フューチ提督物語   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

42 / 66
魚人街

 私とリグル大佐はシャボンで自身をコーティングして、シャボン玉の中で動けるようにし、魚人街に向かう

 

 魚人島のシャボンから外れた深海に有るスラム街

 

 元々は孤児達を預かる巨大な保護施設だったらしいが、現在は荒くれ者、ギャング、海賊の温床となっている

 

「フューチ少将! やっぱり帰りませんか……シャボンが割れたら最後、僕らは水圧でペチャンコですよ」

 

「それでも行くのが我々海兵だと思うけどね。リュウグウ王国と国交を持った今、その負の面も見る必要があると思うんだ」

 

「まぁそうですけど……」

 

「モーリシャス王国にも2年前にはスラム街が有ったし、どこも似たような物だよ。職が有ればそれも減る」

 

「なるほど……」

 

「さて! そろそろ到着するハズだ」

 

 

 

 

 

 魚人街に到着すると武器を持った魚人や人魚に取り囲まれた

 

「何をしに来た人間!」

 

「魚人街の観光と引き抜きに来た! どうだい? 海軍に入らないか?」

 

「海軍? ギャハハ俺達は泣く子も黙る魚人だぜ! 人間なんかの下につくかってんだよ!!」

 

「そう……じゃあ魚人空手を見せてよ」

 

「馬鹿にしてるんじゃねぇぞ!!」

 

「うん、まぁそうなるか」

 

 槍でおもいっきり刺しに来たが、それをヒラリとかわす

 

「お前下手くそか! 何処狙ってるんだよ」

 

「いや、確かに正確に突いたハズなのに……」

 

 更に突いて来るが

 

「よっと」

 

 私は避け続ける

 

「ここでは火器は使えないから槍や剣、刀でしか攻撃できないでしょ。それなら水中でもいくらでも避けられるよ」

 

「くそっ……このアマ調子に乗りやがって」

 

「覇王色……黄拳……黄金衝撃!!」

 

 槍持ちの魚人が吹き飛ばされる

 

「やりやがったな!!」

 

「おい! ジンベエさんやアーロンさんを呼んでこい!!」

 

「お前死ぬからな! 俺達に手を出した事を後悔させてやる」

 

 私は手をクイクイっと挑発する

 

「フューチ少将煽るのはまずいですって!! 海中なんですよ!!」

 

「リグル大佐下がってろ。少し遊ぶだけさ」

 

 魚人達が次々に襲い掛かってくるが、私はヒラリヒラリとかわしながら1人1人に覇気を打ち込んでいく

 

「くっそ! 見えない何かで攻撃してきやがる!」

 

「あれじゃねぇか? 悪魔の実って奴!!」

 

「そうだ! そうに違いねぇ!!」

 

 ジリジリと距離を広げ、槍を投げるなどして遠距離攻撃をしてくるようになる

 

「ねぇ君達、海軍に入ってよ。君達が未知と思ってる技も教えるからさ」

 

「何事じゃ!!」

 

「ジンベエの兄貴!!」

 

「シャーハハハなんだお前ら! 人間ごときに遅れをとっていたのか!!」

 

「アーロンさんも来た!! お前らこれで終わりだ!!」

 

「ジンベエ、アーロン」

 

 私は知識として彼らを知っているが20年前の実力では私には敵わないだろう

 

「親玉かい?」

 

「何しにここに来た人間!」

 

「海軍にスカウトをしにね、血気盛んな人々が居ると聞いてここに来た」

 

「ふん! 笑わせる」

 

「ジンベエの兄貴やっちまおう」

 

「そうじゃな。子分がこれだけやられてだまっちょるわけにもいかん」

 

「シャハハハ、という訳だ人間! ここで死んでもらうぞ」

 

「死ぬわけにはいかないねぇ……こい」

 

「唐草瓦正拳!!」

 

「で、出た!! ジンベエ兄貴の唐草瓦正拳!」

 

「これを受けて立ってた者は居ねぇ!!」

 

「武装色……硬化……緑!!」

 

 バチ──ーン

 

「しゃ、シャボンが割れんじゃと」

 

「ジンベエ兄貴の技が効いてねえ」

 

「なんじゃ? 鋼鉄を殴ったような感覚は」

 

「教えようか?」

 

「じゃかましぃ!! 四千枚瓦正拳!!」

 

「見聞色……見切り……同調」

 

 殴りかかってきたジンベエに対し、私はシャボンに手を振れ、殴られる瞬間に手を素早く振動させる

 

 殴られた衝撃を瞬時に周りに流し、何事も無かったかのようにジンベエの手を掴む

 

「離せ!!」

 

「指銃」

 

 捕まえたジンベエに対して指銃で柔らかく心臓部分を押す

 

「う!? ぐう!?」

 

「兄貴!! てめぇジンベエの兄貴に何をした!!」

 

「よせ、アーロンお前さんじゃ敵わん」

 

「く!! 鮫・ON・DARTS!!」

 

「よさんか!!」

 

「武装色……硬化……緑」

 

 ガギン ボギ

 

 嫌な音がした

 

「ぐ、ぐおぉぉぉ!? 俺様の鼻が!?」

 

 アーロンの鼻の骨が折れる音だった

 

 アーロンの攻撃は私が武装色の覇気を流したシャボンの硬度に耐えきれずに攻撃の威力も合わさり折れてしまったようだ

 

「じ、ジンベエ兄貴とアーロンさん相手に勝っちまったぞあの人間!!」

 

「ば、化け物かよ」

 

「人間の皮を被った悪魔だ」

 

「悪魔とは酷いじゃないか……ねぇリグル大佐」

 

「いや、何で即興でシャボンの強化が出きるのですか」

 

「刀とかに覇気を纏わせるのと同じ要領だよ。逆に出来ないと困るよリグル大佐」

 

「しょ、精進します」

 

「で、どうする? まだやる?」

 

「はぁはぁ六千枚瓦回し蹴り!!」

 

「おっと」

 

 私はガシッと武装色で硬化した手でジンベエの足を掴むとそのまま投げ飛ばした

 

 ドシャ

 

「じ、ジンベエの兄貴!!」

 

「わしゃぁ、まだ戦えるぞ……はぁはぁ」

 

「うぉぉぉぉぉ!!」

 

「次はアーロンか。黄線」

 

「な!? くは!?」

 

 黄色い線と書いて黄線

 

 覇気飛ばすことを応用し、圧縮した覇気を弾丸のように打ち出す

 

 分類は覇王色の覇気の為肉体にはダメージは無いのだが、体が急激に流し込まれた覇気に耐えきれずに気絶するという技だ

 

 これを武装色である青線にすると普通に肉体を破壊するビームのような物となり、緑線にすると精神と肉体を同時に破壊する凶悪な技となる

 

 最大射程100メートル

 

 使うときは人差し指を対象を指し示す様にまっすぐ向け、小指を折り畳むと同時に発射される

 

 まぁこれとは別に黄金旅程って技が有るけど、そっちは手のひらを相手に向けて覇気を放出してダメージを与える技も有るが、射程がこれよりも短い欠点がある

 

「で、まだやる?」

 

「くっ!!」

 

「そこら辺でやめてくれねぇか海兵さんよ」

 

「「タイの兄貴」大兄貴!!」

 

 フィッシャータイガーが現れた

 

「大物だね……纏っている覇気が違う」

 

「そんなことはねぇよ……化け物さんよ」

 

「た、タイの大兄貴気をつけてくれ。奴は見たこともねぇ技を使ってきやがる」

 

「……覇気か」

 

「御名答。そう。私が使っているのは覇気さ」

 

「おいおいばらして良いのか? 俺は敵だぞ」

 

「の割には敵意が無い。まぁ私はそもそも反撃しだけだしね」

 

「ふ、なるほど……おい、お前ら怪我をしているアーロンの手当てをしてやれ……俺はこいつらと話がしたい」

 

「タイの兄貴! 人間ですよ! 油断したところをグサッとやるかもしれません」

 

「だったら俺が狙われる理由は皆無だ。俺はただの冒険家だぞ」

 

「攻撃しなければこちらとしても迎撃しなくて良いから手を出さなくていいからね。話し合いといこうフィッシャータイガーさん」

 

「名前知ってたのか」

 

「ある程度は活動内容も知っていますよ」

 

「そうか! 有名人だな俺は!!」

 

「少し話をしましょう」

 

「あぁ、俺の家に来い」

 

 私とリグル大佐はフィッシャータイガーの家に招待されることとなる

 

 

 

 

 

「俺の名前はフィッシャータイガー・・・お前さんは?」

 

「エレ・フューチと言います」

 

「で、何で治安の悪い魚人街なんかに?」

 

「ダメ元で海兵のスカウトにね……魚人島本土の人より荒くれ者の方が海兵にしやすいからね」

 

「まぁそうだろうな。少しでも強い奴らの方が良いのはわからなくもない。が、ここは人間を恨んでいる奴が多く居る。子供の頃から人間は残虐で、差別をする生き物だと教え込まれてる中々上手くはいかねーぞ」

 

「それでも来てくれる物好きがいれば良いなと思って赴いたんだけどね」

 

「お前さん達はいつ頃魚人島を出発するんだ?」

 

「早くて明後日かな」

 

「なら無理だな諦めな」

 

「やっぱり無理か」

 

「そんな短期間で魚人や人魚と人間の間にある溝は埋まらん。本土の奴らなら話は別だがな」

 

「時期を見てまた来ますよ」

 

「おう、そうしろそうしろ」

 

 フィッシャータイガーとの出会いは友好的に終わった

 

 この後彼の人生は壮絶な物となるのだが、私に出来ることはない

 

「ジンベエとアーロンといったか……彼らは手加減したから大丈夫なハズだけど」

 

「あいつらは頑丈だから気にするな……先に手を出して悪かったな」

 

「いえ、大丈夫です」

 

 私とリグル大佐はその後魚人街から離れ出港準備に取りかかるのだった

 

 

 

 

 

 

 

「フューチとかいったか・・・あの人間の女・・・強かったのぉ」

 

「ありゃ世界政府の海軍所属の奴だ。階級は聞かなかったが地上には強い奴が多くいる。俺達が優等種族だとおごり高ぶっていると足元を掬われることになるぞジンベエ」

 

「既に掬われましたんじゃ。タイの兄貴」

 

「世界は広い!いつかお前も冒険に出てみないかジンベエ」

 

「考えときますわい」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。