J-2^2の世界
あれは夢じゃなかった筈だ。
杖の先から放たれた閃光が僕の体を突き抜けて、体の力が抜けていくのは、夢じゃなかった!
たしかに、僕はムーディに殺されたはずだった。
暗転したはずが次に目覚めたのは、白い空間だった。
真っ白な駅のホームに真っ白な駅舎、真っ白な線路。
どこまでも続くような真っ白な空間にいた。
(ここは)
と言おうとして全く声が出ないことに気がついた。
僕の体は透けていた。
ヨレヨレの寝巻きに、葉っぱのついたままで。足には靴を履いていなくて、それはまさに先ほどまでと同じ姿だった。
(キングスクロス駅……どうして…)
僕には理解できなかった。
たしかにハリーポッターの原作ではハリーが死んだ時、キングスクロス駅に見える真っ白な空間で死んだはずのダンブルドアと再開し会話をする場面があった。
だが、僕はハリーポッターの世界を知っていても全く接点がない筈だ。
僕の記憶ではリンネは電車に乗ったことはなかったし、魔法界側にも当然行ったことはない。
加えてここがなぜ魔法界側のキングスクロス駅の見た目になっているのか、疑問でならなかった。
ハリーはキングスクロス駅に接点があったからこそ辺獄の姿が駅に見えたのであって、僕が行ったことも実際に見たこともない駅のホームが辺獄の姿にはならない筈だ。
だが、ここは正確には元のキングスクロス駅ではないようだと思った。
線路の直線上には円や幾何学系のアーチが設置され、ホームには沢山のパソコンが、壁には訳の分からない図形や見たことがあるようで思い出せない言葉がぎっしりと刻まれていた。
真っ白な世界の中で、床に落ちていたアルバムだけが色づいていた。
薄汚れた青いアルバムを手に取り中を開く。
そこには見たことの無い東洋人がレイブンクローのローブを来て気取ったポーズを来て笑っていた。
1枚目も2枚目も3枚目も、ページをめくっても一人で映る東洋人いる。
8枚目に差し掛かると、誰かの結婚式に参加している様子で、嬉しそうに笑う新郎新婦を背景にアホみたいな変顔で写る東洋人がいた。
次の写真には、真っ赤な手形が頬に残る顔で、写真の下には"トンクスのクソッタレ!!人狼のクソッタレ!"と荒々しく書かれていた。
そのあとの何枚かは、誰かの結婚式やアルバムの主人であろう東洋人が格好をつけた写真が載っていた。
次のページには写真はなかった。
代わりに新聞の切り抜きが大量に継ぎ接ぎにされていた。
"ハーマイオニー・グレンジャー氏、魔法大臣へ……グレンジャー氏は名前を読んではいけないあの人をハリー……"
"生き残った死喰い人、セオドール・ノット氏を逮捕……従来の性能を遥かに上回る逆さ時計が押収されました。ノット氏は過去を改変し帝王を復活させる予定だったと供述し…"
"英雄ハリーポッターの息子、闇に堕ちる!!…息子のAと名前を呼んではいけないあの人の娘が共謀し、押収された逆さ時計を利用した罪で……"
"先日の記事についてのお詫び…ハリーポッター氏について誤報があり…"
"小コラム 人工衛星による魔法界の危機!マグル学の権威ディセビオ・セビオス氏は人工衛星が魔法界を発見することを…"
"週刊魔女 あなたもいつまでも若い肌へ!吸血鬼の膿でお肌すべすべ…"
最後の切り抜きには、口に出すのも幅かれるような罵詈雑言が書かれていたが、大体がハリーポッターと呪いの子に出てきたような内容だった。
次のページには真っ黒な何かが写っていた。
それがなんなのか、わからなかった。
写真を一枚抜いて裏を見てみると、2041年7月と書かれていた。
次のページにはページ自体に大きく2034年と書かれており、魔法大臣によるマグルとの融和政策やら、魔法界とマグル界の技術交流についてや、国際魔法使い連盟の規則変更についての記事が多くあった。
次のページには年代の記載はなかった。
でも全ての写真に墓石が映っていて、多くが知らない名前だったが、何故か物凄く虚しくなって涙が溢れた。
次のページには、面影のあるハリーポッターとロン・ウィーズリーらしき人が東洋人と一緒に映っていた。
二人とも面影というくらいには老けていて、若かりし頃の姿とはかけ離れていた。
写真に映る東洋人だけがいつまでも同じ姿だった。
やはり写真の裏には文字が書かれていた。
"Mr.Nへ素晴らしいプレゼントをありがとう!ハリーポッターとその友人ロナウドウィーズリーより"
とある。下には小さな字で、
"ps. R.B.WからV.N.Kへ
貴方のお陰で私たちは助かりました、今度は貴方の助けに私たちがなります。僕たちと写真に写りたいとおっしゃっていたので合成した写真を送ります。気にいって頂けると嬉しいです"
と書かれていた。
写真の中の3人は動かなかった。
切り抜きの預言新聞も写真が動かなかった。
年代は20……十と一の位は塗りつぶされていて読めなかった。
次のページには、マグルの新聞の一面に積み重なる死体の山があった。
銃を持った兵士たちがトンガリ帽子を被った女を押さえつけ、その後ろでブルドーザーやクレーンがホグワーツ城を解体している写真もあった。
文字は煤けていてほとんど内容は理解できなかったがハーマイオニー・グレンジャーという女性が狂った侵略者からイギリスを守った人物として女王陛下から表彰を受けたことが記されていた。
アルバムを閉じて立ち尽くした。
アルバムの写真や切り抜きを見るたびに何か心の奥底から吹き上がるものがあった。
これが嘘だとは思えなかった。
信じがたいことだが、これを変えたいと強く願った瞬間があったことを今思い出した。
それはきっと遥か未来の出来事だ。
だが不思議と嘘ではないと思えた。
タグの追加に関するアンケートと、そのメリット、デメリット
○時間逆行タグ等を入れる
→メリット
展開がわからないというストレスが無くなる。主人公が死ぬという展開により、読者が不安に感じるのを防ぐ。
また、時間逆行や死に戻り、ループなどの作品を探している人が見つけやすい。
→デメリット
読むときに展開がわかっているので緊張感が無くなる。死んだ主人公がそのまま死んで新しい主人公になるのか、それとも……とか読者が想像できなくなる。
○入れない
→メリット
展開がわからないから、緊張感が出る。
ストーリーを読む上で不安を覚えてそれがワクワク感にもなる。
→デメリット
サクサク読めなくなる。ストーリー展開が不安になって読むのをやめるかもしれない。
ハリーポッターと不死身の預言者は時間逆行をメインにしたストーリーなのですが、タグにループや時間逆行を入れた方がいいと思いますか?
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ループを入れる
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時間逆行を入れる
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死に戻りを入れる
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タイムリープを入れる
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