ありふれたやり甲斐と生き甲斐を探して   作:戦鬼

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年末年始は基本的に忙しいのですが昨日丸一日休みもらい、今日は16時から22時まで

いつも頑張ってるからと言ってたけど信じていいのだろうか………


奸知術数②

一度決まるとそこから先はホイホイというところか、翌日には用意されていた馬車に乗り、大迷宮のある宿場町ホアルドに移動する。

 

「昨日私が行くと決めて報告してから、随分と早い用意ですね。」

 

馬車の中で大人2人は会議をしているがそのうちの1人、七海は少々イラっとしていた。

 

「俺じゃないぞ、用意したのは」

 

メルドは落ち着かせるように言う。曰く、教会からの手回しらしい。随分前から用意をしていたそうだ。

 

「彼らに迷宮へ行く事は伝えていませんが……どこかで監視をしていたようですね」

 

「俺とは疑わないのか?」

 

「いまさらあなたを疑うほど、短い付き合いとも思っていませんよ」

 

これまでの関わり合いで、少なくともメルドや訓練に協力している騎士団は、信用に値する人物であると七海は考えており、共に訓練内容を考えるまでになっていた。

 

「すまんな」

 

「謝らないでください。呼び出したのはあなたでもない。この戦争を始めたのもあなたじゃない。我々への想いと、上からの対応に追われているのはよくわかります。それよりも、向こうに着いてからですが」

 

七海はこの世界に来てから現代社会ではあまり感じる事のない馬車の揺れを感じつつ、訓練の流れを計画した。

 

 

宿場町:ホルアド

オルクス大迷宮へ挑戦する者達に一時の安らぎを与えるために作られた町。冒険に必要な装備、食料、バックパックなど多種多様な商品と迷宮で金を稼いだ冒険者から金をとるレストラン、ホテルがあり観光地ともなっている。

 

「人の往来はかなりありますが……治安の方はなんとも微妙ですね」

 

「冒険者は多種多様だからな。おまけにプライドも高い、ちょっかいは出すな」

 

「しませんよ。私をなんだと思ってるんですか」

 

とメルドに七海は言うが、周囲を歩く強面でアーマーや剣など武器を身につけて歩く者達がいるのは正直異色であり、ここが異世界だと改めて思わせる。

 

「いよいよ明日、オルクス大迷宮に遠征だが…今日は宿をとってある。王国直営の宿だから、ゆっくり休んでおけ」

 

メルドから言われた皆は兵士の案内で宿に向かおうとすると、その場を離れる人物がいたので光輝が話しかけた。

 

「七海先生、どこに行くんですか?」

 

七海は皆と離れ、2人の兵士と別の場所へ向かう。

 

「建人は先に迷宮に潜り、内部の様子を見てくるそうだ」

 

「それなら、俺も……」

 

「君達の安全を確保する為に、先に潜ってどのように君達が動けば良いか確かめるんですよ。大丈夫です、騎士の人がサポートについてくださりますし、10階層までなのですぐに戻ります」

 

光輝はやや不満な顔をするが、雫や龍太郎が「七海先生なら大丈夫だろう」と言うと納得する。というよりせざるを得ない。実際訓練で七海と相手をしてきた3人は1度も攻撃されていないが、それは七海が全ていなし、防ぐ為だ。当然それが相当な手加減をされているのも理解している。「わかりました」と光輝はどうにか納得して宿へ向かう。

 

「それにしても、別に私ひとりでもよかったのですが?」

 

「バカを言うな。お前なら10階層など余裕だろうが、こちらはお前達の安全も任されているんだ。それに彼らは防御魔法と回復魔法の使い手だ。いずれはあいつらに追い越されるだろうが、それでも俺の自慢の兵だ。邪魔にはならんよ」

 

「「よろしくお願いします、建人殿‼︎」」

 

2人の兵士がビシッと姿勢をただし、ハキハキした声をだして言う。

 

「自分、パーンズです‼︎建人殿、あまり役にたたないでしょうが、共に行動させていただきます‼︎」

 

「わたくしはマッドです。お役に立てれば光栄です」

 

「………(何ですか彼らの眼差しは)」

 

「(どうもおまえの人間性と強さに惹かれたそうだ)」

 

こそりと話しを聞いてやれやれだと七海は思っていた。

 

「では、彼らの方をよろしくお願いします。夜までには戻るようにしますので」

 

スタスタと七海が歩くと、連れとして来る2人の兵は足取り良く来る。多少面倒に思いつつ定時に終わらせるように、入ったら少し急ごうとも考えた。

 

 

 

オルクス大迷宮の入り口は七海の想像と違い、『美術館か博物館の入り口です』と言われても納得な立派な扉のついたもので、おまけに受付嬢までいる。死亡者を把握する為という事でステータスプレートを出すとその数値を見てギョッとされ、パーンズが「内密でお願いします」とお金を渡していたのを見て、悪いことをしてしまったなと七海は思い、後でご馳走でもしようと考えていた。

 

入ってみると入り口とは打って変わり、多少薄暗いが通路に埋まってる鉱石が発光しているので道はしっかりわかる。

 

「建人殿の言う通り、やはり我々はいなくてもよかったかもしれませんね」

 

マッドが申し訳なさそうに言うが七海の方はわりと感謝している。

 

「そうでもありません。私が倒しもらした魔物相手に戦ってくださってますし、なにより今回はどの程度の魔物が存在しているか、どのようなルートを進むかという彼らの安全を確保しやすくする為の小遠征ですから。それに見た限り、あなた方は強い。少なくとも現状の彼らよりは」

 

「いや、そのようなことは……」

 

「ステータスプレートに記載されている内容ではなく、あなた方の戦い方の方です。経験が多い分、戦い方に無駄がない」

 

七海の強さはステータスプレートからでもわかるが、それがなくとも彼らは歴戦の騎士。すぐに自分達とは違うなどわかる。そんな強者に、しかも尊敬ができる人に言われるのは嬉しいものであった。

 

「ところで建人殿…今更なのですが、そのような装備でよろしかったのですか?失礼とは思いますが、とても迷宮を探索していくようには見えません」

 

「マジで今更だろマッド。それに訓練の時もこの姿だ」

 

彼らが言うのも無理はない。生徒達は王国の宝物庫から装備を受け取っており、なかには特殊な能力が付与されたアーティファクトもある。だが七海はその装備を一切受け取らず、この世界に来た時の薄い水色のワイシャツに薄い鼠色のサラリーマンを彷彿とさせるスーツのまま。武器はハジメが作った大鉈で、この大鉈もどうにか薪割り程度には使えるが魔物の肉を斬り裂くには向かない鈍だ。大鉈がなければただのサラリーマンである。

 

トータスにサラリーマンという概念はないが。

 

「私は教会に喧嘩を売ったようなものなので、借りは作りたくありません。それに、あまりゴテゴテした装備は動きにくいですし、このままの方が戦いやすいんです。まぁ安心してください…フッ!」

 

近付いてきた魔物を、七海は一刀両断する。ぴくぴくと動いた後、出血と傷のダメージで絶命した。

 

「並大抵の相手なら充分です」

 

本来なら魔物が近づいて来た時点で2人は報告するのだが、もうそんな必要はないことはわかる。七海はすぐに魔物の位置をかぎつけ斬る、もしくは殴り倒す。突然襲ってきても平常心を崩さず、それどころか話しながらでも倒すほどだ。

 

「そんなことより、さっさと終わらせましょう。この程度なら思ったより早く終わりそうです。残業は嫌いなので早いなら早いだけいいです」

 

「あっはい!少しお待ちください魔石を回収するので」

 

「建人殿をあまり待たせるなよマッド‼︎」

 

「…急かしてるわけではないので」

 

既に10階層に到着しており、11階層へ行く階段まで行って終わりにする予定だ。正直残業になるなと思っていた七海はちょっとホッとしていた。

 

(最初に魔物の事を聞いた時は全て1級呪霊クラスと認識していましたが、今まで戦った相手はどれも蝿頭〜4級、よくて4級強。この先の魔物がどれほどかはわかりませんが、少なくとも10階層までは今の彼らなら大丈夫ですね)

 

あっという間に11階層前まで到着した七海は腕時計を見る。

 

(ふむ、急げばなんとかなりますね)

 

そう考えて七海は2人に少しだけ12階層の魔物と戦う事を言う。2人はお互いの目を見て、そしてここまでの七海の戦いを見てコクリと頷いた。

 

 

 

(しくじりましたね)

 

11、12階層の魔物もそれほどの相手ではなかった。だが別問題が起こった。

 

「うぅ、すまない」

 

「いいからじっとしてください。回復魔法をかけますから」

 

「パーンズさん、そのまま彼らを守っていてください。周囲の魔物は私が蹴散らします」

 

「承知しました‼︎」

 

ほんの少しの相手をするだけだったが奥から悲鳴が聞こえ、向かうとどうやら駆け出しの冒険者達が魔物に囲まれており、複数の怪我人を1人が傷つきながら守っていた状態だった。見捨てる事などできるはずもなく、駆けつけてパーンズが防御魔法で結界を作り、その中でマッドが回復魔法で治癒をしている。そして七海は

 

「はぁ、残業ですか…残念です」

 

こうなったらさっさと片付けて帰ろうと考え、魔物達を粉砕していく。その姿を見たマッドとパーンズは、

 

((まるでストレスを発散しているようだ))

 

と思ったそうだ。

 

結局、傷ついた冒険者の治療と、抱えながら戻ったことによって、当初の予定を遅れてメルドを心配させはしたが、その行動を称賛し、そして初の大迷宮にもかかわらず12階層まで難なく短時間でいける実力に「流石だな」と称賛した。

 

 

 

メルドは「冒険者達が泊まっているという宿まで送る」と言って七海に休むよう促した。七海もそれを受け入れて宿へ向かう。日はとっくに落ちて皆寝ているであろう時間だ。

 

「……やれやれですね」

 

残業から帰ったのだからさっさと寝たい。だからといってそれを見つけてしまったのだから教師としては見過ごせない。そう考えてスゥと移動する。

 

「じゃ、また明日ね南雲くん」

 

「うん、また」

 

「何をしているんですか?白崎さん南雲くん」

 

「「うわっ⁉︎七海先生‼︎」」

 

「こんな時間に南雲くんの部屋で男女が2人きりとは…正直ガミガミ言いたくありませんが、私も教師なので言わせてもらいます。君達の年齢なら男女の仲になる人もいます。しかし、いいですか、ここは異世界とはいえ君たちは学生です。節度ある行動を…それと修学旅行ではないのですからもっと緊張感を持ってください」

 

お説教に2人は何も言えず、俯いて「「はい」」としか言えなかったが、どこかおかしくて少し苦笑いが出ていた。

 

「何がおかしいんですか?」

 

「「すいません」」

 

当然バレてそれも怒られる。

 

「それと、そこで聞いている方もトイレなのか眠れないのかわかりませんが、早く部屋に戻って寝てください」

 

何者かが聞いていることに気づいた七海は、その気配がある方に注意すると、ドタバタと音がして、バタンと扉が閉まる音がした後、静かになった。

 

((き、聞かれてたんだ))

 

「さて、あなた方のお説教はまだ終わりませんよ」

 

((やっちゃったなぁ))

 

と2人は思いつつ、七海のお説教を聞くハメになった。

 

 

翌朝、早朝にオルクス大迷宮の正面入り口の広場に全員が集まっていた。緊張を持つ者、恐怖のある者、好奇心のある者、様々だ。

 

「香織、大丈夫なの?昨日外の空気を吸いに行って帰りがちょっと遅かったけど、やっぱり寝不足?」

 

「あーうんまぁ、実は」

 

「夜遅くに南雲くんの部屋に行って話をしていて、そこに迷宮から戻った私が発見したのでお説教をしていたからですよ」

 

七海にそう言うと、雫はハジメの方を見る。確かにそちらも少々寝不足気味だ。

 

「なにやってるのよ…」

 

「えへへ、ごめんね」

 

「無理をしているのなら、私からメルドさんに頼むので、宿で休んでもいいんですよ?」

 

一応こうなった原因にもなっている七海はそう提案するが、ハジメは迷宮に行くのかと聞いて行くと答えると「ならいいです」と言って、香織は宿に戻るのを拒否した。

 

「それに、約束しましたから」

 

「そうですか…くれぐれも無理をしないように。まぁそれは他の方々にも言うことですけども」

 

七海はそれだけ言って前にいるメルドの方へ行き、訓練の最終確認を行う。その後メルドが激励の言葉を生徒に言い、出発する。内部は七海が見た時と変わらず探索もできるほど明るい。

 

「早速ですね」

 

壁の隙間、おそらくその魔物の巣なのか、灰色の二足歩行のネズミの様な魔物が現れる。二足歩行ネズミとはいえ、某レジャーランドのキャラクターのような愛らしい感じは0だ。上半身は割れた腹筋と膨れ上がる胸筋の部分は見せつけるように毛がないので気持ち悪い。現に数名が引いていた。

 

「昨日も倒しましたがあれは何ですか?」

 

「ん、あれは……」

「あれはラットマン。素早い動きで攻撃をするけど、攻撃自体は単調なものが多く、攻撃力も低いから、素人でも慣れれば簡単に倒せる魔物です」

 

七海の問いにメルドが答える前に、ハジメがスラスラと答えたことが驚きのようで、メルドと、そして口には出さないがハジメを弱者として考え、それをどうにかしようと、鍛錬をしていないハジメを軽蔑していた光輝も驚いていた。

 

「日々の勉強の成果ですね。魔物の情報が知りたい方は南雲君に聞いてください。彼は一通りの魔物の情報を持っているので」

 

七海は肩をポンっと軽くたたき、称賛するとハジメは照れていた。

 

「さて、聞いての通りです。今までの訓練通り戦ってください。ただし、勝てないと判断したらすぐに下がってください。その時は私が相手をします」

 

七海の言葉にハッとなって気を引き締めて挑み、ラットマンを殲滅した。それは良いのだが、オーバーキルすぎて魔石が回収できないそうだ。魔石はこの世界では日用品にも使われるほど重要な物で回収はしておく物だ。それごと倒したらあまり意味がない。

 

「では交代でやっていくとしましょう。それと、浮かれすぎです。緊張感をもってください」

 

迷宮の魔物を倒し浮かれている皆に注意をしつつ進んでいく。今回参加したのは生徒全員ではない。今でも戦うのが怖いと城で待機している者がいる。

 

「ったく来ない奴ももったいねーよな!臆病者どもが!」

 

「まったくだな‼︎こんなの楽勝じゃん!」

 

そんな彼らを嘲笑している檜山グループの4人は他の生徒から険しい目で見られている。

 

「死を恐れるのは人として当たり前の行為です。彼らも正しい行動をとっています。それと、浮かれないようにと言ったはずですが?」

 

静かな声と目線で注意された檜山グループ、特に檜山は七海を睨むが、そうするたびに彼は想い人の香織に嫌われていくのに気づかない。

 

そうこうしながら特に問題なく階層を降りて行く。昨日七海が来た11、12階層も超えていく。道中の魔物はハジメの解説で動きも弱点もわかるので皆サクサク進んでいる。檜山達がハジメの説明を聞かず先走り、危なかった時はすぐに七海が倒し、そこから彼らはおとなしくなった。

 

「この先が20階層ですか」

 

「あぁ。1流かどうかをわける場所だ。戦闘面はまだまだ経験不足だが、まぁ大丈夫だろう」

 

「トラップの方はお願いします(私も出来るだけ観察するとしましょうか)」

 

致死性のあるトラップもこの道中で何度かあったが、それらはフェアスコープというアイテムで魔力の流れを感知し発見ができる。だがそれなしでも七海はわかる。七海は魔力感知の技能があるが、それは光輝より使いこなせていた。魔力の流れを呪力の残穢を見るように観察すると、どこにトラップがあるかがわかった。

 

(エネルギーとしては魔力と呪力は似て非なるものといったところでしょうか)

 

だから見えるのかと七海は思いつつ、進んで行く。

 

21階層へ行く階段がある場所が今回のゴールだ。ここから先は複数の魔物が連携をとりつつ襲ってくるものがいる。今までとはレベルは上がり、さすがに勝てるだろうが少々苦戦する者が出てくるであろうとメルドも、七海ですら思っていたが、

 

「あの魔物は複数で連携してくるけどリーダーがいる。それを先に遠距離から倒せば瓦解する。__あいつは最後に倒した方がいい。高い防御力だけど攻撃手段がほとんどないから、あれに攻撃してるうちに他の魔物からの攻撃が来ちゃうから__あいつは距離を詰めたら何もできない。ドンドン近づいて攻撃して」

 

生きる為、頭に魔物の事を叩き込んだハジメの説明もあり、あっさりと突破していく。ここまでくるともはや魔物博士というあだ名がハジメにつきだし、あの光輝も感心して感謝をしていた。

 

「まさかあそこまで勉学しているとは」

 

授業中寝ていてもきちんと平均点を超えるあたり流石と思いつつ

 

「できるなら私の授業もしっかりしてほしいものですね」

 

と七海が言って周りがぷっと笑っていたが、別にバカにしたものではないのはハジメもわかるので照れるだけだ。予定より早く進み目的地付近に来た時、ストップをかけようとメルドがする前に、またハジメが待ったを出す。

 

「多分あれ、擬態してる。確か…っロックマウントだ!」

 

説明し終える前に、バレているならしょうがないと言わんばかりにそのモンスター、ロックマウントは動き出す。

 

「ロックマウントはすごい豪腕だけど動きは鈍い。それと戦闘になると比較的に強敵に攻撃してくる傾向がある!天之河君、気をつけて!」

 

ハジメの言う通り前衛組の中で強者である光輝達を相手に飛びかかる。七海に攻撃しなかったのはハジメ達後衛を守るため後ろにいたからだろう。だがハジメの解説もあり楽に倒せた……光輝が無駄に大技を使い、メルドから怒られる事態になったが。

 

「はぁ…天之河君、今のはそんな大技を使わなくても勝てたはずです。勇者という肩書きがあるとはいえ、もっと自重してください」

 

メルドと七海、2人から叱られ、バツが悪そうに光輝は謝罪していた。

 

「さて、今回はここがゴールですが、私は21階層に降ります。とは言え様子を見に行くだけなので、すぐ戻りますからここで待機してください。…メルドさん、彼らの護衛と警護を」

 

「わかった。それと、お目付役じゃないが彼らも連れて行け」

 

とついてくるのは昨日ともに入ったパーンズとマッドだ。任せてくださいと言わんばりに気合いが入っている。

 

「すっかりなつかれたな」

 

「………」

 

メルドに耳元で言われた。自分の部下なのにいいのかと七海は思うが、口に出さず下に降り出す。七海達の姿が見えなくなった時、

 

「……あれ何かな? キラキラしてる………」

 

手持ち無沙汰になった生徒の1人、香織がふと先程の攻撃で崩れていた壁を見る。

 

「ほぉ〜、あれはグランツ鉱石だな。大きさも中々だ、珍しい」

 

悲劇を起こす鉱石がキラリと輝いていた。

 

 

 

そんなことなど知らず、七海は階段を降りて21階層についた。ちょうどその時魔物がいて襲ってきたが

 

「当然の如く瞬殺…もう慣れましたね」

 

「建人殿なら、当然だ‼︎」

 

マッドとパーンズの称賛を聞き流し、七海はここの魔物を観察、考察をする。

 

(先程のロックマウントは多少は狡猾に動いていましたが、それでも3級弱といったところ…今の魔物もそこまで強敵ではない。しかし…)

 

七海は今日の彼らの戦い方を見てある訓練をしようかと思うが、

 

(かなりキツイものになりますし、とりあえずメルドさんと相談してからですね)

 

そして戻りだし、階段を登っていると上の方から強い光が階段下までくる。何事かと思い、3人共走り出す。

 

「どうしま…⁉︎」

 

「ッ⁉︎建…」

 

この世界に来た時と同じような魔法陣が彼らの足元にあり、どうにかしようと逃げていた者達含めて白い光に包まれ、光が消えるとそこには誰もいない。

 

「今のは、転移魔法!」

 

「‼︎おい‼︎あれだ‼︎たぶんあのグランツ鉱石…あれにトラップがあったんだろう…クソッ‼︎何やってんだ‼︎フェアスコープで見なかったのか⁉︎」

 

すぐさま七海もそれに触れ移動しようとするも、

 

「ダメですね」

 

トラップが発動し終え只の鉱石となっていた。

 

「転移魔法なのは間違いないです。今まであった記録からして、おそらくここよりかなり下の階層に移動したかと」

 

「……パーンズさん、私に防御魔法を付与してマッドさんと共に地上へ行ってください。応援と医療班をお願いします。私はこのまま下に降ります」

 

「危険です‼︎それに今までの記録を考えるとおそらく完全マッピングの出来た47階層より下の可能性が高いです。どこにいるのかなど…」

「わかります」

 

その言葉に2人は「は?」と首を傾げた。

 

「この鉱石についたトラップの魔力の跡…残穢とでもいいましょう。それが私にはわかります。それを感じながら降りればどうにか」

 

そんなことまでわかるのかと驚愕する。七海の言う通りその流れを辿れば着くことはできる。だが2人は仮にそれが本当だとしても、下に行けば行くほど魔物も強くなる、防御魔法も長くは続かない。それらの不安があるが

 

「彼らの命が大切なのはあなた方もでしょう?私を信じてください」

 

会ってそれほど過ごしていないが、それでも七海のステータスと強さを知る2人は信じることに決めた。

 

「「御武運を」」

 

そうしてパーンズが魔法を七海にかけた後、2人は上の階層に向かい、七海は下へ向かう階段を降りるため再びそちらを向く。

 

「さて、いきましょうか」




魔力にも残穢。ありでしょうかね?
ここから少しずつオリジナル設定が出てきます。

オリキャラ
パーンズ
 
元スラム出身で親はいない。病死です。家名はない。真っ当な生き方をしたいと思いつつも盗みをしながらスラム連中をシメていた。
ある時盗みをしたスラム仲間が騎士の1人に捕まっていたので助けるためにそいつにタックルして気絶させたが、仲間が捕まらないよう自首する。が、メルドにそのタフさを気に入られて騎士になるよう進言された。防御魔法の使い手。耐久ならメルドより上、スラムにいたのでちょっとバカっぽいが騎士になるため勉強して読み書きもできる。他の騎士団のメンバーと仲は良い。コミュ力高め。来てすぐに暴力をふるった相手に速攻土下座で謝っていきなりすぎて怒る気にもならず許された。というかその相手がマッド。対象的だがそれが逆に仲良くなる。
七海の強さと人柄に敬意を示している。今の夢は家族を持つ事
 
マッド・ツエリー
 
田舎貴族出身。両親健在で兄と妹がいる。仲は良好。本を読むのが好き。後を継ぐ兄が病気になったさい、自分なりに看病して元気になったの見て医者を目指すが、両親の意見で騎士団の医師になるよう進言される。目的に変わりないので受け入れる。王国に着いたらもとからあった回復魔法の腕と子供時代から身につけた医療知識ですぐに認められる。騎士団の一員として武術もかなりいける。魔力と魔耐はメルドより上。その後騎士団に入ってきたパーンズに付き纏われる「許してくれるまで謝る‼︎」と言って来て既に許していたが「許してるから」と言うまで来ていた。コミュ力は低かったがパーンズと会話してるうち上がってきた。七海の強さと人柄に敬意を示している。最近妹がこちらに来た際パーンズに気があるとの事で複雑だがそのうち紹介しようと考えている。


名前の由来?ヒント:頭文字、呪術廻戦
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