今ならまだ間に合う、道がなくなる前に引き返せ!
引き返さないどこかおかしい方たち、こんにちは。再びお会いできて嬉しいです恥ずかしいのでとっとと帰れ!!!!!!
あ、二話ですよろしくおねがいします。
十二宮の神々へ。
私はこの星の平和を心より望み、また案じる者です。
この大戦、太陽と月どちらが勝利しても、皆が希望と共に明日へ向かう、そんな世界は訪れないでしょう。
美しきこの星を未来へ残したいのです。
どうか力をお貸しください。
・・・
わたしはここに残ります。
命尽きるまで、この剣の柱とともにいましょう。
私たちのトゥルース・エデンを守るために。
・・・
『なーんかまだ受け入れられてねえわ、俺』
「俺もだな。理屈では理解できてるけど実感がない」
スピーカー越しに聞こえるタクヤの声に、セカイはベッドから答える。
「先輩、どんな人だろうな」
『部長さんとかより優しいといいんだけどなー』
「なるほど。であれば安心してください、私よりは優しいと思いますよ」
『はい?』
「裏を返せば、私は甘くないということにもなりますが。今からそちらに伺いますので」
『……』
数秒おいて、通話終了の画面が表示される。
「……部長?」
「リュウカ、と」
「……リュウカさん、なんでここに?」
しっかりと施錠していたはずの扉から顔を覗かせるリュウカに、セカイは驚きと恐怖の混じった声で問う。
「門の有効活用法ですね」
「悪用法では?というかどうやったんですか?」
「気のせいです。私は今から能代君のところに向かいますので」
「え、あ、はい……おやすみなさい」
「……ええ、おやすみ。良い夜を」
ふっと柔らかく微笑み、扉を閉めるリュウカ。
セカイは目を瞑り、今日の、それこそ夢のような出来事を思い返していた。
・・・
「異界?」
「どう見ても教室では?というお二人の疑問も尤もですが、残念ながらここは異界です」
「はぁ」
「……おや、あまり驚いていないようですね」
「だってなぁ」
「外が……ねぇ?」
バトルを終えた二人は、リュウカによる解説を受けていた。
「ここが異界ってのはなんとなくわかったけど、どうして門も開いてないのに繋がってるかがわからん」
「ふむ。能代君、バトルフィールドとはどのようなものだ認識していますか?」
「あれだろ?あれ。カードのキソーホンノーってやつ」
「そう、帰巣本能です。カードがバトルフィールド……異界のものであり、この世界に帰ろうとする力を利用して門を開くという説ですね」
「説?バトルスピリッツ公式からもそう説明されてたぞ」
「公式が勝手に言ってるだけですよ」
「……おいセカイ、この人大丈夫か?めんどくさいオタクみたいなこと言い出したぞ」
「ば、バカ!聞こえるって!」
焦るセカイの視線の先には、ピクリとも表情を変えずにタクヤを見つめるリュウカが映っていた。
「……話を戻します。カードが異界のものである、これは半分正解です」
「半分、ですか?」
これ以上タクヤに喋らせてはいけないと、セカイはすぐさま相槌を打つ。
「ええ。そも、おかしいとは思いませんか?カードが普通に店で売られていることが」
「そりゃまあ」
「だよな。そもそもあのカードってただの紙だし」
「そう、ただの印刷物です。ではなぜカードは異界と繋がれるのか?それを公式は『解明されていない』としていますが……」
ですが、とカードを取り出すリュウカ。[颶風高原]だ。
「こうして異界やカードが存在するのもまた事実。であれば、そこには必ず因果が存在します」
「……?」
「む、難しくなってきましたね……」
「おや、そうですか。ではもう少し言葉を変えて……」
リュウカの言葉を遮るように、部室のドアが勢いよく音を立てて開く。
「その必要はないぜリュウカちゃん!」
「そ、その声は!」
「そう、私だ!カグラちゃんだよ矢矧!!!」
・・・
「初霜先生!?」
「あ、一組の担任の。部長さん、この人が顧問なのか?」
「ええ。初霜先生、その呼び方はやめてください」
「つれないこと言うなよリュウカちゃん、もうすぐ三年の付き合いなんだから。 こうでもしないと皆名前覚えてくれないんだよ」
「ええ……」
数学Ⅲの担当であるためセカイは直接授業を受けているわけではないが、一応は担任であるためHRでは顔を合わせる。その際に感じ取れる"真面目な教師" 初霜 カグラ という印象は、今この瞬間に塗り替えられていた。
「どうした矢矧そのゴミを見る目は」
「先生もうカグラちゃんって歳じゃないだろ……なあセカイ」
「ちょ」
セカイがタクヤの口を塞ごうとするも、時すでに遅し。
「は?まだまだ若いが?」
笑顔の後ろに般若を幻視させるほどの怒気を孕んだ声で、初霜はタクヤとの距離を詰める。
「……先生。それで、必要がないとは?」
「おっとそうだった。ここからはリュウカちゃんに代わって私が説明しよう、ってことさ」
リュウカに引き剝がされ、初霜は黒板の前へと移動する。
「いちいち理屈まで説明しなくても、まずは要点だけ叩き込めばいい。必要なときに必要な分だけ知識を仕入れるのも世渡り上手の秘訣だからな」
「先生この前HRでテスト勉強は計画的にとかいってませんでしたっけ……?」
「言ったな。だがあれは学年主任に渡されたカンペを読み上げただけだぞ」
「うわ」
ついそう零してしまったタクヤに再び距離を詰め、またもやリュウカにひっぺがされる。
「君、能代と言ったな。年上への態度とか覚えたほうがいいぞ」
「先生、年功序列は前時代的かと」
「そうは言うがなリュウカちゃん、残念だが世界はまだまだ前時代だ。未来ではなく今の話をしよう」
「はあ……」
リュウカも呆れた様子を隠さず、大きくため息を吐く。それを見たタクヤはぽつりと、
「部長さんだって上級生にはどうたらこうたら言ってたぞ」
「お前ほんと余計なことしか言わねえな……」
・・・
「これでよし、と。それでは授業に戻ろうか」
「んーっ」
タクヤの口にはガムテープが貼られ、両手は椅子に縛り付けられている。それぞれリュウカと初霜の仕業だ。
「なんだったか、ええと……そうだ、この部屋についてだったな。だいぶ遠回りな説明じゃないか?」
「……ですが、すべて必要な知識かと」
「まあそうだが……今はそこまで細かくやらなくてもいいだろ。ということでまずは結論からだな」
初霜はタクヤとセカイ、そしてリュウカを見回す。
「君たち三人……まあ厳密に言えば私と他の部員もだが、我々の根底にはとある特殊な能力が備わっている。カードなしで門を開く力だな」
「んっ!?」
「そ、そうなんですか?」
「ああ。そこでさっきのリュウカちゃんの説明が活きてくるわけだな。カードが異界に帰ろうとする力を持つのに肝心のカード自身はこっちで作られたものってのはおかしいだろ?」
「んー」
「はい」
「で、だ。ここからややこしくなるんだが、カードは所謂『容器』であることが判明した」
「んー?」
「容器というからには何かを入れるものだ、というのは分かるな?では何を入れたのか。それが『異界』だったんだよ」
「……?」
セカイとタクヤが揃って首を傾げるのを見て、初霜は補足する。
「スピリットやネクサス、アルティメットやブレイヴ。それらすべては元々この異界に存在する生物や事象なんだが、それが偶然にも『なんの能力も持たないカードゲーム』のバトスピの、開発段階の何かのカードに描かれた。別に『異界』観測されたわけでもないだろうし、たまたまの一致だと思うが……繋がりが生まれた以上、無関係ではいられないのが世の常だ」
「んー……?」
「どういうことだ、と言いたそうな目をしているな。つまり……」
リュウカの丁寧な字を乱雑に消し、上から奇妙な絵を描く初霜。
「こうして誰かがオリジナルキャラクターを作ったら、別の世界にそれが存在していた。それが原因で門の経路が確立されてしまった結果、開発部やイラストレーターの脳内に自然と『異界』の情報が刷り込まれてカードに『異界』からの情報、いわば魂が注がれたんだ」
「……じゃあ、これから出るカードなんてのも」
「
「んー!」
大きく首を縦に振って頷くタクヤを見て、初霜は満足そうに頷き返す。
「カードに魂が入ることで門を開ける。では我々がカードなしで門を開けるのはなぜか?答えは単純、我々にも『異界』の誰か、もしくは何かの魂が入っているからだ」
「んー!」
すげえ!と言わんばかりに目を輝かせ、タクヤが椅子ごと体を揺らす。
「それが何かは分からんが、我々にはそういう性質があって、ここはそんな人間が集まる場所だ。それさえ分かれば今はいいだろう」
静観していたリュウカが席を立ち、三人に声をかける。
「まもなく下校時刻です。今日は解散にしましょう」
「そうだな。残り二人は……まあ今後顔を合わせることもあるだろう。それでは各自忘れ物のないように、解散!」
「「お疲れさまでした」」
初霜に続いてリュウカとセカイが部屋を出ていく。
「……ん?」
タクヤは取り残されたことに、全員がいなくなってから気づいたのであった。
・・・
「……あ?」
リュウカが部屋を出て間もなく、再び呼び出し音がセカイの部屋に鳴り響く。
「もしもし」
『助けて!』
電話に出るなり悲鳴混じりの叫び声が聞こえてきて、セカイは通話終了のボタンに指を伸ばす。
「切るぞ」
『お願い待って切らないで殺される!』
『失礼ですね、殺しませんよ。少し痛いだけです』
リュウカの声が耳に届き、現状をなんとなく理解する。
「電話かけるほど余裕あるなら問題ないだろ」
『ないから!刺されるって!助けて!』
『おとなしくすれば刺さないと』
『無理無理刃物は無理ですって!』
セカイは焦るタクヤの声を聞きながら、
「部長なんでいっつも凶器持ち歩いてんだろう……」
と、そんなことを考えていた。
・・・
「やあやあ部員諸君、今日もバトスピ楽しんでるかー!? ……って、矢矧以外いないのか。他のはどうした?」
初霜が部室に入ってきたとき、セカイは窓から下を見下ろしていた。
「部長とタクヤ……能代はバトル中ですね。他の人は知りません」
「ふむ。ここからはバトルフィールドの様子もよく見えるからな」
初霜はセカイの隣に並び立つと、同じようにフィールドを眺める。
「お、今日は[千本槍の古戦場]か」
「そうみたいですね。部室から見える景色が毎回変わるのはどうしてなんですか?」
「知らん」
「ええ……」
「ここ作ったの私じゃないしな。リュウカちゃんが一年生のときに何かがあったんだろう」
そう語る初霜の横顔を眺めていると、セカイはなぜか不安な気持ちに襲われた。
「そんなことよりバトルだバトル。今はどうなってるんだ……?」
・・・
《ターン1:プレイヤー[アンターク]》
「よし。 スタートステップ……」
「挨拶」
「対戦よろしくお願いします!」
「よろしい。 我々が行うのは争いではなく試合です、礼儀を忘れないように」
「す、すんません……気を取り直して。 ドロー!」
リュウカの指摘に出鼻をくじかれながらも、タクヤはすぐにバトルへと戻る。
「よっし、バーストセット……続けて[創界神アンターク]を配置! んで神託が」
[アルティメット・ジークヴルム・ノヴァ]、[アルティメット・サジット・アポロドラゴン]、[聖龍皇アルティメット・セイバー]の三枚。 所謂【三龍神】である。
「……」
「……」
「……なんで?」
「知りません。 3コア神託ですし、まあ良いのでは?」
「でもなんか違うじゃん、三枚揃うの今じゃないじゃん!」
「喚いても結果は変わりませんよ。 さあ、バトルを続けてください」
「言われなくても。 ミラージュ[リューマン・リバイヴド]をセット!」
「ほう、そのミラージュは……。 調査員使い、と聞いていましたが」
「調査員じゃなくてアンターク使いっすよ。 極女王は調査員ベースですけど、創界神ならアルティメットも使えるんで」
《ターン2:プレイヤー[龍華]》
「ドローステップ。 [冥猫蛇アイニ]を破棄して2枚ドローします」
「紫、というか圧縮系か……」
冥猫蛇アイニ、手札から破棄することでドロー枚数を増やすカードだ。
「メインステップ。 ネクサス[旅団の摩天楼]を配置して1枚ドローします」
「うわ」
「続けてネクサス[No.32 アイランドルート]を配置、1枚ドローします」
「うっわ……」
紫の汎用ネクサス、配置でワンドローの効果を持つ3コストネクサス二種が配置され、タクヤは露骨に嫌そうな顔をする。
「何か?」
「な、なんでも……」
「そうですか。 ではバーストをセットしてターンエンド」
《ターン3:プレイヤー[アンターク]》
「よし、メインステップ。 [調査員オッザニア]をLv1で召喚、神託!」
鬼、或いはオーガのような見た目の竜人……オッザニアが召喚されると、アンタークの身体に淡い光が宿る。
「これで【神域】が使えるから……よし、アタックステップ!」
「良いでしょう、かかってきなさい」
「行け、オッザニア! 効果でBPは6000、ワンドロー!」
「ライフで受けます。 ……っ、やはり堪えますね」
オッザニアの攻撃の余波で龍華はよろめく。
「だ、大丈夫っすか!?」
「問題ありません。 続行しなさい」
「はあ、まあターンエンドなんすけど……」
《ターン4:プレイヤー[龍華]》
「ドローステップ、アイニを破棄して2枚ドローします」
「またかよ」
「メインステップ。 ミラージュ[ドラグーンドライブ]をセット、続けて[獄土の騎士レフティス]を召喚します」
「な、なんだ……?」
「まずはレフティスの効果、1枚ドロー。 続いてドラグーンドライブの効果。 カード名に「騎士」と入ったカードが手札から召喚されたので、手札を1枚破棄して1枚ドローできます」
破棄された手札を見て、タクヤが声を上げる。
「[戦国六武将ムドウ]……!」
「まだ終わりではありませんよ。 ネクサス[紫の世界]を配置、1枚ドロー」
フィールドに聳え立つ禍々しき城。 場の全てを呑み込まんと放たれる瘴気に、タクヤは冷や汗を流す。
「ドローしまくるのは"アレ"探してるからか……」
「さて、どうでしょう。 ターンエンド」
《ターン5:プレイヤー[アンターク]》
「っし、これ以上好きにはさせねえ! メインステップ、[アルティメット・ショコドラ]を召喚!」
タクヤが空に手をかざすと、金色の龍が舞い降りる。
「……なるほど。 これはあまり好ましくありませんね」
「だろうな。 アタックステップ、オッザニアでアタック! 効果でワンドローしてBPは6000だ!」
「紫の世界の効果、オッザニアのコア1つをトラッシュに送ります。 これによりオッザニアは消滅します」
オッザニアが光の粒となったのを確認し、リュウカはただ一言。
「転醒」
その言葉をトリガーとしたかのように、世界が『廻った』。 厳密には何も起こっていないのだが、その場にいた全員がそう感じざるをえなかったのだ。
次の瞬間、そこにあった紫の城は消え失せていた。 代わりに、一体のおぞましく禍々しいスピリットが佇んでいた。
「[紫の悪魔神]。 転醒完了です」
「続けて行け、ショコドラ! 【Uトリガー】!」
銃のように手を構えたタクヤの指先から光弾が放たれ、リュウカのデッキトップを捲る。
「……コスト3、[闇騎士ラモラック]。 ヒットです」
「よし! 効果で手札から召喚、[アルティメット・ドライアン]!」
「ライフで受けます」
ショコドラが嘶き、新たな龍を降臨させる。 そのままショコドラはリュウカへと近づき、尾を振って障壁を打ち砕いた。
「……ぐ、ぅっ」
「部長さん!?」
大きくよろめきあわや倒れる寸前、リュウカは手すりに掴まり事なきを得た。
「問題ありません」
「どう見ても問題しか……!」
「いいえ、何もないのです。 ……次はきっと、上手くやれます」
「……分かった。 バトル続行だ」
並々ならぬ覚悟の決まったリュウカの表情を見て、タクヤはカードに手を伸ばす。
「行け、ドライアン。 ……【WUトリガー】!」
再び放たれた光弾は、2枚のカードを捲る。
「コスト4、[デスタメント]。 コスト3、[闇騎士ラモラック]。 ……ダブルヒットです」
「ドライアンのLvは5になり、ダブルヒットの効果で回復!」
「ブロックは……しません。 ライフで受けます」
「!」
ドライアンは障壁を切り裂き、リュウカのライフを砕く。
「……今度は大丈夫みたいだな」
「ええ。 心配は無用です」
「なら遠慮なく。 もう一度だ、【WUトリガー】ロックオン!」
「……コスト12、[騎士の覇王ソーディアス・アーサー]。 コスト8、[戦国六武将ムドウ]。 ガードです」
「……っ、【神技】! アンタークの効果でドライアンを回復させる!」
「そうですか。 ライフで受けます」
またも障壁は切り裂かれ、その先には不敵に笑うリュウカの姿があった。
「バースト発動。 [選ばれし探索者アレックス]」
「ここでかよっ……!」
「アタックステップは終了ですが、まだ何か?」
「ないっすよ、ターンエンド!」
《ターン6:プレイヤー[龍華]》
「では、ドローステップ。 アイニを破棄して2枚ドローします」
「3枚使い切ったのか……」
「メインステップ。 アレックスの効果で1コアブースト、そして……マジック、[フォビドゥングレイヴ]を発動します」
「げ」
フィールドを黒い光が包み込み、地を裂いて巨大な影が現れる。
「……出陣せよ、[戦国六武将ムドウ]ッ!」
フィールドに突き刺さった数多の槍の中から一つが輝き、その光を浴びて影は姿を手に入れる。
鬼馬一体、電光石火。 圧倒的な存在が、そこにいた。
「来ちゃったかぁ……」
「来てしまいましたね。 オマケでガイアノホコも出しておきましょうか」
「オマケで出していい存在ではない」
「さあ、そろそろ幕引きの時間です。 行きますよ」
「よっしゃ来ォい!」
「良い覚悟です。 ムドウよ、その覇道の先にあるもの全てを──砕きなさい。 【ソウルドライブ】ッ!」
リュウカが触れると、ソウルコアは文字通り『消滅』した。 と同時に、タクヤのフィールドにも異変が起こる。
「Lv3、合計6コア……ドライアンから2つ、ショコドラから1つ。 トラッシュから3つをボイドに送ります」
タクヤのコアはそのほぼすべてが虚空へと消え去り、更地になったフィールドをムドウが突き進む。
「ラ、ライフだ!」
「ガイアノホコと合体しているので、ライフは2ついただきます」
ムドウは槍と剣をタクヤへと同時に叩き込む。 障壁は破れ、呼応するかのようにフィールドが大きく揺れる。
「続けて、レフティスでアタック」
「ライフだ! んでもってバースト、[絶甲氷盾]……」
タクヤがバーストを捲ったそのとき、リュウカは手札から1枚のカードをタクヤに見せる。
「[超星使徒スピッツァードラゴン]を召喚。 そのバーストは無効にします」
「……嘘だろ?」
「嘘ではありませんよ。 続きなさい、スピッツァードラゴン」
「……ライフ!」
「これで終わりです。 ……行きなさい、転醒スピリット!」
「……ライフで、受ける!」
悪魔神の剣に屠られ、タクヤのライフは砕け散る。
「……対戦ありがとうございました、良いバトルでした」
というリュウカの言葉と共に、バトル終了の自動音声が鳴り響いた。
《プレイヤー[アンターク]のライフ消失を確認。WINNER:[龍華]》
・・・
「今日は紫か……」
「え?」
「リュウカちゃんは何色でも使えるのさ。 混色はまだ特訓中みたいだけどね」
「へえ……さすが部長ですね」
「それは直接あの子に言ってあげなさい。 じゃ、ちょっと提出物のチェックしてくるからあとは頼むよ」
「えぇ……」
教師という職業柄仕方がないことではあるが、初霜は結局バトルを見ただけで帰ってしまった。 初霜と入れ替わるように、バトルを終えた二人が帰ってくる。
「お疲れ様です、部長。 タクヤもおつかれ」
「増Gでも入ってんのかってくらいドローしてて吐きかけたぞ……」
「うらら使えうらら。 にしても調査員に三龍神に三極竜とはまたカオスなデッキだったな」
「お前がアルティメット使ってたから俺も使いたくて……」
「よそはよそ、うちはうち。 しっかり自分の持ち味を活かせ」
セカイとタクヤがじゃれ合う中、おもむろにリュウカが口を開く。
「……しかし、中々に面白いデッキでした。 アンタークというコンセプトから離れすぎることもなく、よく考えられていたと思いますよ」
「ほんとか!?」
「ええ。 特にアルティメットが攻撃の主軸を担っていた点……悪魔神の効果も不発に終わりましたし、思い通りには動けませんでした」
「あ、あれでか……」
大量ドローで制限〈1〉のカードまでアクセスするという強引かつ大胆なプレイング。 リュウカのクールで不思議な雰囲気とは裏腹に、バトルで見せた不敵な笑顔。
「……部長」
「なんでしょう。 次はあなたが相手ですか?」
「あー、いえ。 そうじゃなくて……」
知っている、と言いかけて、セカイは口を噤んだ。
「やっぱなんでもないです。 先生から聞きましたけど、六色全部使えるんですか?」
「まあ、そうですね。 中々自分の色を見つけられずに様々なデッキを使っているうち、六色ともデッキを作ってしまったのです。ですから矢矧君や能代君のように混色デッキを使いこなせる人材は……少々羨ましく思います」
「……そういうもんか?」
「そういうものです。 隣の芝生は青い、ということですよ」
「元々混色前提のテーマ握れば話は早いんじゃ?」
「どうにも抵抗感があるのです。 ほぼ一色に染めないと不安になる、と言いますか……まあそんなことはどうでも良いことですね、勝てばそれで問題ありません」
「……なあセカイ、この人もだいぶジャンキーじゃね?」
「だな。 他の先輩もこんな感じなんだろうな」
「うう、バトルするのが楽しみだぞ!」
タクヤはデッキを持ってセカイを揺さぶる。
「次やるぞ次!」
「別にいいけど……連戦はしんどくないか?」
「負けるのが怖いのか?」
「よしぶっ潰す。 部長、ちょっとフィールド借りますよ」
「どうぞ。 私はここで眺めていますので」
「とっととやるぞ!」
「分かってるよ。 それじゃあ……」
「「ゲートオープン、界放!」」
・・・
「……おや、おかえりリュウカちゃん。 今日は随分と機嫌が良さそうだね」
「気のせいです」
「矢矧のことか?」
「……」
「はは、そう睨まないでくれよ。 彼と過ごせる時間も短いんだ、ゆっくり楽しむといいさ」
「……何のことでしょうか?」
「いつまでも見ないフリはできない、ということだ。 ちゃんと現実も受け入れてくれたまえよ?」
「……今日はもう寝ます。 お休みなさい、先生」
「ああ、お休み。 ……さーて、下準備下準備っと。 リュウカちゃんのおべんと、明日は何にしよっかなー!」
「喧しいです。 もう少し静かにしてください」
「酷いっ!」
読んでくれてありがとう遅れてすみませんでしたァッ!
設定だけは練ってたんですけどどうしてもバトル内容が思いつかずこんなに待たせてしまい……あ待ってない?そっかそっか。
今回は世界観……というかこの時空においてのバトスピくんの設定を書きました。
要約すると
ピカ〇ュウ(オリキャラ)描いたよ!→よその世界にそっくりさんがいたよ!→絵を通じてそっくりさんと繋がれるよ!
みたいな……?(語彙力)
バトルパートまではスラスラ書いてたんですよ、ただバトルが予想以上に浮かばなくて……当初の予定ではリュウカちゃん今回は白のはずだったんですけどねなんででしょうかね(あほ)
次回は夏くらいに更新なんじゃないでしょうか。 知らんけど。とりあえずPV3超えを目指して頑張りますね。
例のごとく誤字脱字矛盾効果ミスコア数ミス手札枚数ミス等あったらバンバン教えてくださいほんと皆さんが頼りなんですお願いします!