ちなみにこの話は随分前にできてましたが、とある理由でストックしてました。
理由は後書きで
ティオはいまだ黒竜姿のままの為、すぐに場所もわかって合流した。モクモクと噴煙のように上がるキノコ雲から距離をおいた場所で滞空していた。その背中に、何故か避難したと思われていた愛子が狼狽えている姿もあった。その表情は「やってしまった」と言った感じだろう。
「畑山先生、ご無事で何よりです」
「ティオも、無事そうだな。畑山先生の護衛、助かった」
あたふたする愛子を横目に、七海とハジメが声をかけたことで、
「七海先生!南雲君!よかった無事で……って、七海先生!血だらけじゃないですか!」
「ん、あぁ、大丈夫ですよ傷は全て治ってます。ただ、予備の服、まだありましたか?」
「そんな心配ですか⁉︎というか、今更ですけど、七海先生も魔法が使えるようになったんですか?」
「いや、七海先生のは、魔法じゃなくて呪術だよ。七海先生、マジもんの呪術師だから」
「え?え?」
次々と起こる事態もあって、ハジメが何を言っているのか理解できない愛子は混乱していた。
「そこら辺は後で必ず話すので。それより、ティオさん、何が起こったんですか?」
【うむ。愛子殿の提案で、妾が地上への往復をするより、本山の司祭と聖騎士達をどうにかするを優先したのじゃ】
イシュタル達を放っておくとハジメは徐々に衰弱し、実力的に差のある七海ではすぐにでもやられてしまう。愛子を地上に送り届けてから再び8000メートルの標高を飛んでくるのは、魔力も使うし、時間もかかる。だから愛子はティオと共に戦うこととした。戦闘経験は無くとも、魔力だけなら光輝と同等の高い数値を持つ。援護くらいはできると。
これから先、皆で生きて日本に帰る。七海が持てない理想を愛子は持ち続ける。だが理想だけ持ち続けてはいけない。それは愛子も理解している。だから、もう逃げないと決めた。どれだけ人と戦うのが怖くても、決して引かない。そうでなければ、愛子は自信を持って七海の隣に立てないと考えて。
【七海、お主に許可も取らず、愛子殿を危険に晒したことは詫びる。じゃが】
「わかってますよ。生徒たちと同じです。彼女の本気の意思を無下になんてできない」
何より、おかげで厄介な相手を倒せた。ハジメも七海もノイントの相手をしたことで、かなり疲弊していた。特にハジメは最後の攻撃は〝限界突破〟と〝呪界到覇〟を使用した。使用時間はごく僅かだが、呪力と魔力の同時身体強化と合わせて使った事と、つい先程まで〝覇堕の聖歌〟を受けていた。見た目以上にハジメは弱体化している。もちろんある程度の相手であればまだ余裕だろうが、この状態で、強力な結界に阻まれたイシュタル達を撃退など、難しいだろう。
七海も反転術式と極ノ番の使用でそれなりに呪力を消費している。戦えないことはないが、大結界並みの防御に覆われた相手、内側からの攻撃。これらに対処するのは至難だ。
「だが、ティオはどうやって攻略したんだ?本山なんだから、相当な結界もあったんだろ?」
「えと、それに関しては、私が余計なことを…」
【何を言う。愛子殿のおかげで、突破できたのじゃ】
愛子が言うには、ティオのブレスでも結界を突破するのは難しかったらしく、防御結界の内側から攻撃してくる状況に苦戦していた。そこで愛子は攻撃ではなく、自分の特技活かすこととした。愛子の技能の中に〝発酵操作〟というものがある。これを使い、教会周辺でメタンガスのような可燃性ガスの生成を行った。
結界は、常に足し引きによって成り立つ。攻撃性の高い物に対する物には結界は反応するが、害の低いものになると、効力を成さない。愛子がしたのは発酵。これ自体には害はない。加えて、ティオが風を操ってガスを一定範囲に留めたことで、ガスは密集し更にガスそのものは無害のため、結界内を覆う。これにより、無害な物も結界は意図せず守るものとして、結界内のガスはティオの風の影響をあまり受けづらくなったものの、ガスは結界内と結界外を結ぶ導火線の役割を持った。そんな場所に、高火力の炎の塊であるブレスがくれば、
「こうなったわけか」
外部の爆発でも結界は衝撃を受けるが、導火線に導かれるかのように内部に火は行き、一気に大爆発を起こす。当然だが、これほどの爆発で、ティオ達も何も受けないわけではない。爆発は結界内の方が強かったが、爆発とほぼ同時にあっという間に結界は破壊され、余波でティオも吹っ飛ばされた。
【盛大に吹き飛ばされてなぁ。久しぶりに死を感じたのじゃ。実際、結界どころか教会も崩壊した。流石、七海と同じくご主人様の先生殿じゃ。感服じゃよ】
「ち、ちがうんです!そうじゃないんです!こんなに爆発するなんて思ってなくて、ただ、半端はいけないと思って!ホントなんです!」
目線がキョロキョロとし、オロオロと混乱している。自分がした結果を受け止めようとして、でも理性が拒絶しようとしている。
「はっ⁉︎きょ、教会の皆さんは⁉︎どうなりました⁉︎」
その事実を、受け入れてしまわないように。
「まぁ、まとめて吹き飛んだだろうなぁ」
【結界を過信してる感じじゃったしのぅ。完全な不意打ちなら、なおのこと、防ぎようもない。あの爆破で生きている者など、おらんじゃろう】
ハジメとティオの言葉に、愛子は自身の両頬に手を付け、震える。その姿が何故か
(虎杖君)
虎杖悠仁と重なって見えた。七海はその倒れそうになる小さな身体を抱きとめ、背中を摩る。愛子が吐き出した吐瀉物が服にかかるが、それでも摩り続ける。
「わたし、わだし、ウッ」
また吐く。嗚咽と涙と共に。愛子とて、覚悟はあった。だが、自分の幇助で教会関係者達を大量爆殺した事実に、平常心でいることは不可能だった。
(理想と現実のすり合わせ。彼女は虎杖君と違い、理解していたが、最後の覚悟がなかった。いや、当然だ。人殺しとは、元の世界でも、この世界でも遠い場所だったんだ。この人は)
非戦闘職である彼女は、このようなことは本来ならできない筈だった。その常識が、彼女を陥れてしまった。今の愛子には、慰めではなく、文字通り寄り添うことでしか心を繋ぎ止めることはできない。
「畑山先生、我慢しないで吐き出してください。諸々全部」
教会関係者達を消し去ったブレスを放ったのはティオだ。愛子が必要以上に責任を感じる必要はない。そうティオは思っているが、その説明ができる時間の余裕があるわけでもない。あったとしても、七海は止めるだろう。ブレスを放ったのはティオだ。それは間違いないが、では愛子がいない状態でできたかと言えば、そんなはずはないのだから。
「すいません、七海先生。私…」
「このくらい大丈夫です。むしろ……いえ、ともかく、落ち着いたならよかったです」
あなたが大丈夫ですかとは、聞けなかった。ティオが再生魔法ですり減った精神を僅かに癒したが、それで忘れてしまえるようなことでもない。
「ありがとうございます、ティオさん」
【よい。思う所は妾も同じじゃ】
ぐちゃぐちゃになった感情を抑え込む愛子を再び、七海は抱き止める。
(⁉︎)
「このようなこと、大人のあなたにすべきではないのはわかりますが、我慢してください」
そしてそのまま頭を撫でる。羞恥はすぐに熱になり、感情は別の意味で動揺する。
「畑山先生、お互い言うことは色々とありますし、あなたももう少し落ち着く必要がありますが、まずは天之河君達との合流を」
【待て。ご主人様、七海。人がおる。明らかに普通ではないようじゃが】
「なに?」
あの爆発で生き残る者などいるのかと驚きながら、ハジメと七海がティオの視線を追う。
「教会関係者……とは違うように見えますね。服装がかなり違いますし」
白い法衣を着た禿頭の男は、日本でいう僧侶のように見える。それがこちらを真っ直ぐと見つめているのだが、普通の人間ではないのはわかる。何故なら、その身体はゆらゆらと揺らいでいたからだ。その男はこちらの視線が自分にあることを認識したように、無言のまま踵を返し、滑るように身体がスーと動いて瓦礫の山の向こうへ移動した。
「解放者本人、もしくはそれに殉ずる者か。どちらにせよ、神代魔法と関係はありそうですね」
「あの感じ、ついて来いってことか?」
【じゃろうな】
ティオは2人の言葉を肯定しつつ、どうするか聞く
「さっさとユエ達と合流したいところだが、元々ここには神代魔法目当てで来たんだ。アレが七海先生の言う通り、解放者本人、もしくは関係者なんだとしたら、手がかりを逃すわけにはいかないな」
「では、追いましょう。畑山先生、まだ、つらいとは思いますが…」
「だ、大丈夫です、へいき、です」
気恥ずかしさと、不安定な気持ちが入り混じりながら、愛子は言う
(まったく大丈夫ではないでしょうに)
しかしながら、ここで追いかけなければ神代魔法の習得に大きく関わるかもしれない。愛子を置いて先に進むわけにもいかない。七海は彼女の言葉を了承し、先に進むこととする。
「まぁ、その前に七海先生は着替えておけ。まだ予備の服はあるからよ」
「…………わかりました」
確かに戦いでボロボロになり、そこに愛子の吐瀉物まみれ。着替えるに越したことはない
「うぅ、すみません……服を汚してしまって」
手早く着替えを済ませた七海に、愛子は謝罪をする。自分の吐瀉物で他人の、しかも愛子にとってもう認めるしかない気持ちを持ってしまった相手の服を汚すなど、恥ずかしいことこの上ないだろう。
「かまいません。そんなことより畑山先生、解放者の見せる真実は、正直胸糞悪い物です」
今のあなたに耐えられるか?と、声に出さずとも、そう言われた気がした。ここに置いて行くことができない以上、どうしよもないが聞いておくべきことだ。
「…………っ!」
「…わかりました。……もうしわけない」
彼女の覚悟を、愚弄したわけではない。だが、そういうふうなっていたことに気づいて七海は謝罪をし、歩を進める。ハジメとティオは2人のその様子に色んな意味でドキドキしつつ、禿頭の男が消えていった場所に向かう。
「つか、何かあったらダメだろ。七海先生、俺が前に出るぜ」
「今の君の状態がわからない程愚かだと思いますか?」
先頭を歩く七海にハジメが言うが、しっかり釘を刺しつつ、拒否する。2重強化中の〝限界突破〟に、〝限界突破〟と同等の能力を持つ〝呪界到覇〟。今のハジメは見た目以上に疲弊している。正直七海なら勝てるレベルだ。とはいえ、それは万全の状態での話だ。七海のほうも反転術式の使用と、威力は控えめだが極ノ番を使っている。消耗は激しい。
「今は体力、魔力、呪力の回復にあててください」
「ん?じゅりょく?」
「あとで説明するって。…お」
呪力という言葉すら知らない困惑していた愛子にハジメが言っていると、先程の禿頭の男がまた現れ、こちらを誘導するように瓦礫の合間を進んで消え、また誘導するように現れる。そうして数分程歩いていると、目的地にたどり着いたのか、その男は真っ直ぐこちら見つめながら静かに佇んでいた。
「あんた、何者なんだ?俺達をどうしたい?」
ハジメの質問に禿頭の男は答えず、ただ黙って指を差す。その場所はなんの変哲もない瓦礫の山。そこに進めということだろう。
「問答をしても無駄でしょう。何かしらの魔法で見せているリアルな幻影でしょう。解放者本人と見て、まず間違いないとは思いますが」
「確かに、埒があかないのは事実だな」
愛子とティオに頷き合い、その瓦礫の場所に、慎重に踏み込む。その瞬間、瓦礫がふわりと浮き上がり、その下の地面が淡く輝き出した。
気付くと4人は全く見知らぬ空間に立っていた。黒塗りの部屋の中央に魔法陣が描かれ、傍にある台座には古びた本が置いてある。
(また、転移系統のものか?……おそらくここは大迷宮深部。あの爆発で、一気に道を作った結果なのでしょうか?)
考察する七海の側で、何がどうなっているのか理解できてない愛子は頭上で【?】を出しまくっている。
「畑山先生、行きましょう。おそらく、あの魔法陣に入れば、神代魔法を手にするという所でしょう。……今まで通りなら、ですが」
正直これまでの大迷宮と違い、攻略という手段を行っていないかもしれないと踏んだ七海は、ハジメ達を一時静止させ、自分だけで向かうように言う。
「罠ってことか?」
「これまで大迷宮を見てきましたが、どれも解放者の精神を疑いたくなるものばかりでしたからね。ちなみに、私の攻略してない大迷宮は、そうでない所はありましたか?」
ハジメは苦い顔をして否定をする。
「さすがに、入ってすぐ死ぬような物はないとは思いますが、一応です」
七海は一歩ずつ、魔法陣に向かい、その手前で止まる。
(この空間内、魔法陣手前までは罠はなし。あとは、ここか)
意を決して内部に踏み入れる。瞬間、メルジーネの時のような記憶精査と、それとは違った感覚が訪れた。否、似た感覚を、七海は知っている。
(この感覚は、あの時と)
ツギハギの呪霊、真人。それに自身の魂を触れられた時のような、そんな気持ち悪い感覚に似た…
「っ!」
咄嗟に七海は自身の身体のあちこちを触りだす。その様子にハジメ達は流石に警戒する。
「だ、大丈夫か!七海先生!」
「………大丈夫です。どうやら…ただ、皆さんも」
振り向いた瞬間
「⁉︎」
多大な情報が七海の頭に入り込む。ハジメ達が何か言っている。それはわかる。だがそれ以上に、見えるナニかに、処理が追いつかなくなり、膝をついて倒れる
「七海先生!」
「罠じゃったのか⁉︎」
「オイ、しっかりし」
「大丈夫です」
先程の情報過多による苦しみはない。だが、その表情は………そう言う七海の顔は、まるで大丈夫ではない。疲弊と、
「なんだ?なににビビッてるんだよ、先生?」
「…わからない、ですね」
深く、何度深呼吸をしたか、七海は理解できていない。それでも、何度目かの深呼吸で、ようやく落ち着きを取り戻す。
「取り乱しました。もう大丈夫です。前に、似た感覚を味わっているのが、原因の1つだと思いますが」
「似た感覚?」
「自分の魂に触れられる感覚…とでも言いましょうか。詳しくは後で話しますが、最大死因と言えば、南雲君とティオさんなら理解していただけるかと」
「「あぁ〜」」
「え?え?なんですか?」
2人だけに伝わり、自分だけ話から置いていかれてちんぷんかんぷんな愛子はまた頭上に【?】をだす。
「私にとっては罠でしたが、君達にとっては大丈夫だとおもいます。……正直気色悪い感覚ですが」
「「「それは大丈夫とは言わない〔のじゃ〕[です]」」」
3人からの的確なツッコミを聞くが、それでも七海が「神代魔法の情報が流れて来ました」と言うと、ハジメ達は恐る恐る陣内に踏み入れる。
「「「!」」」
3人は先程七海から言われたように、自分の深い部分、七海曰く、魂に触れられる感覚を味わい、思わず呻き声を上げるが、すぐに霧散していき、頭の中に直接、魔法の知識を刻み込まれた。
「……魂魄魔法?」
「うーむ。どうやら魂に干渉できる魔法のようじゃな」
「なるほどな。ミレディの奴が、ゴーレムに魂を定着させて生きながらえていた原因はこれかって…七海先生、どうした?さっきとはまた違って、なんつうか、不快な顔してるぞ」
「いえ、別に。ただ、因果なものだなと思っただけです」
自身の死因たる魂に干渉する術式とはまるで違う。それはわかる。だが、何か不快であった。何より
「………」
七海は自分の掌を見て次に胸に触る。鼓動が手を伝って感じる。今、少なくとも今、自分は生きているんだと、受け止めた。
「畑山先生、大丈夫ですか?頭の中と、魂に干渉を受けたのですから、辛いとは思いますが」
「だ、大丈夫です。ちょっと落ち着くのに時間かかりそうですけど」
「意識をしっかりと持ち、情報を頭にしまい込むイメージを持ってください。…南雲君、そっちの本は?」
「どうも、ここの神山大迷宮の創設者、ラウス・バーンって奴の手記みたいだ。前にオルクスでも似たような物は見たが、内容は大体同じだな。他の解放者との交流とか、この神山で果てるまでこととかが書いてあるな。ぶっちゃけ興味ねーが」
そういうとパラパラとサクッと読み飛ばしていく。いわば歴史的書物にも値し、しかも解放者という常人が送るであろうものとは全く違う人生の書を、このように扱われるとは、ラウス・バーンが哀れにも思うが、実際七海も彼の人生に興味はないので、ハジメの行動をスルーする。
そうしていると「お」と軽くハジメは反応し、少しそのページを見る
「なるほどな。やっぱり、さっきの禿頭がラウス・バーンみたいだ。あれが映像として現れた時点で、ほぼ攻略は認めていたようだ」
ハジメ曰く、あの映像が現れるには幾つか条件を満たしている必要があった。2つ以上の大迷宮攻略の証を持っていること、おそらくもっとも認めるか大事な部分、神に対して信仰心を持っていないこと、神の力が作用している何かの影響に打ち勝つこと。
攻略の証を1つも持たない愛子が認められたのは、後者の2つが大きいだろう。長い期間教会関係者の影響を受けてもなお、全くブレることのない生徒達への想い。その教会関係者を打倒する為の手助け。これらが判断材料であると七海は推測した。
「もう、大丈夫です。それにしても、すごい魔法ですね。確かに、こんなすごい魔法があるなら、日本に帰ることのできる魔法だってあるかもしれませんね」
「………同時に、危険な魔法でもありますけどね。正直今までの神代魔法の中では1番のレベルの」
「………そんなやべぇ奴だったのかよ、七海先生を殺した呪霊って」
「え?殺したって…え?」
「その質問に答える前に、ある程度ですが畑山先生にも言っておくと、私はあなたや南雲君のいた地球とは別の世界の地球にいました」
「え……えぇ⁉︎」
突然のカミングアウトに愛子は素っ頓狂な声をあげる。
「その世界で私は死に、気付いた時には南雲君達の地球にいました。…多少若くなった姿でね」
「で、その世界ではマジもんの呪術師をしてたんだってさ。さっき言ってた呪力ってのも、その力の源だ。ちなみに俺はこの身体になった影響か、呪力を使えるし、当然見える」
「そ、そんなことが、えと…冗談じゃ、ないですよね…七海先生ですし」
これまでの七海を見て来た愛子はそれをなんとか受け入れる。
「詳しくは後で。それより、神代魔法の場所もわかり、我々に関してはもう手にしたのですから、早いとこユエさん達に合流しましょう」
「あっ、そうです!王都が襲われているんですよね?」
「それに関してなんだが、どうもユエとシアは姫さんとは離れて、魔人族の連中と殺り合ってるらしい」
「……白崎さんは、さすがに」
「ちゃんと護衛してるよ」
「ならいいです。彼女がいるなら、並大抵の相手なら対処できるでしょうし、引き際もわきまえている」
まさかあっさりリリアーナから離れているとは思わず、少々リリアーナを不憫に思っていた。
一方で愛子はその話を聞いても心配そうであり、それを汲んで七海は催促し、下山を開始するのだが
「あの、七海先生?まさかと思うんですけど」
「舌を噛まないようにしてください」
以前来たようなリフトも、今は破損して動かない。だが最速で向かう方法。それは、神山からの
〝空力〟が付与された呪具があるからできる行為だが、そんなこと知らない愛子の悲鳴が木霊し、8000メートルの落下中に気絶しなかったというある意味不運によって、愛子はグッタリしていた。七海に抱えられているという状況を上回る絶叫アトラクションもびっくりな体験に、身体が追いつかないのも無理はない。
地面に降り立つと、所々で火の手が上がり、悲鳴も上がるが、数人の、着ている服が少しボロっとして、顔つきも厳つい者もいるが、しっかりした声で避難誘導をする怒号が目に入る。狼狽える騎士達よりも、よっぽど有能だ。
「メルドさんの采配でしょうね。おそらく、パーンズさんのいたスラムの人達でしょう」
焼け野原になった場所で、真っ先に立ち上がって瓦礫を退けるのは、ヤンキーのような人と言う者もいる。彼らはスラムの人間だが、パーンズがこれまで面倒を見ていたのなら、あの行動も頷ける。
ともかく、今は愛子を送り届ける為に、香織のいる場所に向かう。
そこには
「ハジメ、く」
片目が〝虚ろ〟になった香織と、
「まさか、それは」
「ひひ、ひひ、ひひ、」
檜山
今回の話と次の話。どっちを先にしようか悩み、まずこちらにしました。そしてそのまま香織サイドの描写といこうとしたが、すでに8000文字以上なうえにまだまだ書く内容があるので、一旦区切りにして、分ける選択をしました。
で、次の話も書いてまとめて出すつもりでしたが、その次の話の区切り部分が今回とほぼ同じの為、次の話は更にその次の話ができてから出そうかと悩んだり、書き足ししながらしていました。
要はなにが言いたいかというと、俺って文才ねぇーって話です。
結局悩みましたが今日明日中にもう1話出します
追記やっぱ納得できないので
おいときます