「グッ……うぐ……」
「悪性のウイルスによる腸疾患、酷い虫垂炎、それに打撲傷からわかるように衰弱している……治るかは五分五分」
「お母さん拾ってきた子絶対に助けるよオーロ!」
「あぁ、任せろ……母さんとキッドも手伝ってくれ」
異空間にある治療室の中でボロボロの少年がオーロとアルジェントにより手術が開始される
点滴を刺し、まずは虫垂炎の切除が行われる
「麻酔入れる」
「ゆっくり呼吸して……痛みが無いようにするからね」
「……凄いですねフューチさん。2人は医者だったのかい?」
「いや、私もここまで手慣れてるとは思わなかった」
「輸血開始します」
「意識が飛んだ事を確認切除開始」
「切除開始」
「キッドナイフを焼いて消毒して」
「お、おう」
「母さん輸血のパック追加」
「了解」
「虫垂炎治療成功、続いて腸疾患に対する治療を継続する」
「下痢止め……よりも点滴の量を増やすか」
「薬の調合をしないと……」
「母さんとキッド手伝ってくれてありがとうね。あとはなんとかなりそう」
「そうか……ふぅ」
「2人共ごめんね。私が拾ってきたばっかりに」
「いや、お母さんはあってたと思うよ……この子虐待されていたのがすぐにわかったし、誘拐しても私達が保護した方がこの子の為だよ」
「母さん気にすんなー」
「……しっかしあの国は内部から改革しないとダメね……私に国をも変える力が有れば……」
「俺らが暴れたところで国は変わらない……まぁ俺はそんながらじゃないけどアルジェントは違うでしょ」
「この世の中は不平等が多すぎる。私は平等な世界を求める者……そう社会主義の様に」
「どちらかというと共産主義では?」
「失礼ね! 国家を破壊まで持っていく趣味は無いわよ。資本主義の一部は市場経済に必要な事だとわかっているから私は社会主義者なの」
「へいへい……それよりもこの男の子どうするの? 母さん」
「勿論鍛える……ココアで培ってきたモノを遺憾なく発揮する」
「無理させちゃダメだからねお母さん」
「あの~俺も無理したくはないかなって」
「キッドは大丈夫。多少無理しないと覇気が身に付かないから」
「嫌だ! 死にたくない!! 死にたくない!!」
「死なせないから安心してよ……ね!」
キッドはオーロによって鍛練場に連れていかれた……南無三
「私はこの子の看病で当分付きっきりになるから船はお母さん頼むね」
「わかったちなみに次はキッドの弟達が居るマハオタルって島に向かう」
「マハオタル? ……聞いたこと無いけど」
「世界政府非加盟の全国民が貧相で内乱が絶えない国だね……とりあえず男の子の容態が安定するまでそこに寄ろうと思う」
「キッドとの約束も有るから?」
「そうね……キッドには弟さん達が安心して暮らせるだけのお金を払う約束だけど、マハオタルに住ませるよりもモーリシャス王国に住ませた方が安心だと思う」
「まぁモーリシャス王国は家が有るからそこに住まわせれば暇しているお手伝いさんの2人もやりがいが出るんじゃない? お母さん」
「そうね……そうしましょう。一旦帰ることになるけどその方が安心ね」
船は全速力でマハオタルに向けて舵を取る
マハオタルに到着する少し前に昏睡を続けていた男の子が目覚めるのだった
「ここは?」
「起きた! ふぅ。眠り続けて2週間起きないかと思ったよ」
「お姉さん誰?」
「私? 私はアルジェント。君を治療した者だよ」
「あ、ありがとう」
「ゆっくり休んでな。今流動食を持ってくるからね」
「おう! よかったぁ……起きたか」
「誰?」
「俺はオーロ。俺も治療をした者だ。で、こいつが」
「キッド……オーロでがげんじでぐれ」
「こいつも治療に手伝ってくれたんだ。あと俺達の母さんのフューチがいる」
「……僕はどうなるの? また犯されるの?」
「あ? しないよそんなこと。ゆっくり休んで良いからね。ほら食事だよ」
「べちゃべちゃしてる」
「今まで眠ったままだったからいきなり固形物はお腹がビックリして危ないからね……ほら、お姉さんが食べさせてあげる」
「はむ」
「坊主名前と年齢、親とかわかるか?」
「名前……サンデー・サイレンス年齢は……7歳」
「7歳か! 俺らと同じ年だな」
「……はぁ!? え!? オーロ7歳って嘘だろ!!」
「なんだ? キッド驚くことか?」
「いやいやいや18とか20くらいだろ! 3メートル有る体格に引き締まった肉体……確かに顔は15位には見えなくないが……でも7歳はねぇだろ」
「あ、これ悪魔の実でこうなっただけだから」
「じ、じゃあアルジェントもか?」
「あぁ、アルジェントも7歳だよ」
「ぐわぁぁぁ常識が! 俺の中常識が崩れる!!」
「煩いキッドは置いておいて、親とかはわかる?」
「母親はウィッシングウェル……宮廷のメイドだった……親父はヘイロー」
「ヘイロー!? ヘイローって国王の?」
「……僕みたいなのは沢山いる。ただ僕は運が無かっただけ」
俺達は絶句した
国王の子供が……いくら正妻じゃないからって奴隷どうぜんの身分まで落ちているとは考えられないから
「僕は生まれつき足が悪い……だから騎士にはなれないと思われて捨てられた」
「そうか……そうか。頑張ったな」
「母さんにも伝えないと……俺外に出てる」
「わかった。この子の面倒は私が引き続き見る」
「頼んだアルジェント」
「そっかー、国王の子供だったか」
「そっかーって軽いよ。あの国は狂ってるな。国王の子供でさえ才能が無いと思われたら捨てられるのかよ」
「だからあのヘイローっていう国王は精神異常者なんて呼ばれるんだよ」
「……サイレンスは足が悪いのは確かだが、歩けないってわけじゃない。杖を使えば確実に歩く事はできる」
「まぁ今はゆっくり休んでもらおう……もうすぐ着くよマハオタルに」
マハオタル……内乱と紛争の国
国民は150万人ほどと言われているが、正確な数字は誰も知らない
150年前に世界政府加盟国から何らかの理由で脱退して以来この国は平和とは無縁の内乱と紛争を続ける国となったらしい
現在も政府軍、反乱軍、マフィア、商人連合、海賊、無政府主義者の6つ巴の大戦乱の最中である
「ジョニーボル、アントニー大丈夫だったか!!」
「「兄ちゃん!!」」
久しぶりの兄弟の再開である
「兄ちゃん……親切にしてくれていたマージルカおばちゃんがついこの間反乱軍の砲撃で亡くなったよ……」
「兄ちゃん怖いよ……」
「大丈夫だ。この国から離れて安全な国に脱出しよう」
「うん……ごめん兄ちゃんのくれたお金ほとんど逃走や闇市での買い物で使っちゃって」
「大丈夫だ。ごめんな今まで出稼ぎでお前達を安全な場所に連れていってやれなくて……本当にごめんな!」
「キッド! この国はヤバい! 小船の私達の船じゃ砲撃されたら一溜りもない!」
「あぁ、弟達をよろしく頼む!」
「ジゲジゲポケット! スキマワープ」
キッドの弟達を回収するとすぐに私達は船を出した
砲撃の音が島を離れても聞こえてくる
「腐ってるなぁ」
「なにがだフューチさん」
「国がよ。この国は終わってる……どこの勢力が勝とうが150年も内乱が続けば致命的だ」
「……」
「私は変えたい……世界をより良くするために」