フューチ提督物語   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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天使様

「ねぇ、フューチさん、我々は青海にある相手の国に挨拶もしないまま勝手にエレベーターなるものを降ろすのは失礼だと思いません?」

 

「え、えぇ、まぁそうですが」

 

「そこで私自ら青海に赴こうと思うのです」

 

「は、はい!?」

 

 食事後気が変わったのかエンゼル様がそんな事を言い出した

 

「女神様流石に危険でございます!!」

 

「爺や、何が危険だというのです? 私が危険であるということは、この国の民全てが危険であるということなのですよ」

 

 確かにエンゼル様はここの誰よりも強いだろう

 

 悪魔の実の能力者であり、見聞色の覇気も扱えると見える

 

 とりあえず私は客人、口論の成り行きを見守る

 

「女神様、まずは我々が選抜隊を編成し、向かいますゆえに何とぞご再考を」

 

「フューチさん、青海に行くのに何か条件などは有りますか?」

 

「行くのには条件は有りませんが、帰りは有ります。空を飛べるか駆けることが出来なければ、空島へは行くことが出来ないでしょう……私が背負うことができるのは1人までなので……」

 

「では、尚更私が行くしか有りませんね!」

 

「エンゼル様お願いします! ご再考を」

 

「これ以上の検討は無駄です。フューチさん、私が青海の王族と直接お話をしたいので、護衛をしてくださる?」

 

「構いませんが……1人ならそちらの護衛を連れていけますよ」

 

「……なら私が行こう」

 

「ペタン隊長、私を護ってくださる?」

 

「命に代えましても」

 

 ほぼ成り行きでエンゼル様がモーリシャス王国に来迎する事が決まった

 

 王族……それで良いのか……

 

 

 

 

 

 

 

 その後、私は青海に戻る準備を進める

 

 といっても降りるのを楽にするためにパラシュートと籠を作り、ゆっくり、安全に地上に戻る必要が有った

 

 相手は王族、無礼が無いようにしなくてはならない

 

 即席で籠とパラシュートを作ると、モーリシャス王国に渡す贈り物をジゲジゲのポケットに収納し、いざ青海に向かう

 

「フューチ殿、くれぐれもエンゼル様を頼みますぞ」

 

「わかっております」

 

「では皆さん少しの間留守を頼みました」

 

「女神様行ってらっしゃいませ!!」

 

「「「女神様!!」」」

 

 子供達がエンゼル様に近づき手を振る

 

 エンゼル様は手を振り返す

 

 私はこの国の民がエンゼル様の下で本当に纏まっており、争いの無い、平和な国なのだなと感じた

 

「では出発いたします」

 

「フューチ殿頼みます!!」

 

「ペタン、緊張しないの」

 

「は、はい! 女神様」

 

 私達は青海に降りる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「青海は暗いのですね」

 

「いえ、上に空島が有るため日の光が届かないのです」

 

「そうなのですか」

 

 ゆっくりパラシュートに乗って降りる私達

 

 降りている途中にエンゼル様は様々な質問をしてくる

 

 ペタンと呼ばれた男は周囲の警戒をしながら話を聞く

 

「所々に光っている物がありますが。なんですの?」

 

「あれは光茸というキノコでございます」

 

「まぁ、そんなキノコが有るのですね。幻想的……」

 

 光茸が見えてきたということは地上がもう近い

 

「少々お待ちを」

 

 私は月歩で籠の下に潜ると、下から籠を支える

 

 ゆっくり、ゆっくり地面に近づけ籠を降ろし、パラシュートを嵐脚で切って、退ける

 

「ここが大地なのですね。雲とは違って固い……」

 

 私はコンパスを取り出し、この島の岸に止めた小型船に2人を案内する

 

「空気が濃いな」

 

「雲の上は酸素が薄いですからね。地上と空島では変わってきますよ」

 

 エンゼル様の頭の上で浮いているリングが光るので懐中電灯無しでもスムーズに歩ける

 

 というか、エンゼル様、全身がほんのり光っているような感じがする

 

「つきました。この船に乗り込んでください」

 

「女神様、揺れますので足元にお気をつけて」

 

「ふふ、ありがとうペタン。大丈夫よ」

 

 私達はモーリシャス王国に向かう

 

 

 

 

 

 

「おげぇ……」

 

「ペタン大丈夫?」

 

「女神様、すみませんこの様な醜態を見せてしまい……おげぇ」

 

「船酔いです。酔い止めの薬を渡すので飲んでください」

 

「かだじげない」

 

「ふふ、ペタンも弱点が有るのですね」

 

「わだじもじりまぜんでじだ」

 

「喋らずに安静にしていてくださいね」

 

 ペタンさんが船酔いでダウンするアクシデントが有りながらも私達はまず海軍基地に向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『と言うわけで空島からの来賓がいらっしゃるので護衛に海兵100名付けたいからホフマン准将準備を頼みますね』

 

「わかりました。王国への説明はどうしますか?」

 

『私が電伝虫経由で報告する。以上』

 

「わかりました。準備に取り掛かります」

 

 ガチャ

 

「ふぅ……」

 

「ホフマン准将、今の電話はフューチ少将からの電話ですか?」

 

「あぁ、何でも5の島の探索中、空島の王国を発見し、成り行きで、その国の女王がモーリシャス国王と対談したいと言い出したらしい。そのまま護衛1人を連れてこちらに向かっていると」

 

「なんとずいぶん行動力のある女王ですね」

 

「あぁ、しかし、カリスマは凄いらしい。悪魔の実の能力者でもあるから力も強いとの事だ」

 

「失礼の無いようにしなければなりませんね」

 

「あぁ、今回は実力よりも性格で真面目な奴から護衛に付かせる。直ちに書類から選抜しろ」

 

「は!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 基地に到着した私はまず基地で軽い歓迎会を行い、その間にモーリシャス王国の大臣とのホットラインで事情を伝え、会談の席を設けてはもらえないかと交渉した

 

『空島なるものが実在したとは……わかった。直ちに調整に入る』

 

「急にすみません」

 

『なに、国益になるので有れば構わんよ。その為に我々は居るのだからな。王の機嫌も良い。最近では広がった勢力圏の地図を見るのが日課になっておられる』

 

「そうですか……一応こちらで2時間は拘束しますので、その間に宴の用意も頼みます」

 

『了解した。護衛には我が国の兵も出そう』

 

「お願いします」

 

『では、また後でなフューチ少将殿』

 

「はい、大臣もよろしくお願いします」

 

 ガチャ

 

 ふぅーとため息が出る

 

「さて、どの様にもてなすか……」

 

「フューチ少将、只今ココア三等兵とパワプロ軍曹が能力を使った芸で繋いでいます! 直ぐにお戻りください」

 

「わかった、わかった」

 

 私はエンゼル様のもとに戻る

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、見ろよあの羽に輪っか……天使様だべ」

 

「地面に足をつけておられねぇ!! 神の使いじゃ」

 

「拝めなきゃ」

 

 海兵達は悪魔の実の能力者だとわかり、動揺はしたが、拝む等の行動はしなかったが、モーリシャス王国の国民は悪魔の実なんて知ってる人はごく一部であり、エンゼル様の神々しさに膝を付いて拝む人が続出

 

「地上の民は膝を付き、拝むのが礼儀なのでしょうか」

 

「いえ、羽の生えた人物など見たことが無いですし、ふわふわと浮いてますので神の使い……創造神の使いだと勘違いされていますよ」

 

「まぁそんな……私は女神では有りますが、創造神等と言う最高位の使いではありませんことよ」

 

「まぁ民衆はあなた様の事を知りませんので、これぐらいは許してください」

 

 一応道両サイドには兵隊が、我々の前後には海兵が守りを固めているのですが、兵隊は隙間や建物の上から見ていた見物人達が拝めだしたことでエンゼル様は困惑したらしい

 

「さて、着きました。こちらがモーリシャス王国の王宮になります」

 

「綺麗ですね」

 

 空島にある天空の城には負けるが、モーリシャス王国の王宮も十二分に素晴らしい造りをしている

 

 王宮に入り、玉座の前まで私は案内する

 

「ベゾルト3世のおなーりー」

 

 ドコドコドコと太鼓やラッパを鳴らし豪華な演出と共に国王様が玉座の前に立ち

 

「よくぞ来られた天空に住むものよ」

 

 階段を降りながベゾルト国王はエンゼル様の前に立つ

 

「交流の証だ」

 

 王は手を差し出す

 

「……なるほど。へそ」

 

 差し出された手をエンゼル様は握る

 

 握手だ

 

 周囲に居た人々が拍手をする

 

「モーリシャス王国のゾベルト三世である」

 

「ホワイトランドの女神、エンゼルですわ」

 

 こうして国を背負う者同士の会談が始まるのだった

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