ありふれたやり甲斐と生き甲斐を探して   作:戦鬼

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ためてたさんぽシリーズを一気に出します
理由は、出すタイミングがなかったので(正確に言うなら、どこかに挟むより、王都侵攻編が終わってにしようと思ったから)

もうひとつは、次の話が、だいぶ長いものになりそうで、しばらく時間かかるので、そのお詫び的なもので


ありふれさんぽ『呼び出し』『似合わない』

【呼び出し】

 

 

教師、七海建人の夜は長い。次の授業の整理から始まり、のちに出すであろう小テスト作成や、その日あったことのまとめ。ここ最近はいずれする家庭訪問のことも計画したりなど、まぁやることは多い

 

「ふぅ、こんなもんですかね」

 

しかし、それらを手早く行えるのも、社会人経験の豊富さと、持ち前の教師として優秀なところもあったのと、いつもより作業量が少ないのもあって、多少なりとも余裕のある時間があり、テレビとつまみに作った肴で、短くも楽しいひとときを過ごすことはできる。

 

「今日のビールは、北海道フェアで買った地元限定のビール。アルコール度数は少し高めだが」

 

明日は休み。こういう時にこそ飲むに限る。汚してはならない物をしっかりとしまい、テキパキとお皿、箸、スプーンを用意して事前に作った食事を並べる。食事は暖かいうちに、出来上がったうちに。

 

「………フフ」

 

普段生徒達の前で見せない笑みを見せ、冷凍庫に入れてキンキンに冷やしたグラスに、プシュっと爽快な音を立てて、少しだけ泡が缶からでたビールをトクトクと注いでいく

 

「では、早速」

 

まず一口っとグラスに口をつけ、今まさにビールが口に含まれる瞬間、置いていた携帯が鳴り響く。

 

「……?」

 

無視しても構わないが、映し出された番号は学校関係者の物。万が一の場合もある。酒を飲んで多少なりとも酔っている時ではないので、渋々それに出る。

 

後に七海は、「出なければよかった」と後悔する

 

 

ネオンが輝くくらいにはいい時間の夜の街。ただ、学生がうろつくにはギリギリちょうどいいくらいの時間。多少浮かれて行動するくらいなればまぁ、許せるだろう。そんな時間

 

「それで、なぜ君達が、こんなところにいるのか、聞いてもいいですか?」

 

生徒達からちょっと目付きが怖いと言われている七海の目が細まり、若干イライラしているのが顔に出てしまい、目の前にいる2人はビクゥとなる

 

「白崎さん、八重樫さん、ここはゲームショップです。それはいいです。君達はまだ子供、ゲームで遊びたいと思うでしょうし、理解はできます」

 

香織と雫はそれぞれ目が泳ぐ。言い訳を考えているのか、それとも何をどう言ったらいいのか困っているのか。だがそんなこと関係ないとばかりに七海は更に続ける。

 

「問題なのは、君が、君達が成人用のゲームコーナーに突入したことです」

 

七海の斜め後ろにはそこの店員が多少同情したような顔で佇んでいる。

 

「正直電話で聞いた瞬間は耳を疑いました。君達2人は成績も優秀で聡明な子だと思っていたので。まぁ、君達くらいの歳なら、そういう性知識に興味が出てもおかしくはないかもしれませんが、物事には順序という物があります。というか、そもそもこんな所にわざわざ来なくても、今の時代ならいくらでも調べる手段があるでしょう」

 

年頃の子が性知識を求めるのはわかる。調べるなとは言わないし、見るなとも言わない。なんでわざわざ店員のいる、しかもアダルトゲームなのかと言う。

 

「しかも、店員さんに対しての言い訳が父親のお使いって、どんな言い訳ですか」

 

あまりにもぶっ飛びすぎな言い訳に、七海は頭が痛くなる。酒を飲んで頭が痛くなった経験などないが、そもそも酒を飲んでいないのにこのようなことになるとは、しかもそれが自分の生徒がとは思いもよらない。

 

「八重樫さんも、一緒にいたのになんで止めないんですか?そんな言い訳が通るとでも思ってたんですか、あなたも」

 

鋭すぎるツッコミがグサグサと2人に刺さる。七海が説教をするところは2人も見たことはある。正論と事実に基づいたもの+表情が変わることのない真顔の説教は学園で恐れられているが、2人の目にはそれ以上に、明確に怒っているとわかる顔に完全にびびってしまう。

 

「ともかく、今回の件は親御さんにも連絡はします。後日反省文の提出は絶対です。停学は……なんとかしてみます」

 

後日、両親同伴で2人はまた叱られることとなるが、それそれとして、帰宅した七海はビールを一口飲んだのだが、

 

「冷めているのは、温め直すとして……ビールは気が抜けていますね」

 

出鼻を挫かれたかのような、そして、後日のことを憂鬱に思いつつ、気の抜けたビールをグビっとのむ。

 

「………少し、苦味が強いですね」

 

果たしてそれは、ビール本来のものか、別のものか

 

 

【似合わない】

 

「似合わないんだよなぁ」

 

大食堂、話がひと段落すると真っ先に鈴が退出し、残った者で食事を始めたのだが、唐突に龍太郎が七海の方を向いて言う

 

「似合わないって?」

 

「いやさ、七海先生って呪術師なんだよな?」

 

「ええ、先程も言いましたが」

 

七海は雫の問いに対して言った龍太郎の言葉を肯定しつつ、紅茶のような飲み物を飲む。

 

「なんていうか、俺もそれなりに漫画とか読むけど、日本での様子とか、こっちの世界での戦い方の印象がデカすぎて、どうも呪術師ってのが」

 

「納得いかない…だろ?」

 

「そうそう!って…南雲?」

 

今まで話しを聞くだけで、ユエ達とイチャイチャ且つ、香織も含めた修羅場もどきをしていたハジメが、ここに来て急に話しに乗ってきた。が、随分と苛立ちが目立つような表情である

 

「いい機会だ、七海先生、言わせてもらう。もっとさぁ!呪術師らしい感じに戦えないのか⁉︎」

 

「いきなりなんですか。失礼ですよ」

 

呪術師らしくと言われても、自分は呪術師で、そう言った戦い方と知識をちゃんと持って戦ってきたと言うのに、今更なんだと七海は思うが、ハジメはさらに告げる

 

「だってよぉ、今まで七海先生がしてきたことといえば、切って殴って破壊してだろ!」

 

「術式も使ってますよ。というか、少し落ち着いてください」

 

ユエ達もポカーンとしている。

 

「そうだけど!もっとこうさ、」

 

 

(りっ)(ぴょう)(とう)(しゃ)(かい)(じん)(れつ)(ざい)(ぜん)……破‼︎』

 

「とかさ!」

 

「そんな、いちいち長々しく呪詩と掌印を結んでる暇があったら、接近して攻撃する方がいいでしょう。大抵の呪術師は、接近戦ができて当たり前ですし、下手にするよりも呪力強化で戦う方が絶対にいいですよ。だいたい、それはこれまでも教えてきましたし、君も納得してたでしょう?」

 

「他にもさ!」

 

(無視ですか)

 

 

『結!滅!』

 

 

「とかさ!」

 

「結界術は才能の部類で、私はそれがあまり得意ではない。術師の数だけ、戦い方は変わりますし、その者に合った戦いで、それを昇華させるのがもっともいい。無理に新しい戦い方を探すのは無意味でしょうに」

 

「あるいはさ!」

 

(また無視)

 

(なんか、南雲君がどんどん熱くなってきてる)

 

(龍太郎、藪蛇だったんじゃなないか?)

 

(俺もそんな気がしてきた)

 

勇者グループの3人はヒソヒソと会話している。普段ならハジメはその言葉を聞き逃さないが、熱くなった彼には届いてない。

 

(ハジメ君、なんかカッコいい)

 

(香織に同意するのは甚だ遺憾であるが、そうだと言わざるを得ない)

 

(あと、七海さんがだいぶお怒りですぅ)

 

(ああも無視され続けられたらの……むぅ、ちょっと羨ましいのじゃ)

 

ハジメグループの女子達もヒソヒソと話しているが、そちらも届いてない

 

「もう何が言いたいかって、呪術師っていうよりファイターなんだよ!戦い方がゴリラなんだよ‼︎」

 

「君が想像するような呪術師も存在しますし、刀とか銃を持つ人もいますが、基本はこの戦い方が主流ですよ。あと、ゴリラはいませんが、高専にはしゃべるパンダならいます」

 

「え、マジで!」

 

「パンダがしゃべるんですか!なんか、かわいい!すごく見てみたい!…あ」

 

「雫ちゃん、いや、でも、私もおんなじかな?あはは」

 

「なんでもありじゃないですか…呪術師って」

 

「光輝、俺が言うのもなんだが、もう色々と考えすぎない方がいいんじゃねーか」

 

「ところで、私はそろそろ怒っていいんでしょうか?」

 

わちゃわちゃした大食堂は、最終的にキレた七海が説教を始めた後で解散になったのは、言うまでもない

 

 

 

 

 




『呼び出し』について

仁義多責② で雫の中で七海が怖い先生のイメージがついたきっかけ。
七海、君はキレていい。

『似合わない』について

呪術廻戦のゴリラっぷりのある呪術師を見て、いわゆる王道系の呪術師を漫画で見てきたハジメの抑えきれないツッコミ。これはいつか言わせたかった

次の話なのですが、ぶっちゃけ6月中は出せそうにないかもしれない
それでも、7月3日には絶対出す予定です


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