要求を伝えた。

 

「………いいでしょう。というか」

 

「それで良いのかってか?」

 

利害の一致による縛りは、互いの了承によって成り立つ。条件的に言うなら、七海への要求はあってないようなものだ。

 

「建人、お前にとって俺は何だ?」

 

「………そうですね、言葉にするのは少し恥ずかしいですが、友人と思ってます」

 

「……俺もだ。だからこそだ」

 

七海はメルドが善人なのはわかっていた。それでも、感謝してもしきれない。七海は縛りの為、メルドと握手をし、お互い固く握る。瞬間――

 

「「!」」

 

目には見えない何かが絡みつく感じがした。

 

「どうやら、できるようだな」

 

「ええ。メルドさん、あらためて感謝を。あぁ、そうだ。これを、お返しします」

 

「ん、その剣か?まだ持っておけ。少しくらいは役立つだろう」

 

「そうですか………では、代わりに」

 

 

 

 

メルドが部屋を出てほんの少し間を置いて、七海は再び残った3人に向き合う。

 

「さて、続きといきましょう。ここまでで、何か質問はありますか?」

 

「…あの、愛ちゃん先生の方は?」

 

「………そうですね。いずれ知ることなら、今伝えておきましょう」

 

「そ、それって⁉︎」

 

「畑山先生は無事です。しかし」

 

清水の裏切り。暴挙とその末路。それらも話した。

 

「君達には、私を責める権利と、罵倒する権利がある。いくらでも言っていいですよ」

 

「1つだけいいですか?七海先生は、清水のことをどう思ってますか?」

 

代表して野村が聞く。

 

「………正直、私は彼の事は何も理解してません。言動の全てが。………それ故に、今回の件を引き起こしたと言える」

 

後悔しても仕方ない事。だが、今の七海は教師であり、しかも彼らの担任だ。気にしないことなど、許されない。

 

「忙しい、時間が作れない、でもいずれ。そんな先送りの、自分自身の考えのせいで、彼の闇に気付けていなかった。死にゆく彼に、呪いしか残せなかった。今回の件も含めて、やはり私は畑山先生のような、情熱のある教師にはなれないのだと痛感しました」

 

3人の生徒は、何も言えない。本当の意味で七海の思いを理解することができないからだ。そんな状態でかける言葉など、どれだけ本心でも偽物でしかない。

 

「たらればの話をしても仕方ないですけどね」

 

「俺達は……少なくともここにいる俺達は、七海先生が俺達の先生でよかったって、思ってますよ」

 

「ありがとうございます。しかし、それでもこれは私が背負って行くべき罪であり、呪いです」

 

「どうして⁉︎そこまでして‼︎」

 

遠藤は珍しく声を荒げるが、七海はその問いの答えをずっと前からもっている。

 

「その答えは簡単です」

 

七海は、『自分で告げるのもウンザリ』とでも言うように、告げる。

 

「私は君達の担任である前に、呪術師だからです」

 

「「「…………」」」

 

呪術師。その本質の一部を、今彼らは見た。その上で――

 

「俺にとって、七海先生は恩人で、尊敬できる人です」

 

遠藤は言う。それがきっかけになったのか、辻と野村も頷き、言う。

 

「私達みたいな子供じゃ、呪術師の七海先生のことをわからないし、完全に理解できないと思います。それでも、先生が皆の為に活動してくれてることだけはわかります」

 

「何より、俺達は何度も命を救われた身です」

 

どれだけ理解できなくても、その本心は、伝えなくてはいけない。彼らはそう思い、目一杯の感情をぶつける。

 

「俺達も頼ってください。俺達は、七海先生の、助けになりたい。子供だとしても、少しでも」

 

野村の言葉に賛同する様に、2人は頷く。

 

「………わかりました」

 

もちろん七海は巻き込みたくないが、彼らの思いを蔑ろにはしたくない。今の七海は、呪術師でもあるが、彼らの教師で、担任なのだから。

 

「正直、君達をここに呼んだのは私の事と現状を話すのもありましたが、可能であれば、君達に協力を持ち掛ける為でもありました」

 

とは言うが、話して協力を得るかは彼らの反応を見てから決めるつもりでもいた。その事も話すと皆、苦笑していた。

 

「あの、そういえばどうしてここに呼んだのは私達だけなんですか?八重樫さんとかも呼んでも…」

 

「いくつか理由はあります。1つはここに呼ぶ理由を作れる人であること。負傷したメルドさんを運ぶなら男手が必要。しかし、永山君は同じく負傷した坂上君の対応もありましたので野村君を。治療できる人として、辻さんを。そして、事前に遠藤君には先に伝えて、機密にできるように監視役をしていただきました」

 

納得できるが、答えとしてはまだ充分ではない。だから七海はさらに理由を言う。

 

「2つ目は、君達はメンバーの中でも真実に対して冷静に判断と行動ができると思いました。八重樫さんもできそうですが、彼女は精神的に脆い部分がある。これ以上彼女に重荷を負わせるのは酷だと考え、話すのをやめておく判断をしました」

 

「脆い、ですか?」

 

同性である辻から見て、八重樫雫という人物が脆いようには見えない。いつでもキリっとして、光輝以外で皆を引っ張ることのできる強い女性というイメージだった。野村と遠藤も似たような感想なのか、これまで語った中で1番信じられないと思ったが、機密性のことを考え、話す人数を少なくするということでどうにか納得する。

 

「3つ目、君達の実力と能力が隠密する人に向いているからです」

 

「「………」」

 

「なんで俺を見るの⁉︎」

 

遠藤は涙目で言うが、七海はあえてスルーして続けて言う。

 

「遠藤君の隠密能力はもちろんですが、実力的に野村君と辻さんの2人が動いても、マークされにくい。これも八重樫さんに伝えられない理由のひとつです。実力が高すぎても低すぎてもいけません」

 

高すぎると強さ故にマークされて、弱すぎると命の安全を取りにくい為だと七海は言う。

 

「また、野村君の土属性の魔法は使い方で様々な応用が効く。辻さんは回復の担当として動いてもらえます」

 

「具体的には、何をすれば?」

 

辻が聞いた事に対して、七海は「そうですね」と呟く。3人は『どういう計画なのか』と緊張していたのだが――

 

「いくつかやっていただくことはありますが、どうするかの具体的な計画は、立てません」

 

「「「?」」」

 

予想外すぎるものに『意味がわからない』と3人は思うなか、詳細を七海は言う。

 

「計画とは立てた段階でバレる可能性があります。綿密な計算を立て、多大な時間と労力をかけていけばべつですが、そんな暇はない。しかし無計画もいけない。故に、大雑把に目標を決めて、そこから先は、個人で動いてもらいます。どのように動くかは君達次第ですが、機密を必ず考えて行動することだけは忘れずに」

 

七海の言葉に3人に再び緊張が走る。秘密裏に徹底した行動をする。それだけでも緊張するが、七海の表情に、わずかばかりの焦りが見えていたのも理由だ。

 

「これから先、ほぼ間違いなく私と南雲君は異端者認定をされるでしょう。そうなった際、真っ先に動かされるのは君達です。それがどれだけ無謀なのかは、分かりますね」

 

七海以上の存在となったハジメとその仲間達を相手など、死んでもしたくないだろう。想像もしたくないのか、すごい速度で3人は首を縦に振る。

 

「まぁ、ウルでの一件や、君達の今回の救出の事もあるので、すぐにないとは思いたいですが、万が一があるので。何より…」

 

「何より、なんですか?」

 

「神エヒト。正体不明の敵が、どう仕掛けるかも不明です。南雲君はどうでもいいと思っているかもしれませんが、確実に敵対行動をしてくる」

 

世界を操って戦争をさせる。そのような力がある存在が、特級の実力がないわけがない。下手をすれば五条悟を上回るかもしれない。その恐ろしさが七海に冷や汗をかかせ、3人にもゾクリとした感情を抱かせる。

 

「くれぐれも内密に、隠密に行動してください。自身の命を最優先にしてください」

 

そうしていくつかの情報を与えて、解散となったが、遠藤が軽く手を挙げて七海に訪ねた。

 

「最後にいいですか?俺達が裏切るとは思わないんですか?それこそ、清水みたいに」

 

「疑ってはいません」

 

ハッキリと言った。それが逆に謎だった。ここまで秘密にするならもっと人数を絞って、それこそ遠藤だけにするのも良いはずだ。すると、「しかし」と七海は続けて言う。

 

「信じすぎるのもいけないと私は考えます。そこで、最後に、君達にも縛りを結んでもらいたい。まぁ、これは強制しませんが」

 

(((あ、なんだろ。逆にホッとした)))

 

徹底しているなと。

 

条件は秘密裏の行動の件。その代わりに、

 

「俺達から出す条件なんですけど………次に会う時は、愛ちゃん先生に秘密はなしでお願いします」

 

「…………わかりました」

 

いずれ話さないといけないことだと七海も思っていた。秘密を隠すのが苦手な彼女に話すのは、正直言って七海的には痛い。

 

「………」

 

「先生?」

 

「いえ、別に」

 

彼らの考えも理解して、その縛りを結んだ。

 

 

町外れの公園。水路に掛かった橋の上で項垂れる人物と、背を手すりにつけた人物がいた。

 

「まだ安静にしていたほうがいい。身体に障りますよ」

 

「え?」

 

1人は雫。彼女は七海が来た事に驚きと疑問の声をだす。なぜなら、「天之河君の方のケアを手伝って下さい」と言われ、いつものように…と言ったらちょっと彼女的には微妙だが行っていたのだが、七海自身がいまここに来るとは思わなかったからだ。

 

「…………七海先生」

 

そして、その人物、光輝は怒り、悲しみ、妬み、恨み、失意、様々な負の感情がごちゃ混ぜになったように、光のない目で七海を見た。




正直、今回の終わり方は納得いってません。ちょっと前とあんま変わってない気がするし
とはいえ、この時点で8000文字超えて、このまま行くと2万いく可能性があり、キリがいいと思う部分で一回切りました。 

でも、やっぱり悔しい
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