天衣無縫の巫女 レイム   作:神降ろし

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更新です。
今回も短いです。
今回、特に原作と変化のない部分は飛ばしております。
要するに、七巻から十巻丸々を飛ばしてます。
序盤の兼一君の話って殆ど兼一君目当ての敵ばっかで、基本受け身で自身に害がなければ動かない霊夢は動かしにくいです………。
まあ、だから幻想郷で異変が起きた時の気迫が恐ろしいのですが。
美羽さんの修行が本格化するのも第一期終わったあたりですし。

霊夢が本格的に戦闘するのはやっぱり闇の襲来編に入ってからじゃないと書けないです。だからといって、一気に飛ばすのもどうかとも個人的に思ってしまうので、もうしばらく日常回で我慢してくれると助かります。

以上、文章力と構成力のない作者のいいわけでした。
後、タグに原作既読推奨も追加しておきました。


ぶっちゃけラグナレク編をちゃっちゃと終わらせて霊夢を本格的に動かしたいです。

それではどうぞ。



伍の段

「必殺技が欲しい………?何、誰か殺したい人でもいるの?」

 

 

 目つきを鋭くして兼一を睨む霊夢。兼一からしてみれば、普段よりも霊夢の機嫌が悪いように見えた。何かあったのだろうか。

 

 

「い、いやいやッ!!そういうんじゃなくて……ただボクも武術家として、誰も見たことのないような派手な技が欲しいなぁ……なんて思いまして」

 

 

「ふぅん……ま、頑張れば。私には関係ないし、興味もないわ」

 

 

 そう言って本当に興味がなさそうに踵を返して縁側で横になってしまった霊夢。いつもと全く違う態度の霊夢に困惑を見せる兼一は、こっそりと秋雨に問うた。

 

 

「なんかあったんですか、霊夢さん………」

 

 

「なんでも破魔矢の売れ方が思っていたのと違っていたみたいでね。ちょっと……いや、かなり不機嫌なんだよ」

 

 

「ああ……あの(とんでも製法の)。……どう違ったんですか?」

 

 

「最初は普通の依頼で作っていたらしく、その出来が大変すばらしいと評価されたんだ。しかし、暫くすると今度はなんと同業者から破魔矢の依頼をされてしまってね。それも受けたのだが……その次は破魔矢だけでなく、熊手やら風車、絵馬、御神籤……最終的にはその神社特有の御守りまでも依頼してきたらしくてね」

 

 

「やってられるかってなったの。何で私が他所の神社の小道具作んないといけないのよ。だから依頼してきた似非神主連中に小道具作りの全てを()()()()叩き込んで来たわ。ったく……」

 

 

「とまあ、ご覧の通り大変ご立腹なわけだよ」

 

 

「納得しました………」

 

 

 神職関係の闇を垣間見てしまった兼一は、今日の霊夢さんはそっとしておこうと思ったのだった。

 

 尚その後、本題である必殺技ならぬ、決め技を習得したいと駄々をこねた兼一は「どうせ地味な技しか知らないんでしょ」と師匠達を煽り、そしていずれも喧嘩に使用は出来ない危険度MAXな技を見せられたことで、改めてこの人達に常識は通用しないのだなと思い知らされたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆──────────────◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で───何で私まで来なきゃいけないのよ」

 

 

「まあまあ、息抜きだよ。剣星のオゴリだし、羽を休めるのも気分転換の内だよ」

 

 

 「別にもう何とも思っていないんだけど………」と言いながらもしっかり来ている霊夢。それを微笑まし気に見る秋雨と師匠達。

 兼一の必殺技騒動から一夜明け、昨日の夜に忍び込んだ剣星の娘である馬 連華が兼一と二人っきりで息抜きにプールへと遊びに行っていた………が、そうは問屋が卸さないと父である剣星が発信器を着けており、二人の会話を盗み聞きして先回りしたというのが現状である。因みに霊夢にそのことを伝えたのは長老だ。  

 

 

「あら、霊夢さんは入らないんですか?プール」

 

 

「私、水着持ってないし買ってもないからいいや」

 

 

「え、持ってないんですの!!」

 

 

「だってこれまで必要なかったし。プールに行くって言われたのも今朝のことだしね」

 

 

 と、一人短パンにパーカースタイルで浮いている霊夢に「売店に売ってありますから買いましょうよ~」と美羽が迫ったが、やはりと言うべきか霊夢は鬱陶し気だ。

 そんな霊夢を見つめる少女が一人。霊夢はその視線の主が見覚えのない人物であることに気づく。この少女が剣星の娘かと即座に理解し、一瞬だけ視線を向けたが───

 

 

「………猫みたいな奴ね、頭も」

 

 

「ニャッ!!」

 

 

 ───と、一言連華にとって失礼な発言をし、連華への興味を失ったのか美羽の手を振り切ってビーチチェアに寝転がった。後ろでギャーギャー騒ぐ連華の声を無視したまま。

 連華は表面上ではなんて失礼な奴だと怒りながらも、その内心は霊夢への戦慄しか無かった。周囲がリラックスした自然体の者たちばかりである事を含めても、ひときわ際立つ霊夢の存在感に。

 

 

「グルルルル………(何、あの子………人が大勢いる中で、しかもあの達人集団の中にいてもなお()()()()()()()ような存在感…!!まったく意味わかんないわ)」

 

 

「戦慄しているね、連華」

 

 

「パパ………」

 

 

 唸っている連華の後ろから、ヌッと姿を見せる剣星。いつもならばここでお尻の一つでも触っているところだが、実の娘はその範囲外らしく、そういった目では見ないのだ。

 それに、今の剣星の目は割と真面目な話をする時のものだ。普段はアレでも、締めるべきところではきちんと締めるのである。

 

 

「あの子もまた、在住はしていないが梁山泊の娘ね。名を博麗霊夢───武道家ね」

 

 

「武道家…?“アレ”が武道家だっての?冗談でしょ………」

 

 

「“アレ”でもね。実力的にも弟子クラスの規格は()()超えてないね」

 

 

「それって、きっかけ一つで“超える”って事じゃないの………」

 

 

 剣星の言葉を聞いた連華はうすら寒いものを感じていた。見たところ年齢は自分とそう変わりない少女が、ああも異質な空気を纏っているのだから。そして剣星が言ったことが本当ならば、まず間違いなくあの博麗霊夢という娘は連華より格上だ。もし連華が霊夢に挑んだとして、甘めに見積もっても勝てる確率は一割もないだろう。………正直、兼一よりも梁山泊の一番弟子に相応しいとさえ思う。だが、そこから幾段か格が下がるとは言え、あの風林寺の孫娘が梁山泊の弟子扱いではない時点で、何か別の採点基準があるのだろう。

 

 

「正直に言うと、霊ちゃんがいるのもパパが梁山泊に滞在している理由の一つにはなってしまったね」

 

 

「まだ何かあんの………ってもしかして───」

 

 

「“闇”案件───であるのは確かね。これ以上は言えないね」

 

 

「──!」

 

 

 そう告げたのを最後に剣星は会話を切り上げ、ビーチチェアに寝転がっている霊夢をどこからか取り出したカメラで激写していた。

 連華はもう一度霊夢を無言で見つめる。そしてその数秒後に、魂が飛び出ている兼一の方へと駆け出していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆──────────────◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 霊夢は暫くビーチチェアで仮眠をとっていたが、なにやら騒がしい音がしたことで飛び起きた。その騒ぎの方向へと視線を向けると、見知らぬ男二人と闘う兼一の姿があった。

 またかと呆れながら、霊夢は観戦している師匠達の傍に近寄る。

 

 

「お、起きたか霊夢」

 

 

「見て見て!兼一、友達出来たよ!今、友達と修行してるところよ!」

 

 

「あらそう……で、本当は?」

 

 

 アパチャイの純粋な言葉を優しく受け止めて、真実を剣星に問う霊夢。何故剣星に問うのかと言われれば、彼らと一番関係が深そうなのが剣星だと、霊夢の直感が囁いたからである。

 

 

「無断で飛び出してきたウチの娘を連れ戻しに、白眉叔父が寄越した弟子二人と兼ちゃんの腕試しね」

 

 

「成程ね……飲み物買って来ようか?」

 

 

「もうあるぞい」

 

 

 状況を理解した霊夢は早速、師匠達と同じように見物しようと床に座った。

 霊夢が見物するのは主に兼一の方である。いつも来る度に名物になりそうと思ってしまう程、生死の境を彷徨っている兼一の実力が地味に気になっていたのだ。まあ、本当は一番気にしている娘がなぜ伸び悩んでいるのか、今のところ実力に変化がそれ程見られない理由がどれ程のモノかという品定めというのもある。………霊夢自身はそうとは意識していないが。

 

 

「下半身はしっかりしてるわね。それに比べて上半身が貧弱すぎるけど」

 

 

「まだそっちの()()はやってないよ。これからこれから」

 

 

 ぽつりと呟く霊夢の言葉を聞いて、秋雨はニィと口元を釣り上げて哂う。それを横目に見た霊夢は、兼一へ「ご愁傷様」と届かない念を送った。

 一方、兼一はと言えば眼鏡の男を倒した後、サングラスの男へ投げ技を放ってプールに落としたが、勢い余って投げた本人も一緒にプールの中に落ちてしまっていた。

 

 

「そういえば兼一さん、呼吸の“吸い溜め”って習得してるの?」

 

 

「してないね」

 

 

「してないんだ」

 

 

「「……………」」

 

 

 それってマズいんじゃないかと思う霊夢だったが、秋雨が動かないところを見るに、まだ大丈夫なのだろうと思考を止めて見物し続けることにした。

 だが、ぷくぷくと浮かび上がっていた泡がどんどん少なくなっていくのを見て、やっぱりマズいのではと霊夢が思い始めたその時───

 

 

「陸でやれ!!金魚かおぬしらは!?」

 

 

 そうツッコミを入れた長老の、左足を振り上げた衝撃がモーセの如くプールの水を真っ二つに割ったことで、水中で戦っていた二人の姿を露わになる。

 そんな非常識な現象を起こした長老を見て、相変わらず出鱈目な人だと呆れた霊夢は一足早く帰る準備を進めるために、見物の人だかりから離れたのだった。

 

 

 その後、騒動が終わったことで全員が帰る準備をしていた時、支配人から何故か年間パスポートを渡される梁山泊一行。

 帰宅後は兼一たちの誤解が解けて、白眉の弟子たちに頭を下げた。

 白眉が寂しさのあまり、碌に店も開けない状態になってしまっていることを聞いた連華は、仕方なしと梁山泊から中華街へ帰ることを決めたのだった。

 その直後、連華は兼一に対して「今までの戦いの中で何度も決め手となる技を使っている」と助言をし、中華街へと帰っていった。

 

 兼一が自身の必殺技──もとい、決め技を自覚するのはもう少し先のことである。

 

 尚、霊夢は一足先に神社へと帰宅していた。美羽は何も告げないで帰ってしまった霊夢に少しだけ膨れ、今度来た時のために霊夢用の水着も用意しておこうと決意したのだった。

 

 

 

 

 




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