皆様、メリクリー&良いお年を
「谷口さんはこの後王都へ戻してください」
光輝は正直、自分だと、思っていた。だからその時、どうしようもなく、
(ああ、よかった)
心の中でそう思ってしまった自分が、心底情けなくて、
「色々ありますが、強いて言うなら、思考をやめていないことですね。悩み続ける事を、無自覚ながらも選んでいる。まぁ、それでも甘いのは変わりませんが、その甘さが、嫌いになれないからでしょうね」
そして、これまで忌むべき相手としていた者からの言葉。決して称賛とは言えないような称賛の言葉。それが、嬉しいと思ってしまった自分に、どうしようもなく腹が立った。
だが、正直、七海の言う事が正しいと、光輝は理解している。そうすることが、鈴の命を守ることができるのだと。
(それでも)
気付いた時には、光輝は前に出ていた。
(きっと俺が今から言う言葉は、なんの理屈もクソない発言なんだと思う。…でも、だとしても)
だがここで何も言わなければ、自分は本当にどうしよもない存在に成り下がると感じていた。
*
「七海先生、俺を王都に戻していいので、その代わり鈴の同行を…恵里ともう一度会う機会を、許してください」
「…天之河君、その発言に、いったいなんの意味があるんですか?」
「…………」
「君の代わりに谷口さんを連れて行け?その行為をして谷口さんが命を落とした時、落とさないにしても、彼女の精神が壊れてしまってもいいと?」
七海の表情は、まさに怒り。大きな声こそ出さないが、静かな言葉の1つ1つに怒気がある。
「おおかた、自分の強くなるチャンスを捨てる代わりに谷口さんにチャンスを与えて欲しいということなんでしょうが、責任を持てない言葉を言うものではないですよ」
光輝が提示した条件を読み取った七海は、なんなら殺意も感じるような声で言う。それを受けても、
「そうですね」
光輝は怯んでいない。それに僅かばかり七海は驚きつつ、そしてそのまま彼の言葉を聞き続ける。
「確かに、先生の言うようにすれば、鈴の命は守ることができます。けど、生き甲斐を奪われた鈴が、王都に戻って何もしないなんて言えますか?」
「それは私も考えてます。戻す時に情報も送ってもらうつもりです。谷口さんの現状をね。今の彼女についての情報を渡せば、畑山先生含めた多くの方々が必死に止める。そして、それらを谷口さんは決して振り払えない」
七海の発言のそれは確信に近い。自らの目的を明確にしてない状態の鈴では、愛子達の優しさを無理矢理振り払って何処かに行くことなどできない。
「誰かの命とその方の目的を天秤に乗せた時、私は基本的に命を選択します。その人が子供なら、尚更に」
「…確かに、それなら鈴の命は救えます。でも、鈴の心はどうなるんですか?この先恵里と一度も相対することがなければ、鈴の心は一生救われない。溢れる涙は止まらない。壊れかけている心を癒せても、罅はずっと残り続け、時間と共に広がり続ける」
ハジメは、正直、鈴のことなどどうでもいいし、この会話もどうでもいい。むしろさっさと終わらせてほしいと思うほどだ。そんな彼が、『もういいからさっさと終わらせろ』と、口に出せないほど、驚いていた。光輝の発言が、これまでのものとまるで違う。
これまで同様、独善的なようにも見えるが、何かが違うと。
「一度でも壊れしまったものが治るなんて最初から考えてないですよ。君の言う時間を伸ばす為の、所謂、延命措置のようなもの。君が今発言しているエゴと同じです」
「俺が言ってることがエゴだなんてわかってます。そして、それに対してなんの責任も持てないことも」
これまでの光輝であれば、自分の発言がエゴだなんて認めないし、絶対に言わないだろう。光輝を知る者は皆、当然驚いてる。
「俺がしようとしてる事は、鈴の命を危険にさせる行為です。いつでも俺は鈴を見れるわけじゃない。その最中に何かあれば、俺は助けることなんてできない。責任なんて持てるはずない。鈴の両親に謝罪したところで、なんの意味もない」
「要領を得ないですね。どうしたいんです?」
「俺は、責任はまだ持てない子供です。けど、それでも、救いたい友達がいて、何もせずなんて、できません。七海先生の言う通りにしたら、鈴は本当の意味で救われない。俺にも、先生にも、誰にも救えない。この先で鈴の心を救うには、鈴自身が乗り越えなくちゃいけない壁、責務です」
そして、光輝はぐっと頭を下げて懇願した
「その機会を、どうか奪わないでください」
恥も外見も捨てたその姿は、これまで光輝が見せた事のない姿であり、まず間違いようのない変化だ。
「俺が払える対価で、鈴の心を救える手助けができるならなんでもするけど、払えるものは、俺の強くなるチャンスを潰すことしか、ありませんでした」
「そんなものは対価なんて言いません」
そんな事は光輝も理解している。だが、それ以外で差し出せるものなどない。
(ならどうする?なにを差し出す?なにをすればいい!)
それでも尚、光輝は僅か時間で脳内をフル回転させ、考える。
(俺が、できること、俺が……ちがう、俺じゃない)
選択を決めた。だがこれは、自分の意思。あくまでも、自分、光輝の意思とエゴ。問うべき物、決意と決断をしなければいけないのは…
「鈴ぅ‼︎」
覇気を失った鈴が静かに顔を上げた。
「鈴はどうしたい‼︎俺は、俺達はまだ、君の答えを聞いてない!」
光輝の言う通り、鈴は七海の発言を止めようとしたが、鈴自身の主張は何ひとつしていない。
「わかんないよ」
小さく、だが聞こえる声で、体育座りをして顔を俯いた状態にした鈴が言う。
「七海先生の言う通りだよ。恵里のした事を、信じたくないのに、すぐ受け入れられたのは」
これまで耐えて、我慢して、流さなかった彼女の本音と涙がぼろぼろと落ちる。
「初めて会った時から、ずっと、恵里が本心をみせてないことは。だってわたしも、同じだったから」
「同じって?」
龍太郎にはその言葉意味がわからず疑問を口にする。雫も同じ思いなのか、龍太郎と同じような表情をしている。少なくとも、龍太郎と雫には恵里と鈴が同じとは思えなかった。
「私の笑顔も、打算だから。どんな時も笑顔でいれば、1人にならなくていいって。笑顔でいれば、皆が笑顔で私に集まって、私も楽しく生きれるから。本当は楽しいなんて思う事なんて少なかった。常にニコニコしてたら、ムードメーカーの私を演じるだけで、私も皆も笑顔になれるならそれでいいんだって」
だから鈴は共感した。だから鈴は気付いた。恵里も、自分とはまた違うが、その言動が人を観察し、自分を優位な位置に置く為のものだと。だからこそ恵里と心から友達と、親友と言える仲になれたのだと。……そう、錯覚していた。
「けど、違う。私がしていたのは、ただの現実逃避。今の関係が、今の自分が、壊れて、終わるのが嫌で、ずっと逃げた」
涙が鈴の目からどんどん出てくる。自分の罪を告解していく毎に。
「勝手に恵里の事を決めつけた。恵里がどんな人でも、そんなことはしないって、何も、知ろうともしなかったくせに。結局、私がしたことは、ヘラヘラと偽物の笑顔を貼り付けて、他者との繋がりを求めただけで、誰も救わなかった。それが結果的に多くの命を奪った。だから、私はそれに対してケジメをつけなきゃいけないって」
「しかし、その為に何をどうすればいいかを決めきれず、いつの間にかその罪悪感に押し潰され、自分の命で償いをしようとした」
「はい。それも、逃げです」
七海の言葉を肯定し、鈴は言う。
「夢に出てきた恵里は、打算も何もない笑みで、それを見た瞬間、違うって思いつつ、しばらく一緒にいた。けど、過ごせば過ごすほど、その笑顔が、私向けるはずのない笑顔が、私を蝕んで」
『お前は違う』鈴はそう言った瞬間、夢の中の恵里を締め殺した。衝動的だ。壊れそうな自分を守る為の行為だ。それで試練をクリアできても、人として許されるというわけではない。
「恵里と会ったとしても、何をしたらいいか、正直なところわからないんです。もしかしたら、今回の夢みたく、また衝動的な行動をとるかもしれない。それが、私は、怖い。選択肢が殺す以外になくなることが、怖いんです」
鈴の塞いでいた本音を全員聞き、勇者パーティは押し黙ってしまう。
「でも、それでも鈴は、恵里に会いたいから、ここまで付いてきたんだろう?」
光輝を除いて。
「俺が言える事じゃないけど、わからないなら、俺達に頼れよ。信頼できなくてもいい、信用しなくてもいい。でも目的を、見つけて達成したいなら、一緒にもがこう。みっともなくても、醜くても、何かを本気で成すなら、《何か》を許容してでも」
光輝のその瞳は、落ち込んだように見え、光が失われているかのように暗いにも関わらず、発言には芯があった。
「それに、鈴に罪があるなら、それは俺もだ。恵里に、俺が何かしたから、本当の意味で彼女の闇に触れずに、見もしなかったから、大勢の人を死なせた。だから、俺は、恵里に会ったら、言わないといけない事がある。これだけは、元の世界に帰る前に、やらなきゃいけない。君はどうしたい?他人じゃなくて、自分の為に、恵里に会ったらどうしたい?そもそも、本気で、恵里に会いたいのか?」
鈴はうつむいたままだが
「会いたい」
ボソリと、消えそうな声で言う。
「会って、話したい。意味ないかもだけど、ずっと寝てたから、一言だけでも、話したい。それでダメなら、ケジメをつける為に戦う。その為なら、命を賭けたい」
とても静かな声だが、そこにはちゃんとした、意思があった。
「結末が、自身の滅びに繋がると私は思いますよ。精神的にも肉体的にも」
「全部終わらせるまで死にませんし、死ぬ気はありません。それに…」
七海の忠告に対し鈴はゆっくりと、静かに答える。
「先生は、できることなら、
(そう来たか)と七海は思った。鈴の言う事は事実だ。あくまでも彼女の命を優先した。
現状の鈴について告げたこと、そうするべきと決めた事にも後悔はない。だが、七海はそれとは別に、鈴に立ち上がってほしいという僅かな欲があった。その理由が、鈴が今言った事だ。
(
これでもまだ足りない。
「こう言ってはなんですが、君の代わりは既にいます」
ユエ達を横目に七海は言う。告げられたユエ達はちょっとだけ細目をして七海を見るが、今はスルーした。
「それは最初からですよね?そうなら、なんで
「………」
それも正解だ。七海はどう鈴に諦めさせようかと言葉を探し、次の言葉を発言しようとした時、
「先生は私の覚悟は、偽者だと思いますか?」
そう言う鈴の瞳を、七海は見た事がある。
*
『ナナミン、今日俺は人を殺したよ』
『正しい死ってなに?』
*
(どうして、私の教える子からは、こういう子が出てくるんでしょうかね?)
鈴を戦いの場から遠ざけることも、復讐をさせないことも、言うなれば簡単だ。彼ら彼女らを守るなら、正しい選択だ。
だがその瞳に、覚悟に、七海は応えなくてならない。応えざるをえない。複雑な気持ちだった。だが、
(私が判断した、天秤をこの子達は壊そうとしてる。私ではできなかった事を)
ため息を出さないように、短く一呼吸し、七海は口を開いた。
「好きにしなさい。ただし、縛りを結んでもらいます。今度はちゃんとした縛りを。内容は、そうですね……谷口さんからは中村恵里と再会までは、この旅に同行するでいいでしょうか?」
「先生からは?」
七海が口にした条件に、鈴は
「それで、構いません」
*
「七海よ」
「なんですか?」
ティオ、ユエ、七海を残し、他の者は先に下へ戻った。もちろん、ハジメに許可をもらってだ。だが、話したかったのは七海の方ではなく、ユエとティオの方である。
「正直、妾とユエは、あの条件なら、暴走が起こる可能性を下げる事はできるじゃろうと思うし、こちらに被害がないのであればご主人様も文句は……まぁ、たぶんないじゃろうて」
「では、なぜ私と話しなど?やはり、
「ぶっちゃけ、それは後で良い」
ユエの言葉に、ティオも頷く。彼女達にとっては、あの話への興味がないというわけではないにしても
「七海、鈴を王都に戻さない決断をしたけど、本当によかったの?正直、何を言っても七海は断ると思ってたから」
「…お2人が、谷口さんをそんなに心配して下さるとは思ってませんでした」
七海は2人にとっては鈴は優先順位の中では低く、寧ろ優先順位の中に入っているとも思っていなかった。
「ユエはどうかは知らぬが、一応妾は短いながらもあやつの修行と面倒を見た身じゃ。思う所が無いわけではない」
「私の場合は、あの子よりも、七海の心配と、純粋な疑問」
2人とも理由は違うが、それぞれ思うところがあったから聞いていた。
「…お2人の質問に答えるのなら、正直なところ、あの時答える時に私は悩んでました。だから、本心なのかと言うなら、それは違うと言えますね」
そんな七海の言葉に、2人は予想していたのか、「ふぅ」と息をはいた。
「似たような者でもおったのかの?」
「同じではないですよ。ただ、覚悟を決めて踠く人は知ってます」
「七海が過去に囚われるようには見えなかった」
「別に囚われてるわけじゃないですよ。それに、先程の縛り抜きにしても、実力と覚悟がなければ、私は絶対に認めません。…教師としては、最低だなと、つくづく思いますがね」
ティオとユエは『損な役割だな』と思わずにいられなかった
「あの甘ちゃん勇者も言ってたことと被るのは嫌だけど、あの子、鈴に関しては、私達もそれなりに手伝うつもりでいるから、七海も私達を頼ってもいい」
「もう頼ってますし、迷惑をかける事に申し訳ないと思ってます。
「そういうことではないんじゃがな」
*
一方、ユエ達より先に大迷宮から戻った直後に、ふいに光輝はハジメを見て言う。
「南雲」
「あぁん?」
「正直俺はお前が嫌いだ。前から協調性がない癖に香織に好かれて、この世界でお前に色々あったのを差し引いても、散々やらかしたのに結果的に俺がした事を成し遂げて、ユエさん含めて多くの人に好かれて、称賛される。あぁ、ムカつくよ。その態度含めて」
「お、おぉう?」
これまでの光輝を知っているハジメは、それで心を動かされる事はなくとも、いきなりのこの言動にちょっと驚く。
「けど、感謝してる。この状況含めて」
「!」
光輝の言葉にハジメは僅かに反応し、『まさか』という感情が芽生える。
「いつのタイミングがわからないが、呪具を使った念話か、それとも、もっと前かに、あの時の状況に対して、基本静観をしてほしい事を、七海先生から頼まれたんだろ?じゃなきゃ、お前があの状況下で話し合いを終わらせないのはおかしい」
光輝の言葉で、数人がようやく気付く。『そういえば』と言った具合だ。光輝も、「気付いたのはついさっきなんだけどな」と付け加える。
「鈴が七海先生にした事は、さすがに許容範囲外なんだろうが、それを含まなくても、俺と鈴の話し合いをお前が止めないのはおかしいからな」
「…だとしても、それをお前が言うのが違和感バリバリなんだが」
「ついでに言うなら、君があの時話し合いに割り込んで来るのも、正直言って想定外です」
丁度いいタイミングで戻って来た七海が話に加わる。ここまでの会話の内容を全て聞いていたわけではないが、聞こえた会話から状況を何となく理解した。
あの時、七海がキレたのは、光輝の言動に対してだけでなく、鈴の意思をこれからを決める大事な場面で割り込んで来たからというのも大きい。
「南雲、あらためて言う。チャンスをくれて、感謝する。…俺がお前を嫌いなのは多分一生変わらないけどなっ!」
光輝の発言にハジメは「へぇへぇ」どうでもいいとばかりの生返事をするので、光輝はまたもイラァとするが、我慢する。
「七海先生。まだ俺も、何をどうするのがいいのか、何が正義で、どこまでが正しいのか、ちゃんと見極められていません。けど、誰かを助けたい気持ちを捨てるつもりはありませし、それだけは、間違ってないって信じてます。だから俺は、俺個人が納得する答えを得るためにも、俺はこの世界を救う事を選択したいです」
「…その選択は、辛いものになります。私はおすすめしませんよ?」
「覚悟の上です。って言いたいんですけど、俺の覚悟なんて、きっと先生のと比べたら小さなもので、その為に誰かを殺せるのかって聞かれたら、答えはでないと思います。それでも、やりたいんです」
これまで、光輝は七海に対して、目を合わせた事はない。自分でも気付かないうちに、目を逸らしていた。
「これが俺の精一杯の覚悟で、決意です」
七海は「そうですか」と軽く言うが、嬉しく思えていた。
「ただ、俺はあなたを好きにはなれません。南雲とは違う意味で」
「違う、とは?」
「色々と…厳しく正しい発言が、俺達の為なのに、それが伝わりづらい所とか、優しいんだか厳しいんだか、よくわかんないとことか。それとは別に、俺達を本気で強くしてくれたり、寄り添ってくれたりで、強さを常に示してくれて、大人として模範を貫く姿勢とか…」
(なんつーか)
聞いているハジメが考えていることは、この場にいる総意であった。
『天之河[光輝]、めっちゃ七海先生のこと好きじゃない?』
である。
七海も称賛されてるのか嫌われてるのかよくわからない光輝の言葉に僅かに困惑していた。やがてそんな光輝の言葉の締めとなる、この場の者が聞きたい言葉を告げる。
「その上で聞かせてください。俺はあなたを信じたい。信じていたいから」
信じたい。ただそれだけの目的。
「七海先生、あなたという呪術師についてそして」
ハジメも聞こうと思っていた事を
「さっきのアレ、ハルツィナが言ってた存在のこと。災いってなんなんですか?」
*
今より10数分前、ユエとティオが七海と個人的に話すよりも前。その時にすでに全員が大迷宮から出て外に戻ろうととしていたが、
「?…なんだ」
突如、木々が動いて、先ほどのように再びリューティリス・ハルツィナの顔を形成する
まさかここもメルジーネの時のような碌でもない演出と、先程まで戦っていたゴキブリ群団とは別のボスがいるのか、そう考え身構えるハジメ達。
が、リューティリス・ハルツィナのその表情は真剣な、あるいは警戒するような、もしくは困ったようにも見える顔をしている。そして、彼女はそのまま言葉を紡ぐ。
『この言葉が、流れているということは、この場に、通称〝害徒〟と呼ばれる存在がいるのですね』
その言葉に、ハジメ達も光輝達も驚くが、それ以上に驚きを露わにしたのが七海であった。
『わたくしの昇華魔法を手にした瞬間、
そう言い、なにか決意を決めたかのような顔をした。
『わたくし達がいた時代には、ほんの僅かですが、その力を扱う者達がいました。そして、わたくしは解放者の中で唯一、その源の力を見ることができました』
リューティリス・ハルツィナの言葉の通りなら、恐らくリューティリス・ハルツィナは七海の世界で言う、呪いが見えるだけの人物だったのだろう。そうして、呪力を持つ者がここに来た時の為の言葉を残していた。
『しかしながら、その方々は、完全に消し去られました。神によって、記録すらも残さず。僅かに残った記録を口伝で残した。今、その口伝もかなり失っているでしょう。伝えすぎれば、問答無用で消されてしまう可能性があったから』
七海はそこで理解した。アルフレリックが語った口伝があれほどまでに曖昧且つ抽象的な理由が。
『ここで、その存在の名を告げましょう。その名は』
ずっと、思っていた。七海の中で、その存在が。神が、エヒトが、歴史からその名を消そうと思うほど存在。
『両面宿儺。それが、かつて神が自分でもたらした、災いの名です』
ちなみに
てな訳で、宿儺にしました。
直前まで五条かカッシーのどちらかで悩んでましたが、こっちだと決めました。ちなみに羂索は最初から入れてません。あいつが今強いのは夏油の身体でもあるし。あと、こちらの宿儺は平安の宿儺です。
なんでエヒト殺してないかはどこまで書けるかわからんところもあるのである程度言うと、1つは感想でも書いた通りです。ある縛りを宿儺は結んでます。2つ目。これは多分書かないと思いますが、裏梅がいないからです。単行本のおまけを見て、そう判断しました。