ありふれたやり甲斐と生き甲斐を探して   作:戦鬼

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ついに、呪術廻戦の最後の2巻の表紙が発表された。本当の意味で、終わり……否!まだアニメがある!

早く見たい。


帝兎戦乱(ていとせんらん)

冷めた雰囲気のテーブルというのは、言うまでもないかもしれないが、基本的に食欲というのはわかない。

 

「随分とお楽しみだったみたいですね?」

 

「ユエ、ツヤツヤだね?何をしてもらってたの?ねぇねぇ?」

 

情報収集のため、元牢番のネディルの元へ向かったユエとハジメが戻ってきたのだが、ユエはツヤツヤして、スッキリしたぁーというような感じなのに対して、ハジメはやつれたような様子だった。

 

冗談半分で「エッチはほどほどに!」と言ったシアとまさか本当にシテ帰ってくると思わなかった香織が、ドス黒いオーラを出しつつ詰め寄る。香織はいつもの般若が見え隠れしていた。

 

周囲の客はその雰囲気に気圧されてそそくさと逃げ出し、龍太郎と光輝も逃げようと思っていたところで、

 

「ハァ、そこまででいいでしょう。それよりも情報は掴めましたか?南雲君」

 

「「それよりも‼︎⁉︎」」

 

クワッ!と血走ったような眼で七海を睨んでくる香織とシアに、冷静な態度を崩す事なく七海は告げる。

 

「おおかた、また血を吸われたんじゃないですか?」

 

「「あ」」

 

そう言われた瞬間、香織、シアはそういえばと目が点になる。

 

「大当たりだがな、先生…あんた最初から気付いてワザと黙ってたろ?」

 

「正直、気付いてくださるとおもってたところもあったんですけどね」

 

とはいえ、七海も今のハジメグループとの行動を共にしてきたから言えることであり、付き合いが短いなら勘違いしていただろう。

 

「つうか、お前ら、本気でユエを抱いて来たとでも思ったのか?俺は盛りのついた犬かよ」

 

随分な評価だなとジト目で全員を睨む。そう、全員。光輝達もそう思ってたらしく、1名以外そっぽをむく。

 

「日頃の行い」

 

「アァン‼︎」

 

ボソリと呟くのは鈴。またしても光輝達は(鈴ぅぅ‼︎)と心の中で叫び、戦慄する。

 

「随分と言うようになってんじゃねーかぁ、おぉ?谷口ぃ〜…あれか、自分なんてどうなっても良いから遠慮がないのかぁぁ〜王国に送り返すぞコラァ〜」

 

ここ最近、鈴は冷たいツッコミが目立つが、流石にコレはヤバいと思ったのだろうか、そう言われて鈴もプイっと視線を外す。

 

「南雲君、話しがどんどん遠ざかっていってます。早いとこ本題に入ってください」

 

舌打ちをしてハジメは「まぁいい」と今度こそ話しだす。

 

「ともかく、欲しい情報は得られた。今晩にカム達のいる可能性の高い場所に潜入する。当然警備は厳重だろうが、まぁ問題ないだろう」

 

「情報の信憑性はありますか?どれだけの拷問でも、吐かないときは吐かないのが人間ですよ?」

 

「あー、その点は大丈夫だと思う。というか、ないだろうな。何せ、自分の股間が目の前ですり潰された挙句、痛みで気を失う前に再生されて、また潰されてってのを何度も繰り返したからな。正直アレは俺でも耐えれる自信がない。いっそ殺してくれた方がありがたいレベルだろうさ。……洗いざらい吐かされた後、股間を押さえながらホロホロと涙を流すネディル君は、同情せざるを得なかったよ」

 

「………やったのは君ですよね?」

 

確かに同情案件ではあるが、やった張本人が言うのは違うだろと、光輝達が言えない事を七海はハッキリと、ため息を吐きつつ言うが、ハジメは「まぁまぁ、気にしない、気にしない」と予想通り流すので、光輝達も溜息を吐く。

 

「続けるぞ。万が一に備えて、気配遮断や転移が使える方が良いから、潜入するのは俺、ユエ、シアの3人だけだ。香織達は帝都の外にいるパル達のところにいてくれ。直接転移するから、治療が必要な奴のことは任せる。七海先生は、敵の目を惹きつける為に、陽動を頼んでも良いか?引き際はこっちで合図する」

 

「わかりましたが、具体的には何を?それと、私の顔はもうだいぶ知られていますし、顔を隠す必要もありますよ」

 

七海がハジメとこれから先も共に行動するなら、帝国で何かしらの行動をして目をつけられては今後に支障が出る可能性がある。

 

「それに、君なら多少敵が多くても問題ないでしょう?」

 

「まぁ、そうなんだが………アレを正直言って1度はしてみたかったし」

 

「?」

 

「ともかく、適当に暴れてくれたらそれでいい」

 

なんかくだらないことを考えてそうだと思うが、従うこととして、次に顔を隠すことの方を聞こうとした時――

 

「なぁ、南雲、俺にも何か手伝えることはないか?」

 

スッと片手を挙げて光輝が言い出す。

 

「たとえば今帝国にはリリィもいるはずだし、俺は勇者だから、その名を利用するとか」

 

自分を堂々と利用しろと光輝が言い出すとは思わず、一瞬だけきょとんとするが、直ぐにハジメは拒否する。

 

「確かにお前の言葉ならそうそう無下にはできねーだろうし、姫さんも頼めば口添えくらいはするだろうが、相手は帝国だぞ。お前はこの国の皇帝を見たことがあんだろ?どうだ、大人しく渡してくれそうな奴だったか?」

 

「それは……」

 

「そもそも、カム達を救う為にここに来てはいるが、この国のルールでいうなら、カム達は不法入国して、帝国兵を殺した犯罪者だ。おまけに兎人族っていう最弱の種族がそれをしたってなりゃ、そんな異質な存在を放っておくことなんざ無理だろう」

 

帝国は愚かではない。上下関係は常に強さで決まるが、国として成り立つ以上、ルールや外交力は必須であるし、国力を上げる手立てがあるなら徹底的にするだろう。

 

「こうなっちまった以上、神の使徒って立場でも無理は通せない」

 

「何より、皇帝はリリアーナさんから真実を聞いてる可能性があります。そうなると、勇者の肩書きも役に立たないことも、充分にありますしね」

 

「ご名答だ」

 

そもそも人質……この場合は捕虜と言ってもいいが、それをとってる時点で、交渉において圧倒的に不利なのは取られている側だ。

 

(ま、仮に南雲君にそんな要求すれば、この国は滅ぶでしょうけど)

 

物理的に奪い返すのはやぶさかではないかもだが、そんなやり方は、関係ない者まで巻き込むのは、流石にできないだろう。それは、寂しい生き方だから。とは言え、このまま放置して光輝が暴走するのもいけない。

 

「…では、陽動を私と、天之河君達にも与えて下さい。敵が多いとなると、相手もそれなりの戦力を出すでしょうから、むしろ警備が0になって潜入が容易になるでしょう」

 

ぶっちゃけ七海1人でどうにかなる。だが、光輝が暴走しないようにというのもあるが、変わろうという兆しが見えだすなら、それを正しく導くのが教師としての自分の役目だと考え、七海はハジメに提案した。

 

「………… それでいいのか?天之河?」

 

「お、あ、あぁいい。やらせてくれ!」

 

やる気と、必要とされているという感情が、光輝を包む。

 

「さて、勝手に君達も陽動に入れましたが、天之河君も含めて言います。相手は捕縛を目的として動くでしょうが、時間が経ったり、相手によっては最初から、我々を殺そうとして、襲いかかってくる、人間です。なるべく私も手加減をしますが、状況によっては手にかけるでしょう。それでも戦えるというなら、来てかまいません。それと、最初から行く気なんてない方も、来なくてもいいです。それは自分で決めてください」

 

一瞬、光輝は怯む。記憶が、フラッシュバックしそうになり、手が震えていたが――

 

「殺さなくても、いいんですよね?」

 

「……基本はですよ」

 

七海が言ったあと、光輝は息を吸い、軽く吐いて「行きます」と言った。

 

「俺も行く。光輝が頑張るのに、ただついて来ただけってのはなんか嫌だし、何より、帝国は嫌いだからな」

 

「私も、正直言って鬱憤を晴らしたいって思ってたので」(ニッコリ)

 

雫の場合、ガハルドに言い寄られたのが以外とくるものがあったらしい。笑顔が光輝やハジメが引くレベルに怖い。

 

「……鈴は、どうする?」

 

龍太郎が声をかけるが、拒否するだろうと思っていた。

 

「行くよ」

 

だからそう言われた事に心から驚く。光輝と雫もだ。

 

「試したいこともあるし……それに、帝国が気に入らないのは同感だしね。……七海先生、私を数に入れたんですから、いいですよね?」

 

「………かまいませんが、無理はしないように。それと必要もなく人を傷つけてもいけませんよ」

 

「……しませんよ」

 

七海は鈴を見る。

 

(今のところは、まぁ……まだ、大丈夫ですかね。後は、彼女の……)

 

「七海先生?」

 

「いえ、何も。それより、プランは?先程も言いましたが、顔が割れるのは避けておくべきでしょう。天之河君達も参加するなら尚更に」

 

「おう、任せろ!」

 

と言うなりハジメは錬成を行うために、〝宝物庫〟からいくつかの鉱石を取り出し、サクッと錬成した。したのだが、

 

「仮面?」

 

顔を隠すという意味での仮面。それはわかる。だが問題はそのデザイン。そのデザインは、流石に見覚えがある。特撮にあまり興味のない七海でもこのくらいはわかる。赤、青、黒、ピンクにシルバーと色を分けているそのフルフェイスの仮面は、所謂戦隊ヒーローのそれである。

 

「…南雲君、これは?」

 

「見ての通り、仮面だ。おぉっと、ただの仮面と思うなよ。意匠へのこだわりは勿論のこと、ちょっとやそっとじゃぁ、壊れねぇ。さらにだ、視界や呼吸も遮らない工夫に、一時的な能力向上も見込める機能付きの一級品……否、特級品だ!」

 

「そういうことを聞いてるのではなくてですね」

 

「正体を隠す仮面と言えばヒーローだろうが!古今東西、ヒーローは仮面に始まり、仮面に終わるんだ。ちゃんと区別がつくように、色分けもしたんだぜ」

 

「仮面というなら、某バイク乗りでもいいのでは?」

 

特撮にあまり興味のない七海でも、以下略

 

「まぁ、先生1人ならそうしただろうが、今回は天之河含めて数がいるからな。確かに最近のバイク乗りは複数がマストだ。だが、仲間かどうかは別ってのが多いし、ものによっちゃ敵ってのも多いし、それ考えたら、やっぱ戦隊だろ!」

 

「いえ、よくわからないのですが……いや、もういいです。受けとりましょう」

 

光輝達は「いいのか⁉︎」と思うが、七海はもう考えないでおこうとし、機能面のみに重視して使うことにし、適当に仮面を取ろうとしたが、

 

「ちょぉぉとまったぁぁ‼︎」

 

「なんですか?作って渡してきて」

 

真剣な表情でハジメが止めたので、仕方なく七海は手に取るのを止める。

 

「こういうのは、つけるやつの色は決まってんだよ。…まず、赤は天之河だ」

 

「は?俺?」

 

「おうなにせ、勇者(笑)だからな。リーダーの色の象徴たる、赤だ!」

 

「…いま、勇者の後に何かつけなかったか?」

 

「坂上、お前は黒だ」

 

無視して龍太郎の方に黒い仮面を渡す。

 

「青がいいかと思ったが、黒だ。今のお前には、黒こそ似合う。わかったか!」

 

「は、ハイ!いえ、ハッ‼︎了解しました!Sir!」

 

「龍太郎!ハウリアの人達みたいになろうとしてるわよ!戻って!」

 

「んで、青は谷口、お前な。冷静沈黙でちょっと冷たい青だ。黄色もよかったんだけどなぁ、『あれ、お前いたの?』的な。でも今は全然似合わないし、青だな、うん」

 

「………なんでもいいけど、南雲君はもしかして私のことが嫌いなの?」

 

「そんで七海先生はシルバー!孤高にして、この場において番外戦士的な意味合いも兼ねてシルバー!燻銀的な意味でもシルバー!」

 

「私もなんでもいいですが、なぜでしょうね、あまり褒められている気がしないのですが」

 

「そして最後、八重樫は」

 

「待ちなさい、南雲君」

 

七海のツッコミも無視して、最後に残った仮面を雫に渡そうとしたのだが、ここまで抑えていた雫が止める。

 

「南雲君、もう1つしか残ってないんだけど、まさか、よね?」

 

「もちろん、残っているピンク!それがお前のカラーだ!」

 

「嫌よっ、絶対!というか、仮面以外でも正体を隠す方法なんていくらでもあるでしょう?あと、七海先生!南雲君と旅して色々あったのも、縛りがあるのも加味しても、もうちょっと諦めないでくださいよ!どう考えても南雲君が遊んでることくらいわかるでしょう⁉︎」

 

「そんなもの気付いてますよ。ただ、今回の件は別に諦めるとかではないです。強いていうなら、慣れですかね。南雲君よりも面倒な人がよく絡んできてたので」

 

頭の中で自他共に最強と言い、言われ、自他共に性格が悪いと言い、言われる先輩が、ニコニコといい笑顔で…

 

「な、七海先生、なんか顔が今まで見たことないくらい不快な表情になってますけど」

 

「あ、すみません」

 

七海の表情に、つい素に戻って雫はツッコミを入れた。

 

「どうせ五条悟のことだろうよ。ま、それはどうでもいいとして、八重樫、お前の言い分はわかった。だがな、お前のような普段キリッとしたクールビューティータイプは、実は可愛いものが好きというのが定番だ!」

 

「なんなのよその定番⁉︎」

 

「というより、香織から聞いた。実際に可愛いもの好きだってな。だからわざわざ気遣ってピンクしてやったんだ。感謝しろ」

 

(それは気を遣っているのだろうか)

 

声に出せば藪蛇な気がした七海は心に留めて声に出さないようにしていた。

 

(とはいえ)

 

「な、なんという上から目線…私は、別に可愛いものなんて…っていうか、香織!あなた、いったい何を話してるのよ!」

 

口止めしていたわけではないが、雫は動揺して香織に問い詰めるが、香織はチロっと舌を出して反省はしてない事を態度に出し、更に雫の部屋が可愛いぬいぐるみだらけになっているのを告げ、光輝と龍太郎がウサギやネコが好きな事や、ゲーセンのUFOキャッチャーでぬいぐるみを取りまくっているという情報を追撃で与えている。そんな光景を横目に、

 

(彼女の場合は、性格とこれまでのことがあるのでしょうが、このままでは、ダメですね)

 

七海は雫の危うさに、少々考えを巡らせるなか、「仕方なく、喜んでいない」とかぶつぶつ言いつも、耳を真っ赤にしてピンクの仮面を受け取った雫が、その視線に気付く。

 

「七海先生?あの、どうしま…ハッ!いえ、だから違いますから!ピンク色が好きってわけじゃなくてですね、いえそもそも、女の子ならピンクが好きなんてよくある話で、いえでもそれで私も好きってわけじゃなくてですね、あと、修行とはいえシアと一緒にいれたのがうれしいとか、そんな事なくてですね」

 

「何も聞いてないですし、言ってませんが」

 

「あぁー、それで雫さんいつも私のウサミミをチラチラ見てたんですねー。言ってくだされば、雫さんなら少しくらい触ってもいいんですよ」

 

「‼︎⁉︎」

 

自爆し、結局ウサミミを触ってデレっとした顔をして、隠す努力は水疱に帰した。

 

 

時刻は深夜。眠りに着く者より、それでも起きて騒ぐ者が多い帝国。街には眠らず明々と光がある。その光を、距離が離れた帝城で見るハジメは、

 

「さぁて、やるか」

 

「あの、ハジメさん、私もやりましょうか?」

 

「いや俺がやる!つかやりたい!ぜってぇやりたい!」

 

煌々とした眼で街を見つつ、人差し指と中指を立て、小指と薬指を親指で押さえて印を組む。それは、ウルの町で七海が見せたもの。

 

(結界の構成には錬成をする時のイメージと、空間魔法を使うイメージで)

 

ハジメは、後天的に呪力を使う能力を得た為、術式を持っていない。だが、結界術の才は、これまでの旅の中で、上がっている。

 

「闇より出て闇より黒く、その穢れを禊ぎ祓え」

 

街の頭上。繁華街の大広場といえる場所を覆い隠すように、黒い膜が、粘りけのある墨のように、下りていく。ここまで来ると周囲の人間も異常に気付くが、時すでに遅く、帳は下ろされた。

 

「一度やってみたかったんだよなぁーコレ!」

 

やたらテンションの高いハジメをユエは暖かい目で、シアはキョトンとした目で見ていた。

 

因みに当初はもう少し別の場所で結界を張るつもりであったが、七海の意見でこの場所になった。曰く

 

『目につかない場所や、適当な場所では、魔人族のせいにしにくい』

 

とのことである。しかし、コレが原因で少々、面倒な事になるとは、夢にも見なかった。

 

 

「帳が下りましたね……いきましょうか。…作戦は頭に入ってますね」

 

「とにかく帳内に入って来た帝国兵と交戦。ただし、やりすぎない。魔人族のせいということにする。基本喋らない、情報は与えない、一般人は攻撃してきた者を除いて、手を出さない」

 

七海の質問を代表するように雫が答え、「よろしい」と七海が短く言い、仮面をつける。

 

「まずは私が行きます」

 

ダンっと屋根の上から飛び、人があまり密集してないところに着地する。ズドォンと揺れと大きな音を立てて周囲の人が散っていき、代わりに兵士達が集まる。

 

(この帳、なかなかよくできている。結界としてのルールも、ある程度だが備えられている)

 

外からは簡単に入れ、中からは出るのが難しい(絶対出れないわけでは無い)。魔力は呪力と似て非なるエネルギーではあるが、今回はそれに反応するかのテストも踏まえたものである為、七海はハジメが帳を使用することも許可した。そして、結界の縁がなんとか見え、且つ兵士と一般人が多く集まる大広場を、敢えて選択した。

 

(脱出は………できている人は、あまりいない。そこは結界の構成の問題でしょうが、もう少し広めにしてもらうべきだったか?いや、それでは結界の構成に支障がでるだろう)

 

「貴様、何者だ!この空は、貴様がしたものか」

 

寄ってくる帝国兵をいなし、攻撃を回避する。

 

(わかった事は、この世界の人々も、私の世界の一般人同様に、結界のルールを受けてしまうという事。そしてだとするなら)

 

「さっきから、貴様、なんのつもりだ!答えろ!」

 

避けるだけで何もしない。だが珍妙なマスクと、身体を隠すフード(ハジメに頼んで適当に製作したもの)をした七海を、帝国兵達が取り囲むが、

 

「ごほぉ!」

 

「あぁ、すいません。ちゃんと相手はします」

 

掌底が1人の兵士にクリーンヒットし、吹っ飛ぶ。手加減の為、呪力による身体強化はしてないが、それでも充分な威力はあったのだろう。ピクピクと痙攣していた。が、それにビビることも、怯むこともせず、さらに向かってくる。

 

「ゴッ!」

「ガッ!」

「ぐっ!」

 

だが、鈴の展開した魔法の障壁にぶつかり、ブサイクな声をだし、そこに追撃と降りて来た龍太郎、光輝、雫が3方向に別れて攻撃する。

 

(さらに魔法の質が上がっている。やはり、ティオさんが言っていた例の技能によるものか…)

 

「な、なんなんだ貴様ら!帝国に楯突いて、タダで済むと思っているのか!」

 

「し、しかも、なんだ、全員、そのふざけた仮面は!馬鹿にしているのか!特にそこのピンク!」

 

名指しされてピンクこと雫がビクッと震えていた。

 

「可愛さでもアピールでもしてる気か⁉︎仮面を付けている時点で、キモいんだよ!ドン引きなんだよ!変質者共がぁ!」

 

「か、可愛さなんてアピールしてないわ!………特にそういうのが好きなわけでもないし、無理矢理だし、私のせいじゃないもの、ちがうのに」

 

徐々に声が小さくなっていき、4人は呪力ではないが、彼女からなにか黒いものが出ている気がしていた。

 

「はぁ、何をしてるんですか。やえ……ピンクさん、立ち止まらないで下さい。それと、そこのあなた」

 

「アぁ?」

 

指を差された帝国兵は「なんだ」と顔面凶器の面で返す。

 

「彼女はあなたが思うような人でない。とても繊細で、仮面で隠していますが、可愛らしく、綺麗な心を持っています」

 

「せん、せい」

 

設定としてシルバーと言うはずが、ついちょっと涙目で雫は呟き、精神を回復する。が

 

「そうだ!しず…ピンクが可愛いものが好きで何が悪い!それ以上言うなら、俺…仮面レッドが許さないぞ!」

 

とレッドこと光輝が余計なことを言ってしまい、またも気落ちしていた。

 

「おい!お前ら!いい加減動け!ぼやぼやしてんじゃねー!」

 

「君はちょっと、性格が変わってませんか?」

 

ハジメの訓練の賜物か、龍太郎は戦闘が始まると徐々に性格が変わるようになっていた。

 

あまりにもカオスな状況に辟易しつつ、七海は蹴散らす。他の4人も表層とは言えオルクス大迷宮を前人未踏の100階層近くまで踏破して来た勇者グループの最高戦力。並の兵士では敵わない。

 

「グッ…っ!こい、つら!」

 

龍太郎は戦闘が始まって少しした頃に、帳の外から更に来た増援部隊に、多少てこずりながらも、無傷で倒していくが、

 

「ふっ、はっ!………対応できるし、七海先生よりは断然弱い…でも」

 

「…………魔力による身体強化…そのブレが少ない」

 

雫を援護するように鈴は防御結界を展開しつつ、〔+視認(上)〕を駆使して帝国兵の魔力の流れを見たことでそれを判断していた。

 

「なんであろうと構うもんか!」

 

とはいえ、先程も言ったが彼らは勇者グループの最高戦力。ハジメ達が強すぎるせいで霞むが、七海が準1級と、1級に近い強さを持つと認める準1級。手こずっても苦戦などしない。

 

「クソ!帝国の精鋭部隊でもダメなのか!どうにか外から戦力を呼べないか!更に必要だ!…特に、あの銀色の仮面……あの野郎は、本当にヤバい!できるなら、近衛部隊を!」

 

そして彼らより上の実力を持つ1級までいる。やられる可能性はない。強者は敵にはいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見つけましたわ」

 

 

 

強者はいない…はずだった。

 




出せたけど、あいつ出せたけど、長くなってきたから一旦切りました…くそぅ

ちなみに
今の龍太郎はまだまだ本気じゃない…というか、本人の元の性格もあり、本気モードになりにくくなっています。その原因はハジメ。戦闘が長引く程、本気に近づき、ハウリアみたいな口調になります。

ちなみに2
原作ではあまり意味のなかった陽動ですが、帝国の大広場に帳という中が見えない結界を張ったことと、七海が暴れている事、そして彼女が来た事で、帝城からかなりの兵が来てます。
あと、ハジメはウキウキして詠唱してました。
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