「「…………」」
「なんです、ユエさんにティオさん」
「「それだ(じゃ)」」
2人は目を細めてビッと指を向ける。
「それとは?」
「七海、なんで私達には『さん』なの?」
「ユエも妾も、天元とやら程ではないが充分お主より年上じゃぞ。だというのに」
2人はこれまでの七海の対応を思い出す。ユエは大人と理解しているが、
『ユエさん、南雲君が好きなのは理解してるので少しくらいは自重してください。そうでなくては、目立たなくてもいいところで目立ってしまう。問題を呼び込むようなものなんですよ』
扱いはハジメ達と同じ子供への対応に近い。
ティオは完全に大人としての対応なのだが
『……すみません、あそこで悶えている方は完全に無視してください。なんならいない人と思ってください。知り合い?いえ、知らない人ですね』
大人の対応として正しすぎてティオ的に文句はある。何より竜人族としての誇りもある身としては、この対応は正直言って不満だ。そう抗議するが
「不満?感謝でなく?」
「むぐぅ!」
ティオはプルプルとしていたが、すぐさま煌々とした笑みを見せる。
「…………」
気持ち悪さ全開で七海は汚物を見る目をしていた。
「ティオの対応はまぁ、いいとして。私は不満」
「なら、ユエ様とでも言えばいいんですか?」
「むっ」
実際七海が様付けしたとして、正直言って嫌すぎる。何より今の自分はそう呼ばれる階級でなく、1人の女性ユエなのだから。何より、面白がられて、香織やシアに様付けされたら
(考えたくもない。いや、もしかしたらハジメにも言われる可能性すらある)
noという結論が出た。だが、
「それはそれとして、子供扱いは腹が立つ」
「だったらもう少し大人らしい行動をしてください。この間の白崎さんとのケンカなど、もはやただの子供のケンカそのものですよ」
「あ、あれは香織がケンカ売ってきたのが悪い」
「それを買うのが、子供だというのです」
正論で心をグサっと刺された気がした。
「まぁ、いいじゃないですか。なんだかんだであなたと白崎さんは似た者同士なんですし」
「ハァ⁉︎どこが!全然違う!」
「ついでに言えば、ティオさんとも似ていますが」
「もっとなんで⁉︎」
心外だと怒りを叫ぶ。
「いや、南雲君を厄介なくらい愛してる部分とか」
「そ、それくらいじゃ…⁉︎」
「あと、2人でいる時とかティオ超えてると思う」
「ハジメ、いつの間に⁉︎」
いつの間にか近くにハジメが来ていた。
「いや、こんな狭い潜水艇の中ならいつ聞いててもおかしくないだろ」
「ついでに、私のいるところで夜での話のこととかやめてください」
「ま、まさか聞いてた」
頬をかきつつ、ハジメは頷く。それにがくりと項垂れてしまう。
「まぁ、ユエさんは今のままの方がいいんじゃないですか」
「だから子供扱いは」
「子供扱いを、された経験はどのくらいありますか?」
「!」
その経験は、正直ユエには殆どない。一定の年を迎えて、王族としての振る舞いをしてきた彼女に、そういった対応をしてきた者は数少ない。
(もしかして、七海はわざと)
「それを除いても、子供ですけどね、精神的に。そういう人が周囲にいたら、このような対応にもなりますよ」
「ムカっ」
結論、ユエは大人だけど子供。ティオは大人だけど変態。要するに、敬えない大人である。
「安心してください。仲間としては慕っているので」
「嫌味にしか聞こえない」
そんな様子を見るハジメは
(大人オブ大人の七海先生が相手じゃ、俺等じゃ勝てないな)
と思いつつ、ユエを擁護する気はなかった。どれだけ愛していても、それはそれ、これはこれである。
因みに
「はぁはぁはぁ、もっともぉぉっと罵ってほしいのじゃぁぁ」
「先生、アレいる?」
「いりません」
ティオは擁護以前の問題であった。
天元の所を書いてる時、「あ、そういえばティオもユエも圧倒的に年上だ」と思い、書きました
そういえばと思う程度だし、やっぱ様付けは無理だね
ユエ&ティオ「「…………」」