ここから主人公の意識が変わります。
※「チェリー」→「チェーリ」に変更しました。
誤字脱字報告ありがたい!
―――東の海《イーストブルー》 ドーン島 秘密基地 リベル視点
「ハァッハアッ…」
なんだか体が重い。
寝床から起き上がるのも困難なくらいだった。
あれから修行を重ねる中で、死ぬ気の炎を額に灯し戦闘能力を飛躍的に向上させる状態…”死ぬ気モード”をある程度扱えるようになった。
しかし、体が出来上がっていない状態で調子に乗って多用したせいか、そのツケが一気に体を襲ったみたいだった。
どこかでぼんやりと俺を呼ぶ声が聞こえる。
体を激しく揺さぶられているみたいだ。
次第に声がはっきりと聞こえ出した。
「「「オイ・・・オイ・・・!!キコエルカ?……おい、リベル!!」」」
「…だいじょうぶ……聞こえてるよ…どうしたの?」
「どうしたのって…お前が起きられないくらいに体調が悪いから心配してるんだろ!?」
「大丈夫がぁリベルゥ~~肉、肉ぐうがぁ~~」
とサボやルフィが心配する声が聞こえる。
自分自身原因はつかんでいるので、死ぬ気の炎の代償だと伝えると、3人はどこか安心したようだった。
「…3日くらいは…体調が…悪いままかもしれない…おれのことは気にせず…3人で稼いできてくれ…」
「…わかった。行くぞ、サボ、ルフィ。」
とエースが準備を始める。
残って看病するんだと泣いて駄々をこねるルフィを引きずるように連れていくと、3人はいつものように不確かなものの終着駅《グレイターミナル》へと向かっていった。
「ハァッ…ハァッ…しっかりと…体を…鍛えないとな。」
と眠りについた。
―次の日
その日も同様に、3人は稼ぎに出かけた。
しかし、その日に帰ってきたときにはサボはその場にはいなかった。
「…あれ?サボは…どうしたんだ…?」
「…サボは連れていかれた。」
「連れて行かれた?!誰に連れて行かれたんだ!!」
自分の体調が悪いことも忘れてエースへと詰め寄る。
まだ本調子じゃないのか体は言うことを聞かず、へなへなと崩れ落ちてしまった。
「…貴族の親にだよ。今は放っておいてやろうぜ…これがあいつの幸せかもしれねぇんだ…」
―次の日の夜
体調がぐっと良くなった。
おそらく明日には全快しているだろう。
朝に備えてもうひと眠りしようとしたとき、ある異変に気がついた。
「山が…燃えてる…?」
いや…あれは山じゃない!
あれは…
「不確かなものの終着駅《グレイターミナル》が…燃えてる…?」
そこでふと気が付く。
「エース、ルフィ!」
気が付いてからは止まれなかった。
使うことを控えていた死ぬ気モードを使ってまで、全速力で山を駆け抜けた。
「エース、ルフィ!どこだ!!」
大声を張り上げる。
すると自分の感がこっちのほうにいると全力で訴えかける。
迷わずそれに従い駆け抜けていくと、ダダン以外の山賊たちがルフィを抱えて走っているのが見えた。
「ルフィ、みんな!エースとダダンはどうした!!」
そう声を荒げると、ルフィは泣きながらエースとダダンが殿を務めていると伝えた。
「あのバカッ…」
思わず口調が荒れる。
ルフィたちに避難するように伝え、自分は全速力でエースとダダンの下へ向かった。
そこではエースとダダンが、ブルージャム海賊団船長のブルージャムと対峙していた。
エースもダダンも傷を負っているようだったが、それ以上に火傷がひどかった。
剃でブルージャムの懐に入り込むと、鉄パイプで思いっきり顔面を殴りつけた。
「エース、ダダン!何やってるんだ!行くぞ!!」
そう声をかけると、2人は我に返ったように動き出す。
念のためにブルージャムにもう2、3撃加えると、すぐにエースとダダンの後を追った。
「チっ…だめだ。こっちは道が塞がれてやがる。」
「こっちもだ…仕方ない。エース、ダダン!これからオレが全力で炎の一部に穴をあける!そこから走って逃げてくれ!」
そういうと死ぬ気の炎を手に集める。
父さんやじいちゃんのように炎すべてを薙ぎ払うことは不可能だが、一部に穴をあけることはできる気がした。
「大空の一撃《ソフィオ・ディ・チェーリ》!!」ボォッ!!
勢い良く突き出した手のひらから、オレンジ色の炎がほとばしる。
その炎は勢いのままに炎の壁に穴をあけた。
それを見届けるとともにオレは意識を失った。
―――東の海《イーストブルー》 ドーン島 不確かなものの終着駅《グレイターミナル》 エース視点
「大空の一撃《ソフィオ・ディ・チェーリ》!!」ボォッ!!
リベルが放った一撃で炎に穴が開いた。
よくやったとリベルのほうを見ると、リベルは前のめりに倒れていくところだった。
「「リベル!!」」
ダダンと声が重なる。
たおれたリベルを担いで俺は急いで中間の森の川へと急ぐ。
「絶対に死なせねぇからな!!」
―次の日
川のそばにリベルを置き、ダダンに看病を頼むと街へと向かった。
街で薬と食料を盗んだ俺は、急いでリベルの下へと戻った。
リベルとダダン、そして自分の怪我の手当てを済ませると、ダダンが話しかけてきた。
「エースお前…あの時なぜ逃げなかった…」
「時々…カッと血が上るんだ…逃げたら何か…大きなものを失いそうで恐くなる…あの時は…俺の後ろにルフィがいた。わからねぇけど多分そのせいだ…」
そう答えると、ごそごそと起き上がる音がした。
そっちを向くと、リベルが起き上がっていた。
「リベル!リベル大丈夫か!」
「…大丈夫だ。ここは…?」
「ここは中間の森の川のそばだ。明日にはダダンの家に戻るぞ!」
「そうか…おれはまた何もできなかったんだな…」
そうリベルが言う。
何を言っているのか理解できなかった。
リベルは俺とダダンを助けに来てくれたのに…
「何言ってるんだお前!俺とダダンを助けに来てくれたじゃねぇk「おれは!!」
リベルがおれの言葉を遮る。
こんなにも大声を出すリベルは初めて見た。
「おれは…何もできてないよ。あの日おれが一緒にいればサボは連れて行かれなかったかもしれない。おれが最初からブルージャムと戦っていればこんなにみんながけがをしなくてもよかったかもしれない。おれがもっと強ければ火を薙ぎ払えたかもしれない!!おれは……弱い!!!」
そう大きな声で叫ぶと、リベルは意識を失ったように倒れた。
慌てて駆け寄ると、リベルは眠っていた。
その顔はどこか苦しそうだった。
―――東の海《イーストブルー》 ドーン島 ダダンの家 リベル視点
目が覚めると布団の上に寝かされていた。
起きたおれを見て、ルフィが泣きついてくる。
どうやらダダンの家まで戻ってきたみたいだ。
「じんばいじだんだぞぉ~~」
と泣くルフィを見て、彼の祖父であるガープを思い出す。
濁点が多くつくようにしゃべるのが彼の一族の特徴なのか?とくだらないことを考えていると、外から慌てたような声が聞こえる。
ダダンの子分の一人であるドグラが帰ってきたようだった。
すると、ダグラが訳のわからないことを言い出した。
サボが…サボが…?
サボが…「死んだ…?」
サボは貴族の家にいるはずだった。
サボは幸せに暮らしているはずだった。
サボは…サボは…
声が出なくなった。
涙も驚きのあまり出てこなかった。
心が、頭が現実を受け入れることを拒否していた。
だって、サボは…サボは!
あてもなく森をさまよう。
海が見える崖にたどり着いた。
呆然と海を眺めていると、サボの手紙を持ったエースが近づいてきた。
サボの手紙を読み進めるとある一文が目に入った。
[……誰よりも自由な海賊になって、また兄弟4人どこかで会おう。広くて自由な海のどこかでいつか必ず!!それからエース、おれとお前はどっちが兄貴かな。長男2人、弟2人。変だけどこの絆は俺の宝だ。リベルのやつはしっかりしてるようで、どこか抜けてて危なっかしいし、ルフィのやつはまだまだ弱くて泣き虫だけど、おれたちの弟だ。よろしく頼む!!!]
その文章を見て、サボがいなくなったことを心が受け入れ始めた。
目からは涙がこぼれ、鼻水も止まらなかった。
大雨が降りだして、すべてを洗い流していくようだった。
大声をあげて泣き出すのと同時に、全身から青色の炎が吹き出してきた。
その炎は、自分を慰めるように。
サボのことを弔うかのように。
すべてを洗い流すかのように優しく燃え続けていた。
それはまるで、流れた血を洗い流す鎮魂歌《レクイエム》の雨のように。
ということでコルボ山編完結となります。
次回からは幼少期後編に入ります。
大海賊にあったリベルはどう影響を受けるのでしょうか。
お楽しみに!