ありふれたやり甲斐と生き甲斐を探して   作:戦鬼

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乙骨誕生日おめでとう‼︎【ぱふぱふ〜】
呪術廻戦の中で1番好きなキャラの誕生日です!

七海「私じゃないんですか?」

0巻読むまでは1番でした

七海「……」

ちなみに、今は3番です今の2位は日車です(キリッ)

七海「………」


研鉈眼光(けんじゃがんこう)

「では、まず皆さんの現状をわかりやすく言えば、ダメダメです」

 

いきなりの容赦ない七海のダメ出しに何人か傷つく。ガーン!という効果音すら聞こえた気がした者もいた。

 

「なにもそこまで言わなくていいでしょう!皆、それぞれ頑張っているのに‼︎」

 

当然、光輝が食ってかかるが、七海はそちらを向いて答える。

 

「他人事のように言ってますが天之河君、君が1番ひどいですよ」

 

「なっはぁ⁉︎」

 

これには光輝も怒らずにはいられない。自分は勇者として力もつけ、技能数も他の人とは比べ物にならない。それをこうも言われたら彼のプライドが許せない。だがそんなくだらないことに一々時間を割くわけにもいかず、光輝が何か言い出す前に告げる。

 

「君はさまざまな技能を既に持っているにも関わらず、それを全く使いこなせていないどころか、磨こうともしていない。文字通り宝の持ち腐れです。その証拠を見せましょう。メルドさん、用意を」

 

「わかった。アラン、パーンズ手伝ってくれ」

 

そう言ってメルドは2人を連れて席を外す。その間にさらに七海は話を進める。

 

「さて、来る前に皆さんにどこまで強くなっていただくのかの説明ですが………天之河君、八重樫さん、坂上君」

 

「「「っはい」」」

 

「君達は前衛の中で特に優れている。少なくとも君達3人には、あのベヒモスとやらを1人で倒せるレベルには最終的になってもらおうかと思っています」

 

「あれを…」

 

「1人で」

 

「………」

 

「もちろん最初は全員で力を合わせて勝ってもいいです。最終的にの話ですからね」

 

それでもなかなか無茶振りを言っているのは百も承知だ。七海から見れば彼らは能力だけなら2級術師並だが、その能力を使いこなせていない面を見ると良くて3級術師だからだ。

 

「他の方も軒並み強くなってもらいますが、その為に必要不可欠なものを皆さんに持ってもらう、これがひとつ。もうひとつは力…魔力の運用法。これもひとつ目に繋がるのですが…ちょうどいいですね」

 

と七海が向いた方を見ると、メルド達が何かを抱えて持ってきていた。

 

「黒焦げの……木人形?」

 

香織が言う通り、抱えられているのは木人形だが全て焼かれており黒焦げだ。それを7体、メルドが器用に3、アランとパーンズがそれぞれ2ずつ持ってきた。それを横一列に並べていく。

 

「言われた通りにしたがこれでどうするんだ?」

 

「…まずは見ていただきましょう。メルドさんはどれか覚えていますね」

 

「もちろんだ」

 

確認をとり、木人形を見た七海はなにかを納得したのかコクリと頷き、ならばと目線を光輝に向ける。

 

「天之河君、君に問題です。この黒焦げ木人形の中で1体だけ魔力………炎魔法で焼いたものがあります。それがどれかわかりますか?」

 

「え、そんなのわかるわけないじゃないですか⁉︎」

 

「君は私が言った事に納得がいってないのでしょう?ちゃんと使いこなせているなら、わかりますが?」

 

「なら、先生はわかるんですか?」

 

光輝はこんな変な事をするくらいなら今すぐにでも鍛錬をしたかった。自分がしている鍛錬の方がよほど有意義だし、皆の為になると。だからさっさとできないことを証明させるために言ったが、彼はわかっていない。このような質問をする時点で、する側はわかる為の手段がある事を。そしてその言葉は自分ができないと言っているようなものだと。

 

七海はスッと指を右から2番目のアランが置いた木人形を指す。

 

「………正解だ」

 

確率7分の1、それを即決で、しかも正解を引き当てた事に、事前に七海からいくつか聞いていたとはいえメルドは驚いた。

 

「これが君との違いであり、君が劣っている証拠です」

 

「メルドさん‼︎七海先生は知ってたんじゃないんですか⁉︎だって、そうじゃなきゃ、おかしいでしょ⁉︎」

 

光輝はそれで認められず、メルドを問いただすが、メルドは首を横に振る。

 

「俺が建人に受けた指示は魔法を木人形1体に放ち、残りはそれがどれかわからないような感じにしてほしいということだけだ。そもそも燃やす事も教えていない」

 

「そ、そんな…ウソだ」

 

「……なぁ、先生。正直俺も疑いたくなる。どうやってわかったんだよ」

 

なおも信じられない光輝を見て、龍太郎がフォローするように聞く。

 

「俺も気になりました。どうやって」

 

持ってきたパーンズも流石にこれは理解できないので聞いた。他の者も似た意見のようだ。ただひとり、メルドは以前少し話したのもあり、これが七海の言う『見る』という事なのではと考えていた。

 

「魔力感知、これを使いました」

 

「魔力…感知?だがそれは…」

 

「それは、気配感知と同じで漠然とどのくらいの位置に何体いるかということだけでしょう⁉︎せいぜいロックマウントみたいに擬態したり、気配を消した魔物に有効なだけで…」

 

「それは君が使いこなせていないだけです」

 

七海はステータスプレートを出して見せる。他の皆もなんだと集まって来るので七海は「1人ずつ見せますよ」と言い、とりあえずメルドと光輝に見せる。そこにはレベル、ステータスは変わってないが、唯一変化しているものがあった。

 

 

魔力感知〔+ 視認(極)〕

 

 

「なんだ?視認(極)?」

 

「極めたということですね。これによって私はその魔法、魔力が使われた跡……ここでは残穢とでも言いましょう。それを見たことで判断しました」

 

「以前も言われていましたが残穢?残滓とはまた違うのですか?」

 

メルドと七海の会話に入るように、パーンズは質問する。

 

「ええ。だいたい、魔力の残滓はそこまで残らないでしょう?」

 

七海の言うとおり、この木人形は香織が目覚めた日に七海がお願いして、その日のうちに作られたもの。5日以上も経過したなら本来残滓は残ってなどいない。

 

「どちらも痕跡には変わりませんが、簡単に例えるならば残滓は残りかす、残穢は匂い付きのシミ。君達が迷宮で転移した時にあまり迷わず下に行けたのも残穢を追って来れた事にあります。君達にはここまでとは言いませんが、魔力を感知して視認できるレベルにはなってもらいます」

 

要は今魔力感知を持っていない者はちゃんと持てということだ。

 

「それは、難しいぞ建人。各天職によって技能は変わってくる。知ってるだろう?天職と技能は連動しているんだ」

 

「それに、それを手にしてどう強くなれるんですか?」

 

七海の事は既に信頼しているがこれで強くなれるのか疑問があった香織は聞く。他の皆も同意見なのか頷いている。

 

「なら、論より証拠、百聞は一見にしかずです。…坂上くん、永山くん、前に出てください。ついでに君達の問題点その2と共に教えましょう。特に君達2人は酷いですから」

 

またもハッキリ言われるが先程の事もあり、ムッとした表情になるも2人とも声を出す事を我慢した。七海は以前光輝にした時のように地面に円を書く。あの時とは違い今回は少し広めだ。ある程度動く事も可能だから回避も出来る。それでも狭い。拳を放てば普通に届く。

 

「この円内から私は動きませんし、手も片手しか使いませんし、攻撃もしません。君達2人で私をこの円から出す、もしくは攻撃を当ててください。時間は1分です」

 

そしてハンデは以前以上だ。龍太郎は拳士、永山は重格闘家の天職だ。接近戦でなら無類の天職相手にステータスが上とはいえここまで手加減されたら黙っていられない。2人は目線を合わせて同時攻撃を開始した。

 

だが、結果は惨敗。2人で同時に攻撃してもスイスイかわし、フェイントにもまったく引っかかる事もなく、身を屈める、避ける、手で払うなどして攻撃を寄せ付けなかった。それどころか最終的に焦った龍太郎がタックルして来たのを跳躍でかわし、向かい側にいた永山にぶつけて自滅させた。

 

「ど、どうなってんだ?」

 

「あぁ、まったく当たらないし、後ろに目があるのかってレベルだ」

 

「これも魔力感知の応用ですよ」

 

倒れた2人に近づいて七海は説明する。

 

「君達はこの世界に来た事で魔力という力を得た。その時力がみなぎる感じがしたでしょう?そして鍛錬するたびに力も上がった。メルドさんは以前言っていましたね?魔力の高い者は他のステータスも高くなる、魔力が身体のスペックを無意識に上げていると」

 

「あ、あぁ。だがあれは詳しくはわかってはいないとも…」

 

「いえ、あっていますよ。そしてそれが原因で君達2人の攻撃がわかるんです」

 

まるで今までわかっていなかった事をさも当然のように言う七海に疑問が出る。そこからさらにそれが原因と言った事で追加で疑問が出るが、その疑問もすぐに答えを出す。

 

「魔力の視認。これができた事によって魔力の流れ、その強弱も測れます。身体能力を意識的にではなく無意識的に向上させているせいで、今の君達の身体に流れる魔力の流れはかなり雑です。攻撃するであろう部位、力を入れる部位にしようとする前に、その部分に魔力が集中してしまい、そこから動きを読まれてしまう」

 

特に龍太郎と永山はそれがわかりやすいレベルだった。いわゆる脳筋だが、予測出来るのは流石にいただけない。接近戦をするなら尚更だ。

 

「これから先、私のように魔力視認能力がある敵が現れない保証はない。なら、それは直すべきことです」

 

七海は2人に手を出して起こしながら説明を続ける。

 

「そして強弱がわかるなら相手が強い魔法を使うか、それが発動するタイミングはいつかも判断ができるようになる。その上で君たちの魔力の使い方ですが、それもダメです。不必要なロスが多い」

 

「ロス…ですか?」

 

恵里が問う。

 

「ええ。例えば炎の魔法を使うのに必要な魔力が10、中村さんの持つ魔力量が100としましょう。元来10消費すればいいものですが、それを20、30と無駄なロスが多い。するとどうなるかは言わずもがなですね。ちなみに魔物は、魔力操作ができる技能を持っているとされている為、詠唱や陣もいらないので無駄なロスエネルギーがほぼ0です。まぁ、これは座学で習った事でしょうからいいとして、流石にこれの習得は無理でしょう。ですから、その無駄なロスエネルギーを限りなく無くす訓練もします。…それではまとめます」

 

色々言って頭が追いつかない者もいるようなので、七海は必要なものを挙げる。

 

==============================================

訓練項目

 

1、魔力視認能力を得る、もしくは技能〔魔力感知〕を得る

2、魔力を意識して使い無駄をなくしていく

3、基礎体力及び肉体づくり

4、上記のものを除いた戦闘能力向上

==============================================

 

「と言ったところですかね。ここまでで何か質問は?」

 

と、すぐに手が上がるがそれは生徒ではなくパーンズだ。だが質問を生徒だけにした覚えはないので七海はその質問を受ける。

 

「ひとつよろしいですか?七海殿は魔力がない。それなのにどうしてそこまで魔力に詳しいのですか?」

 

その質問は的を射た質問だ。というより、皆がずっと思っていた事でもある。メルドの方は呪術について明かされ、理解していたのもあり万が一の場合にはどうにかこの話を終わらせようと考えた。

 

「………使うのと、理解するのは同じではありません。例えば皆さんが使っている剣。剣が鉄でできているのは皆知っていますが、どう作るかの工程を全て理解していない。鍛治師は剣を作る工程を理解しても使いこなせはしない。まぁ、そんなものです。私は魔法は使えなくてもこの世界の知識と見る事で、見える事で理解した、それだけです」

 

だがそれは必要ないようだ。七海の言うことは真実でもある。ちなみに七海も知らない事だが、魔法にはまだ核や属性ごとに色があるのだがそれを知るのは当分先である。

 

「続きといきましょう。天之河君は本来なら残穢くらいは見えてもいい能力を持っています。それが見えないのは君が見ようとしてないからです。魔力も人もね」

 

「どういう意味ですか」

 

光輝は不満を声と共に出す。

 

「わかっていますか?君が今ここに立っているのは南雲君がいたからです」

 

「なっ、何を⁉︎」

 

今回ここに集まった者達の参加条件。それは香織のワガママを聞き、それを受け入れ協力するプラス自分の戦う理由をもつこと、ハジメが拾わしてくれた命をもう一度使う意思をもつこと。

 

七海や香織が言ったこともあり、自分達の命がハジメによってつながっていると皆、理解している。ただ1人、光輝を除いて。

 

「その時の事は見てないですが、君はメルドさんに後退するよう言われても後退せず、君では勝てない相手に無謀な戦いをした。周りのパニックも放って置いて」

 

「そんなことはない‼︎俺は…」

 

「南雲君に言われて君は後退したと聞きましたが?」

 

「それは…皆を救う為に‼︎」

 

「つまりそれまでは見えてなかったでしょう」

 

「………っ…」

 

光輝に言い返せるはずもない。あの時、確かにハジメに言われた。「前ばかりじゃなくて後ろも見て」と。だが、

 

「俺は、俺がいたから、前の道を切り開けた。それは南雲も認めていた。俺が皆を救えるって‼︎」

 

それで認めないのが彼、天之河光輝である。

 

「では、その間ベヒモスを止めたのは?もし、南雲君がいない状態で皆を助けることはできましたか?」

 

「できた!俺ならでき…」

 

また光輝の話を遮るように目の前に七海の拳があった。

 

「ちゃんと見えていればこれもここまで近づく前に回避行動が取れます。君は、自分の事しか見てない」

 

光輝は大迷宮から脱出する時とほぼ同じにもかかわらず、まったく反応できなかった。悔しさと怒りで光輝はどうにかなりそうだったが、それが爆破する前に七海は言う。

 

「一応言っておきますが、君の才は他の誰よりも秀でてます。それは間違いない」

 

「……先生は、俺を貶したいんですか?それともどうしたいんですか?」

 

「褒めも貶しもしません。事実に即し、己を律する。それが私です。大人になるにつれ、君も分かりますよ。さぁ、もう1度、見てください。君がちゃんと見る、見ていると言うなら、目を凝らしてください。残穢は痕跡です。魔力としては薄い、よく見て、そう、そうです」

 

光輝は七海に言われるがまま、じっと見る。目を凝らし隅々まで見るように。すると、

 

「⁉︎これ、見える。見えた‼︎その木人形から靄みたいなものが見える‼︎」

 

七海以外の人物が見えた。しかもそれが勇者でありクラスのカリスマ的存在の光輝が言った事で、今まで七海が言った事の信憑性が一気に上がった。

 

「すごい、これが魔力の跡…残穢」

 

「まぁ、君の場合は魔力感知を最初から持っていたのですから、見えて当然だったものが見えただけですけどね」

 

せっかく見えるようになったのにまたもダメ出しされて光輝はイラっとする。

 

「すぐにいつでも見えるようになります‼︎」

 

「見る前に気配で悟ってください」

 

七海の厳しい返答に光輝のストレスは溜まっていくが、それをスルーして七海は続けて言う。

 

「さて、先程メルドさんも言いましたが、各天職によって技能は変わってきますから、必ずしも全員がこれを手にするとは限りません。が、せめて魔力の意識した使用はしてもらいます。ただ、先程あげた4つの項目をひとつひとつやっていたら時間がかかります。そこでそれらをまとめて補う訓練をします。とてつもなく厳しい訓練をね」

 

ついにそれが発表される。皆、ゴクリと唾を飲む。

 

「その訓練方法は…」

 

どんな事を言われるか…ここまで厳しい事を言われたのだ、恐ろしい訓練が来るだろうと皆は踏んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「薪割りです」

 

一瞬、静寂。次に疑問。「何言ったこの人?」。そして、

 

「ふざけないでください‼︎薪割り⁉︎」

 

案の定光輝が叫んだ。とはいえこればっかりは他の皆も同意見だろう。

 

「当然ですが、ただの薪割りではありません。……どうやら来たようですね」

 

七海が言う方向を見ると今度はマッド含めた騎士達。大量の薪を積んだ巨大なカート。もうひとつは置いた時金属音が聞こえる袋で所々袋が尖っている。

 

「申し訳ありません。遅れてしまいましたか?」

 

「いえ、丁度よかったです」

 

「それはよかったです。あぁ、追加はすぐに来るので」

 

「ありがとうございます」

 

運んで来たマッドにそう言いつつ、七海は騎士達が持ってきた袋に入っていた物を取り出す。それは七海が使う大鉈とほぼ同じ物だ。

 

「まずルールその1、薪は必ず一撃で切る事。切れなかった物はカウントしません。その2、皆さんが切る為に使うのはこの大鉈です」

 

「…!それって」

 

「もしかして」

 

何度かそれが作られるところを作っていた人物と共に見ていた香織と雫は気付いた。

 

「そう、これは南雲くんに作らせたものです。彼に自身の術の理解を深めてもらうように1日に何度も、回復薬や休憩を取りつつ作ってもらった大鉈です。………一応言っておきますが白崎さん、持ち出さないように、それと壊さないようにしようなど思わないでください」

 

考えを読まれて香織は「うぅ」ともらすが、その後の「壊さないように」の部分に「え?」となる。

 

「では…… 谷口さん、八重樫さん、坂上くん。これを」

 

とそれぞれに大鉈を渡し、彼らの前に薪をセットする。

 

「その鉈でこの薪を割ってください」

 

「ってシズシズや龍太郎くんじゃない私みたいな非力には無理です!」

 

「そんな事は当然分かりますよ。ですから…」

 

と鈴と共に席を外し、皆が聞こえない場所で七海は助言をする。

 

「集中してください。魔力による身体強化、これを意識してください」

 

「そんな事いきなり言われても」

 

「なら、イメージでいいです。目を瞑ってください。…次に身体の中で漂う血液と動く筋肉をイメージして。そしてその周りに漂うものを意識する」

 

「むむぅぅ、はい」

 

「それが魔力です。それを血液と共に全身へ流す」

 

カウンセリングのように、または催眠術のように語りかける。

 

そしていくつか鈴に語りかけた後、また薪の前に立たせる。

 

「では、皆さん、合図と同時に1人ずつ切ってください」

 

そして七海は手をパンっと叩いて合図をする。まず龍太郎、

 

「あっ‼︎」

 

薪ではなく大鉈が折れてしまった。次に雫、

 

「‼︎切れた…けど」

 

彼女は剣術と七海が言っていた事を独自に考え、身体強化を意識して切ったが途中で止まる。あと少しだった。そして、

 

「う、ウソ」

 

ただ1人、鈴は一撃で切った。

 

「す、すげぇ!すごいぞ谷口‼︎」

 

「うんホント、八重樫さんならいけるかなって思ったのにまさか」

 

「鈴、すごいよ⁉︎」

 

「あ、あははは、七海先生の教えがいいからだ、よ」

 

と言いながら、鈴はぺたりと座り込んだ。

 

「たった1回でもこんなに疲れるなんて」

 

「七海先生からなんて助言を受けたんだ?」

 

龍太郎はすぐさま鈴に問う。自分が全然できなかった事を、非力である鈴が成したことが気になるようだ。

 

「魔力の身体強化の意識の仕方、それと…」

 

「武器に魔力を込めるという事です」

 

鈴の言葉に続くように七海は答えた。

 

「その鈍大鉈では、身体強化だけでは到底切れません。故に、魔力で武器の強化もしていただきました。ちなみにこれは武器の強化魔法である〝絶断〟などとは違います」

 

七海は魔力が呪力と似たエネルギーならできるかもしれないと踏んで、武器を身体の一部分と思い、魔力を込めるのをイメージする様に指示した。どうやら成功したようだが、それができたのは彼女が結界師という役職だったのもある。

 

七海は結界師なら他の者よりも魔力のコントロールは上手いと考えており、それも当たったようだ。ただ、

 

「うわっ!鉈が壊れた⁉︎」

 

パキッという音がして大鉈が壊れてしまう。

 

「魔力を与えすぎて、器である大鉈が耐えられなかったんでしょう。込める時は少しずつ、研ぐようにした方がいいかもしれませんね。八重樫さんは武器に魔力を込めるように。坂上くんはもっと身体強化と魔力の使用を意識してください。自分は今魔力を使っているんだと意識を忘れずに」

 

3人の現在の悪い部分とすべき事を的確に七海は教え、それを見ていた生徒達の方に向き説明する。

 

「さて、これと同じ事を皆さんにもしていただきますが、クリア条件は全員が薪100本切る事。ただし、一撃で切れなかったり、途中で鉈が壊れた場合はカウントを0にします。たとえ99本切っていても0にします。……この訓練は意識をして魔力を使い、魔力による身体強化を確実にするため、魔力を込めすぎると大鉈は壊れてしまうので、その調整によって魔力のロスを少なくする訓練となります。魔力を使うのを意識するには見る。それも意識しだせば自ずと視認もしくは感知ができてくるはずです」

 

だんだんとこの訓練が厳しいものだと皆理解しだした。

 

「魔力を使い果たしてしまった方は今日はそこまで、脱落です。訓練には参加できるのであしからず。………はい、遠藤くん」

 

どうやら遠藤が手を挙げていたようで、それによってまた皆ビクッとなる。『いるのは知ってるが挙げてたんだ‼︎』と。

 

遠藤は七海がまた気付いてくれて感動しているが、七海方はかなり必死だ。意見はちゃんと聞くべき…だからこそ意識を集中する。見逃さないように。七海はそうまでしないと見えない彼の影の薄さを、才能を超えた何かにすら思えていた。

 

「七海先生、これで訓練項目の1と2ができるのは分かりましたが3と4は?」

 

「4は後で説明するのでまた別ですが、3はこれでどうにかなります。薪割りは効率的な全身運動として有名です。やっているうちに基礎体力と肉体作りは嫌でもできます」

 

筋トレもついでにしようという事だ。かなり考えられている。

 

「もうひとついいですか?先生の使ってるその大鉈も南雲が作ったものですよね?どうして先生はそれで斬れるんですか?」

 

魔力による身体強化も、武器の強化も無しにどうやってと聞く。魔力でなく呪力でやっていると言えばそれで済むのだが、現状では言えない為、七海は一瞬考えて答えた。

 

「………技術、それと私のステータスの為ですね」

 

曖昧な答えだが納得いく部分もある。七海のステータスの高さはレベル1の者のそれではないのだから。

 

「もう質問はありませんか?…では始めましょう」

 




今日中にもう1話出します!

ちなみに
今回のタイトルがなかなか思いつかなかった。
で「鉈で研磨し」→「眼光」(物事を見通す力という意味もある)を得るで決めました

ちなみに2
魔力の残滓についての説明がなかった本読んでもなかったので残穢と違うという設定を考えました。読み落としがあるならいつでも言ってくださいすぐ修正します

ちなみに3
薪割りが効率的な全身運動のところですが、この小説作るにあたってある程度の道筋を先に考えて最初から修行こうしようと考えてたらジャンプにまったくおんなじこと書いてあったマンガ(打ち切りされたけど)が出ておかげでこの小説出すの迷いました
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