ありふれたやり甲斐と生き甲斐を探して   作:戦鬼

81 / 107
あけおめでーす。久しぶりに早く書けました

今年は死滅回游やらないだろうけど、ビジュアルは出てるから、映画が始まるか終わるくらいで発表されるかな
つか、されてほしい。


責務

その後、皇帝と一悶着…否、何悶着もあった。

 

雫に対してまたも求婚を迫ったり、

 

「それで雫、ここに来たってことは、俺の妻になりに来たってことでいいのか?」

 

「お断りします。というか、皇妃様がいらっしゃるのでは?」

 

「そうかぁー側室では無理か。だがなぁ、正妻にするとなると、少し面倒が」

「ち、が、い、ま、す‼︎」

 

「まぁ、曲がりなりにも王族なんですし、この世界の成り立ちを見ても、側室の1人か2人はいてもおかしくはないですが、それを10代の子供にあなたが迫るのは、自重すべきと思いますがね」

 

「簡単に自重なんてするようなら、皇帝なんざしとらん」

 

ハジメをどうにか取り込めないか、無理を承知で色々と言ってみたりするも、当然のよう断られたり。

 

「聞き及んだが空を自由に移動するアーティファクトがあるそうじゃないか。せめてそれを譲ってはくれんか?」

 

「嫌だと言ったら、なんだ?この部屋の周囲にいる奴ら消し炭になるが、いいのか?」

 

「…ちっ、やっぱダメか」

 

昨夜、カム達を助けた際の事を言いだしたり、

 

「実はな、先日ちょうど面白い玩具を捕らえてな。そこの兎人族の女と同じく、気構えの良い奴なんだが、それ以上に持ってる武装がまた良い業物でな。とてつもなく優秀な錬成士のお前も興味を示すと思うぞ。ただ、昨夜謎の連中の襲撃があった際に何匹か逃げられてな。一応まだ数匹残ってるが、後で見てみるか?」

 

全員救出したのは昨日確認済み。余計な事を言うつもりない。揺さぶりなど効かない。

 

「「興味ない〔です〕」」

 

ハジメを取り巻く女性から1人分けてくれないかと頼み、ティオがあげられて、ガハルドがその変態性を見極めて速攻で拒否してティオが悶絶したり

 

「ティオさん、隣でクネクネ動くのはやめて頂けませんか?反吐がでます」

 

(((あの七海先生が凄まじい嫌悪感を露わにした顔に…)))

 

普段冷静な顔が変わることがあまりない七海が、心底不機嫌そうな顔をしているのを見て、そしてその顔を見ても尚、むしろより一層悶えるティオに、これまで何度も変態性を見てきた光輝達も、色んな意味で戦慄していた。

 

聞きたいことはそれなりに聞いたのか、皇帝は背後の近衛の耳打ちの後立ち上がり、部屋を出る為移動する。が、途中で止まって告げる。

 

「今夜、リリアーナ姫の歓迎パーティーを開く。是非、出席してくれ。姫と息子の婚約パーティーも兼ねているからな。真実は異なっていても、それを知らないのなら、勇者や神の使徒の祝福は外聞がいい。頼んだぞ?」

 

最後にしっかりと爆弾を落とすあたり意地が悪い。バタンと扉の締まると、先程のガハルドの言葉で唖然としていた光輝達がリリアーナを詰問する。

 

「リリィ、婚約ってどういうことだ!一体、何があったんだ!」

 

真っ先に質問したのはやはりと言うべきか、光輝だ。が、リリアーナはなんでもないように、当たり前のように語る。

「ンなことはどうでもいい」

 

前にハジメが機嫌が悪そうに…否、実際機嫌悪くして言う。

 

「ど、どうでも良いって、なんとも思わないのか、リリィが」

「どうでもいい」

 

はっきりと、睨みながら言う。これまでガハルドの時は抑えていた感情を、解放していた。それに光輝は後退り、リリアーナは、意を決して光輝達に説明しようとした事を止められた上にどうでもいいと一蹴されて凹んでいた。

 

「それよりも、だ。七海先生、さっきのはどういう事だ?王都でのあんたの悪評は聞いた。それを自分自身で広めただと?何がしたいんだあんた?いや、何勝手なことしてんだ?俺らになんも言わず…自己犠牲がカッコいいなんて人でもないだろ?どういうつもりだ?それと、王女様よぉ、あんたの婚姻なんざどうでもいいが、内緒で何してたんだ?あ?」

 

ドスの効いた声にリリアーナは一瞬だけ尻込むが、そこは王族。すぐに持ち直した。一方七海は平然とした顔で言う。

 

「珍しいですね」

 

「あ?」

 

「王都や帝国がどうなろうと、君には関係ないですし、私がどのような罵詈雑言を受けようが、君は意に介さないでしょうに」

 

「あのなぁ、俺はな」

 

「それに、前々から言ってるはずですよ。私は君と違い、この世界の人間がどうなってもいいとは思ってないと。それに、王都の噂は広めはしましたが、全部が全部嘘ではないでしょう?尾ひれについては、私は干渉してません」

 

「白々しいな」

 

噂に尾ひれがつくなどバカでもわかる。七海がわからないはずがない。それに、マリアベル曰く、噂を広めたのは騎士団の誰か。つまりは本格的に尾ひれ付きで噂を流した者がいる。リリアーナにその事を聞こうとした時、わかっていたかのように七海は続けて言う。

 

「リリアーナさんとは、1つ縛りを結んでいるんですよ。王都で私の悪評を広めるかわり、何があっても我々の協力者となるというね。ランデル君とも結び、王国そのものを味方につけようとも考えましたが、流石にまだ王としての自覚がなく、縛りそのものを理解できてない子では失敗する可能性もあったのでしてませんが」

 

昨夜、ハジメの連絡を受けて、帝国との関係を切ることになるかもしれない事をやらせて、嫌々ながらも実行したのは、連絡相手がハジメだったからだけではない。むしろ、そんな命令は断るべき案件だ。断らなかったのではなく、断ることができなかったのだ。

 

「なんで、そんな事を…リリィも、なんで?」

 

同じくあの場で七海の悪評を聞いた雫が聞く。

 

「まず、最初に補足すると、元々そういう噂はありました。とは言え、国の一部、ごく僅か程度の、酒場で話す戯言か噂程度のものです。しかし、それがまずいと七海さんも、そして王国も理解したんです」

 

「?どういうことだよ。噂が立つとダメって」

 

龍太郎は理解できず、質問する。他にも同じ疑問がある者がいるのか、頷いたりしていた。

 

「その噂が、ある程度とはいえ信憑性のあるものだったんです。勇者一行の中に、裏切り者がいたという」

 

「「「「!」」」」

 

それが、恵里の事だと、すぐに光輝達は理解した。だが、どうしてそんな話がでたのかが気になった。緘口令を敷いているであろう情報もあるのにだ。

 

「緘口令なんて、あってないようなものですよ、この世界、特に現状の王国では尚更」

 

日常を奪われ、娯楽という娯楽もない。不満を吐き出したい気持ちは抑えらない。それを噂として、流す。誰かのせいにしたいから。

 

「南雲さんや七海さん達のおかげで、王国は存亡の危機を脱しましたが、それだけです。王国はいま、復興の為、多くの者が日夜動き、それでも存続させるのにいっぱいいっぱいで、常に綱渡りをしているようなものです。肉体的にも精神的にも行き所の無い民は大勢います。その不満や怒りは、いずれ爆発し、暴動が起きれば、それを治める為に更に少なくなった労力を使う。しかも、原因が魔人族だけでなく、神の使徒にあるなら?その1人が反逆をした事実はいずれ伝わり、被害を受けた民達の悪意は、呼び出した教会、延いては国そのものに向けられます。当然です、自分の家族が、子供が、連れ去られ、殺されたのなら尚更に」

 

「え?ちょっと待ってくれリリィ、それは、どういう?」

 

「天之河君達にも南雲君達にも言ってませんでしたが、王都で死者と行方不明者を調べた際、行方不明の数が兵士よりも、一般の市民の方が圧倒的に多かったんです。恐らく、魔人族に連れ去られたのでしょうが、調べると魔人族の襲撃よりも少し前に、ほぼ同時期に何人もが行方不明となってるんです」

 

「⁉︎そ、それって」

 

鈴が恐る恐る聞く。答えはもう出ているが。

 

「ええ。中村さんの仕業でしょうね。連れ去られた中には、まず間違いなく生きている人もいましたが、恐らくもう…」

 

恵里のしたことがそこまでとは思ってなかったのか、光輝達は蒼ざめる。連れ去られた者の末路など、檜山の変わり果てた姿を見た今は、想像もしたくないだろう。

 

「だから、その悪意の矛先が国に行く前に、あんたに逸らしたのか。メインストリートに行ったのもわざとだな。よく考えてみたら、頼めば服なんて、用意することはできるしな」

 

「ええ。あ、リリアーナさんや王国を恨まないでください。特に彼女は、提案を一度は断りましたからね」

 

だが、リリアーナが望まなくても、多くの者が望んだ。否、望む望まぬの話ではない。国を治める者ならば、七海の提案がいかに都合が良いかなどわからないはずがない。出された縛りも、結ぶのはリリアーナとルルアリアの2人のみ。しかもいずれ王位をランデルに譲るなら、一時的な協力もやぶさかではないし、何よりハジメなら、そもそも王国の力など必要としない可能性が高い。

 

「ま、こんな形ですぐに頼る事になったのは、正直計算外でしたがね」

 

「だから、それはどうでもいい!なんで」

「リリアーナさんが、帝国の皇太子と政略結婚するのと同じですよ」

 

なんでここでその話になると言いたげな顔にハジメはなる。その目を受け止めて、七海はユエと、そしてティオをみて言う

 

「ユエさんとティオさんなら、わかるんじゃないですか?特に、ユエさんなら、もしリリアーナさんと同じ立場にあったなら、どうしますか?」

 

「………確かに、私でも断っても、最終的には受け入れると思う」

 

「……妾もじゃな」

 

「!」

 

まさか2人が七海に同意するとは思わず、ハジメは困惑にも似た感情を露わにする。

 

「君がどう思おうが、どうしようが、誰かに、どこかで、責任を取る人が出てくる。そしてその責任は、そうなるきっかけを起こした人物か、それに連なる人が取るのが筋です。しかし、リリアーナさんが背負うのは、国とそこに住む大勢の民。導く彼らが瓦解すれば、また大きな悪意が広がり、人同士の醜い争いが生まれる。だからこそ、同盟国との関係強化の為に、彼女はここに来た。その際に、国に問題を残したままでいられると思いますか?そんな瓦解するかもしれない国と、帝国が同盟をしようと思いますか?」

 

国は善意だけで動かない。動いてはいけない。必ずリスクと、メリット、デメリットを考えなければ、最悪共倒れになってしまう。

 

「話はわかるがな、あんたのは責任じゃなくて、責任感の間違いだろ?中村が引き起こしたのはあいつのせい。王国の問題は王国のせいだ」

 

「……では、放っておくと?君には確かに関係はない。しかし、私は違います。中村恵里という要注意人物を見ること無く、その脅威を強め、放置していたのは、変わらない。君が私の立場だった時、それでも責任はないと言うのですか?彼女が勝手にしたことだ、それによって死んだ罪のない人々、そして近藤君、中野君、斉藤君の家族に、胸張って言い切れるんですか?もしそうなら、私は心から軽蔑します」

 

「!」

 

「逆に、私はリリアーナさんを心から尊敬しますし、敬意も示しますよ」

 

自分の事になり、敬意と尊敬をしてるとはっきり口に出す七海に驚く。縛りの事を考えても、自分にそんな感情を持つなど思いもしなかったのだろう。

 

「あのような男の皇太子なら、見なくともわかりますよ、どういう人間かなど」

 

当たっているのか、リリアーナは目を下に向ける。実際、皇太子のバイアスは横暴で、他者を見下すのが当たり前のような振る舞いを常にしており、嫌悪感しか抱かない人物だからだ。

 

「それでも彼女は、己を捨て、我を殺し、国を守る、守りたいという王族としての意志と、責任を選んだ。もっと甘えたい思いも、幸せな結婚を、夢を見ないと思えない年頃の彼女がです。…まぁ、本当にもっと甘えてもいいとは思いますがね」

 

「七海さん……」

 

リリアーナは七海に本当に感謝している。提案を出された時は「すぐにでも」と言う言葉を飲み込んだくらいに欲していた国の再建の足枷の1つを、取り払ってくれたのだから。そして、そんな七海の最後に言った言葉は、願いということもわかる。

 

「天之河君」

 

「⁉︎」

 

まさか自分に語りかけるとは思わず、光輝はビクッと震える。

 

「わかりますか?これが、背負うです。自己犠牲ではなく、自分のしたことへのもの、代償です。誰かを救うというのは、君が考えるような綺麗なものはあまりにも少ない。本気で救うと言うなら、自分が多くの責任と代償を抱え、消えることのない君が忌み嫌う悪意すらも許容する覚悟を持ちなさい」

 

静かに、だがよく通る声が全員に流れる。それを聞き入れた上で、

 

「ケッ!」

 

と苦々しく、苛立ちを見せてハジメは席を立つ。

 

「聞いてるぜ、『畑山先生との間に秘密はなし』だったか?」

 

「少し、違いますね。『彼女に秘密はなし』です。私自身は隠す気はありませんし、嘘も言ってません。全て私の本音です。ただ、本当の事を話してないだけです。彼女がそれを、質問してませんからね」

 

「縛りの抜け穴…この点はあんたの方が1枚上手だな」

 

「責めますか?私を?」

 

「求めてんのか?」

 

その問いに、七海は首を横に振り、「まさか」と告げる。

 

「君に権利があるというだけの話です。罰を求めるなんて、無意味ですからね」

 

ハジメは「ハッ!」鼻で笑う。

 

「正直、七海先生の言う通りだ。王国がどうなろうと、どうだっていい。あんたのしたことも、巡り巡れば、俺の為なんだろう?」

 

これまでハジメが方々に恩を売っていたのと同じ行為。それを責めることはしない。

 

「ただな、報連相くらいはしろよ。先生が教えてくれたことだろ」

 

怒りか、それとも別の感情か、両方か。どちらにも聞こえるような声で、ハジメは七海に言う

 

「………そうですね。なら、今回は、これでお相こですね」

 

七海は別に、ハジメ達の事を信頼してないわけではないし、信用してないわけでもない。自分がした事で余計な事を考えないようにと七海は行動していたが、今回の件は、今ハジメが言った事も正しい。あえて伝えなかった、つまりは信用してないと同義だと、七海も認めた。

 

「……リリアーナさん」

 

「あ、はい」

 

ふいに話し相手を変えて、リリアーナの方を向き、立ち上がる。ユエ達も立つ。ハジメについていく為だ。が、七海はこれだけは言っておこうと思い、言うこととした

 

「頑張ってください」

 

「え?ちょっ…な、なんですかそれ!」

 

憐れむような、同情するような、先程の尊敬してるだの、敬意を示すと言ってた言葉はどこに行ったと言いたくなるようなその発言に、リリアーナは「ちょっと待てや」という感情を出す。というか、一瞬言いかけた。だが、

 

「リリィ、大丈夫、もう大丈夫。……多分」

 

「多分ってなんですか、多分って!雫!ちょっと雫!ねぇってば!」

 

「まぁ、パーティであることは変わんないし、七海先生の言う通り、うん、まぁ、うん」

 

「鈴⁉︎なんですかその「まぁ、仕方ないか」とでもいう投げやりな言葉⁉︎」

 

「歓迎はできないし、どういやいいのか俺にはわかんねぇから、まぁ七海先生と同じく、頑張れ」

 

「龍太郎さんまで⁉︎」

 

「俺は何も知らない。俺は何も知らない。俺は何も知らない」

 

「光輝さん⁉︎おんなじ言葉を繰り返してどうしたんですか⁉︎というか、不安しかなかったのに、更に不安になるんですけどぉぉ⁉︎」

 

 

 

「………」

 

ガハルドが用意した部屋で、ハジメは部屋のソファーに座り、瞑目し、水分補給以外は動かないでいた。それがしばらく続き、日も傾いて、茜色の光が窓から差し込む頃に、ハジメは目を開けた

 

「上々ってとこだな。これで罠は大抵機能しない」

 

大抵。つまりは全て解除してない。できなかったのではなく、する必要がないのと、しすぎては彼らの為にならないからだ。

 

「ハジメ?」

 

「ん?なんだユエ?」

 

「まだ怒ってるの?」

 

と言われて、ハジメは部屋にある鏡を見る。座っていても顔が見える位置にあった為、今の自分と目が合った。

 

「…ダメだな」

 

と呟き、目を手で塞ぎ、天井の方へ仰ぐ。

 

「あの人のことだから、俺らや天之河達、王都にいる連中、そんで畑山先生の為なのは、わかってんだけどなぁ」

 

それでも、ああも自分が怒っていたことに、今更ながらハジメは恥ずかしくなる。

 

「俺らになんも言わずにいた理由だってわかってる。けど、背負わせてくれないのは、なんか腹が立つ。んで、そうなってる時点で、あの人の言う子供なんだなぁってのを、認めるしかないのが、またイラッとさせやがる」

 

現在、この部屋にはいないのは七海だけだ。他の者もそれぞれ部屋を用意されたが、七海だけは自分の用意された部屋にいる。今頃、着替えている最中だろう。

 

「七海は優しい。厳しく見えて、とんでもなく甘い。ある意味、勇者(笑)よりも甘い」

 

そう言われる光輝は近くにいて、「あの、俺いるんですけど」的な表情をしているが、ユエは華麗にスルーする。

 

「じゃが、あやつの場合は、優しさで誰かを押し潰すことはせんし、そうならぬような配慮もある。おまけに立場もあるからの。そこから逃げようともせん。言うまでない善よりの人間じゃ」

 

「けど、私達…せめてユエさんやティオさんくらいには、言ってくださってもいいとは思うですぅ」

 

「「「「同感〔じゃ〕〔だ〕」」」」

 

七海が仲間であることは、全員の意見だ。もちろん七海も仲間意識はある。だが、

 

「一線を引いてるんだろうね。私達生徒にも、ユエ達にも」

 

「余計なお世話だっての、まったく」

 

「あるいは、それも理解してのものじゃろうな」

 

ハジメ達は基本的に自分達のことを第一優先にというスタンスをとっている。が、七海はこれまでハジメの意見を重視しているが、できるかぎり大多数の為に動いている。光輝と違う点は、そこに優先順位を常に置いている点である。無理と判断すれば、七海とて瞬時に諦める。

 

「なんなんだろうなぁ、大人って」

 

「?どうしたの」

 

ハジメが唐突な疑問を呟き、ユエはそれについて聞いた

 

「この世界、元の世界、それぞれでそれなりに大人ってもんを見てきた。けどさ、なんかわかんなくなってきた」

 

ハジメは七海のようになりたいと思っているわけではない。だが、彼が、大人という部類の中では、最も大きな存在であるとは思っている。

 

「七海先生みたいな感じですれば大人ってわけでもないのも理解してんだ。それに人それぞれ、成り方ってのはある。でも、あの人見てると、自分はどこまでも子供みたいな感じが、常にしてな」

 

弱音のようなその言葉に、光輝達は驚く。まさかハジメがこのような事を言うとは思わなかったからだ。一方、ユエはにこやかに笑う。

 

「なんだよ?」

 

「そう考えているなら、きっと大丈夫。七海もそう言うと思う」

 

「?」

 

「結局は、七海も言ってた、そういう繰り返しなんだと思う。どうするのがいいか、どうなればいいか、どうしていけばいいか、その考えを繰り返して、試して、失敗して、成功して。そういう積み重ねが、今の七海なんだと思う。だから、ハジメはそのままでいい。それが、いい」

 

「…………ありがとな、ユエ」

 

と2人が見つめて合い、その顔がだんだん近付き

 

「「はい、ストォォプ‼︎」」

 

香織とシアが割って入る。

 

「なぁあにいい感じで話進めてそのままブチューっと行こうとするんですかねぇ、お2人さん!」

 

「どこでもかしこでもそういうふうにするのはどうのかな?かな?」

 

「妾も嫉妬するぞ!もっと構ってくれなのじゃぁぁ!」

 

「おいコラ抱きつくな!んでどこ触ろうとしてんだこの変態駄竜!」

 

ギャーギャーと喚き散らす。いつものハジメ達に戻り、そして

 

「皆さん、うるさいですよ。もう少し節度を………無理ですね」

 

扉を開けて七海が注意をしようとして、諦めた。

 

「諦めないで下さいよ七海先生!」

 

「そうですよ!教師として、こういう時こそ注意すべきなんじゃないですかぁ⁉︎」

 

「逆に聞きますが、君達がユエさんと同じ状況であれば、どうしますか?」

 

「「「言うまでもない〔のじゃ〕〔ですぅ〕‼︎」」」

 

「それが理由ですよ。もう正直、これに関して注意するのは、私も疲れました」

 

「教師がそれでいいんですか?」

 

鈴の容赦ないツッコミを流しつつ、七海は聞く。

 

「それより、準備は?」

 

「ちょっと面倒事があったが、問題ない。予定通りだ」

 

「?」

 

リリアーナが皇太子のバイアスに文字通り襲われそうになっていたので、それを助けたのだが、あえてハジメは七海には言わない事にした。見た限りは放っておくのは違うと感じたから。七海に何も言わないには、特に何も言わなくても理解してるだろうなという考えである

 

七海の方も気にはなったが、ハジメを信頼し、聞かないこととした。というより、リリアーナの件でかなとは思った。何かしら、ほんの少しは感じているなと、あの時感じたからだ。

 

先程の感じは既に互いになく、むしろ信頼関係がより強くなっているようにも感じる。

 

「………光輝?どうした?」

 

「いや、なんでもない」

 

光輝は光輝で、先程言われた言葉が頭の中で反復される。

 

「背負う、代償、悪を、受け入れる?」

 

幼い正義のまま、ここまで来た光輝には、受け入れきれない部分と、理解できない部分、逆に理解できる部分が、混ざりあう。

 

それが、混沌した感情を生む。それらがとある形となり七海にぶつける日が来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

ご都合主義の彼にとって、絶対受け入れたくないこと。助けを求める者を、自らの手で殺す事によって




ちなみに
愛子をフった理由は前に話した通りですが、それプラス、生徒や愛子の為に自分がしたことで、逆に彼女の心を痛めてしまったことの負い目も少なからずあります。

ちなみに2
リリアーナの方のこれからは大体原作と同じですから大体カットで
リリアーナ「ガーン‼︎」

ちなみに3
最後の方で七海が一度分かれていたのはガハルドがトレイシーと会わせる(強制お見合いをさせる)為。パーティ用のスーツがあるので来てください的な感じで誘いました。が、当本人のトレイシーに七海と会うならパーティに出ろと言われて、出るのを拒否したので来ず、結局七海は着替えるだけでした。

あと、2話くらいで術式出せるかな
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。