ウマ娘とイチャイチャしたり、結婚まではしちゃう話。
最初は、別段仲が良いわけでも無かった。
トレーナーとウマ娘、ただそれだけの仲だ。
けど、数字ばっかり追い求めてたオレが、いつの日からかわからねェが、アイツの為に走りたくなった。
「やったなシャカール!桜花賞を勝ったぞ!」
アイツの喜ぶ顔が、嬉しかった。
その為に何度も何度も式を立て直した。
違う、こんなのじゃ追いつけない。
「無理はするなよ。疲れたら休んでくれ」
いつも倒れるまで計算しても、無理はするなと膝を貸してくれた。
こんな格好じゃ彼に嫌われるかもと思い、私服を見直し、ゴールドシチーにメイクを学んだ。
「君がそこまで動かされるとは、彼には何かあるのかもねぇ。君の心を溶かした何かが··········」
ステージで美しく舞う他のウマ娘を見て、目を輝かしていたアイツを見て、心から、狂うほど嫉妬した。
ダンスも、歌も、誰よりも努力して、輝いたオレを見せてやった。
「シャカールさん、最近とってもキレイですぅ·····はうぅ······何があったんでしょうか··········」
彼の傍にいる事が嬉しかった。
恋ほどロジカルに反したファンタジーは無いと思ってたが、これほどまでに狂わされるとは思わなかった。
彼に好かれたい。
彼に見て欲しい。
彼を私のモノにしたい。
私は彼のモノになりたい。
そして、その日。
「シャカール!?シャカール聞こえるか!?おい!しっかりしろよ!おい!」
医者の話だと、ストレスによる統合栄養失調症らしい。
幸い鬱などの精神症状は出なかったが、シニア級最後のレースを逃してしまった。
「起きたか!?よかった··········」
アイツは泣きながら喜んでいた。
「バカヤロ、泣くなよこんなことで··········」
「よかった··········最近のシャカール、なんか疲れてたからさ、どんどん可愛くなってくし、どんどん綺麗になってくし、でも凄い疲れた顔してた··········」
彼が心配していてくれた。
しかし、そんなにオレは疲れていたのか。
··········疲れていたのだろう。
「··········オレさ、アンタが好きなんだ。めちゃくちゃに。どうしようもないくらい好きなんだ」
「··········シャカール?」
「ステージで輝く他のヤツらを見て、目ェ光らせるお前を見て、初めて他のヤツを嫉妬した。可愛くならなきゃって、トレーナーに、嫌われたくないって··········」
気づけば泣いていた。オレの思いをぶつけていた。今まで思っていたことも、やってきたことも、全部全部吐き出した。
「··········オレは、アタシは··········自分を押し殺していたんだ··········」
「······························」
こんな自分勝手で、口も態度も悪くて、クマもあって可愛くもなんともないウマ娘。
きっと彼は嫌うだろう。
でも彼は。
「··········ごめん」
「え?」
「·····君がそんなに努力していることも、どうも思っているかも知っていたのに、俺には勇気が無かった!君に伝えたら、君は俺の事を嫌いになるんじゃないか、俺なんて必要ないんじゃないかと思って、君の思いを踏みにじった!」
「··········違う、違うよトレーナー」
「俺が、俺の方から伝えたかった!伝える、勇気が足らなかった!」
「ちがうちがうちがう!私が、私があなたを、」
「俺が君を!」
「「大好きだから!!」」
··········今思い出すと、病院でこんなことするなんてハズすぎる。
でも、それがあったから、今がある。
あれから、何度かトレーナーと肌を重ね、体を重ね、思いを重ねていった。
「とれぇなぁ·····とれぇなぁ··········」
「ああ、愛してるよシャカール」
意外とMだったのかもしれないな、アタシ。
結婚まではトントン拍子で進んでいった。
彼のプロポーズの言葉は、今でも覚えている。
「俺と、一生のレースを走ってくれませんか」
「···············はい」
これからも、末永く頼むぜ?