古今西行寺恋奇譚〜恋愛と闘いの幻想物語〜   作:黒い小説家

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十六話 幻想郷の手掛かり

 武尊の荒稽古が終わってから一週間後のこと

 

 早朝、空には日が昇り初め、雲ひとつ無い晴天の空、しかし真冬並みの寒波と放射冷却が重なったことで、朝の気温は一段と寒かった。

 

 大体時間は五時辺りだろうか、大和は朝早くから自室に籠って机と向き合い、椅子に座りながらパソコンを使ったり本を読んだりするなどをして、ある調べものをしていた。

 

 ちなみに日課である基礎体力トレーニングの長距離ランニング、そして木刀による素振りは二時間ぐらい前に終えていた。

 

 まるで生まれて初めてパソコンを使ったのではないかと思わせるほどに慣れない手付きで大和はキーボードを打ち、色んな場所や最近のニュース、果てはオカルトに関することなど、様々な情報を調べていた。

 

 それから大和はパソコンである程度のことを調べ終えると、一息ついて身体を思う存分に伸ばしたり、机の上にあった缶コーラを飲んだりした。

 

「ったく……どんなに調べても、幻想郷に関する有力な情報は出てこねぇな」

 

 朝早くから大和がパソコンや本を見たりして情報を集めている理由、それは幻想郷に関する手掛かりを少しでも収集するため。

 

 自ら情報を集めている理由としては、少しでも手掛かりになるような情報が欲しいと思ったから。

 

 だが、オカルト雑誌に記載されていなければ、パソコンで幻想郷に関することを調べても手掛かりになりそうな情報が全く集まらない。 

 

 今や世界中にインターネットが普及して、調べれば大概の情報がすぐ手に入る時代。今では調べものや情報収集をするうえでインターネットは必要不可欠とも言っても良いだろう。

 

 しかし、現時点で幻想郷に関する有力な情報を収集できたのは皆無、故にインターネットは何の役にも立っていない。

 

 情報収集の手段が尽きて、途方に暮れたと言うべきか。何にせよ、幻想郷へ行くための手掛かりは完全に閉ざされしまった。

 

 慣れないパソコンを頑張って扱ったのにも関わらず、有力な情報が手に入らなかったのが気に食わなかったのだろう。大和は頭を抱えながら不機嫌そうな表情を浮かべてしまう。

 

「ちくしょう、せっかく和生にパソコンの使い方を教えてもらったのに、何の役にも立たねぇじゃねぇか」

 

 正直な事を言うと、俺は昨日までキーボードを打つどころか、パソコン自体を扱うことができなかった。

 

 しかし、まだ不慣れな動作もあるが、今こうやってパソコンが使えるのは、弟の和生に基本的なパソコンの使い方を教えてもらったからだ。

 

 何時、和生にパソコンを教えてもらったかと言うと、それは昨日の夜の話になる。

 

 

 

 

 

《時は遡って昨日の夜のこと》

 

 

 

 

 だいたい夕食を食べ終えた後の時間帯だっただろうか。このとき和生は普段通り自分の部屋にいた。

 

 部屋にある椅子に座って、ゆったりとくつろぎながらも、机の上に山積みになった様々な本を読んでいた。

 

 数十冊はあるだろう、山積みになった本の中には、つい最近買ってきた本があるのはもちろんのこと、古倉庫から持ってきた古い書物などが多々見える。

 

「まぁ……こんなもんか」

 

 単行本並みの厚さがある一冊の本を三十分足らずで読み終えると、和生は何気なく満足そうな表情を浮かべながら、手に持った本をパタンと閉ざした。

 

 このとき、和生は今さっき読んだ本の内容をほとんど記憶しており、もっと言うと今まで読んだ本の内容もほとんど頭の中に入っている。

 

 読み終えた本を机に置くと、今度は古びた書物を手に取って読み始める。

 

……ぺラ……ぺラ……ぺラ……

 

 こういう古びた書物の文字はかなり昔のものが多く、普通なら文字を解読しながら読まないといけない。

 

 だが幸い和生は、幼い頃からこう言う古書物を読んでいたため、文字を解読するのに時間があまり掛からず、まるで普通の本を読むように古書物を読んだ。

 

 和生は文字を理解しながら古びた書物を読んでいるが、普通の人間なら読むどころか解読することすら儘ならないだろう。

 

 

………コンコン

 

 

 こんな時間に一体誰なのか、和生が古書物を読んでいる途中に、何の前触れもなく部屋のドアを叩く音が聞こえてきた。

 

「……あっ?」

 

 読んでいる途中の古書物を一度閉ざして机に置くと、和生は平然とした態度でドアの方向に視線を向けた。

 

 それから、ノックする音が聞こえてから少し時間が経ったあと、ドアを開けて部屋に入ってきたのは兄の大和だった。

 

「よう和生、突然来て悪いな」

 

「なんだ兄貴珍しいな、俺になんか用か?」

 

 兄の大和が自ら部屋に来ることが予想外だったのだろう。まるで珍しい光景を見たと言わんばかりに、和生は呆然とした表情を浮かべていた。

 

 基本的に兄貴は何の意味もなく俺の部屋にはやって来ない。

 

 兄貴が俺の部屋に来る理由と言えば、大体知りたいことや話したいことがあったり、何か俺に頼み事をするために来るぐらいだ。

 

 部屋に入ってきた大和は少し恥ずかしそうな表情を浮かべており、そのせいか和生とは目を合わせようとはしなかった。

 

「いや……ちょっと教えて貰いたいことがあってな」

 

「なんだよ兄貴? 俺にできることなら何でも言ってくれよ」

 

 思いやりがある態度で和生にそう言われると、大和は申し訳なさそうな表情を浮かべながらも、和生に頼みたいことを話した。

 

「実はな……その……パソコンの使い方をよ……教えてくれないか?」

 

 申し訳なさそうに大和がそう言ったあと、まるで和生は『またかよ……』と言わんばかりに呆れた表情を浮かべて深く溜め息をついた。

 

「まったくよ……スマホといい、パソコンといい、兄貴は昔っから本当に機械音痴だよな」

 

「仕方ねぇだろが、どうしても機械を扱うことだけは苦手だし、慣れねぇんだよ」

 

 運動や格闘技、工作や木工、料理など家事全般は人並み以上にできるが、どうしても機械に関することだけは苦手だ。

 

 現に、スマートフォンの設定、DVDの録画の仕方など、機械に関することは全て和生に教えて貰っている。

 

 このとき和生は、さっきまで読んでいた古書物を読み終えたい気持ちが少しだけあった。

 

 しかし、こうして珍しく兄貴が自らの足を運んで俺に頼み事をしに来てくれたんだ。古書物を読み終えるまで待ってくれなんて口が裂けても言えない。

 

 それに、本なんて暇な時間に読めば良いことだし、大和の頼み事に対して和生の答えは既に決まっていた。

 

「はいはい……わーかったよ、どうせ暇だったし、基本的なパソコンの使い方ぐらい教えてやるから」

 

 大和の機械音痴に呆れ果てながらも、和生の表情から不満や嫌気は微塵足りとも感じ取れず、どうやらパソコンの使い方を教えることは満更でもないらしい。まったく素直じゃない弟だ。

 

 それから和生はさっそく机の上に置いてあったパソコンの電源をつけて、大和にパソコンの使い方を教える準備を淡々とした。

 

「それじゃあ兄貴、ちょっとこっちに来てくれ」

 

「あぁ……それじゃあ、宜しく頼むわ」

 

 そう言われると大和はパソコンの使い方をしっかりと教えて貰うために、和生の近くにやって来る。

 

 それから一時間以上経ったのだろうか、大和の機械に関する覚えの悪さに悩まされながらも、和生は辛うじて基本的なパソコンの使い方を教えることが出来た。

 

《そして現在》

 

 

 

 

 幻想郷に関する情報収集が儘ならないことがわかったあと、大和は台所へ行って朝御飯の支度をしていた。

 

 まだ六時になる前で、誰も起きていない時間だが、沢山の料理を用意しないといけないので、こうして早い時間から朝御飯を作っている。

 

 理由としては、俺は朝からしっかりと食べるのもあるが、何よりも食欲が旺盛な幽々子さんは朝からいっぱい食べるからだ。正直、あの幽々子さんの食欲には流石の俺でも気が引ける。

 

 たかが朝御飯の支度だが、その内容は常軌を逸した異常なものだ。

 

 まず大和は、朝っぱらからご飯を十合近く炊飯器で炊いて、味噌汁は鍋でなく大きな寸胴に入れて作り、おかずは十人前近く作っている。

 

「朝からこんな量の朝食を作らせやがって、俺は料理人じゃあねぇんだぞ」

 

 毎朝早く起きて朝食を作っている大和でも、十人前近くの料理を作るのには一苦労するし、時間もかなり費やさないといけない。

 

 一人で愚痴を言いながらも、大和はみんなにおいしいごはんを食べてもらうために、丹精を込めて朝食を作った。

 

 それから一時間ぐらい掛けて大和は朝食を作り終えると、気が付けば時計の長い針は七時に迫っており、みんなが起きてくる時間となっていた。

 

「やべぇ、もうこんな時間か」

 

 時間が迫って来ていることに気づいた大和は、急いで料理を皿に盛り付けたあと、朝食を限界までお盆に乗せて居間まで持ち運ぶ。

 

 無論、十人前近くの料理を一度で持っていくのは不可能な芸当、大和は台所と居間を行ったり来たりと、朝食を運び終えるまで何度も往復した。

 

 

 

《一方、空き部屋では》

 

 

 

 

 大和が料理を居間へ運び終わった頃、空き部屋でぐっすりと眠っていた幽々子が目を覚ました。

 

「……ふぁ~」

 

 ゆっくりと布団から起き上がったあと、幽々子は誰も居ないことを良いことに、まだ眠たそうな表情を浮かべながら口を大きく開いて欠伸をした。

 

「もう朝なのね……」

 

 寝惚けている幽々子は、あくびをして零れ出てきた涙を手で拭って、少しずつ眠気を覚まそうとする。

 

 窓を見てみれば日の日差しが部屋に注ぎ込んでおり、耳を澄ましてみると外から『チュンチュン』と鳥の鳴き声が聞こえてくる。

 

 正直、二度寝してもうちょっと眠っていたいが、今の自分は居候の身、そんなことを言える立場ではない。

 

 それに眠気が少しずつ覚めていくと同時に、ものすごい空腹感に襲われる。

 

「お腹空いたわね、大和もう朝ごはん作ってるかしら?」

 

 朝食を食べるために、仕方なく幽々子は布団から出て立ち上がる。

 

 まず。自分が寝ていた布団を綺麗に畳んだあと、ドアを開けて部屋を出ていき、居間がある方向に向かって歩いていった。

 

 

 

 

《~……少女移動中……~》

 

 

 

 

 それから数分後、幽々子は目的地である居間の前までやって来ると、襖を開けて部屋に入ろうとする。

 

 居間で待っていたのは、十人前はあるであろうちゃぶ台の上に置かれている沢山の朝食と、若干疲れた表情を浮かべていた大和だった。

 

「おう、起きてきたか」

 

「おはよう大和、朝からこんな沢山の料理を作るなんて凄いわね」

 

「一体誰のせいだと思ってんだよ……」

 

 十人前もの朝食を作ったのは全て幽々子のせいだと言いたげだが、大和も朝から人並み外れた量の食事を取るので、決して人の事を言える立場ではなかった。

 

 まぁ、そんなことは置いといて取り敢えず朝食にしよう。時間が経って冷めたものを食べるよりも、暖かいうちに食べた方が断然おいしいだろうし。

 

「そんじゃあ、さっさと飯食おうぜ」

 

「……あら? でも和生君と武尊さんのことは待たなくて良いのかしら?」

 

「良いよあいつらは、どうせまだ爆睡してると思うし」

 

「そう……それなら先に食べても構わないわね」

 

 そう言われると幽々子は嬉しそうな笑顔を浮かべながら、ちゃぶ台の前に座って近くに置いてあった箸を手に取った。

 

「それじゃあ」

 

「「いただきまーす」」

 

 そう言い終えると大和と幽々子の二人は、ちゃぶ台の上に置かれている茶碗を手に持って、朝食をパクパクとひたすら食べ続けた。

 

 このとき二人は、食事の事に集中してしまったあまりに、いずれ起きてくるであろう武尊と和生の分の朝食を残そうとは微塵足りとも考えてはなかった。

 

 

 

 《一方、和生は……》

 

 

 昨晩、大和にパソコンの使い方を教えたあと、そられから何時間も徹夜して本を読んだのにも関わらず、和生は朝早く起きてきた。

 

 たぶん三時間も寝ていないだろう。普段なら昼過ぎになるまで眠っているところだが、異常な空腹感に襲われて目が覚めた。

 

「なんか朝っぱら腹減ったな、昨日徹夜で本を読んでたせいか?」

 

 頭を使うと腹が減るとは聞くが、俺の場合は想像以上の空腹感と異常な食欲に襲われている。

 

 確か脳で使われるエネルギーは身体全体の20%ぐらいだったけな、プロの囲碁や将棋の棋士なんかは対戦のあとは二キロから三キロ痩せるとか聞くし。

 

 そんなことを呟きながらも和生は、兄の大和が作り終えているであろう朝食を食べるために、廊下を歩いて居間へと向かっていた。

 

 

 

《~移動中~》

 

 

 

 そして移動してから数分後、和生は『グゥー』と腹の虫を鳴らしながら居間までやって来ると、襖を開けて部屋に入る。

 

「……おはよぉー」

 

「おう和生、意外と早く起きてきたな」

 

 いや、こういうときは予想外と言うべきか。あと五時間ぐらいは起きてこないだろうと思っていたが、和生のやろう予想以上に早く起きてきやがった。

 

 そして和生が予想よりも早く起きてきたことで、一つの問題が生じることになる。

 

「……あれ? 俺の朝食はどこにあるんだ?」

 

 ちゃぶ台の上を見渡しても、置いてあるのは料理を食べ終えた皿や茶碗しかなく、どこを見ても食べ物は見当たらなかった。

 

 それに、ちゃぶ台に置かれている大量の皿や茶碗は三人分の量とは到底のことながら思えず、最低でも十人前近くはあると推測できる。

 

「あぁ~悪いな和生、お前が来る前に朝食全部食っちまったわ」

 

「全部食っちまったじゃねぇんだよ、ふっざけんな! 早く俺の飯を寄越しやがれ! こっちは腹ペコで死にそうなんだよ!」

 

「黙れ眼鏡小僧! 俺が作った飯をどうしようが俺の勝手だろうが!」

 

「可愛い弟に飯を残してあげようと思う慈悲は兄貴にはねぇのかよ!? ってか、眼鏡小僧って何なんだよ!?」

 

 カリカリとしている態度を見る限り、よほど腹が空いていたのだろう。和生はムキになりながら兄の大和に対して容赦なく反発してくる。

 

 兄弟での口喧嘩が白熱する最中、それを近くで聞いていた幽々子は申し訳なさそうな表情を浮かべながら口を開いた。

 

「ごめんなさい、朝食の八割を食べたのは私なの」

 

「まじかよ!? それはそれですげぇわ」

 

 そういえば和生のやつ、幽々子さんがとんでもないほどに食欲が旺盛なことを知らなかったんだっけ?

 

 確かに、今日まで馬鹿げた量の朝食は作ったことなかったし、もっといえば幽々子さんが沢山食べる時に限って和生はいなかったな。

 

 幽々子が謝ったことで、和生は『はぁ~』と深くため息をつきながらも冷静さを取り戻すと、ゆっくりとちゃぶ台の前に腰を下ろした。

 

 まだ和生のことを信じきれていれず、恐れていたのだろうか、申し訳なさそうな浮かべながらも幽々子は再び謝る。

 

「あの……和生君……本当にごめんなさい」

 

「いや、いいっすよ……寧ろ俺の方が大人気なさ過ぎました。すいません」

 

 そんな幽々子に対して、和生は愛想良く笑顔を浮かべながら許してくれる。

 

 自分の態度や発言が悪かったと自ら認めて謝罪する和生、それを見た大和と幽々子の二人はまるで珍しくものでも見たような表情を浮かべていた。

 

 まぁ、幽々子さんも悪気があって朝食を全部食ったわけではないし、況してや申し訳なさそうな顔で謝られたら、許さない訳にはいかないだろう。

 

 そんな和生の珍しい光景を目の前に、疲れたような表情を浮かべながらも大和は料理を食べ終えた食器を片付けて、その場から立ち上がった。

 

「仕方ねぇな……わーかったよ、もう一回朝メシ作ってくるから、そこで待ってろ」

 

 そう言うと大和は大量の食器を両手に持ちながら居間を出ていき、台所へと歩いて向かう。

 

「待って大和、私も行くわ」

 

 朝食を作るために台所へと向かった大和についていくように、幽々子もその場から立ち上がって居間を出ていった。

 

 そして、居間に残された和生は再び『グゥ~』と腹を鳴らすと、その場に仰向けになって寝転んだ。

 

「幽々子さんが家に来てから、朝っぱらから騒がしくなったな」

 

 それと同時に、以前と比べて兄貴の性格が明るくなったと思う。前までは己の肉体を鍛え込むことしか頭に無くて、全体的に感情が薄かったし。

 

 家が騒がしくなるのはあれだけど、まぁ兄貴が楽しんでくれていれば別にどうだって良いけどな。

 

 

《~少年料理中~》

 

 

 居間を出ていったあと、大和は台所で本日二度目の朝食作りをしていた。

 

 予想外と言うべきか、まさか二回も朝食を作るなんて微塵も思ってもいなかった。いや、普通なら誰も考えないだろうけど。

 

 ちなみに大和の背後には幽々子が立っており、料理をしている大和をじっと眺めていた。

 

 そして大和が淡々と料理を作っている最中、何を思ったのか幽々子は何の前触れもなく大和に対して話し掛けてくる。

 

「ねぇ大和、今日はどうするのかしら?」

 

「どうするって、何の事だ?」

 

 一旦料理を止めると、何を言っているのかさっぱりわからないと言わんばかりに大和は間の抜けた表情を浮かべながら幽々子を方向を見る。

 

「惚けないでよ、一週間も私を放ったらかしにしたんだから、今日こそは二人で何処かに行くわよ」

 

「……あぁ~そう言えばそうだな」

 

 確かに、武尊の荒稽古に付き合わされたり、学校とか行って忙しかったからな。

 

 大和が一人で何かを考えているような表情を浮かべていると、その間に待たされていた幽々子が問い詰めてくる。

 

「今日はどうするのかしら?」

 

「そうだな、今日は街に行って遊びに行くとするかな」

 

「やった〜」

 

 喜びのあまりに幽々子は満面の笑みを浮かべると、両腕を天に向かって掲げながらその場でくるくると独楽のように回る。

 

 どうやら幽々子さん遊びだったらしいな。まぁ当然と言えば当然か、慣れない環境と生活で今まで心休める暇が無かっただろうし。

 

 それにしても幽々子さんの喜び方、まるで親に遊園地に連れて行ってやると言われて(はしゃ)ぐ子どものような喜び方だな。俺と遊びに行くことがそんなに嬉しいのか?

 

 まぁ、そんなことはどうでも良いとして、これで今日の予定は街で気分転換をすることで決まりだ。そういうことなら、俺がやるべきことは一つ。

 

「それならさっさと朝食作って行こうか、それまでちょっと待っててくれ」

 

「はーい、はやくしてねー」

 

 背後で幽々子がルンルン気分になって喜んでいる間に、大和は止めていた手を再び動かし、急いで朝食を作った。

 

 それから数十分後、大和は朝食を完成させると、皿に盛り付けると同時に和生がいる居間へと急いで持っていった。

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