どうしてもご都合主義になってしまいそうですが、必要なんや…許してくれ…
―――東の海《イーストブルー》 ドーン島 コルボ山 リベル視点
「モンキー・D?もしかして、ガープさんの孫?」
「じいちゃんのこと知ってんのか?!」
「うん、あの人に殺されかけたことがあるからね。」
あれは3年前だったかなぁ…
―――3年前 東の海《イーストブルー》 セッテ島 リベルの家
大きな船が近づいてくる。
船首には犬のようなものがついており、その船の帆は堂々と海軍であることが示されていた。
船が島に停泊し、一人のたくましい男性が船から降りてくる。
「おい、ティモ!!おらんのか!わしが来てやったぞ!!」
「なんじゃ騒がしい。…あぁ、ガープか、何をしに来た。」
「ぶわっはっは!孫の顔を見に遥々東の海《イーストブルー》に来たんでな。ついでにお前さんの顔も見に来たんじゃ。…で、お前さんの服の裾を掴んどるそこの子供はなんじゃ?」
「わしの孫だ。リベルや、こいつの名前はモンキー・D・ガープ。こんななりでも海軍中将で、わしの旧友じゃ。」
ティモがリベルに向けてそう説明する。
するとリベルは隠れていた祖父の後ろから顔を出し、おずおずと挨拶をする。
「初めまして。トゥーリ・D・リベル、5歳です。」ガシッ
挨拶とともにリベルがガープに持ち上げられる。
じたばたと抵抗するが、ガープは全く意に介さず言葉を続ける。
「ふむ…5歳か。ルフィの一つ上じゃな。おぬしも立派な海兵にしてやろう。」
そういってガープはリベルを真上に放り投げた。
15mほど上に打ち上げられたのち、自由落下が始まる。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
リベルが絶叫をあげると、すぐに家から紫色の炎を吹き出したジョットが飛んできてリベルを抱きかかえた。
ジョットはリベルがしっかりと己に捕まったのを確かめると、ゆっくりと降下し始めた。
下ではティモとガープが激しい争いを繰り広げていたが、黄色い炎を纏ったレイナにすぐに鎮圧され正座をしていた。
「二人とも?これは何の騒ぎです?」ゴゴゴゴッ
「「いや、こいつが…あぁ?!」」
「ふたりとも?」
「「はい…」」
そこにジョットが下りてくる。
事の顛末がリベルとティモによって話されると、ジョットとレイナはガープを掴むと炎を吹き出し近くの無人島まで飛んで行った。
―10分後―
「ずびばぜんでじだ…」
と顔中を腫らしたガープが謝る。
それを見た海軍の兵士たちはざわざわとしているが、二人の視線を受けすぐに静まる。
「「それでリベル。このくそジジイをどうしたい?」」
「ぼくはもう大丈夫だよ。お父さんが助けてくれたから。」
そうリベルが答えると、二人は険しい視線とガープにのみ向けていた威圧を解いた。
「うちの子に免じて許すが…次はないと知れよこのくそジジイ。」」
ふたりは冷たい声で言う。
これほどまでにキレた二人を、リベルは初めて見た。
それに少しおびえていると二人は慌てて
「「もう怒ってないよ」」
とリベルをなだめた。
落ち着いたリベルを見て、ガープは詫びの代わりとして手品のように足から斬撃を飛ばしたり、消えたようなスピードで動いたり、空を跳ねたりする”六式”という技をリベルに簡単にレクチャーし帰っていった。
―――時は戻り、リベル視点
「…ってことがあってさ。」
「へー、お前も大変な目に合ってるんだな。おれもじいちゃんに無人島においていかれたりしてさ!」
と盛り上がっていると
「おい、いつまで話してるんだリベル!行くぞ!」
と声がする。
「あ、待てよエース!じゃあねルフィ。また今度!」
と急いでエースの後を追う。
俺も連れて行ってくれよ!っていう声が聞こえたけど、さすがにルフィにはまだ早い気がするからおいていくことにした。
ところがルフィは追ってくる。
するとエースは目の前の木を蹴り倒し、ルフィの行く手を阻んだ。
「いいの、エース?エースとも仲よくしたいみたいだったけど?」
「ほっとけ、あんな奴。」
そんな日々が1カ月ほど続いた。
さすがにエースが橋を落とした日は怒り、ルフィを探しに行ったらルフィは谷底でオオカミに追いかけられていた。
ルフィを救出すると怖かったのか泣き出した。
そのまま家に帰るとエースの
「泣き虫は嫌いだ。」
という言葉にぴたりと涙がやんだのは思わず感心した。
そしてさらに2カ月後。
ついにルフィが森を超えて俺たちの秘密基地にたどり着いた。
ルフィがこんなところまで来れるようになったなんて…と感動していると、いつの間にかルフィは捕まっていた。
何やら殺すという物騒な話までしている。
まるで最初の出会いのようで少し懐かしい気持ちになっていると、ルフィに助けを求められた。
それに応じようとすると、ルフィの大声に誰かが寄ってきた。
慌ててルフィの縄をほどいてその場から離れて様子をうかがっていると、ルフィがつかまっていた。
…なんで?
そう考えていると、ルフィがおれとエースに助けを求めている。
思わず飛び出そうとするが、エースとサボの二人に強引に押しとどめられた。
「ムグググッムグッ」(なにすんだよっはなせっ)
そう抵抗していると、ルフィは連れ去られていった。
二人の拘束が緩んだので振り払って文句を言う。
「何してるんだ!早くルフィを助けないと!」
「そんなことより海賊貯金を映すほうが先だ!あいつが口を割る前に移さないと全部取られちまう!」
「そんなことってなんだよ!おれ一人でも助けに行くぞ!!」
「…クソッ!海賊貯金を映したらおれたちも助けに行く!それでいいだろリベル!お前も早く手伝え!」
「…絶対だからな!早くしよう。」
本当はすぐにでもルフィを助けに行きたかった。
でも一人で行っても勝てないのは冷静じゃないおれでも判断できたので、一刻も早く海賊貯金を移してルフィを助けに行くことにした。
―――宝を移し終えて
「早くルフィを助けに行くぞ!」
「待て!場所が先だ!サボ、あいつら向こうに金、探しに来てたか?」
「ハァ…ハァ……いや来てねぇ!探しになんか来るわけねぇんだ!!あのルフィってやつ…まだ口を割ってねぇんだよ!!!」
その言葉に泣きそうになる。
ルフィを早く助けに行かなければと、体が自分に訴えかけるように鼓動が速くなる。
気が付くと額には、またオレンジ色の炎が灯っていた。
「エース、サボ。先に行かせてもらうぞ。」
そう一声かけるとオレは目にもとまらぬ速さで駆け出して行った。
ガープの爺さんに習った”剃”という技が、今はできる気しかしなかった。
ほどなくしてルフィがつかまっている場所にたどり着くと、ルフィはボロボロになって吊るされていた。
そこから先は覚えていないが、エースとサボが着いた時にはボロボロになったおれと深い傷を負った船員たちが倒れていたらしい。
おれが目を覚ますと、そこはダダンの家でサボも住むことになったらしい。
そこからおれたちの生活は始まった。
一日1人150戦ずつ行い、ルフィは全敗で最下位、おれたち3人は勝ったり負けたりを繰り返していた。
その中でも特にエースとサボは抜きんでていて、おれは2人を相手に10回に2回勝てるかどうかだった。
そしてある日のことだった。
いつものように食い逃げをしていると、街中でサボが声をかけられた。
そのことを二人と一緒に問い詰めると
「「「えええ!?貴族の息子?!…誰が?」」」
「…俺だよ!…」
「「「で?」」」
「お前らが質問したんだろ!!!」
と話した。
サボはゴア王国の貴族で、今日呼び止めたのはサボの父親だったらしい。
おれの両親と違って、サボの両親は自分のことしか考えられない人たちのようだった。
「エース、リベル、ルフィ…!俺たちは必ず海に出よう!この国を飛び出して自由になろう!!広い世界を見て俺はそれを伝える本を書きたい!航海の勉強なら何の苦でもないんだ!!もっと強くなって海賊になろう!!」
”自由”…
この言葉はやけにおれの胸に響いた。
なぜ自分はこれほどまでに自由に焦がれるのだろうか。
言いようのない憧れが、”自由”という言葉に詰まっているようだった。
そんなことを考えていると、3人がこちらを見てくる。
どうやら誰がおれを船に乗せるかを争っているらしい。
「「「リベル、お前は俺の船に乗るよな?!」」」
3人が詰めかけてくる。
おれは苦笑いしながら、自分の考えをまとめた。
「おれはあとどれくらいかで迎えが来るんだ。そのあと鍛えて強くなったら、必ず海に出る。最初は旅人としてこの海をめぐって、偉大なる航路《グランドライン》に入る。そこで最初にあった3人の誰かの副船長になるよ。」
「「「ならうちの副船長だな!!…お前らには渡さねぇぞ!!」」」
と喧嘩が始まりそうになる。
嬉しい気持ちでいっぱいだったが、それを抑えて喧嘩を仲裁するとエースがおもむろに酒を取り出した。
「あ!ダダンの酒盗んできたな!」
とルフィが言う。
「お前ら知ってるか?杯を交わすと”兄弟”になれるんだ。」
「”兄弟”~!?本当かよ!?」
「海賊になるとき、リベルは俺の船に乗るから「「俺の船だ!!」」…まぁ聞け。リベル以外は同じ船の仲間になれねぇかもしれねぇけど、俺達4人の絆は”兄弟”としてつなぐ!!どこで何をやろうとこの絆は切れねぇ…!!」
「これで俺たちは今日から兄弟だ!!!」
「「「おう!!!」」」
この日からおれたちは兄弟になった。
おれ達が揃えばできないことはないと思ってた。
この日がいつまでも続くと思っていた。
しかし、出会いがあれば別れもある。
その日、おれは…俺は。
自分の無力さを痛感することになる…
ということでエースやサボ、ルフィたちと”兄弟”になりました。
次でコルボ山編もとい幼少期編の前編が終わります。
後編はついに、あの大海賊と出会うかも…?
お楽しみに!