ありふれたやり甲斐と生き甲斐を探して   作:戦鬼

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久々に時間がかかりました。
今年は後1回投稿できるかできないかです
それと、今回はかなり独自の考えが入ってるので意見あればお願いします。


魂飛魄散⑤

ノイントが睨みつつ、分解の魔法が付与されている羽で攻撃してくる。呪力で攻撃を防いだ(・・・・・・)が、強力な風魔法も同時にしたので、威力は殺せず、吹き飛ばされた。

 

「こっちだっての!」

 

四方からクロスビットの攻撃とハジメの攻撃を受ける。

 

「ぐっ!」

 

「フン」

 

その隙を七海が攻撃する。この繰り返し。正直、七海の負担が大きいが、利用できるなら利用するまで。もちろんこれは、反転術式を七海が使えるのが大前提だが。

 

「しぶといな、流石に……先生、反転術式は結構呪力を消費すんだろ?大丈夫か?」

 

「君の方こそ、出力を調整してるようですが、後どれだけ〝限界突破〟をできますか?」

 

ハジメの〝限界突破〟も、光輝がしていたように、出力を落として使用している。出力は元来よりもかなり下げ、おおよそ1.5倍程の上昇。能力を制限しているのは、大技を出す為の魔力の節約でもあるが、敵の動きに、分かりやすい変化があったから。

 

「まぁ、それなりにかな。……それより、先生もそろそろ気づいてんだろ?あの野郎、動きが上がってやがるのに、魔力を消費してる感じがしない」

 

〝限界突破〟同等の出力アップをしつつ、それだけの力を使っているのに、魔力は衰えることはないという破格の能力。脅威度は更に増した。だが

 

「それなのにあいつ」

 

「単調……というより、意識が定まってまない、いや、今は意識が私に行き過ぎている」

 

「ってことはやっぱり、あいつ呪力に過剰反応してるって事か?」

 

「間違いないでしょうね」

 

そうこう言ってる間に、ノイントは攻撃をしてくる。ノイントの方も、全身が銀色の魔力で覆われたことで、感じる威圧感は上がり、銀羽の1枚1枚の威力が上がっており、放たれる魔法も最上位に近くなっている。

 

「!」

 

高出力の銀羽が一斉に七海に向かう。呪力を放出し威力と速度を落として、残りを片っ端からたたき落とす。

 

(これ以上の呪力の消費は抑えたい。それに反転術式が使えるのも、今の状態だからだろう。……あの時、少し離れた所で私の術式を感じ、つい先ほどは発動した気もした。その瞬間に感じた、あの感覚を……その余韻がある今しか。そして、奴を倒すなら、いま、この時しかない)

 

疑似的とは言え、亀裂の最大威力の発生。ただでさえ、起こすのが困難な亀裂。その最大威力を出した感覚は、黒閃を出した時と同等か、それ以上の全能感と高揚感が訪れた。

 

その感覚と、七海の中で起こった変化と、彼自身が今まで考えていたことが一致し、意図的な反転術式の使用が、一時的ではあるが可能にしていた。

 

「なぁ、ちょっと聞きたいんだが、俺らに構ってていいのか?」

 

「……なんのことです?」

 

と、ノイントが少し下がったのを見計らい、ハジメが会話をする。無視されるかと思ったが、ノイントが会話に乗ってきたので、揺さぶりも兼ねてハジメは続ける。

 

「下で起きてることだ。教会連中も、おまえも、魔人族の王都侵攻を知らないわけがないだろ?このままじゃ王国が滅びるぞ?そうなると次はここだ。俺らに構ってるより、魔人族と戦った方がいいんじゃないか?」

 

至極真っ当な意見を言ったにも関わらず、ノイントはくだらないなと言うように鼻で笑い、一蹴する。

 

「そうなったら、それがこの時代の結末ということになるのでしょう」

 

「結末…ですか。とことん、人を駒としか見てないようですね」

 

七海もそこに加わる。ノイント…というより、エヒトにとっては、単なる暇つぶし程度。こういった類いの相手を、七海は見たことがある。純粋に、まるでオモチャで遊ぶように、人を、文字通り使う存在。

 

「この時代はたまたま人間族側についていたようだが、この分だと魔人族側の神もエヒト本人、もしくは配下か?」

 

「……だとしたら、どうだというのです?」

 

「解放者達から聞いた話の信憑性を、一応確かめてみようと思ってな?ほら、こっちから見たら、どっちもただの不審者だし」

 

自分の主を不審者と呼ばれたことに、感情がないというノイントの眉が動いたのを、七海は感じた。

 

「聞くだけ無駄でしょうが、一応聞きます。我々があなた方の主催するゲームにとって邪魔なら、さっさと元の世界に返せばいいんじゃないですか?それと、天之河君達……勇者一行も、王国が滅びたらいる意味もないでしょう」

 

「却下です。まずイレギュラー、主は、あなたの死をお望みです。あらゆる困難を撥ね除け、巨大な力と心強い仲間を手に入れ、そして目的半ばで潰える。主は、あなたにそういう死をお望みなのです。ですから、可能な限り苦しんで、嘆いて、後悔と絶望を味わいながら果ててください。それがあなたが主に対してできる最大の楽しませ方。勇者達は……中々面白い趣向を凝らしているとのことで、主は大変興味を持たれております。故に、まだまだ主を楽しませる駒として踊って頂きます」

 

「面白い趣向?」

 

「あなたがそれを知る必要はありません。この場で死ぬのですから。……そして」

 

ノイントは、睨むように七海を見る。

 

「害徒、主はあなたの存在を許さない。あなたの存在、あなたの力そのものが悪。存在してはならない禁忌。あなたをこの世から存在した証ごと消し去ることが、主の望みです」

 

概ね予想通りの答えと、明確な否定と殺意。

 

「なるほど、やはりそうですか。あなた自身はこの力を、呪力を見たのが初めてのようですが、エヒトにとっては、何か嫌な思い出でもあるんですか?」

 

「……」

 

瞬間、ノイントの身体を覆う銀色の魔力の出力が上がる。何か仕掛けてくるのを察し、今度は七海が呪力を抑え、ハジメが上げる。

 

「そうでしたね。イレギュラー、あなたも……害徒!」

 

先ほどまでよりも更に速い。ハジメのドンナーとシュラークの2丁拳銃による、呪力と魔力の弾丸を流星のような速さで回避し、距離を一気にとり、再び急接近してくる。あまりの速度で残像が発生し、その姿を2重3重にブレさせる。〝先読〟で配置したクロスビットの攻撃も、撃ち抜くのは残像のみ。そして、フッと姿が消えた瞬間、残像を引き連れてハジメの背後に回り込み、高速回転をしながら遠心力を乗せた双大剣を

 

「なんてな」

 

そんな隙を、わざわざ見せるようなら、七海から叱られている。

 

「やっぱり、そういう仕様なんですね」

 

双大剣を振る瞬間、ハジメは呪力を抑え、七海は一気に呪力を解放した。その影響で、ほんの一瞬、意識は七海に向く。そのせいで、勢いに繊細さがなくなった。

 

「〝金剛〟〝豪腕〟〝呪界到覇〟」

 

ハジメは今度は口に出して(・・・・・)発動させる。

 

 

 

 

 

 

『いいですか、呪術を極めるとは、引き算を極めるということです』

 

『ここで数学が活きるの?』

 

『別にそういう理由で数学の担当教師だったわけではないのですが』

 

縛りについて教える過程とし、七海はハジメとシアの2人に説明をしていた。………のだが、なぜか関係ない者達も聞いていた。

 

『というか、君達が聞いても』

 

『呪術と魔法は似て非なるもの。何に活かせるかわからないし』

 

ユエは教師力で敗北したことを根に持ちつつ、〔+視認(極)〕の時のように、活かせるものを探すため。

 

『ユエとこれ以上差をつけたくなくて!』

 

香織はユエとの差を少しでも埋めるため。

 

『妾だけのけものなど嫌なのじゃ!』

 

(あなたはMなのかそうじゃないのかハッキリしてほしいのですが)

 

除け者にしたほうが鬱陶しいので七海は渋々許可する。

 

『ナナミン、ナナミン、早くなの』

 

(ミュウさんまで………)

 

興味津々に自分には関係ないはずのことを聞くミュウ。なんでこんなことになったのかと思いつつ、再開する。

 

『…まぁいいです。続けましょう。呪詞、掌印など、術式を構成、あるいは発動させるまでの手順をいかに省略する事ができるかで術師の腕は決まります。魔法で言うなら、詠唱、発動前の構え、魔法陣構築…これらにあたると思います』

 

ふむふむと皆頷く。

 

『逆に言えば、これらを手順よく行えば、自身の術式効果、出力上昇が見込める。これも縛りの一種です』

 

『むーでも、私はまだ術式あるかどうかわかりませんし』

 

『俺はそもそも術式がないなら、どうにもならない気がする。つか、術式開示以外での縛りができないんじゃ意味ないような気がする。あと、そこまでの作業を省略するのは、戦闘時に詠唱とかしてたらどうしても隙ができるからだろ?隙を作らずこれをするなんて無理じゃね?』

 

『それに、この省略って言うか、簡略化は既に先生から私達は教わってますし、実際それで出力調整もできてますし』

 

ハジメと香織の意見は正解だ。

 

『ここからは、更なる細やかな運用と、呪術戦で言うなら縛りです。南雲君、君は自身の技能を付与した呪具を作れるなら、まず間違いなく、それは呪術的に考えて、開示の縛りを持てるはずです」

 

『それは俺も考えてた。けど、魔法ってのは結構わかりやすいだろ?〝纏雷〟〝風爪〟然りだ。聞いただけでも見ただけでもわかる』

 

だからあまり意味がないのではとハジメは言う。

 

『ええ。だから、君は別に縛りを行使していけばいいと思います。例として、簡易的な縛りがあります。白崎さん、君には1度見せたことがありますよ。正確に言うなら天之河君にですけど』

 

香織は少し考える素振りをし、思い出す。

 

『円の中の動きの制限、それと攻撃の方法の開示ですね』

 

『ええ。あの時のは、自身の行動制限と攻撃方法の開示による、即席の縛りです。南雲君の武器は呪具なら、これらも使える筈です』

 

『な、なるほど』

 

『ふむ。では七海よ、攻撃の際にその技を叫んでしまえば縛りが起こるのかの?』

 

ティオの質問に七海は少し考える。

 

『……どうでしょうね。ものによると思いますが…………あくまで私の観点ですが、呪術的な理論で言うなら、ほぼ不可能です。しかし、術式の開示をしていても技名を口に出すことによるデメリットがある技であること、それが相手にもわかる技であること、どこを狙うか、どう攻撃するかの手順など、細かいことはあるでしょうが、そういった、自身のデメリットとなる部分や、手順というものがあれば可能とも言えます』

 

ティオは更に意見を出す。

 

『今の話を聞いて思ったのじゃが……ご主人様の場合なら、作り上げた呪具にもよるじゃろうが、呪具につけられた技能を攻撃方法の開示だけなく、詠唱として扱うこともできるのではないかの?』

 

 

呪具、黒帝:ハジメはこれを1つの呪具のように言っているが、実は複数のパーツで構成されている、言うなれば、組み立て呪具。ハジメの〝呪具錬成〟で作れる呪具は、アーティファクトと違い、複数の技能はつけられず、1つしかつけられない。更に一定の大きさ以上のものはできない。

 

それを克服する1手として、ハジメはパーツとして分けるという方法をとり、更に全てのパーツに技能を付与せず、幾つかのパーツには雫に渡した小太刀のように、内蔵する呪力を貯めておく機関部とした。これにより、ハジメは自身の呪力を使用せずとも、能力向上ができる。

 

そして、その中でも最も重要で、能力向上にあたるのは、コアに該当する関節部分に込められた〝限界突破〟改め〝呪界到覇〟。ようは〝限界突破〟を呪力で起こす。発動中は基本スペックを3倍引き上げるのだが、通常の〝限界突破〟とは最大の違いがある。それは、部分強化の可能と、その副次効果としての、呪具化し、術式扱いになった技能の強化である。

 

黒帝のパーツ構成は手の甲に付けている宝玉に込められた〝豪腕〟、関節部分の〝呪界到覇〟、肩の部分に〝金剛〟。これらを繋ぐ上腕、前腕、後ろ肩に紫電の呪力を溜め込み、それらをコードで送っている。そして、繋がっているコードを通して、一時的に能力を集約する。これらの集約する作業として、それぞれの技能を解放していくのだが、解放し、繋げていく際に技能の名を口に出す行為をすることで、集約を詠唱…呪詩の1つとして扱い、能力を底上げする。

 

黒帝から金属音が鳴り、呪力が解放されていく。それに反応する間もなく、ノイントの腹部に極大の一撃を浴びせる。

 

「黒閃‼︎」

 

様々な技能によって、極限まで引き上げられた黒い閃光。ノイントはギリギリの所で攻撃から防御に切り替えて、双大剣と簡易的な〝聖絶〟、更に分解の能力を持つ銀翼を使って防御するが、その程度で防げるほど、柔くはない。〝聖絶〟はまるで機能せず、銀翼に当たり、分解出来ず翼に穴をあけ、すぐに双大剣に命中し、更に一度七海の術式で脆くなっていた大剣はすぐに砕け、もう1つの大剣も、一瞬だけ防ぐが、ガラスのように砕け散り、ノイントの腹部で黒い閃光が輝く。

 

ノイントの時間が一瞬止まっていたように感じたが、それはすぐに終わり、次の瞬間、ノイントの身体は先ほどよりも更に速く、神山へ吹っ飛ぶ。轟音を立てて神山に激突したが、勢いは止まらず、山の中にノイントが埋まっていく。そして、ハジメが見ている神山の裏側まで到達し、ノイントは墜落していく。

 

「……ま、まだ、だ」

 

ノイズのような声をだし、空中で捻り、体制を変えた。翼はボロボロ、既に死に体だが、ノイントにつけられている命令が、消せと命じる。

 

「あれは消さないといけない。主の、命に、基づき、害徒を、」

 

フラフラした動きで飛んでいると、

 

「凄まじい威力ですね」

 

自分が吹き飛ばされてできた向こうから来た七海が、上から覗き込んでいた。

 

「その調子では、もう長くは戦えないでしょう?魔力で動くあなたに、高度な回復魔法があるとは思えませんし、あっても些細な物でしょう?文字通り、あなたはエヒトが作った呪骸…いや、魔法で作っているのなら、別でしょうけど……パンダ君と同じタイプですかね……言ったら本人怒るでしょうけど」

 

「見下すなぁ……がい、とぉぉぉぉぉ!」

 

ノイントの片腕は既に機能していない。もう片腕に大剣の代わりとして、光の剣を出現させて、七海に向かう。剣を構え、呪力を込めて受ける。片腕だけとはいえ、特級に値する強さはある。連続の剣技であたるが、七海はどうにかうける。

 

「もらった!」

 

肩から胸にかけて切られた。だが

 

「こちらもいきます」

 

ハジメの黒閃により出来た傷。それを起点に線を作り1つ、それとは別にもう1つ、別角度から作り上げた術式による弱点。

 

「極ノ番、亀裂」

 

最大威力ではない。元来の方法から離れたものでもあり、出力もかなり低いが、確実に決まった。呪力がノイントの内部で暴れて放出される。

 

「う、あ、う」

 

攻撃で距離を取ることができたノイントは、声を出せず、だが銀翼を羽ばたかせ、大量の銀羽と、分解の力を持つ魔力の砲撃を放つ。それに対して、七海は

 

「ふっ!」

 

逃げず、避けず、特攻する。全ての攻撃が当たり、ノイントは勝利を確信したが

 

「な、ぜ」

 

攻撃を受けて、多少の傷口があるが、それでも身体は五体満足で存在する七海が距離を詰めて来る。しかもその際に傷が治っていく。

 

「言ったでしょう?天敵だと。あなたの分解能力は、確かに凄まじいです。でも、なんでもかんでも分解できるわけではない。分解できるなら、今私がいるこの場所一帯の、空気を分解すれば、すぐに終わる」

 

最初に攻撃された時と自身が攻撃を受けた時から気になっていた。分解という強力な能力を持っていながら、威力を弱めているとはいえ、なぜすぐに自身の身体が分解されないのか。そして、なぜメルドが死んでないのか。

 

メルドから聞いた話から七海が察するに、その時も急遽分解の魔法を使ったのだ。なのに、メルドも、その下にいた遠藤達も消滅していない事実。それがずっと謎だった。考えられる要因は2つ。だが、どちらも同じ理由…呪力。1つは、ノイントにとって忌むべき力を見て、急遽分解魔法を使ったせいで、魔法構築が甘かったこと。もう1つは相手の力を完全ではないとはいえ、相殺したから。

 

「呪力は、分解しにくい、物によってはできないんでしょう?」

 

そして、これまでこの世界で見て、体感してきたことでできた、1つの確信。

 

「正の力の源たる魔法と、負の力の源である呪力。根幹は同じに見えて全く違うもの。真逆の物を、分解という手段で消すのは、簡単ではない」

 

ハジメやシアがこれまでしてきた、魔力と呪力の2重強化は、正の力と負の力の衝突によって生まれた、膨大なエネルギーそのもの。言うなれば、五条悟の虚式: 茈を生成しているに近い(・・)

 

(あくまで近い、だ。正の力の呪力に近い物が魔力だが、性質はまるで違う。その違いが、《六眼》なしで正のエネルギーと負のエネルギーを込めることができる要因)

 

より正確に言うなら、反転術式をするのに近い。負の力(マイナス)負の力(マイナス)を掛け合わせて正の力(プラス)の呪力を生み出すように、純粋な正の力の魔力に純粋な負の力の呪力を掛け合わせ、より強い負の力にする。すなわち、魔力は、呪力によって侵食される。

 

「だから、呪力を恐れているのでしょう?エヒトは。この数100年、もしかして1000年近くかもしれませんが、あなた方は呪力を見てない。故に、あなたが私程度に過剰反応をするのは…恐れからと、そして調整ができていないから。今度はそうならないようにすべきですね」

 

全てのきっかけは、ハジメが七海に神水を飲ませたこと。神水には魔力を回復させる力も持つ、純粋な正の力の塊。だがハジメやシアと違い、七海には魔力を貯め、流す能力はなく、反転術式で生まれた正の呪力ではない為、七海の中で呪力と混じりあった。その結果、膨大な呪力となり、肉体崩壊するのを防ぐ為、無意識のうちに、七海の身体は反転術式を行い、呪力を消費させた。そして、再生魔法の習得による知識と、再生…復元していくイメージが流れ込み、七海は反転術式の使用を、ある程度だが無意識的にできるようになっていた。

 

そして、今度はとは言うが、逃すつもりは全くない。

 

「また、私の術式は、7:3の比率の点を強制的に弱点にするのですが、この術式の奥義も、あなたの天敵だ。普通の人と違い、あなたは魔力をエネルギー源としている。そこに、異物である呪力が入り込めばどうなるでしょうね」

 

もう1つの確信。呪霊に反転術式でできた正のエネルギーの呪力を流されてしまえば、それに耐えきれず消滅する様に、正のエネルギーで動くノイントにとって、呪力はそれそのものが毒になるのではないかと。

 

事実、うまくノイントは動けておらず、攻撃に含まれる魔力はかなり雑になってしまっている。

 

七海は足に付けた呪具に呪力を一気に込めて、怯んでいる死に体に近いノイントへ向かう。どうにか出した威力が極端に落ちた分解の攻撃を時折受けながら、それを無視して更に向かう。そして、

 

(黒閃!)

 

ノイントの顔面に、黒い閃光が輝く。その勢いを乗せたまま、七海は遠心力をつけて回転し、再び神山の方に飛ばす。そこには

 

(白王、魔力装填完了。空間魔法機動)

 

ハジメは両腕を前に構える。白王が起動して、自身の正面にクロスビットが作った物とは別の正方形の小さな空間を作り出す。

 

 

「〝限界突破〟今度は全力だ」

 

落としていた出力を全開にしたことで、魔力の出力をあげる。アーティファクト、白王。それにも空間魔法が付与されているのだが一部のみとはいえ、完全な防御を作り出す。黒帝が剣なら、白王は盾の役割を持つ。だが、もう1つ、使い道がある。空間魔法によって作り上げた、小さな空間。その内部に、限界突破で出力の上がった魔力を流し、呪界到覇で出力の上がった呪力を流し込む。

 

「っ!ぐっっ⁉︎」

 

これまでしてきた呪力と魔力の同時付与によって生み出されるエネルギーは、体外へ出た途端に発散しやすい。それを、空間を別つことで強大なエネルギーが放出されないよう、空間内に留める。この作業は、正直困難ではあるが、ハジメは〝魔力操作〟と、七海に教わった呪力操作による、それぞれの独自の回し方で効率的に続ける。

 

更にエネルギーを保ったまま空間を圧縮し、エネルギーの密度を上げる。

 

「くらえ」

 

限界ギリギリまで圧縮されたエネルギーを別っていた空間を解放することで放出する。その際、ハジメは空間の一部のみに穴を作る事で、放出される方向の限定と、エネルギーの発散を防ぐ。

 

「あ」

 

ノイントが最後に見たのはほんの一瞬輝く小さな光。次の瞬間には腹部が消滅し、下肢と、上部が分かれて神山から、落ちていく。

 

「今はまだこんなもんか」

 

どうせならノイントを完全消滅させたかったが、そこまでの威力はまだ出せない。イシュタル達の〝覇堕の聖歌〟がなかったとしても、どれだけの威力が出たか。

 

「終わりましたね。ところで、先ほどの技も、私を守っていた物も、まだ未完成の物だったというのに、さすがですね」

 

「…完全完成には、まだなんか足りない気がする。多分、俺の呪力量と、魔力量に幅があるせいだと思う」

 

その為の呪力タンクだが、ハジメはいずれそれを必要のない物としたい気持ちがあった。

 

「ともかく、行きましょう。ティオさんと畑山先生と合流して」

 

会話の最中、ズドォオオオオオン‼︎と神山全体を激震させるような爆発音が轟き、その方向を七海とハジメが見ると、巨大なキノコ雲。まるで、原爆でも落ちたかのようなその光景に、2人はポカンと口を開けた。

 

「昔、テレビのドキュメンタリーか何かで、こんな光景見た気がする」

 

「私もです」

 

爆発の場所から考えて、おそらく聖教教会総本山だろうと思っていると、ハジメが「お」と声をだす。おそらく念話で、相手はティオだと七海は思った。それは当たったようで少ししてハジメが言う。

 

「七海先生、ティオ達と合流しよう。ああなった原因も知ってるみたいだしな」




王都侵攻編、まだまだつづく……くそぅ

ちなみに
白王で作った小さな正方形の空間の大きさですが、獄門疆と同じくらいの大きさだと思ってください。

ちなみに2
魔法と呪力の関係
・呪力→純粋なマイナスエネルギー
・反転術式→プラスエネルギーの呪力
・魔法→純粋なプラスエネルギー
・闇魔法→マイナスエネルギー寄りの魔力
現在はこんな感じです。

『いくら五条が圧倒的チートとはいえ、ハジメがそう簡単に諦めるという選択肢を取るとは思えない』(要約)という意見がありました。実際、自分の中で五条悟というキャラをどこか神格化してる部分があったなと感じました。
それでありふれの主人公の魅力を損なうのはダメだと思い、近いうちにハジメが五条を越すことを目指す描写を付け加えるなどのここはと思う部分を添削などします。

これからも意見、感想があれば遠慮なくお願いします
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