ヒロインは殺人鬼ッ♡   作:サワグチ

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ありがたくもウケが良く、続きも望まれたので書いてみた。

1話みたいな勢いとか衝撃は無いと思いますが、どうぞよろしくお願いします。


同級生は癒し枠ッ♡

 

 

学校へと向かう通学路。

 

周囲には同じく学校に向かう学生がチラホラ。

 

眠そうな奴や楽しくおしゃべりしてる奴、1人だったりグループだったり、色々だ。

 

 

「あ~、くそ。今月入って何回目だよ、布団買うの」

 

 

そんな中、朝からイライラしている俺。

 

マジでふざけんなよ、アヤメの奴。

 

毎朝毎朝、挨拶がわりにナイフ突き刺してくる幼なじみとかどういうジャンルよ?

 

仕送りはあるしバイトもしてるから特に貧してるワケじゃないが、布団を買うという行為を繰り返すのが面倒くさい。

 

いっそ襲われる前に襲いに行くか?

 

 

「アヤメの寝込みを襲って、奴の布団で簀巻きにすれば俺の出費は出ねぇな」

 

 

イけそうだ。

 

朝飯は自分で用意しなきゃならなくなるが、そっちのが安上がりだしな。

 

 

「そうと決まれば明日から──」

 

「おっはよー!!!!!」

 

「いてぇ!!?」

 

 

襲撃計画を練っていた俺の背中に強い衝撃。

 

同時に朝から元気のいい声が周囲に響く。

 

 

「おはよう、生島くん!」

 

「……おう。おはよう、花森」

 

 

朝から眩しい笑顔を見せるクラスメイト──花森美命。

 

 

「デケェ声はいいけどよ、背中はもちっと加減して叩いてくれ」

 

「あはは、ごめんね! 痛かった?」

 

「いや、これ以上強くなるようだと反射的に攻撃しちまいそうだから」

 

 

痛いのは嫌だろう?と懐からスタンガンを見せると、花森は頬を引き攣らせた。

 

 

「ご、ごめんね。今度から気をつけるよぅ」

 

「いや、怒ってるワケじゃねぇよ。花森の挨拶、俺は好きだぜ? 朝が始まったって感じでさ」

 

 

朝からナイフで殺しにくるような挨拶より百万倍増しだ。

 

比べるまでも無いが。

 

 

「そ、そうかな? そんな風に言われるとなんか恥ずかしいな、えへへ」

 

 

セミショートのくせっ毛を弄りながら照れる花森。

 

めっちゃ可愛い。

 

普通に可愛い。

 

こんな幼なじみが欲しい。

 

 

「あ、そういえば綾芽ちゃんは一緒じゃないの?」

 

「ああ、いつもの如く朝から襲われたんでな」

 

「う、うん。綾芽ちゃんは今日も元気なんだね」

 

「簀巻きにしてゴミ捨て場に置いてきた」

 

「何してるの?!」

 

 

俺の発言に驚いた声を上げる花森。

 

ああ、そうか。

 

 

「大丈夫だよ、花森」

 

「だ、大丈夫じゃないよ! いくら綾芽ちゃんでもゴミなんかに出しちゃ──!」

 

「ちゃんと粗大ゴミで出したからさ」

 

「そういう事じゃないよ!?」

 

 

あわあわと慌てふためく花森が可愛い。

 

いやぁ、マジで癒し。

 

好きだわ、花森。

 

 

「そうだよ、トーマちゃん。布団は粗大ゴミでも私は生ものなんだから」

 

「──────ッ?!」

 

 

背後から聞こえた声に考えるより前に身体が動き、振り向きざまにスタンガンを突き付ける──

 

 

「わわ! こ、声掛けただけじゃない! スタンガンはやめてよー!」

 

 

──が、攻撃は空を切り、狙った人物は花森の背後へと隠れる。

 

 

「チッ」

 

「舌打ちは酷いと思うなー。ね、美命?」

 

「う、うーん、わたしは何とも……とりあえず、おはよう、綾芽ちゃん」

 

「おはよー、美命。んん、ぎゅ~~っ♡」

 

「あはは、苦しいってば。離してよぉ」

 

 

アヤメに抱き締められ、擽ったそうに顔を綻ばせる花森。

 

美少女とガワだけ美少女の抱擁は良いもんだなぁ。

 

 

「スンスン……はぁぁ♡ 美命の匂い、いい匂い♡ トーマちゃんとは違う意味で興奮するぅ♡」

 

「うん、ごめん、離して綾芽ちゃん」

 

「スンスン……スンスンスンスンスンスンッ♡♡♡」

 

「ひゃあああああっ?!」

 

 

花森の首筋に顔を埋めてさらに匂いを嗅ぐアヤメ。

 

ほんっとにガワだけだよなぁ、コイツ。

 

 

「ん~~! んん~~!! い、生島くん! た、助けてぇ!!」

 

 

170近いアヤメに対して、150後半の花森は抱き締められると脱出は難しい。

 

腕から抜け出そうとしているが、まあ無理だろうな。

 

 

「悪ぃ、花森。ソイツ、朝から3回も殺りにくるほど盛っててさ。落ち着くまで抱かれててくれ」

 

「そ、そんな~~! 」

 

 

ひゃあああ~っ!という花森の悲鳴をBGMに3人で歩く。

 

決して涙目の花森が可愛いから助けないワケではない。

 

3割はマジでアヤメを落ち着かせるのが目的だ。

 

それに、周りからも注目されてるしな。

 

 

 

「おお、紫藤さんと花森さんのじゃれあいっこ……」

 

「朝から良いもん見れたなぁ」

 

「生島の野郎。美少女に囲まれやがって」

 

「妬ましい……!」

 

「蛆虫の分際で82のCと85のDに挟まれて……!」

 

「百合に集る害虫野郎が」

 

 

 

 

ふはははは。羨ましいか、雑魚ども。

 

成績優秀、文武両道、モデル体型、性癖どサイコだが見た目は美少女なアヤメ。

 

天真爛漫、巨乳安産型、元気いっぱいの子犬みたいな可愛さの花森。

 

片方はガワだけとは言え、華やかな美少女2人との登校は非モテ男子どもに勝ち誇れるので気分が良い。

 

しかし────

 

 

「もういい加減……! は・な・し・て・よー!!」

 

「ん~? んー…………もうちょっとだけ~♡」

 

「うわぁぁぁぁん!」

 

 

アヤメに抱き締められる事により、強調されている花森の胸を見る。

 

そうか……Dか。

 

デカいとは思っていたが…………Dか。

 

明確な数値として分かるとなんか興奮するな。

 

 

「はぁ~~♡ 落ち着いた~。ありがとね、美命」

 

「うぅ……抱き着かれるのは慣れたけど、匂いを嗅ぐのはやめて欲しいよぅ」

 

「良い匂いだったから大丈夫だよ!」

 

「そういう問題じゃないよぅ!!」

 

「でも、トーマちゃんは汗だくの美命が気になるみたいだけど」

 

「えっ?!」

 

「はぁ!?」

 

 

突然何言い出してんの、このサイコ?!

 

 

「この前、体育の後に汗かいた美命の事をチラチラ見てたから。トーマちゃんって汗の匂いフェチなのかな、って」

 

「い、生島くん?」

 

 

俺から距離を取る花森。

 

やめてくれ、そんな怯えた顔をしないでくれ。

 

違うんだ。

 

 

「違う! 花森、アヤメの勘違いだ!」

 

「そ、そうなの?」

 

「ああ。汗の匂いとかじゃなくて──張り付いたシャツから見える身体のラインやブラ紐が気になってたんだ」

 

「どっちにしてもヘンタイだよぅ!!」

 

 

しまった! 85のDと聞いて本音が先走った!

 

たしかに花森の事をエロい目で見ている時もあるが。

 

それはこう、男の性というか、決してやましい気持ちではなくて────!

 

 

「でも美命の汗の匂いは?」

 

「めっちゃ気になる」

 

 

アヤメが絶妙な間で投げてきた質問にまた本音が漏れた。

 

アヤメ、てめぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

 

 

 

「っ!? わ、わたし! 先に行くね!!」

 

「あ、ちょ! 待ってくれ花森ぃぃぃぃ!!」

 

 

身の危険を感じたようで、花森は走り去ってしまった。

 

マジかよぉぉ……絶対に好感度下がったよぉぉ……ぬぉぉ……!

 

 

「あはは! トーマちゃんってばヘンタ~イ♡」

 

「何笑ってんだてめぇこらぁぁぁ!!」

 

 

俺を指差してけらけら笑うアヤメに怒鳴り散らす。

 

死神で疫病神とかコイツ本当に何なの?

 

 

「トーマちゃんも匂いフェチなんだぁ。私と一緒だねっ♡」

 

「一緒にすんじゃねぇよ! 」

 

 

またまた~♡ とか言いながらすり寄り、俺の腕に抱き着いてくるアヤメ。

 

おい、寄るな。

 

腕を取るな。

 

怖いんだよ、ちくしょう。

 

 

「スンスンッ♡ 私はトーマちゃんの匂いも好きだよー。トーマちゃんも私の匂い、どーぞ♡」

 

 

髪をかき上げ、耳とうなじを見せながら少し汗ばんだ白い肌を晒すアヤメ。

 

 

「いや、マジでそういうのいいから。お前相手じゃエロい気分にならねぇし」

 

 

そもそも勃たない。

 

立つのは鳥肌だ。

 

見ろよ、お前が抱き着いてるせいで首まで鳥肌来てるだろうが。

 

 

「えー! 私の下着や太ももは見てくるのにぃ?」

 

「見るのと触れられるのとじゃ違うんだよ」

 

 

危険度が全然違う。

 

血が下半身に集まってたらその分動きも鈍るからな。

 

アヤメ相手に密着状態とか一瞬でも気が抜けない。

 

 

「大丈夫だよー。美命アロマで落ち着いたから、お昼までは何もしないってば」

 

「そういう問題じゃねぇんだよ! 離れろ早く! 」

 

「いやー♡」

 

「うぜぇ……!!」

 

 

腕にしがみついたアヤメを振り回し、非モテどもの怨嗟と殺意の篭った視線を浴びながら通学路を進む。

 

学校に着いたら花森の誤解を解かなきゃなぁ。

 

 




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