ハリーポッターと不死身の預言者【改正中】   作:或売奴千刺

16 / 16
あいるびーばっく


目覚め

"アンリ"・ウェインライトという人間は、自分が生まれた時から特別な人間であると自覚していた。

 

"アンリ"は、ベビーベッドで寝ていた時にはすでに言葉を理解していたし、1歳の頃には他を知らないはずなのに、自分の家の親が普通じゃないことも気づいていた。

 

何故自分が特別なのか、何故自分が賢いのか。

"アンリ"は考え、その先に自分が夢の中で誰かの記憶を見ていることに気がついた。

 

その人は、賢かった。

その人は、自分と違い両親に愛されていた。

その人は、あまり裕福ではなかったが沢山の友達がいて楽しそうだった。

そしてその人は、自分と同じように赤い目をしていて人より鋭い犬歯を持っていて、それで本と会話ができていた。

 

"アンリ"は、なんとなく自分の賢さや特別な才能がその人物から与えられたような気がしていた。

 

その人物は記憶だけで"アンリ"の問いかけに一切答えることはなかったが、"アンリ"が望めば望んだ記憶を見ることが出来た。

 

知識を学び、真の賢さを知り、人間の友達を沢山作った。

記憶にはない、沢山の本を読んで、同じように沢山の本の友達を作った。

 

自分が特別な人間だと知った。

自分が記憶の中の人物がいう***だという存在であることを知った。

"アンリ"は魔法力に目覚めていた。

 

記憶が示す通りにすれば不思議な力を使うことができた。

 

握った小石は粉々になり、殴ったドアには穴が空いた。

記憶の通りにやってみれば力を抑えることも出来た。

 

そして、目をじっと見つめれば相手の心を覗くことが出来ると知った。

記憶の中から望む記憶を見るように、他人の目を見つめながら欲しい情報を引き出そうとすれば、記憶や思考を覗き見することが出来た。

 

だから権力を振りかざす奴には心を覗いて脅した。

知られたくない記憶を引き出し、暴露した。

心を読んで、話す言葉を重ねた。

親の権力は所詮親の権力でしかないことを理解していない、間抜けどもだろうと、暴力でしか力を測り比べられない野蛮人どもにも、精神攻撃はよく聞いた。

 

協力者には愛を、反逆者には恐怖を与えた。

反逆者にも慈悲を与えた、友達になれば暴力を振るうことも除け者にすることもない。

あまり弾圧しては、うまくいかないと君主論という"本の人格"が教えてくれた。

飴と鞭をうまく使いこなし、格下はもちろんのこと格上の家の子供も丸め込み、取り巻きにする。

 

大人のいるところでは、優秀で可愛らしく、運動も出来てみんなから好かれていて、気品のある、努力家な子供だった。

しかし、裏では子供あるまじき知能を悪用し、仲良しグループという名の取り巻きを作り、家族や身内だけが知ることができる秘密の情報を収集し、ノートに書き込んでいた。

裏切られた時に相手の弱みにつけ込むために、少しでも反抗するものを徹底的に叩きのめすために。

 

 

彼の本性を知れば悪魔だという人もいるだろう。

 

 

だが、"アンリ"は本当は寂しかったのだ。

祖父母は両親が予定がつかないからという理由で逢いに行けず、両親は両親で家に帰って来ない。

 

帰ってきていても、仕事が忙しいからなどとあれこれ理由をつけて会おうとしない。

友達はみんな、両親に愛されていて羨ましかった。

 

使用人たちは"アンリ"を肉親のように愛してくれていたが、肉親が愛してくれないアンリにとってはそれが悲しくて悔しくて、どうしようもないくらい申し訳なかった。

 

愛されていることが嬉しかったが、血のつながりのある誰もが自分を愛してくれていない現実に絶望していたのだ。

 

だから、友達が羨ましかった。

 

人間を超えた力で、あるがままの衝動で、憎しみのままに全てぐしゃぐしゃにしたかった。

だけど、"アンリ"の優しさがそうはさせなかった。

 

愛に飢えていた。

誰かに認めてほしかった。

もっと愛されたかった。

 

両親がくれないというなら、誰でもいいからと、この寂しさを埋める愛を探していた。

 

 

使用人たちは心配していた。

 

最近、友達と遊ぶようになってから、親がいない状態が普通じゃないと言うごとに気づいた"アンリ"の様子がおかしいと。

 

沢山の友達に囲まれながらも、様子はどんどんおかしくなって来ていて、ただえさえ白かった肌は死人のように血の気がなかった。

 

輝くようなキラキラした目はなく、ほとんど閉じたような状態か、虚な目でいつも本を見ているようになった。

 

それからしばらくして、今度は表情が無くなり、めっきり口を開かなくなった。

食事以外は口を開かず、本を読むだけ。

 

 

そのうち、風邪をひいた。

熱は治らず、酷く魘された。

 

使用人たちは総出で、世話をした。

 

医者を呼び、診てもらったが、命が危ないかも知れないと言った。

 

そこでウェインライト夫妻にそれを知らせたが、彼らは"アンリ"を見に来る気はなかった。

それを知った"アンリ"が自殺しようとしたのを見て、正義感に駆られた使用人が、無理矢理、両親を連れてきたが失敗だったと言えよう。

 

両親はよほど仕事を休むのが嫌だったのか、使用人たちや医者に説得され、渋々どちらかが家に残り看病することになった。

 

"アンリ"の熱が収まってくると両親は「もう大丈夫でしょう」と言って仕事へ戻ってしまった。

 

"アンリ"はショックだった。

深く深く絶望した。

 

自殺も出来ない。

いや死にたいわけじゃなかった。

死のうとしたら親が心配してくれると思った。

具合が悪くなったのは、仮病ではなかったが、せめて本当に具合が悪い時くらい近くで見ていてくれるんじゃないかと期待していた。

 

だが違った。

ジェイクもベルナデットも、仕事のことばかり考えていた。

アンリがうなされている時も、企画案を書いたりプレゼンの練習をしたり、資料を読んだり、仕事に行けない不平不満を漏らしたり。

 

最悪なのは、恐ろしい悪夢をみて錯乱した"アンリ"に「煩い!!」と母が怒鳴りつけたことだった。

 

"アンリ"は絶望した。

 

賢いが故に絶望した。

特別でなくてもよかった。

 

賢くなくても、力がなくてもよかった。

 

ただ誰かの特別な人にはなりたかった。

 

誰かに自分を理解して、欲しかった。

 

真っ暗な世界へ心を深く閉ざす中で、もうどうなってもどうでもいいと、"アンリ"は絶望した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一軒の邸宅の一室で、風邪にうなされていた男の子は目覚めた。

 

 

先程まで死んだように真っ青な顔をして、腐った魚のような生気のないどろりとした目をして、天井を見つめていた子供とは思えないほどに、顔に色気を戻し粗い息をあげ、跳ねるように飛び起きた。

 

男の子はハロウィン前に風邪にかかり、楽しみにしていた友人とのパーティにも出れず、熱にうなされる中、両親が自分を見ていないことを知って絶望していたところだが、ようやく熱が引いてきて同時に落ち着いてきたところだった。

 

 

初めて目が覚めたとき、"リンネ"・ウェインライトは見慣れたはずの部屋に既視感を感じていた。

既視感なんて自分の部屋なのだから当たり前だが、リンネはこの感覚を、この状況を知っていた。

 

カレンダーは、1985年10月31日を指していた。

 

窓は開けられていて、風ががカーテンを揺らめかせ、外からはみずみずしい草の匂いがした。

 

子供用の背の低い机には写真が置かれていて、写真立てにはジェイクとベルナデットに抱きしめられ、そばには大好きな使用人のソフィアが控えている、そんな写真だった。

 

酷く喉が渇き、机の上に置かれた花瓶が目についた。

花瓶には庭から切って持ってきたばかりの美しい水色の花が生けられていた。

 

"リンネ"は、それらを無視して簡単に身だしなみを整えると、ふかふかの椅子に座り直して、机の上に置かれたベルをカランコロンと鳴らして、人が迎えに来るのを待った。

 

 




描き直したいと思うところは正直ありますが、一度直すと際限なく直してしまうタイプなので完結まで走り抜けたいと思います。(なお、完結までだいぶある模様)

前話のアンケートのネタ枠のアズカバンが人気みたいですね……スリザリンと接戦とか完璧なG Gルートですかね


【分岐 序-D-1】ホグワーツ以外にオリ主が入学するとしたら何処の学校がいいですか?(マイナー魔法学校編)

①ブラジル カステロブルーショ
②ウガンダ ワガドゥー

伯=ブラジル
宇岸=ウガンダ

名前:カステロブルーショ
場所:ブラジルの密林地帯
建物:黄金に輝くマヤ文明のピラミッドのような形の建物で、ピラミッドを生成する石材が金色に輝いている。
寮:不明
組分け:不明
卒業生:バリウス・ボラージ(スネイプが所持していた上級魔法薬という本の著者)、ホアン・コエーリョ(クィディッチ選手)
特徴:ホグワーツと同じくらいの時代に作られた。魔法動物学(飼育学的な感じ)と薬草学が盛ん。
ホグワーツでいうゴーストやポルターガイストに当たるカイポラという魔法生物がいる。カイポラはホグワーツでもっとも喧しい存在の一つのポルターガイストのピーブズよりも騒がしく喧しいらしい。
見た目が血濡れのような真っ赤な肌で、草を編んだような粗末な服のようなものを着ているらしい。
入学方法:不明

名前:ワガドゥー
場所:ウガンダの月の山脈
建物:雲より高い山の上を削って建てられた街のような見た目。まるで雲の上に浮かぶ島のようだとも言われる。
寮:不明
組分け:不明
卒業生:不明
特徴:動物もどきの習得が盛んでイギリスとは違い多くの生徒が習得している。ヨーロッパでは超一流の証とされる杖なし魔法を、ワガドゥーでは専門に習う。アフリカ地域全土から生徒を集めており、世界最大の学校。ホグワーツよりも歴史があり天文学、錬金術、変身術の評判が高い。
入学方法:夢の使者と言われる人物が現れ資格を持つ子供の手の中に文字を刻んだ石を置いてゆく。この石を持つ子供は自然とワガドゥーまでの行き方がわかるようになる。


以上が公式情報ですが、わからない部分はオリジナルでそれっぽくかきます。

【分岐 序-D-1】ホグワーツ以外にオリ主が入学、もしくは関わるとするとしたら何処の学校がいいですか?(マイナー魔法学校編)

  • カステロブルーショ(伯
  • ワガドゥー(宇岸

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。