出せたらいいな的でもう1話書いてましたが、見てテンション上がりました
ただ、少し悔しい。今回の話で戦隊を出そうとしてたのに、行けなかった。というのも、それ入れようとすると2万いくなと思ったので。その最大の理由は、前の話で出て来た彼女のせい。
そう、次回、彼女が来る
ヘルシャー帝国。フューレンで七海が入って直感で感じた不快感が、色濃く国全体にあるかのような、七海が入る瞬間ですらそう感じたのだが、入って感じたものはそれ以上であった。実用性第一で作ったような建物が並ぶ中、いきなり「建築基準法?何それ美味しいの?」と言う言葉が聞こえてくるような、建造物としてのマナーやら安全性を度外視している作りをしたものが時折建ち、ツギハギのように並んでいる。
「そこの旦那!買えよ、オラ!」
周囲の露店の店員の声はうるさいというより、押売りのそれに近い。七海が丁重にお断りをするも尚、詰め寄ってくる。武器付きで。
「ごぇぁ!」
「いちいち丁寧な対応すんなよ先生。言葉でダメなら、もはや暴力しかないだろ」
ハジメは自分に詰め寄って来ていたガラの悪い男の顎に軽く(ハジメ基準の)蹴りをくらわす。2、3回程空中で回転して地面にキスをする羽目になったが、自業自得である。それに蹴りが本気なら首が回転しながら飛んでいただろうから、温情な方であろう。
「それは極論すぎるような気もしますが、ここでは正解かもしれませんね」
と言いつつも、七海もしっかりと詰め寄っていた店主の頭をグーパンで殴り、気絶させる。たんこぶができるだろうが、こちらも自業自得である。だがそれよりも気になるのは、先程からハジメの周囲にいるユエ達に興味をもち、ちょっかいをかけて来る男達を次々と潰しているにも関わらず、周囲の人々はこのような暴力沙汰は慣れているのか、常にスルー。お陰で目立つというわけでもないが、ひっきりなしでハジメにちょっかいを出してくる。
「何にしても自己責任と言ったところでしょうか?ここまで来ると、もう清々しいも通り越しているような気もします」
「話には聞いてましたけど、帝国はやっぱり嫌なところですぅ」
シアの言葉に同意するように香織も「肌に合わないかな」と告げる。
「召喚されたのが、ここであったら、たぶん私は真っ先に君達を逃していたでしょうね。こんなところ、1分1秒でも君達にいてほしくはありませんよ。君達の教育にも悪い」
チラリ、と見るとそこらじゅうに奴隷が目に見える。というより、見ないということが帝国に入ってから1度もない。
「皆さん、決して離れないでください。こんな国では、我々の安全なんて、保証されていないのとほぼ同義です」
後ろからついてくる光輝達のグループにもしっかり告げる。当然だが、常に周囲に気を配っているので、彼らに何かしようものなら、七海の制裁でさっきの男以上に酷い目に遭うだろう。
(まぁ、それ以前に)
「おう、嬢ちゃん、ちょっとこっちこ…へば!」
「鈴に、触れてんじゃねよ!」
鈴にちょっかいを出そうとした…というより、鈴が小柄というのもあり何かしらの日本で言う犯罪行為をしようとしたのだろう。龍太郎が殴りとばす。だが、攻撃が浅いのか、男は立ち上がり、怒りの形相で詰め寄る為、立とうとした時だった。
「ちょ、鈴!」
雫のそばにいた鈴が無言でそちらに向かい、男の前に立つ。
「おい、鈴!下がってろ!」
鈴は何もいうことなく、男の前に立つと尻餅をついた男を見下しつつ、
「消えて」
男は舐めるなと言わんばりに掴みかかろうとしたが
「消えて」
その瞳を、見た。光のない瞳。自分なんていつでも殺せると言われるているような気がし、同時に人として見られていない気がして、地を歩く昆虫か何かを見る目に、怯えてしまった。そして更に鈴が一歩進んだ瞬間
「!ひっ、ひぃぃぃぃ!」
怯えたまま、慌てて男は去っていった。
「「「…………」」」
「谷口さん、今のは少し感心しませんね」
「相手を傷つけず、且つ騒ぎにもならないようにしただけですけど?まぁ、こんなところじゃ、多少の騒ぎじゃどうもしないでしょうけど」
3人がぼうっとしてる中、七海が注意を出す。
「だからって、わざわざ自分から自分を狙っている相手の前に出る必要性はないでしょうに。それと、坂上君にはちゃんとお礼を言って下さい」
七海の言葉に、鈴は「あ」と気付く。
「その、ありがとう、龍太郎君」
「!お、おう!その、なんだ、いつでも守ってやるよ!」
若干赤くなって言うが、
「雫も、光輝君も、私の前に立って守ってくれて」
既に鈴は光輝と雫に感謝を告げに行っているので、聞いてくれてるかは微妙であり、龍太郎は若干気落ちしていた。
「そ、そんなの、その、友達だから」
「あっ……ああ。当然の事を、しただけだ」
光輝は仲間だからと言いかけたが口にでなかった。前に鈴が言っていた言葉が刺さっているのか、どこか2人はぎこちない。それでも、歩み寄る気持ちは揺るがないようだ。それと、
「天之河君、よく我慢しましたね」
「え」
再び歩き出してから少しして、七海は光輝にそう言う。
「先程から、見えている奴隷達への帝国兵の対応に、怒りを見せても、行動を抑えていることがですよ」
その評価は口には出さないがハジメも同意且つ驚いていた。帝国に入って来てすぐに鞭で打たれている亜人族を見た瞬間、「やばい、天之河が動くな」と勘繰っていたのだが、見るだけで行動しなかったのだから。
「………正直、この国に入る前に言われた事がなければ、動いてましたよ」
*
光輝の言う事とは、帝国内で奴隷を見ても、彼らがどのような処遇を受けていても、感情を出すことまでは良しとしても、助ける為に動く事を厳禁とする事。当然と言えば当然だが、光輝は猛反発した。
『今回の目的は、シアさんの父親とその仲間達の捜索、又は救出です。まだ彼らの状況が分かりませんが、バルトフェルト君達の実力を鑑みて、彼らと同程度の実力を持っていながら、帝国から出れていないことを考えても、高確率で捕まっているとみていい。すなわち、人質をとられている状況です。下手に刺激を与えたり、騒ぎを起こして、彼らの生命を脅かす事となっては、本末転倒です』
『それでも、苦しんでる人や、死にそうな人を放っておけって言うんですか!』
『……では、条件としましょう。彼らを助けるにしても、リリアーナさんの外交に差し障りないよう、絶対に帝国の人間に1人としてバレる事なく、且つこちらの迷惑にならず、更に、助けた人達を2度と奴隷に堕ちないようにし、且つその代償が他の亜人族やフェアベルゲンに向かわない事を、しっかりと確立している事が条件です』
それができますかと言うと、光輝は言葉に詰まり、プライドを抜きにしてハジメの力を頼ろうと、ハジメの方を向いたが
『一応言っておくが、俺はお前のやることの手助けは一切しないぞ』
『なっ⁉︎シアさんの事は大切にするのに、他の苦しんでる亜人族は放っておくのか⁉︎』
『ンなに当たり前のこと言ってやがる。シアが他の亜人と同列なわけないだろ。大体な、俺はお前の御高説も、聞く気はないし、倫理観やら正義感について議論する気もなけりゃ、価値観を共有するわけでも、まして仲間になったわけでもない。今はお前達が付いてくる事を許可した【だけ】って話だ。もし時と場合もわきまえないで、こっちのやる事に突っかかるようなら手足を砕いて王国に送り返すぞ』
光輝は〝威圧〟のプレッシャーを受け、立ち尽くしてしまう。そんな中、七海は続けて言う。
『というより、南雲君の力を借りようとしてる時点で、自分ではできないと認めたようなものですよ』
容赦なく現実を突きつけると、それが止めになったのか、光輝は手を握りしめて完全に黙った。
*
(正直それでも1回くらいはなんか問題行動を起こすと思ってたんだがな)
納得はしてない事もわかっていたし、光輝という人間性を考えればありえない話でなはいが、それでも流石に無理だと判断したのだろう。
「帝国、胸糞悪ぃな」
「ああ。本当…に⁉︎」
龍太郎と話す途中、犬耳の亜人族の少年が、魔人族の侵攻で崩壊した建物の瓦礫の撤去作業をしている最中、躓いて手押し車に載せた瓦礫が散らかってしう。
「!」
監視をしていた帝国兵が棍棒を軽く逆の手で叩きながら近付く。なにをするかなど、誰が見てもわかる。
「ぁ、…ゃ」
光輝の声はいつもより小さい、とういうより、出すかどうかを迷っているようであったが、唾を飲み込み今度は声を出そうとした時、近くでパシュ!と小さな音が聞こえたと思うと、帝国兵がどさりと倒れた。慌てて近くにいた他の帝国兵が駆け寄ると、今度は呆れていた。それはそうだろう。なにせイビキをかいて寝ているのだから。犬耳の少年はハッとして、今のうちにと瓦礫を積み直し、そそくさとその場を去っていく。
「たく、面倒を起こそうとすんなってのが、わかんねーのか?」
「っ………今のは、南雲か?」
光輝の問いに無言で頷き、それを見せる。腕時計のようなソレはから発射されたのは、所謂麻酔針というものだ。それも強力なタイプのもので、ちょっとやそっとじゃ起きないタイプである。
「帝国に入る前に言われた事を、忘れたのかよテメぇは」
「っ⁉︎…そ、それは…俺を、王国に送り返すのか?」
光輝は手を振るえさせて、恐る恐る聞く。
「………まぁ、1度は我慢しようとしてたし、今回は許す。だが2度目はない」
張り詰めていた状態から解放されたかのように、光輝はどっと息を吐く。
(マジで牛歩……前途多難だな)
それなりに変化してきているが、根本的に変わっていない所はやはりある。と、ハジメが思っていると、七海が光輝の近くに行っている。アドバイス兼注意をしていると思っていたが、光輝が渋々且つどこか苛立っているかのような態度を見せているあたり、「当たりだな」と呟く。そうこうしてると少し歩幅を七海は上げて、あえてハジメは落とす。こういう時、ハジメへのフォローやらなんやらをするのはもうわかっているし、慣れている。
「君なら送り返すと思ってましたよ」
「まぁ、天之河にも言ったが、ここまで我慢して、今のも1度は抑えたからな。………なぁ、七海先生」
「なんですか?」
「あんた、マジでスゲーな」
「?」
「事前に言われてたとはいえ、天之河がああも我慢できるようになるとは思わなかった」
「そうですね。ただ、彼の場合この世界で体験した事が、一般社会よりも大きく、強烈だったのもあると思います。今の彼は、自分の正義に揺れて、何を正しいとすればいいかを手探りで探している真っ最中です。自分の正しさを疑っているというわけでもないですが、信じきってもいない」
要するに、中途半端だ。が、七海は今はそれでいいと言う。
「悩んでぶつからなければ、得るものも得られない。なんの犠牲もなく何かをなす事など、できやしないんですから」
そう言う七海ほ表情は、とても厳しく見えた。そして同時に、何かを思い出すかのような、そんな顔にも、ハジメは思えていた。
(それにしても)
七海は先程の犬耳の亜人族が瓦礫を撤去していた所も含めて、軽く周囲をみる。
(本命が王都とフェベルゲンだとしても、あまりにも被害が少なすぎる………やはり、これは)
*
雑多なところ。という感想が出るであろう帝国において、王国ですら多種多様な冒険者がいた冒険者ギルドが、帝国では別…なんて事はやはりなかった。というより、まんま酒場にギルドがあるという感じである。そして、今日何度目かもわからない、ユエ達と光輝達の後ろにいる雫に鈴と言った美人にちょっかいを出すというお決まりのパターン…と思われたがいい加減鬱陶しいのか〝威圧〟を発動してそれすらさせない。ホルアドなどと違うのは、怯みはしても、気絶する事はなく警戒心を高めるあたりは軍事国家の冒険者というべきだ。
また、何人かは七海の正体にも気付いているが、ハジメが〝威圧〟を発動したおかげで、目線がだいぶ和らいでいる。というより
「こっちじゃ王国みたいな噂はないみたいだな」
「ええ、
確かにとハジメは呟きつつ、カウンターへ向かった。カウンターの受付嬢はこれまで七海やハジメが見てきた受付嬢のどれとも違い、気怠そうで、やる気というものが皆無に見えるほど。実際、ハジメが立つ前は大欠伸をしていた。
「ご用件は?」
当然のように挨拶もなしこれで成り立つところがまた帝国らしくも思える。
「情報が貰いたい。ここ最近、帝都内で騒動を起こした亜人がいたりしなかったか?」
ハジメは単刀直入に本題を聞いたが、受付嬢は「何聞いてんだ?」と言うような顔でハジメを見る。この帝国内にいる亜人族は全て奴隷で、その首に奴隷の証たる首輪をはめており、それがあれば大半の反抗を封じる事ができる。要するに、ハジメの質問はありえない質問なのだ。
「………そういう情報はあっちできいて」
受付嬢は面倒くさくなったのか、それともこういうシステムなのか、バーカウンターの方を指差して、視線をあさってのほうへ向けた。そこにはいかにもな空気感を出す初老のマスターがグラスを磨いていた。
そちらに向かう合間も冒険者達は睨んでくるも、ハジメ達は完全無視し、光輝達も極力無視してバーカウンターへ向かう。
そしてハジメは
(なんでしょうか、南雲君のテンションが上がっているような)
と七海が思うくらいに反応が違う。だが別段止める事でもないので気にせず黙っていた。マスターの前に座ったハジメは先程の受付嬢にした質問と同じ事を尋ねたがマスターは無視してグラスを拭いている。が数秒経つとハジメの目を睨み返し
「ここは酒場だ。ガキが遠足に来る場所じゃない。酒も飲まない奴を相手にする気もない。さっさと出て行け」
となんともバーのマスターらしいことを言い放つと、ハジメのテンションが今度は目に見えて高くなっている事に気づく。が、そんなことよりも早いとこ情報が欲しい七海は、やたらテンションが上がってハジメの奥のそのまた奥にしまいこまれた厨二心が顔を完全に出すまえに、ハジメの肩を持って言う。
「では、酒が飲めるなら話は別でいいでしょうか?」
(ハッ‼︎)
とここで我にかえった…というわけではなく、
(俺にはわかる、このまま七海先生に任せればさらにいいものがみれると)
むしろ完全に厨二心が表に出てきた。ハジメは無言のまま、立ち上がりその席を譲ると任せてくださいとばかりに七海は頷き、座る。マスターは胡乱な表情で七海を見つつ言う。
「確かに酒は飲めそうだ。だが、酒のなんたるかもわからんような奴に、望んだものがいくとおもうな」
そう言われた七海は反論することもなく、
「バルディアをロックで」
と、後ろにいるメンバー誰一人として理解できない酒を注文したが、そこでマスターは「ほう」と面白い者を見たような表情になり、棚にある瓶を取り出し、氷の入った小さめのグラスにその中身を注ぐ。黄土色を少し薄めたようなその酒の香りを少し嗅いだ後、一気に飲み干した。
「飲み方も含めて、なかなか通だな」
「こちらの酒は、もう大体は飲み尽くしたので」
「なるほど、やはり七海建人か」
こちらの正体がバレていることなど最初から理解している。その上で目の前のマスターは七海を見極めていたのだ。話すに値するか、客に値するか、自分の差し出す酒を飲むに値するか。マスターはその先を言わず、黙々と先程の酒や別の液体を使ってシェーカーを振る。シャカシャカという音が、ガヤガヤとうるさいはずの場所だというのに、やけによく聞こえる。ちなみに先程からこの光景を見ているハジメはテンションが爆上がり中である。
「あんたなら、この酒の味わい方がわかるだろう」
「………いただきましょう」
今度はちびりと一口飲む。スゥーと柑橘系の爽やかな香りと酸味が鼻と口を充す。強めの酒だが、七海には馴染みがあり、よく飲んでいいたギムレットに似ている。ちなみに先程の酒は地球で言うジンという酒に近いものである。
カランと飲み干したグラスに入った氷が、溶けて滑り落ち、グラスに音を奏でる。
「もう少しいいものが欲しいですね」
スッと七海は情報代を惜しみなく出す。当然今飲んだ酒代を含んでいる。
「構わん。今飲んだ酒代で充分だ」
「では、先程の話についての情報をお持ちということでしょうか?」
「兎人族のこと、だろう?」
どうやら当たりを引いたようだと、七海は情報を聞く。
「数日前に大捕物があってな。それ自体はまぁ良いんだが、その時、兎人族でありながら帝国兵数人の死者をだしつつ蹴散らした挙句、逃亡を図ったとんでもない集団がいたそうだ」
「その兎人族は、逃亡に成功したのでしょうか?」
「いや、流石に10数人で100人以上の兵を相手にし、且つここまで屈辱を受けた以上、兵も逃がすつもりはないようでな。この帝都内で完全包囲されて全員捕まり城に連行されたそうだ。ただ、その事が問題じゃない」
「兎人族がそれをしたという事が重要なんですね」
「ああ。常識を覆す実力だ。仮に兵と同数か近い数がいれば、どうなっていたかわからないだろうな。ただここで聞かずともこの話は結構な話題になってるよ。さっきも言ったが、常識外れのことだからな」
元来なら、亜人族がこのような暴挙にでれば、その場で処刑されていてもおかしくはない。それなのに、殺される事なく城に連れていかれたという事は
(当時兵を率いていた者の中に、使えると判断した者がいたということ)
事件があったのが数日前なら、生きている可能性は充分ある。拷問は受けていると見て良いだろうが、ハウリアのことを僅かながらでも見てきて、皇帝の人格も考えるなら、まずすぐには殺さないだろう。
「……すみません、先程の報酬にさらに上乗せしますので、もうひとつ欲しいものがあるのですが」
「言っとくが、帝国の機密情報は、知っていたとしても売れんぞ」
「わかってます。ただ、牢番の誰かを知っているなら、教えてほしいですね」
冒険者ギルドは独立した機関ではあるが、国家内にあるものでいうなら、機密事項を話すのは国家反逆罪に値する。ましてここは軍事国家の帝国。なおさらであろう。マスターは一度七海の後ろにいるハジメ達を見る。先程の〝威圧〟はマスターも見ていたし、感じていた。そのプレッシャーが、少しずつ大きくなっている事に気づく。
「………現在の牢番は教えられん。が、元牢番なら別だ。警邏隊、第四隊にネディルという男がいる。そいつに聞いて見ろ。聞いて教えてくれるならな。一応言っておくが、金で買収できると思うな。力でも、そう簡単に落ちんぞ」
七海はグラスの酒を飲み干し、情報代含めた金をだす。
「良い味でした。またの機会があればいずれ」
「酒はいい線を言ってるが、こっちは勘弁してほしいもんだ」
*
「情報は得られましたね。……なんですか?」
戻ってすぐにギルドを出て、メインストリートを歩き出すが、ハジメの視線がやけに輝いているように見えた。
「いや、いいもの見せてもらったぜ」
「はい?」
グッと親指をたててサムズアップするハジメと、それを生温かい眼でみるユエ。更にその後ろにハジメと同じくらい眼を輝かせている龍太郎。そしてそんな彼らを見る者達。
「何かありましたか?」
「まぁ、お主を見て何か感じるものがあったのじゃろうな。妾のことも眼中になしとは、……じゃが、これはコレで!」
「聞く人を間違えました。それより、情報は手にしましたし、先程言っていたネディルという人を探しましょうか」
「っと、ちょい待て先生。それは俺とユエに任せてくれないか?」
「君達が?」
「ああ。流石に頼りっぱなしは嫌だしな。お互い」
一刻も早くシアの家族を救うには、さっさとネディルという男に詳しい場所を聞き出して、助けるべきだろう。その為なら所謂拷問も厭わないし、ハジメならそれもできるだろう。再生魔法が使えるユエなら、そういう行為が何度もできる。大抵の相手なら落ちるだろう。ただ、それを生徒であるハジメにさせるのは、流石に気が引ける。
「俺がガキで、自分の生徒だからって、気を使いすぎるなよ」
「……わかりました。許可しましょう」
決まりだなとハジメは行こうとするが香織が待ったをかける。
「は、ハジメ君、再生魔法なら、私だって」
だが首を横にふり、ハジメは拒否する。香織としては、そういう事をユエだけに投げる事は甘えになると思っての発言だが、いまは議論している暇はない。こうしている間も、シアの家族はどうなっているかわからないのだから。香織は雫に宥められて、気持ちを抑えたあと、申し訳なさそうな表情をしつつ引き下がる。
「香織、気遣い無用。でも、その気持ちは嬉しい」
「あ……うん」
(やっぱり仲いいじゃないですか)
と言ったらまたややこしくなるのはわかっているので言わないが、なんとなくユエは七海がそう考えていると思ったのか軽く睨む。当然スルーされる。
「ハジメさん!ユエさん!えっと、その……」
言いたいことはあるのだが上手く言葉に出来ない。
「だからシアさん、遠慮は今更なんですよ」
「わ、わかってますぅ!でも、それでも、面倒な事に巻き込んだのは、事実ですし」
そんな様子のシアに、ハジメは困ったような笑みを浮かべつつ、「やれやれ」と小さく呟いた。シアは結局、上手い言葉が見つからなかったのかハジメと同じく困ったような笑みを浮かべながら一言だけ言葉を届けた。
「エッチはほどほどに!」
「台無しだよっ!この残念ウサギ!」
「なっ⁉︎そうなの、ハジメくん⁉︎だからユエなの⁉︎ダメ、絶対ダメ‼︎というか、こんな状況で何考えてるの!あと、それなら私でもいいでしょう‼︎」
「むぅ〜ユエばかりずるいのぅ~、ならばご主人様よ、妾も参戦する権利があるとおもうのじゃが?」
「違うからな‼︎」
「ハジメ、大胆」(ぽっ)
「いやしないからな!悪ノリやめてくれないかユエ⁉︎」
「はぁ、ユエさん、目的を忘れないでください。南雲君も、私が口出しできないからって自由すぎる行動は慎んでください」
「あんたまでなに言い出すんだ⁉︎」
「君の場合、ユエさんに誘われてしまえば、そのまま流されてしまいそうですからね」
言い返せない発言に、「グググぅ‼︎」と歯軋りをしつつ、ハジメはユエと雑踏の中に消えていった。
しばらくして戻ってきた2人のうち、ユエが妙にツヤツヤして、ハジメが少しやつれていたせいで、再び騒ぎになるのだった。
ちなみに
ハジメ製、腕時計型麻酔銃
実はコレ、元は七海のつけてた時計。これまでの旅で壊れたのをハジメに修理してもらったが
ハジメ「腕時計といえばコレだろ!」
と余計な機能をつけたので時計ごとあげた。ちなみに声にこそ出さなかったが、貰えたハジメはメチャクチャ喜んでます
ちなみに2
前書きにも書いたように、次回、彼女が暴れます
あと、七海の色ってシルバーとゴールドどっちがいいと思いますか?個人的にはシルバーです