貞操逆転世界に転生した人妻男子高校生は、TS魔法少女   作:てんとーし

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基本余裕があるうちは毎日投稿できればと思います。
皆さんの評価、感想がモチベに直結しますので、評価等いただければ執筆速度も上げられそうですね。
今日は準備できれば2回投稿したいところ。モチベ次第です。


2 女の子しか戦えない世界で、TS魔法少女をしているボク

「――んじゃ、今日も頑張ってくるから」

 

「うん、頑張って、ヒメノ」

 

 ――夜。

 あの後遅刻しながら古文の課題を持ってきて、だけれどもそもそも古文の授業に間に合わなかったせいで提出事態ができなかったという残念行動をかましたヒメノと共に、一日の授業を終えて家に帰ってきた。

 人妻男子高校生であるボクとヒメノは、一緒の部屋で暮らしている。そもそもからして、ボクとヒメノの実家は隣同士なんだけど、二人での社会生活を学ぶという意味もあって、それぞれの家庭から出してもらった資金と、GPBで稼いだ資金を使ってマンションの一室を借りていた。

 

 基本的に、家事は分担制だ。ボクは前世からして家事なんてほとんどやったことがなかったし、ヒメノもずぼらな今どきの女子高生。お互いにろくな家事炊事ができなかったりした。

 そこから二人で色々と勉強をして、掃除洗濯はヒメノの分担。料理と食材の買い込みはボクの分担となった。案外、やってみると楽しいんだ、料理。

 掃除、というか洗濯はヒメノが頑として自分がやると主張していた。多分ボクの下着とかを漁りたいんだと思う。別に夫婦なんだから直接面と向かって言えばいいと思うんだけど。

 

 閑話休題。

 

 そうやって家に帰ったら、家のことを済ませて、二人で夕飯を食べるころには、だいたい六時から七時。そこからさくっと勉強やらなにやらをやって、夜の九時までは個人の時間。

 そして九時になったら――そこからは、GPBの時間だ。

 

 ヒメノの自室で、何やらヘルメットのようなものをかぶって眠りにつくヒメノを見る。穏やかな顔で、眠っているようだが、実際に今のヒメノは睡眠状態だ。

 このヘルメット、いわゆる創作でいうフルダイブVRゲームのヘッドセットなんだけど、これをかぶってダイブすると、体は睡眠状態に入る。そして精神だけを別の場所へ転送するスグレモノ。

 これのおかげで、毎日朝までGPBをやっていても、体はしっかりと規則正しい睡眠時間を取れているのだ。

 

 この世界は、前世の世界と比べると科学技術が発達している。フルダイブ型のVRMMOが開発されて久しく、通信端末も前世のそれと比べて更に多機能となっている。

 その原動力となっているのが、このヘッドセット。

 名前をGPBギア。

 

 ボクは自室に戻って、()()()()のGPBギアを取り出した。

 さて、ヒメノはもうすでに戦場へ向かっている。ボクも、すぐに後を追わなくては――

 

 

 ―

 

 

 GPB。

 正式名称はガールズプレイバック。少女たちの再生。なんのこっちゃといえば、なんのこっちゃだけど、話としては単純。少女の精神を現実世界で“再生”するという代物だ。

 復活ではなく、録画を再生するほうの再生ね。

 

 事の起こりは、今から五十年ほど前だろうか。

 突如としてボクたちが住む地球に、異星人がやってきた。知恵を持たない侵略者だ。突飛なことを言っている上に、そんなことになったら世界は滅んでしまうのではないか、というのは最もな話。

 しかし、そうはならなかった。

 

 侵略者がやってくるとほぼ同時期に、とある技術が確立されたからだ。それこそがGPB、人類を救う最後の切り札である。

 これが何かというと、女の子の精神だけを現実に再生し、行動させる技術だ。何故女の子だけなのか? という疑問はあるが、残念ながら答えはない。そもそも誰も考えたことがない、この世界では女性のほうが優位なんだから、それは“当然のこと”として片付けられたのだ。

 

 で、GPBのいいところは二つある。現実に再生された少女の精神は、超常的な力を有していた。そして、仮にその精神が死亡しても、元の肉体に宿っている精神までが死ぬわけではない。

 侵略者相手に、被害を出さす迎撃ができるのだ。

 結果何が起こったか――

 

 侵略者の迎撃が、エンターテイメントとなったのである。

 

 今の時代、侵略者――正式名称をスペリアンは、GPBをプレイする少女の戦うエネミーにすぎない。スペリアンには太陽光が弱点という、致命的すぎる弱点が存在していたことも重なり、人類はスペリアンを一箇所に集めて、間引きをすることで維持することにした。

 

 スペリアンを倒すと、地球にはないマテリアルを入手できるからでもある。なんというか、人類というのはどこに行っても業が深いと思う。

 いつかしっぺ返しを食らいそうだが、それに関しても対策済みだ。というか、既に人類は数えて十回くらいしっぺ返しを食らっている。

 そのたびに、GPBで少女たちがそれを撃退してきた歴史がある。その歴史こそが、人類の対策。次があってもどうにかなるというくらいノウハウは溜まっているわけで。

 

 まぁ、何にしても今のGPBはスペリアンを倒すことで成績を競うゲームとなっている。

 ヒメノは、そんなGPBの超有名プレイヤー。僕たちが暮らしている地域で、ヒメノより強いプレイヤーはいない。世界的に見ても上位といえるトップランカーだ。

 

 ――――で、ボクはと言えば。

 

 どうしてか、そんなGPBに参加している。男子なのに。

 

 事の起こりは今から二年ほど前、高校に進学するにあたって、ヒメノと二人で部屋を借りた頃だ。その当時からヒメノはGPBのトッププレイヤーで、毎日のようにGPBに参加していた。

 そして、仮にも相手は侵略者。トッププレイヤーのヒメノがいないと、万が一が起こってしまうかも知れない。

 

 そういうときのために、GPBギアの予備をヒメノはGPBを運営するGPB本部から受け取っていた。

 

 ――そして、ヒメノがGPBをプレイしている間、ボクは暇だった。そうなると、あっても仕方がないんじゃないだろうか。

 “魔が差してしまう”なんてことが。

 

 だってボクは転生者だ。前世の記憶なんてオカルトがあるのに、この世界のオカルトであるGPBに関われないなんて、ちょっと悲しい。

 というか、転生者なんだから、少しくらいチートみたいなものがあってもいいんじゃないか、と思っていたのだが。

 

 

 プレイできてしまった、GPBを。

 

 

 男子なのに、プレイバックしてしまった。

 普通、男子がGPBギアを起動すると、起動段階で弾かれてしまうそうなのだが、どういうわけかボクはその段階を突破できた上、気がつけばGPBプレイの会場に立っていた。

 ――女の子として。

 

 それから、ボクのGPB生活は始まった。

 TSして、GPBでは魔法少女のようなスタイルでプレイしているから、今のボクはTS魔法少女だ。

 

 ああ、どうしてこうなったんだろう――?

 

 人生二大不思議。後悔こそしていないけれど、未だに当時のことを思い返すと、クビを傾げるしかない。

 

 人妻男子高校生と、TS魔法少女。

 

 積載過多なんてレベルじゃないよこれ!

 

 

 ―

 

 

 ――GPBには、多くの女子が参加する。

 女性優位、強さを見せることが善とされる世界と、GPBの存在は余りにも相性が良すぎた。死の危険がないということもあり、どこか薩摩武士めいた女子というには強すぎる異能生命体たちは、今日もGPBでその力を奮っているのだ。

 

 そんなGPBは幾つかのエリアに分かれていて、このエリアは同時にスペリアンが押し込められた場所でもあるのだが、一般的にこれをダンジョンと呼ぶ。

 ヒメノ達が所属しているエリアは関東ダンジョン。この国最大のダンジョンであり、極東でも一、二を争う巨大ダンジョンの一つでもあった。

 

 そんなダンジョンで、最強と呼ばれるプレイヤーが二人いた。二年前、彗星のごとく“彼女”が現れて以来、このエリアのトップはその二人から揺らいでいない。

 二人の間でトップが入れ替わることはあっても、他のプレイヤーがこの二人の間に割って入ることがないのだ。

 

「あ、来たわよ! ヒメノ様よ!」

 

 ――一人が、ヒメノ。赤と白銀で彩られた鎧をまとった、騎士のような少女。露出がそこそこ激しく、主に存在感の強い胸部の主張が激しい。手には自身の身長よりも大きい大剣が握られていた。

 

「今日も姫騎士様は麗しい……ああ、いつかお近づきになれないかしら」

 

 “姫騎士”ヒメノ。それが彼女の称号だ。女帝と呼ばれることもあるが、GPB内ではこちらのほうが通りがいい。というか、女帝というのはGPBトッププレイヤー全体に使われるう敬称だ。

 ヒメノの場合、関東の女帝といった冠詞が付く。

 

 そんな少女の隣に、一人の少女が降り立つ。

 自身の顔を大きく覆う魔女帽と、そこから伸びる銀の髪、あどけない顔立ちに、女性というよりは少女と評するべき、丸みを帯びてはいるが、発育のよろしくない体躯。

 ヒメノは若干小柄だが、その抜群のプロポーションからむしろ美女と称されることも多い。しかし、彼女の場合は完全にロリと少女の中間のような容姿である。

 

 少女の名を――

 

「きゃーーーっ! ナギちゃーーーん! こっち向いてーーー!」

 

 “魔法少女”ナギ。

 彼女の人気はある種異様とも言えた。反応が極端なのだ。ヒメノに対しては誰もが尊敬と畏怖の眼を向ける。彼女が本物の女帝であるということを知っているが故に。

 しかし、ナギに対しては違う。ナギも相応の人気を伺える反応だ。だがそれだけではない。

 

「……何よ、泥棒猫の癖にっ、ヒメノ様の隣はナギサくんじゃないと行けないのに!」

 

「そうよ。あんなふうに、()()()()()なよなよした女、ヒメノ様にはふさわしくないわ!」

 

 ナギに対しては、嫉妬とも敵愾心とも言える感情を抱いた女性も、相応数いた。

 原因は、ナギが声をかけられた際、優しく微笑んで控えめに手を振っていたことからひと目見ればわかるだろう。

 まるで男子のようにおとなしい、女らしくない少女、それがナギの評価であった。

 

 ――ともあれ、関東ダンジョンにおけるトッププレイヤー二人が現れたことで、関東ダンジョンはいよいよ今日の攻略を開始しようとしていた。

 

 

 ―

 

 

 解せない。

 何が解せないって、少女になった自分に人気があることが解せない。

 ボクは、魔法少女ナギとして、ヒメノに次いでこの関東ダンジョンでトッププレイヤーと呼ばれるところまで成長した。だから、その強さ故に多少人気がでるだろうことは必然だ。

 

 GPBは人気商売の要素を兼ね備えたスポーツである。どれだけその人の個性が人気でなさそうでも、強かれば一定の人気は生まれる。

 けど、ボクが人気になることは早々ないはずなんだ。なにせボクは男である。この世界で男がそのまま女になったら、女性からの人気は最悪レベルになる。

 だって男らしい女の子って、この世界の価値観だと評価されないはずなんだ。

 

 男は楚々として女の三歩後ろを歩き、女はそんな男を守ることが美徳とされる時代。女どころか、男にすら守られる女子なんて。

 女子失格とすら言っていいくらいの価値観が、この世界にはある。

 

 だけど、どういうわけかボクはそこそこ人気だった。解せない……

 

 ともあれ、既に戦闘は始まっている。

 GPBとは、基本的にどこまで言ってもスペリアンを如何に倒せるかというスポーツだ。場合によってはGPBプレイヤー同士のPVPイベントも存在するが、プレイヤー同士の戦闘はメインのコンテンツとしては設けられていない。

 スペリアンとプレイヤーでは、戦い方が違いすぎるからね。プレイヤー相手に強くても、スペリアンに弱かったら意味がない。

 

 スペリアンとは、言ってしまえば昆虫型の怪獣だ。ハチ、アリ、チョウ、カブトムシ、などなど。自然界に存在する昆虫っぽい生物なら、だいたいスペリアンになる。昆虫っぽい、なのでクモもいる。

 人型のスペリアンは基本、存在しない。たまに大型レイドとかには出てくるけどね。

 

 今日のルールは『ダンジョンアタック』、GPBプレイヤーがダンジョンに挑戦し、一度死亡するまで、もしくはタイムアップまでにどれだけスペリアンを撃破できたかを競うルール。

 GPBでは一番オーソドックスなルールとなった。

 

 ボクはヒメノと別れて、ダンジョンを一人で進んでいる。ヒメノとナギの仲は良好だけど、個人競技で馴れ合うのはNGだ。

 さて、周囲を見渡すと、一般のプレイヤー達がそれぞれの得物を構えて、スペリアンと戦っていた。

 全長で数メートルほどある、ダンジョンの外で見かけたら恐怖を覚えるサイズのアリ型スペリアンに、一人のプレイヤーが立ち向かっている。手には剣、装備からして騎士タイプの新人プレイヤーだろうか。

 

 プレイヤーのスタイルには幾つか種類があって、“騎士”、“魔女”、“僧侶”などが有名だ。ボクは魔女型。ヒメノは騎士型。

 マキノさんはちょっと珍しくて、拳士型。今日は見かけないけど、もし見かけたらそれはもう派手に暴れまわっているだろうな。

 

 少女たちの動きは機敏で、新人のプレイヤーでも車が移動するくらいのスピードで立ち回ることができる。対してスペリアンも果敢に動いて、戦闘は一分ほど続く。結果はプレイヤーの勝利だった。

 でも、周りが見えていないので、続くスペリアンに囲まれてしまっていた。

 新人のウチは、倒せるスペリアンを見極めなきゃ行けないんだけど、猪突猛進に突撃しちゃってたんだろうな。

 

 さて、見ているだけというのも忍びない。彼女がスペリアンを集めてくれていたという側面もあるけど、彼女を見捨てるのも何だか嫌だ。いくら死なないとはいっても、女の子が襲われていることには変わらない。

 ボクは自分の身長と同じくらいのサイズの杖を掲げると、魔法陣を展開する。一般的な魔女スタイルのプレイヤーは、魔法を撃つのにそこそこのチャージタイムが必要だが、ボクは詠唱破棄のスキルを大量に取得しているので、このくらいならチャージなしでぶっ放せるんだね。

 

「吹き飛べ!」

 

 そして、戦場は三色の光に覆われた。

 

 やったことはといえば、三つの光弾を一度に生み出し、それぞれを操ってスペリアンにぶつけるというシンプルなもの。ボクの十八番魔術で、一般的には『トリコロール』とも呼ばれている。

 今回はそもそも自分で操作するまでもない相手がほとんどなので、自動追尾だけで問題ないが――それでも効果は絶大。光弾が触れた先からスペリオンが消滅していき、気がつけば周囲の敵が全滅していた。

 

「な、なに、なに!?」

 

 襲われていた女の子が周囲を見渡している。

 

「――大丈夫ですか?」

 

 天井付近から見上げているだけだったボクが降り立って、彼女に声をかける。ナギでいるときは、基本的に敬語だ。普通に喋ると口調が男っぽくなりすぎる。

 

「ナ、ナギちゃん……!?」

 

「果敢な突撃は騎士の花ですが、無謀と作戦を履き違えてはいけませんよ。今の貴方の実力なら、倒せる相手をきちんと見極めるところがスタートです」

 

「あ、え、えっと……あり、がとう……?」

 

 反応からすると、彼女はナギに対して偏見も好意も持っていないタイプらしい。なんだかんだ言って、こういう少女が一番多い。そりゃまぁ、GPBファンはいっぱいいるんだから、特定の人間に執心しているタイプのほうが珍しいだろう。

 

「じゃあ、ここにはもうスペリアンが一体もいませんからね、獲物を横取りしたお詫びに、スペリアンがいるところまでは送っていきましょう」

 

 とりあえず、この子は慣れていないらしいから、誰かの教導は必要だ。別にボクである必要もないが、行きがかり上仕方がない。

 手を差し出して、それを彼女が取るのを待つ。ニッと笑みを浮かべて、これくらいは愛想のうち……だと思う。

 

「――――」

 

「……どうしました?」

 

「あ、ううん!? なんでもないよ。ありがと、ナギちゃん」

 

 少し女の子は呆けていたようだったので声をかける。慌ててボクの手を取って、先導するボクの後に彼女は続いた。何だったんだろう?

 

 ――と、そこでボクは聞き逃してしまったんだ。

 そもそも、ボクはそこまで察しがいいほうではない。

 

「…………ない」

 

「……?」

 

 鈍感、といわれるとそれは違うとも言いたくはなるが、相手の機微を察して、最善の選択ができる人間でもないのだ。

 だからボクがどうして人気なのかも、解るはずがない。

 そして彼女が――ボクに助けられたことで、ボクに対してフラットな感情を抱いていた彼女が、好意の側に傾く理由も、理解できていなかった。

 

 そもそも、その考えかたはこの世界にしかない考えかたで、前世の感覚で生きているボクが、それを理解できるはずもない。

 すなわち――少女は言った。ボクには聞こえないくらいの、か細い声で。

 

 

「――――()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 ――と。




こんな可愛い子が男の子のはずがない。
いわゆる男の娘。貞操逆転世界なら、その逆の女の娘になるんじゃないでしょうか。
何言ってんだこいつ?
なお、リアル主人公は普通の男子です。女装できなくもないですがそれするくらいならリアルでもTSナギちゃんとして活動すればいいので、本作に男の娘要素はありません。
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