ありふれたやり甲斐と生き甲斐を探して   作:戦鬼

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ユエの方になりまーす

だから言ったのにって言う奴、ほんと怖ーいw


魂飛魄散④

「おのれぇ、おのれ、おのれ、おのれ‼︎」

 

フリードは心底イライラしていた。自身の力には自信はあれど、時に弱者に手痛い一撃を入れられることもある。それを理解した。故に、目の前の相手が舐めてかかって勝てる相手でないことなど既にわかっていた。だからこそ、連携をさせないように分断した。予定よりも手数も用意した。だというのに

 

「その程度?」

 

用意した灰竜は50体以上。アブソドも10数体連れてきた。その固有魔法で魔法も封じるはずだった。

 

「神代魔法を手にしてるだけあって、魔法の使い方はまぁまぁ。だけど、その程度。今の私じゃなくても勝ててたかな」

 

ユエの心底ガッカリしたような態度も相まって、フリードの怒りは限界をとっくに超えている。

 

「なぜ、アブソドが魔法を吸収できなかった!?」

 

「あの魔物は任意で魔力を自身の体内に取り込んでストックすることが出来るみたいだけど、違う魔法に再利用は出来ないし、同時に別の魔法はストックできないんでしょ?なら、僅かな別属性魔法を混ぜ込むだけでも、吸収はできない」

 

「バカな!あれほど強大な、雷の竜を思わせるほどの魔法の中に、別の属性魔法を混ぜ込むだと!」

 

魔法の同時発動と複合魔法そのものは珍しく、規格外だが、ないということはない。技能や工夫でどうとでもなる。だが、完全別属性を、混ぜ込むというのはそうできるものでもない。まして、ユエの発言からするに、混ぜ込んだ別属性の魔法はそこまで強いものでもない。強い力の前では、弱い力は、簡単に飲み込まれて霧散してしまう。

 

「まぁ、今のは実験。これからが本番」

 

ユエが手を前に出すとその後方から魔法陣が出現し、詠唱を開始する(・・・・・・・)

 

「やらせるな!灰竜!」

 

10数体の灰竜が迫るなか、ユエはまったく動じない。あと数センチでその牙が届くというところで、空間がズレを起こし、一線のもと、灰竜の首が泣き別れる。

 

(また!なぜだ!詠唱はおろか、発動するタイミングもわからない!)

 

いまだユエの詠唱は続いている。その間も、魔法が発動される。

 

空間魔法〝千断〟。空間に亀裂を入れてずらすことで、対象を問答無用で切断する魔法。空間そのものに干渉しているため、防御は不可能。七海の指導と、黒閃を何度も見たユエは、空間への干渉に更なる広がりと、魔法そのものの拡張に大きな変化を見せた。魔法を詠唱して、発動前に〝廻聖〟でその魔力を分断して魔力石にストックすることで、威力を僅かに落とすだけで、詠唱も、口に出すこともなく、発動ができる。

 

ただし、それを実行するには魔力感知〔+視認(極)〕によるその起こす魔法の魔力の流れを完全に読み解き、その後〔+魔力圧縮〕による的確な魔力をストックする技量が必要。もちろんこれは、普通は不可能に近い。魔法を使う際の流れは、同じ魔法でも個人によって、威力によって、僅かなものから大きなものまで様々だが確実に変化する。更に、その魔法についてもきちんと理解力が必須。簡単な魔法ならいざ知らず、神代魔法ではその情報も過多。読み解くのは至難を極める。

 

そしてこれらができたとしても、それを狙って当てるのも至難の技。いったいどうやっているのかと七海が尋ねたが

 

『んーこう、ぎゅぅぅってして、ボワっと!』

 

訳がわからなかったが、要するに、感覚的にというよりも、手足に、身体に身につけた衣服を動かすように、ユエはそれを体現している。

 

白崎香織、谷口鈴。七海が才能を見出したこの2人も、確かに天才だ。だがユエは、天才だの、才能だの、そんな簡単な言葉で表せる者ではない。呪術と魔法の関係性は彼女にもわからない。だが似た部分、応用できる部分を、七海の説明からでも、感覚的に理解し、それを糧にする魔法に対する独特の理解力を持つ。まさしく異才…否

 

天異才、それが彼女、ユエである。

 

「恐ろしいな。その技量、通常では考えられん……なるほど、私と同じ、貴様も選ばれた使徒か!異教の神に選ばれし者!なるほど、そう考えるならば、色々と辻褄も合う」

 

(やばい。この勘違い野郎、すごく気持ち悪いんですけど)

 

勝手に自己分析からの自己会議。そこからの超的外れの考察結果を聞かされて、ユエは嫌そうな顔をし、ドン引きする。

 

「だからこそ惜しい。くだらぬ教えに従ずるとは……その力は、愚かな者共の為に使うものではない。一度我らの神、アルブ様の教えを知るといい。ならば、その素晴らしさに、その瞳が新たな息吹を上げ…⁉︎」

 

フリードは言葉を止め、思わずたじろぐ。ユエは冷え切った目に、呆れと、どこまでも不快な物を見るように、更にそこに殺意を乗せていた。

 

「…冗談。私が戦うのは、どんな時でもハジメのため。お前如きと一緒にしないで」

 

あまりにも的外れの考えにキレたユエは、敢えて会話をする。

 

「……よかろう」

 

ユエの辛辣な言葉を、自分の敬愛する神を貶されたと感じたのか、無表情となる。

 

「もはや何も言うまい。貴様を殺して、あの男の前に死体を叩きつけてやろう。多少の動揺にはなる。その時こそ、あの男の最後。その次は奴だ。残るあやつは弱者。赤子の手をひねるよりも容易い」

 

「…できないことを言葉に出すのはやめておいたら?あと、その弱者に負けたのは誰?醜男」

 

堪えきれず、嘲笑して言う。フリードは何度目かもわからない怒りの頂点に達し、青筋が額に浮かぶ。特に最後の言葉は、フリードの自尊心を貶していた。それほどまでに、七海から受けた屈辱は耐えきれるものではなかった。今でもその部分が、時折疼く(・・・・)

 

あとどうでもいいが、フリードはどちらかと言えば美男子と言える。彼の強さも相まって魔人族の間では女性の間で熱狂的な人気があるほどだ。

 

フリードは肩に止まっている小鳥型の魔物に指示を出す。すると、王都の侵攻に使っていた魔物の群れの一部が地上と空中から押し寄せる。地上と空中の戦力の補強と2点同時攻撃による包囲殲滅戦。1人に対して過剰…とは言えない。何せ、相手にするのは七海が認める特級術師レベルのユエ。むしろ、

 

「〝五天龍(混)〟」

 

まったく足りない。ユエの後方にあった魔法陣から出現する、龍を思わせる魔法の奔流。それが5つ。しかし、その全てが異常にして、偉業。帯電する水を纏った龍、超高熱のマグマを身体とする、グリューエン大火山のマグマ大蛇を参考しただろう龍。吹き荒ぶ嵐に吹雪と氷の礫を纏う龍、吹き荒れる竜巻、その風は全てを切り裂く刃。それに雷が纏われ、その形を、力を保ちながら顎を見せる龍、白く輝く雷と漆黒の輝きの雷が混ざった龍。王都の夜闇を神々しく、あるいは禍々しく、照らすその5体の龍は、まさに異常。どの龍も、複数の属性を複合させ、神代魔法の1つ重力魔法も複合させて作りあげた、ユエの新たな魔法。

 

それは、1つの魔法と言うより、魔法の融合に近い。

 

リスクはある。複数属性の複合と、神代魔法の複合は、ユエをもってしても難しく繊細な作業。魔法自体も強力なので、無詠唱にして放つのは失敗の可能性も大きい。複数の魔法が網目のように混ざり込むため、失敗はどのような返しが来るかわからない。だからこそ、彼女は詠唱をする。この際、他の魔法の行使も不可になり、一時的に彼女の防御力は大きく下がる。その為の代案が魔力石への魔法のストックである。

 

しかし、ストックは限りがある。それでも急がないといけないが、ミスをすればその代償は自分にくる。

 

(問題ない)

 

それも含めても尚、ユエの詠唱センスが圧倒する。必要最低限な詠唱のみを行い、後は〝魔力操作〟と、そこに拡張された技能であっという間に成立させる。

 

この時、それを見ていた魔物は、フリードからの命令を忘れた。美しさに見惚れたのではない。獣としての本能が悟った。死ぬのだと。

 

「なん、という…」

 

フリードも、その非常識極まりないという言葉の域を超え、自分が相手をしているのが、人の形をしたナニカであると悟り、口をポカンと開けることしかできなかった。

 

「色々と言ってたけど、全部無価値。私に挑んだことを後悔するといい」

 

ユエは死刑を宣告するように、スッと掲げていた手を下ろす。直後、勅命を受けた5体の龍は、地上と空中でユエに視線をむけていた魔物を滅ぼすべく、それぞれ向かっていく。地上にいたアブソド達が口を開けて、その魔法を喰らおうとするが、逆にマグマの龍と吹雪の化身たる龍の顎に飲み込まれていく。

 

それを皮切りに地上の魔物達が蹂躙され、空中にいた魔物も、顎に飲まれて身体を粉微塵にされながら雷で焼けていく魔物、水圧に潰されながら帯電する水に焼かれる魔物と、ドンドン殲滅させられる。その光景を見ず、ユエはフリードに白と黒が混ざり合う龍を側に付けて、手の甲を見せてこいよと挑発しつつ、

 

「詠唱の邪魔なんて無粋なことはしない。かかって来れば」

 

と妖艶な笑みを見せて宣言する。要するに、手加減してやるから本気の一撃を撃って来いと言ってのけたのだ。

 

「‼︎」

 

それに対して、フリードは怒りを抱くことはしない。というよりそんな暇はない。文字通り全力全開、決死の覚悟でなければ殺られると理解したからだ。

 

「軋み揺れる世界の(ことわり)、巨人の鉄槌、竜王の咆哮、万軍の足踏、いずれも世界を満たさない。鳴動を喚び、悲鳴を齎すは、ただ神の溜息!それは神の嘆き! 汝、絶望と共に砕かれよ!」

 

フリードは完全詠唱をし、自身の魔力を全開に注ぎ込む。

 

「〝震天〟‼︎」

 

一瞬、世界から音が消えたが、それは本当に一瞬。収縮した空間が、一瞬のうちに大爆発を起こした。それは周囲の雲を空間ごと吹き飛ばす。

 

フリードの切り札、空間魔法〝震天〟:空間を無理矢理圧縮し、それを解放することで凄まじい衝撃を発生させる魔法。

 

「ん、さすがに神代魔法は強力」

 

その中心にいたはずのユエはしっかり生き残ってしかも無傷。双雷の龍に守られ、更に空間魔法〝幻牢〟を発動した。この魔法は空間を固定する魔法で、使い方によって防御にも使える便利な魔法。相手の詠唱は待つが、何もしないわけもない。しっかりと展開して更に余波を双雷の龍で守らせたので衣服共にダメージなし。だが、双雷の龍含めた5体の龍は解除されていた。

 

「耐えると思っていたぞ‼︎少女の姿をした化け物よ!」

 

その瞬間を待っていたとばかりに、後ろからゲートを構築して通ってきたフリードと彼を乗せる白竜が突撃してきた。完全な奇襲に成功した。ユエはそのまま回避しきれず、肩まで喰らい付かれた。ブシュ!と音を出して傷口から血が噴き出る。噛み切ることはせず、0距離からの極光を放とうとする。

 

(勝った)

 

勝利を確信したフリードの目に映ったユエは

 

「⁉︎」

 

寒気が出るほどの、黒い笑みを浮かべていた。『私に触れたな』……言葉はなかった。しかし、そう言われた気がした。

 

「〝壊刻〟」

 

その魔法が発動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話は変わるがここで、極ノ番・亀裂について、今一度説明する。

 

拡張術式の瓦落瓦落と牽牽の応用と合わせ技。先に対象の身体に術式による弱点を作り、その点の部分に合わさるよう、手をくの字のようにして置き、後から線にする事でそこにも更に弱点となる点を作り、2重弱点とし、更に攻撃したと同時に、弱点を通して追撃の呪力を流し込み、相手の内部で拡散爆破させる。呪力を拡散させる為、威力の低下を防ぐために多大な呪力を消費し、しかも後追いで放出するので、最大威力を出すのは困難。実際、七海が最初に決めた魔物は威力が弱すぎた。それでも倒せたのは、内側からの攻撃で、且つ相手が弱い為。2度目のフリードの時も、最大威力は出せず、威力は目標の50%ほど。完成とは程遠い威力。

 

ただ、威力は50%だが、術としては100%完成していた。七海はこの技を考案してからの期間は少なく、実際に使用したのも、たったの2回。だから気付かなかった。

 

極ノ番・亀裂にある、副次効果。

 

 

 

 

 

2重弱点の形成による攻撃と、ほぼ同時に呪力を相手に流し込むことで、作り出していた弱点の1つ、術式の一部を相手に植え付ける。即ち、攻撃を受けた部分は半永久的に、弱点と化す。

 

 

 

 

「クゥルァァァァン‼︎」

 

痛みに悶えてユエの腕を噛み千切る白竜と

 

「は?」

 

「は?」

 

腕をちぎられたにも関らず、何事もないかのように〝自動再生〟で肉体を修復させ、再生魔法で衣服も修復したユエは、フリードと同じように、素っ頓狂な声をだす。

 

再生魔法〝壊刻〟は、対象が過去に負った傷や損傷を再生する魔法。弱点として、直接、間接問わず、半径3メートル以内で対象に触れていなければ魔力に比例すること。接近戦が苦手なユエにとっては、この魔法を発動するのは困難。

 

だが、それでも、この技で追い詰めたかった。これはユエの個人的な仕返し。最愛の人を傷つけられたのに、仕返しの1つもできないまま逃げられた。その時に「次会ったらフルボッコ」を誓い、再生魔法を手にしてこの魔法を考案した瞬間に、これで仕返しをと考えた。フリードにとって弱者たる七海が与えた傷で、彼のプライドごとズタボロにする為に。だが、

 

「なん、だ、これ、これは、わたし、の腕、足が」

 

フリードは全身から大量の血を流し、両手がぐちゃぐちゃに潰れて、左足は姿勢を支えることができないほどに、潰れた茄子かトマトのようになって、右足は原型を留めているが、留めているだけで、機能はしておらず、白竜の上で膝をつく。

 

(あそこまでの威力は、絶対無かった。何が起こったの?)

 

これはユエでも想定してないダメージだった。

 

〝壊刻〟は、確かに傷を開いた。だが、よりにもよって極ノ番・亀裂のダメージの中心である、拳の当たった部分から開いた。これがフリードにとっての最大の不幸だった。魔法によって傷が開いたのとまったく同時に、術式はそれを攻撃と捉えた。結果、〝壊刻〟で傷が開く際、術式によって弱点攻撃となって威力が増加した状態で、亀裂によって受けた部分が最初の攻撃よりもひどくなり、そのダメージは、100%の威力の亀裂と、ほぼ同等となった。

 

「お、あぁ…あ、アァァァアァァァ‼︎‼︎‼︎」

 

ほんの一瞬だけ、アドレナリンで痛みが引いていたが、自分に起こった事態を頭が理解した瞬間、痛みが絶望と共に訪れた。

 

「ぐぞ、ぐぞぉぁ!」

 

声がうまく出ない。痛みによるものだけではない。100%の亀裂のダメージは、目に見えている範囲だけではなく、フリードの体内…動脈、静脈、肺や肝臓、心臓といった重要な内臓部にまで及び、命を繋いでいるのが奇跡と言っていいほどの、深刻なダメージを負っていた。

 

(何が、起こった?傷、大きい、死に体、好機)

 

想定以上のダメージを与えたことに、ユエは一瞬困惑していたが、ほんの一瞬。すぐさま攻撃を再開しようとするが、1秒以上は経過していた。そして、その1秒は逃走には充分な時間。死が迫るなかで、フリードは魔力の使用速度が一時的に上がる。ゲートが開こうとしていた。

 

「させない」

 

王手をかけた。ここで完膚なきまでに殺す。ユエはそう決意したが、地上から怒涛の攻撃魔法が放たれる。

 

「フリード様!お逃げください!」

 

「我らが時間を稼ぎます」

 

王都侵攻に出ていた地上部隊の魔人族。それらがフリードの窮地を察して救援に来た。

 

数秒遅ければ完全に死んでいた。助けられた。フリードはその感謝を告げるほどの体力も無く、ただただ、無様にゲートに入ろうとする。ユエは追撃の一撃を当てようとするが、さらに空中にもそれなりの数の救援の魔人族が現れ、どれも防御なしの特攻のため、行動を抑制された。

 

「待てやこのぉぉぉぉぉ‼︎」

 

遠くから吠えてくる存在があった。先程の魔人族の部隊を蹴散らして、高速で、ハイになったシアが迫るが、

 

(あの距離では間に合わん…早く、ゲートに、部下の命を無駄には………待て、奴はなぜここに追いついた)

 

死が近づくからこそ、冷静になったフリードは考えた。それなりに距離を離したはずのシアが、部隊を全滅させたとはいえ、こんなにも早く来れるのかと

 

「ジャマでぇぇぇぇす!」

 

月兎跳躍(ラピットラビット)で移動できるのは、時間以内につける場所+術者の目線に見える場所。使用している眼前に壁があり、先が見えない場合は、そこで止まる。逆を言えば

 

「止めろぉぉぉ!…なっ⁉︎すり抜けた!」

 

壁があっても、その先が分かれば、通り抜けできる。使用できる限界時間を使いながらここまで来たシアの速度は、計り知れない。

 

「ヒャァァァ……ハァァァァァ‼︎」

 

「ま“」

 

待てなんて言葉は聞かない。というよりハイになっている彼女には、そもそも聞こえない。ドリュッケンが白竜の腹を捉えた。

 

「黒閃‼︎」

 

ドリュッケンから出る衝撃波が、黒い閃光と共に放出された。その余波をうけつつ、フリードはゲートに入る。

 

(このような!)

 

ギリギリ動くが手としての機能はない腕を前に向けゲートを閉じる。そこに向かってくる、凶悪な目をしたシア。狂気の笑みと声をあげ、ゲートの入るか入らないかの最中、ギリギリゲートは閉じられた。早く回復する為、回復魔法に特化した部下と、一度合流する事とした。

 

「チィ、ありゃ逃げましたねぇ!あの腐れ野郎!ブッコロしたらあぁぁ!」

 

空中ではあるが、地団駄を踏み、ドリュッケンをブンブン振りながらキレるシアは、いまだに殺意満々のハイである。

 

(シア、怖い)

 

魔人族を殲滅させたにも関わらず、ハイになってキャラ崩壊しつつある妹分を、プルプルと震えながら見るユエであった。

 

しかし、術式の使用可能時間を全て使いはたし、そのすぐに解除された。そして特攻してくる魔人族や、地上と空中にいた魔物といったザコを適当に片づけた後…

 

「ああああああ!恥ずいですぅ!」

 

「じゃあ術式使わない……ってわけにはいかないよね」

 

正直シアの術式は強力。使わない手はない。しかも七海曰く、まだまだ術式の拡張の余地があるとのことだ。

 

(でも、それでも、アレはねぇ)

 

ユエはよしよしとシアの頭を撫でて、元に戻った妹分を可愛がる。フリードを逃した苛立ちはあるが、それよりも妹分のケアを優先した。地上はユエの魔法で天変地異でもあったかのように荒廃していた。

 

「あ、シア見て」

 

「ぅぅぅぅ…あ、あの光」

 

遥か先の天空で光が輝き、それが拡散して、一瞬夜が昼になった。そう思えるような紅い閃光が輝く。輝きの後、空は紅く染まり、雷のような轟きをした後、ゆっくりと消えた。

 

「ハジメだ」

 

「グスっ…ハジメさんですね」

 

こんなことできる人物は、彼女達の知る中では、1人しかいない。そして、その考えは大当たりである。

 

「とりあえず、王宮に行こう?」

 

「はいですぅ」

 

 

 

紅い光が見える前、七海とハジメはノイントと交戦を続けていた。

 

「先程、何か言っていましたね」

 

「ぐっっ」

 

「誰が、誰の天敵だと?」

 

殺しきれなかった威力に身体が下がる。魔法の一部が当たったのか、七海の左目に額から出た血が滴る。

 

「まだ………まだ始まったばかりですよ」

 

七海は左手で傷口を触り、すぐに治す(・・)

 

「魔法…いや、それは魔法ではないですね」

 

「反転術式です。それより、私に構ってていいのですか?」

 

「⁉︎」

 

「先生に集中してていいのか?」

 

ハジメは自分の呪力出力を下げ、〝限界突破〟を使用する。シュラーゲンを構え、紅くスパーク音を轟かせ、光の速さで弾丸が飛んでいく。

 

「邪魔を!」

 

するなと、言う暇はないのか、ノイントはギリギリで回避した。

 

「やはり、ですね」

 

後方からした七海の声と、呪力に反応する。

 

「!」

 

ノイントは空中で体制を立て直し、七海は追撃の剣を振るが簡単に防御される。だが、大剣の1つにヒビができる。

 

「馬鹿な」

 

「私の術式効果ですよ。さて、正直私は足手纏いですが、気張っていきましょうかね」

 




フリード、だから言ったでしょう?ガンバwってwww

ちなみに
この小説を書き出した当初は、ユエをあまり原作より強化する予定はありませんでした。しかし彼女の真の強さは魔法への理解力と応用力だと思い、呪術を知った彼女が何もないのはおかしいかなと思って書いてたら、いつのまにか強化していた。でも後々を考えるとそれでいいのかも

ちなみに2
シアの術式はこのキャラみたいな能力にしようとかそういうのはなく、自分で考えました。
するきっかけはシアに合った術式なんだろうなーと考え、ウサギ→不思議の国のアリスで時計を持った白ウサギから時間系の術式にしようと決めました。でも考えて完成した後、これを読んでる知り合いから
「まほよの青子?」「ジョジョのディアブロ?」と言われ、「やっぱいるかーそういう能力のキャラーw」と笑いながら凹んだ
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