「うぐ……ここは」
「ようこそここは精神と物質の狭間の空間……私が作り出した異空間……ベルベットルームだ」
バーの様な場所で、キッドの海楼石の手錠は外してある
「おいおいずいぶん無用心だな。海楼石の手錠を外してよかったのか?」
「なに、君と私では力の差が有りすぎるゆえに関係ない」
キッドはバーテンダーの真似事をしていた私にトランプを突き付ける
「このトランプは特殊素材で出来ていてな、そんじょそこらの刃物以上に鋭い切れ味が有るんだぜ……首を切り落とされたくなければここから出せ」
「だから言っているだろ……力の差が有りすぎると」
トランプはバラバラに切り裂かれた
「な!?」
「その程度であれば私の爪だけで十分切り裂ける……ふむ、その能力はマジマジの実かな?」
「ふはは! 完敗だ! で、さっきも言ったがインペルダウンにぶち込むか?」
「それも良いけど君の経歴を洗い出させて貰った……貧しい弟達のために頑張ってきたらしいじゃないか」
「それが……!? てめえまさか弟達に手を出すつもりじゃ」
「そんな外道な事はしないさ……そうだねぇ……当面この船で働いて貰おうか……そしたらインペルダウンにぶち込むのは勘弁してあげるよ」
「本当か!?」
「あぁ、本当だ。あと島に着いても逃げ出さない事をお勧めするよ。君の気配は覚えた。島1つや2つくらいなら逃げ出してもすぐに追い詰めるからね」
「おぉ、怖ぇ……で、船で働いて何をさせてぇんだ?」
「そうだね……突撃隊って組織で働いて欲しい」
「突撃隊? なんじゃそりゃ?」
「私の親衛隊って言ったらわかりやすいかな……ふふふ、なーに諜報員と同じ仕事をして貰えれば良いよ……変装得意でしょ」
「まーな……報酬は?」
「そうだね……弟さん達が普通に暮らしていけるだけの金は出そう」
「まぁそこら辺が落としどころか……乗った……けど旗色が悪くなったと思ったら裏切らせて貰うぜ」
「あぁ、それで結構……まぁ今の君じゃ弱すぎるから鍛えさせて貰うよ」
「鍛える? 確かにお前さんみたいな化け物相手には無理だが、これでも並みの奴には負けねぇよ」
「そうだろうね……戦闘力だけの懸賞金だったら1億5000万位は有るだろうね……だけどそれじゃあ足りないねぇ」
「足りない? 戦闘力がか!」
「覇気というのを教えよう。空を駆ける技術も教えてあげよう……それぐらい君の事を気に入っているんだ」
「まぁただ捕まっているのもしゃくだ! やってやるよ」
「そうこなくっちゃ」
「あ、教えるのは私の娘と息子にやらせるからそのつもりで」
「え?」
「よっと! 待っててくれてありがとうね」
異空間の中に居ると出口を入る時に固定していなければならず、異空間内部から別の場所へ出口を開けることができない
その為海の上だと船を動かすことができないのだ
私が外にいればその問題も解決するため経験を積ませる意味も込めてキッドの教育をオーロとアルジェントに任せることにした
「で、次はどの島に行くの?」
「騎士の王国ゲユシに行こう……たぶんある」
「了解! ここからどれぐらいかかるの?」
「約2週間」
「了解! 帆を張っていざ出港!!」
「ぜひゅーぜひゅー……」
「お母さんキッドノビちゃった……覇気を流し込んでの促成教育してるけど……」
「そのまま続けて良いよ。人って生死が関わると急激に成長するから」
「了解」
「俺は……はやまったかもしれねぇな」
「それだけ喋れればまだいけるね! 異空間で今度は俺と稽古しようや」
「やだぁ!! 死にたくない!!」
「大丈夫大丈夫死なせないから」
大怪盗もオーロとアルジェントの前では怪物に怯えるただの人でしかない
哀れキッドは再び異空間に連れ込まれた
「……見えてきた……あれが騎士の王国ゲユシ」
人口200万人世界政府加盟国であり、周辺諸国では1つ頭が抜けており、王は団長という役職名を襲名する
団長になるのはこの国で一番強い者とされ、10年に1回闘技の儀式と呼ばれる全国民から立候補し、予選を勝ち抜いた選ばれし戦士15名と団長によるトーナメントが開催される
まぁ今年ではないのだがそんなちょっと異質な国である
まぁ戦闘民族なだけあって戦争では滅茶苦茶強いのだが……
現在の団長はヘイロー……別名精神異常者
両親に虐待され、学が全く無く文字を読み書きできないのだが、滅茶苦茶強く団長となった
それから3回連続団長となっており現在45歳といまだに強い国王である
「お母さんどれぐらい強いの?」
「敵国の軍艦3隻を1人で壊滅させ、単身で1国を滅ぼした……闘技の儀式で殺害は禁忌となっていたのに強すぎてパンチ1発で予選を勝ち抜いた猛者が破裂して亡くなったりしたらしい……海軍で知っている情報はこれぐらいかな」
「うん。どれぐらい異常かはよくわかった……能力者?」
「ウマウマの実モデルサラブレッド」
「馬かぁ……」
まぁこの島に有るかもしれない悪魔の実もウマウマの実なんだけどね
「偶然?」
「偶然。というかなぜその悪魔の実じゃなくてサラブレッドの方を国王が食べてるのかも謎」
「うへー……とりあえず上陸しますか」
「安いよ安いよ!」
「買った買った!!」
上陸してみるとずいぶん賑わっていた国であるとわかった
殺伐としてるのかななんて思ったが町は普通である
普通であるが……
「とっとと働け餓鬼が!!」
「う!」
児童労働者という奴隷階級がこの国を支えていた
貧しい家庭が幼児を売り、それを労働者として扱い、ぞんざいに扱い、騎士になることもなく死んでゆく存在である
運良く大人になれても社会の最低辺で再び貧しい子供を産み出す負の連鎖となっている
「これは……酷いな」
「やめなさい! 小さい子を虐めながら働かせるんじゃ有りません!!」
「あぁ!? なんだ女!!」
「アルジェントやめなさい!」
「離してお母さん!! 児童労働なんて酷いじゃない!!」
「この国はそれで回っている……世界政府の人間だから私は注意することができない」
「お母さん!!」
「行こうアルジェント……見ていて気分の良いものじゃない」
「……」
悪魔の実はすぐに見つかった
いや、食べられてはいたのだが
「うぐ……」
グチャ
山賊の親分が食べていたので心臓を潰し、持っていたリンゴを悪魔の実にした
「お、おがじら……」
「オーロ、アルジェント……子分の処刑を」
「はいよ」
「うん……」
山賊の子分の悲鳴の中どこに有ったか説明しよう
山の中の廃村であり、元々山賊は騎士を理由をつけて辞めたごろつき集団であった
親分は中々に強かったが、エースで四肢を切り裂き、達磨にしてから心臓を抉った
ウマウマの実モデルアハルテケ
黄金の馬である
私はジゲジゲの能力で悪魔の実をしまうと山賊を廃材を使って火葬した
帰る途中また町で児童労働者を見てアルジェントが暴れないように異空間でキッドをしばくのに専念して貰った
「オーロは大丈夫なの?」
「見ていて気分が良いものじゃないけど平気……一歩間違えれば俺もあそこに産まれていたかもしれないし」
そんな事を話していると
「くそ! また売れ残りやがって!! この餓鬼!!」
「ごほ! ごほ!」
今にも死にかけている少年を見つけてしまった
全身痣だらけに見るからに顔色が悪い
病気を持っている……早く治療しないと手遅れになる
「くそ! これじゃサンドバッグにもならねぇ……いや、目障りだここでくたばっておけ」
バタンと扉を閉める
「ごほ! ごほ!」
「……ジゲジゲポケット」
「母さん!!」
「オーロ治療をしてみな。私は船まで移動してこの胸糞悪い国から出る」
「わかった」
私はこの国で悪魔の実と死にかけの男の子を拾った
フューチ人攫いをする