天衣無縫の巫女 レイム   作:神降ろし

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ちょっと間隔空きましたけど更新です。

今回は申し訳ないですけど、兼一さんとか美羽さんの出番はありません。
いや、本当に難産でした。
兼一さん達を起用するならば別に原作通りでいいじゃんとなり、じゃあ霊夢も一緒に入れたらどうといわれてもそもそも相手側に何もさせずに終わりそうだなと考えたり。
ほんと、三対三だと相手の見せばなく終わるなとなってしまいまして。
というか書ききれないなというのもありました。

本当に、自分の展開力のなさに落ち込みます。
ので、今回はそれをご理解の上でご視聴ください。
この場面は、これが私の限界でした。

では、どうぞ。





拾伍の段

 兼一たち梁山泊チームと相手側の中国三大武術チームが出揃った頃、突如リングに変化が訪れた。何の装飾もないリング中央部が沈んで暫くすると、垂直に立っている一本の木に日干し煉瓦の建物という、映画などでよく見る中国農村部の家を模した武舞台が出現した。霊夢は無駄なことにお金をかけてるなと感心半分呆れ半分で主催者席を見やり、視線をリングへと戻す。兼一や美羽も一時は驚いた様子だったが、何度も日常ではあり得ない光景を見てきた兼一はこういうこともあるかと受け入れ、美羽の方はそもそも場数が違うためこういう場面を見ても少々驚くだけにとどまった。尤も、美羽は「お金があればこんなことも出来るんですのね」と、少々別のことに意識を逸らしていたようだが。

 

 

『第三回戦はディエゴ氏注目の一戦、梁山泊チーム VS 中国三大武術チームだ!!』

 

 

 両チームが向かい合い闘志を高ぶらせるも、兼一は一人、相手側チームの目に己が映っていないことに気付く。彼等の視線の先は、一人は左隣にいる美羽に………残りの二人はあからさまに霊夢を警戒していた。兼一は、その視線を向けている相手こそが、彼らにとって真に警戒するべき実力者を指し示しているのだと気づいた。そして悔しいことに、それは正しいと兼一は自覚している。だが、それはそれとしてムカついていた。視点の先に自分がいないということは、それはつまり自身が戦力外扱いされているということ。いつものことではあるのだが、兼一としても敵から明確に侮られるのは決して愉快なことではない。

 

 そんな悶々とする兼一をよそに、ディエゴは(また)もや変則的なルール変更を言い出した。

 

 

『尚、この一戦はバトルロイヤル形式で行われます……………3対2 or 3()()1()で!!!

 

 

 ディエゴの発言に驚愕を露わにする会場の人々。そして、ディエゴは続けて語る。劣勢を強いられる側は二人を上限として選別してからリングに上がるようにと。つまりは、二人か、もしくは一人で三人と戦うようにと告げたのだ。もし選別した二人、あるいは一人が敗北した場合───残りの人物がリングに上がっても良いとして。逆に言えば、敗北しなければ上限以上はリングに上がることが出来ないということでもある。次いで更なる宣言─────

 

 

『そして、その劣勢を強いられるのは……………梁山泊チーム!!!』

 

 

 その発言に今度こそ兼一は怒りの声を上げて抗議する。新白連合の面々も同じく徹底抗議の構えだ。梁山泊のアパチャイを除く師匠らはディエゴの思惑に気付いたのか眉を顰める。が、抗議の文言を告げたところで先のように無視して強引に推し進めるだけだと予想し、大人しくその流れを見つめていた。尤も、二択の内の()()()()()()()()()()()()()()()、というのもあったが。

 

 

「んじゃ、私が一人の方ね」

 

 

「ちょ!? そんな簡単に決めないでくださいよ!!」

 

 

「なによ。一人でやるなら私が最適でしょ。それとも美羽にやらせるつもり?」

 

 

 兼一は即決した霊夢に思わず待ったをかけた。しかし、霊夢の返す言葉に二の句が継げず狼狽えてしまう。

 

 

「うぐッ………ってそうでもなくて、一人で戦うならボクが─────!!!」

 

 

「いえ、兼一さん。ここは霊夢さんに一人の方を任せましょう」

 

 

「美羽さんッ!? で、でも」

 

 

 それでもと言葉を振り絞る兼一に今度は美羽が待ったをかけ、霊夢に任せるよう促した。兼一は呆気にとられ、口から出かけていた言葉が引っ込んでしまう。こと梁山泊の女性陣には強気に出られない兼一であった。

 

 

「実力面においては言うに及ばず、性格的な面でも霊夢さんに一人を任せた方が良いというのは、兼一さんもお分かりの筈です」

 

 

「確かにそうですけど………」

 

 

「それに霊夢さんと一緒に戦うことになった場合………悔しいですが、私も兼一さんも霊夢さんに合わせることは不可能でしょう」

 

 

 兼一は、美羽の言葉に情けなくも納得しかできなかった。幼馴染であるが故の長い付き合いを経て性格を把握している美羽と、ごく最近になってようやく行動パターンが読めるようになってきた兼一は、霊夢が如何に面倒臭がりで気分屋で横暴なのかをよく理解していた。そして、断言できる。博麗霊夢は自身よりも劣る存在を決して共闘相手だと認識しない。最悪、保護対象───つまりは守るべき存在としか見られない可能性すらあった。

 そのことを思い出した兼一は、渋々霊夢の提案を受け入れることにする。……本当に渋々にだが。

 

 

「んじゃ決まりね。それじゃ─────行ってくるわ

 

 

「え?」

 

 

「へ?」

 

 

 霊夢の発言で兼一と美羽が固まっている内に、霊夢はさっさとリングへと上がってしまった。たった一人で─────

 

 

「う、うそぉぉぉぉおおおおおおおおおおお─────ッ!!!!?」

 

 

 一人で三人を相手することを決めるだけでなく、誰が先鋒になるかさえも霊夢一人で決めてしまい、結果─────霊夢一人で三人を相手にすることが決定されてしまった。チームメイトである兼一と美羽を置き去りにして、一人リングへと上がった霊夢の行動に度肝を抜かれたのは二人だけではない。ベンチでは新白連合のメンバー全員が度肝を抜かれていた。

 

 

「な、何やってんだ博麗の奴ッ!!? 一人になるのはしょうがないにしても、その上で先鋒になって三人を相手にするなんざ無謀すぎんだろ!!」

 

 

「先生方!! 彼女は本当に問題ないんですよね!!?」

 

 

「分からねぇ………博麗がどんな奴なのか、全く分析が出来ねぇ………ッ!!」

 

 

「強いのは間違いない………だが、その尺度が我々とは違いすぎる………」

 

 

 口々に不安を吐き出す連合のメンバー。再度、梁山泊の師匠達に問いかける武田に答えたのは秋雨だった。

 

 

「何度も言うけど問題ないよ。霊夢に関して言うならばね。それよりも剣星、先程から黙っているが………相手選手が心配かね」

 

 

「………………」

 

 

 秋雨の指摘に、剣星は帽子を深く被るのみで何も語らない。図星と見た秋雨だったが、それ以上追求することはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆──────────────◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 視点は戻り、リング中央部─────相手側よりも早くにリングへと上がった霊夢は、極々自然体のままぐるりと周囲を見渡す。どこを見ても狂気と興奮に溺れた顔の観客しかいない。どいつもこいつも日常を過ごす平穏な一般人とは程遠い連中だと霊夢は思う。見渡し終えたのか、あるいは自身に向けられる感情にうんざりしたのか、霊夢はようやく対戦相手である三人へと視線を移した。彼等は未だにリングには上がっていない。だが、その鋭い眼光が霊夢一人へと向けられていることから、戦意がないわけではないだろう。

 

 

「先鋒がよりにもよって博麗か………」

 

 

「どうするの、郭」

 

 

「………問題ない。先鋒が馬剣星の弟子でなかったことは意外だったが……寧ろこれは幸運と捉えるべきだ。聞くところによれば、今代の博麗は梁山泊の一番弟子を遥かに凌ぐ程の実力者だそうだ。ならば博麗を討ち取れば、後に残る二人は恐れるに足らないさ」

 

 

「だが、問題は我等が博麗に通じるか………」

 

 

「ああ……一対一ならばまず勝てんだろうさ。だが、僕ら三人が集まれば世界最強だ!! それは博麗が相手でも変わらない」

 

 

 郭は及び腰な二人に案ずることはないと自信満々に告げると、リングへ向けて歩き出す。その後ろ姿を見た二人もようやく歩き出した。

 そしてリングへ上がると、郭は意味深な笑みを浮かべて霊夢に話しかける。

 

 

「驚いたよ、まさか先鋒が一人だとはね」

 

 

「あん? ……まあ、私連携とか趣味じゃないし。それにこんな面倒なこと、早目に終わらせたかったからね」

 

 

「ほう!! では、一人ならばすぐに終わらせられると?」

 

 

「そうね、まあアンタら次第なんじゃない?」

 

 

 どうでも良さげな様子の霊夢の挑発とも取れる物言いに、郭たちは額に血管を浮き上がらせるも、気を高めるのみで声を荒らげることはしない。慌てることはないのだ。確かに相手は明確な格上。一対一では相手にならないであろう強敵だ。だが、今回はこちら側にとって必勝とも言える布陣を敷ける三対一の戦闘である。自分たちが力を合わせれば、いかに相手が博麗と言えど敗北は必至だろう。

 

 

「(そう……勝つのは僕らだ)」

 

 

『さあ、両選手共にリングに上がりました!! それでは………試合開始!!!』 

 

 

「太極門、郭 誠天!!」

 

 

「八卦門、帳 射林!!」

 

 

「形意門、楊 鉄魁!! 参る!!」

 

 

「博麗霊夢、っと……御託はいいから、かかってらっしゃい」

 

 

 試合開始の宣言と共に、郭ら三人が霊夢へと襲い掛かる。対する霊夢は構えさえ取らず、ただ突っ立っているのみ。それを隙と捉えたのか、帳はすぐさま腰を捻り、掌を円の中心に向けたまま円周上を滑るように歩く“泥歩”という歩法で霊夢を囲い込む。それを見た美羽は帳が使う泥歩のあまりの速さに驚いた。あれを強引に突破するのは自分でも厳しいだろうと。

 霊夢はその様を見つつも特に構えらしい構えは取らない。強いて言うならば、右足を上げ、軸足としている左足でゆっくりとステップを刻んでいる程度か。まるで力みが感じられない軽やかな彼女の姿を油断と捉えたのか、郭は二人へ向かって叫ぶ。

 

 

「帳!! 楊!! やるぞ!!」

 

 

 その言葉に応じ、彼等は仕掛けた。霊夢の視界に映るは、三人が重なりながら放つ三位一体の絶技。容赦など欠片もない。先手にて必殺を放つと、博麗と対峙した時から三人は決めていた。相手が此方を舐めて本領を発揮しない内に倒しきる。

 

 

「本領を発揮出来ぬまま沈め、博麗!!」

 

 

 

─── 三頭竜六合陣 ───

 

 

 ─────三頭の竜が霊夢を喰らわんと襲い掛かった。それに合わせるように霊夢も両腕を上げるが、もう遅い。この技は反射的対処を逆手に取った奥義。たとえ一つの竜に対処できたところで、残り二つの竜の牙が対象を喰らう回避不能の必殺技。

 

 

 ─────次の瞬間、リングに木霊したのは三つの鈍い打撃音。間違いなく決まったかに思われた郭ら三人の全霊の拳は、霊夢の()()()()()()によって完全に受け止められていた。

 

 そんなあり得ない光景に、時が止まったかのように腕を突き出したまま固まる三人。そして、その隙を霊夢が見逃すはずもなく─────

 

 

「本領を発揮出来ない、だっけ……」

 

 

 中央の拳を受け止められている帳は、霊夢の右足裏の指に掴まれたまま振り落とされてリングへと文字通り沈む。

 

 

「見て分かんないならアンタらは兼一さん以下ね」

 

 

 交差した両掌で受け止められている楊と郭の拳は、途轍もない力で握られているせいで引き離すことが出来ない。同時に自分たちの力が抜けていることにも気付いた。だが、そんなことに気を取られる間さえ霊夢は与えてくれなかった。霊夢が交差した腕を解くのに釣られて、楊は下へ向けて重心を崩され、郭は頭上へと持ち上げられる。

 

 

「私はさっきからずっと臨戦態勢よ」

 

 

 重心を崩された楊は、自身の右側へと強烈な力で引っ張られていることに気づく………が、気づいた時には既に背中から地面へと叩きつけられた後だった。

 

 

「危機感も実力も足りなかったわね」

 

 

 そして最後、拳を掴まれたまま霊夢の頭上に掲げられた郭は、自身の体に一切力が入らない状態で、楊と同じく背中から地面に叩きつけられた。

 彼が正気に戻った時には既に遅く、その全身を突き抜けるような衝撃が襲い掛かり、呼吸さえままならない程の激痛が訪れていた。

 最後に郭が見たのは、長く美しい黒髪の少女の姿。そして郭は悟る。

 一人では荷が重いという自身が下した評価でさえ、彼女が相手では不足に過ぎたのだと。

 

 

「(こ、これが…………博、麗………ッ)」

 

 

 どうしようもない程の絶対的な差がそこにはあった。それをようやく認識した郭らは、その領域の高さに怯えたまま、意識を手放したのだった。

 

 

 




今回霊夢がやったこと

三方から時間差で一つに対処したらもう二方から攻撃来るんでしょ?
だったら一つを片手で、もう一つはもう片手で、最後のは片足で掴んでしまえばいいじゃん。という、実力差があるから使える頭の悪い対処法でした。

因みに没案は

片足で空中まで跳んで攻める方向を上に限定させ、その上で二重制空圏を自身を回転させながら展開して迎撃するとかいう 「制空螺旋転」って技を出そうかなと思いましたがちょっとダサいなと思って辞めました。


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