銀河帝国召喚   作:秋山大祭り

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 今回は短め、答え合わせというか銀河帝国側からのミリシアルへの印象です。


第9話 粛清

 インペリアル級スター・デストロイヤー

 デヴァステイター 艦橋

 

 艦橋内部は静寂に包まれていた。無論、士官や艦橋要員達の報告や連絡等は行われていたが、彼等の声も意図的に小さく目立たまいとしていた。まるで自身に火の粉が降りかからない様に。静寂の中で男のうめき声が時節、聞こえ、その声も段々と小さくなっていった。

 

 

 

 

 『誰が貴様の弁明など求めた?痴れ者めが』

 

 静寂を切り裂く様に艦内の通信装置から低く、独特のエコーが掛かった声が艦橋内を満たした。声の主は、この艦の真の主であり、この艦隊の総司令官にして、この惑星の新たな支配者であるシスの暗黒卿ダースベイダーその人であった。天井に磔にされた一人の士官、彼はベイダーに対して自身の犯した不手際について弁舌と詭弁を弄す、という事実上の死刑執行許可書に自らサインをするという最大の愚を犯した。そんな彼もついに絶命し生物から無生物に変化する。ベイダーが自身のフォースを緩めると重力に従って彼の死体が艦橋の床に、潰れたカエルの様に叩きつけられる。

 

 

 『……そのゴミを処理せよ』

 

 艦橋の警備を行っていたストームトルーパー達がダルダだった物体を引き摺りながら艦橋から運び出す。

 

 『大佐。貴様には失望したぞ……』

 

 「……申し訳ありません…ベイダー卿……」

 

 

 ルーンポリス上空における大規模な空中戦も終わりに近づいていた。ここまでは予定通りであったが、軌道上に待機していた部隊より急報が入る。

 インターディクター級スター・デストロイヤー〘プラウラー〙と高速艦からなるこの部隊は惑星内からの逃走を防ぐ事と監視の為に置いてきた艦隊だった。インターディクター級は4基の重力井戸発生装置を備えており、ハイパースペースにいる船を強制的にリアルスペースに引き戻す事ができ、ハイパードライブシステムを起動させる事ができなくなるのだ。よって、もしも反乱軍艦艇が惑星から逃走しようとしてもプラウラーら封鎖部隊に捕捉されれば最期。ハイパードライブを使えなくしてしまえばスター・デストロイヤーの火力の元、宇宙を漂うデブリに変えるのは簡単な事だ。

 その封鎖部隊から、ミリシアル領各地から増援がルーンポリスへと殺到しつつあると、急報が入ったのだ。これはレノックスやベイダーにとって青天の霹靂であった。

 

 

 

 

 『早急に作戦を修正する必要がある。』 

 

 「ハッ…!直ちに…!」

 

  

 レノックスは己の判断ミスを悔いた。まさか敵の抵抗がここまで激しいとは思わなかったのだ。当初の作戦案では『帝国の威光たるインペリアル級を直接、敵国首都上空に降下させた上で艦砲砲撃とタイ部隊による波状攻撃で敵中枢を破壊、殲滅し現地住民を恐怖にいたらしめ敵の士気を挫き、自ずと敵に降伏の機会を促す』という予定であったが、事実上、この作戦は破綻したのだ。

 

 (……まさか、ここまで抵抗を受けるとは……)

 

 当初、レノックスはベイダーに対してインペリアル級スター・デストロイヤーによる首都ルーンポリスへの強行降下を行い帝国が本気だと言う事を見せつければ、自ずと講和の道を選ぶだろうと、それが最も犠牲が出ない最善の策だと思ったからだ。無知は罪では無い。戦わずに共存する道は有るはずだと。

 しかし、ベイダーは難色を示した。この星の住民の認識ではインペリアル級を見せつけるだけでは銀河帝国の力を理解させる事は出来ない、水溜りすら知らない井の中の蛙に大海を見せても理解出来ないのと同じだと。

 

 (結局はベイダー卿が仰る通りだったか……)

 

 この銀河系で少なくともインペリアル級スター・デストロイヤーに真正面から挑む者は殆どいない。強固な偏光シールド、何層にも組み込まれたデュラスチールとチタニウム製の装甲板で作られた頑強な船体、1つの都市を一瞬で消滅させる程の威力を持つ武装の数々、一個師団に匹敵するストームトルーパーと70機近くのタイシリーズと20機あまりのAT-ATを常時搭載できる運用能力。

 全長1600メートルに匹敵する、この動く要塞を相手にまともな戦闘を行えるのは、かつて存在した独立星系連合軍のサブジュゲーター級の様な超兵器か、反乱同盟軍で運用されているモン・カラマリ・スタークルーザーの様な大型戦艦か、あるいは損害を覚悟でXウイングやYウイングの様なスターファイターによる奇襲などしかないのだ。

 

 この最強の破壊兵器の前に生半可な攻撃はまず通じない。それは勇猛で士気が高い反乱同盟軍将兵も、スター・デストロイヤーとは正面切って戦おうとはせずに様々な戦法で挑む事からも明らかだろう。この銀河でスター・デストロイヤーが姿を表すというのはそういう事なのだ。

 

 (…やはり…何も知らないのか…?)

 

 だからこそ、この神聖ミリシアル帝国を名乗る眼下の国家があろうことか、空を埋め尽くす程の航空機(ベイダー曰くタトゥイーンに捨てられたジャンク以下の代物)を自分達に向けて吶喊させ、地上からは当たりもしない、それもプロトン砲弾の百分の一以下の威力しか無い砲を果敢に撃ち込んできた時には嫌な予感がした。自分達が相手している文明は本当の意味で何も知らないのではないかと……

 

 「既に待機組へ軌道砲撃による敵基地への砲撃を指示しました。そして、直ちに第一、第二次攻撃隊を呼び戻し、再度攻撃隊を編成します。敵の増援は数こそ多いようですが、性能や練度で遥かに我々よりも劣っています。我が艦隊に1機たりとも近づけさせません、」

 

 『それは可能か?』

 

 ベイダーの声のトーンが若干下がった。少し彼も冷静になった様だ。

 

 「現状、第一、二次攻撃隊は補給の為に母艦に帰投、第三部隊だけでエアカバーは補えます。」

 

 無論、彼とて伊達にベイダーの下で指揮官をやってる訳では無い。作戦案は1つだけでは無い既に対抗策は打ってある。1つの作戦が失敗したからと言って全体に影響は無いのだ。

 事実、既に首都近辺の敵航空戦力は壊滅状態、ゼノスグラム国際空港を含む重要拠点の制圧も順調だ。

 例え、この惑星全ての勢力が束になって自分達、銀河帝国に挑んできた所で屍の山が増えるだけでしかない。彼等の軍事力ではスター・デストロイヤーの装甲に傷一つすら付けられないだろう。

 どちらにせよ、この惑星の制圧と統治は決定事項なのだ。もしも仮に、この惑星から帝国軍を撃退した所で、彼等に待ち受けているのは軌道爆撃による惑星全土への焦土化、それこそ、かつて惑星マンダロアで起きた千の涙の夜の再現が行われるだけであろう。

 

 『第三部隊も帰投させよ。この地の対空防衛力は見るまで無い。』

 

 「了解致しました。直ちに。」

 

 『卿等には期待しておる。くれぐれも我が期待を裏切らん事だ。』

 

 

 そう言い残してベイダーからの通信は切られた。思わず嘆息するクルー達。隣に立つ、副艦長のシェイフ・コーシン中佐が苦虫を噛み潰したような顔で話しかけてきた。

 

 「…相変わらず、心臓に悪いですな…」

 

 「……あれでも大分、丸くはなられたのだ…以前だったら我々もタダでは済まなかった筈だ…」

 

 ベイダーが基本的に敵にも味方にも情け容赦が無いのは有名な話だ。帝国建国初期の時代、皇帝が彼を自身の代理人として紹介した後、彼を暗殺しようとした将校達をフォースグリップで処刑した事件は多くの帝国関係者の肝を冷やしたものだ。

 

 「処刑されたのが彼だけだったのは幸運でしたな。」

 

 「うむ……しかし…今回の件はダルダだけを責める訳にはいかんな…」

 

 完璧な作戦に見えても結局の所、人が立てた物、必ずどこかで綻びが生じるのは仕方が無い事なのだ。そして今回は余りにも敵との価値観がズレていたのだ。傍から見ればレノックス等、銀河帝国軍人の無自覚な驕りもあったのだろう。

 ミリシアル側の認識は更に酷かった。何しろ、『魔帝の遺産を偶然発見し驕り高ぶった挙句、愚かにも列強最強たる神聖ミリシアル帝国に喧嘩を吹っかけた愚かな新興国』というのがミリシアル側の銀河帝国に対しての認識であった。この事をベイダーがやレノックスが知ったらどう思うだろうか?

 

 「……結局、犠牲が一番出る作戦になってしまったか……」

 

 レノックスは心の中でこの惑星の住民達の為に祈った

 

 

 

 

 

 

 




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