イメージ的には1930年代のニューヨークです。
中央歴1638年2月13日
神聖ミリシアル帝国 首都ルーンポリス
世界の首都 眠らない街 この世でもっとも繁栄した都市
帝都ルーンポリス そこは世界の中心であり繁栄と栄華を極めた街であった。
管理された交通システムに道路を駆け抜ける魔導自動車 先進的で機能的な街並みに清潔で身なりの良い人々 そして完成すれば世界最大級になると言われる全高400mを越える高層ビル。ルーンポリスに訪れた人々は皆、この街並みを見ただけで神聖ミリシアル帝国がなぜ列強最強と呼ばれるかを理解するとされる。故に騒がしい喧騒はもはや日常茶飯事であったがこの日は、そのいつもの日常とは違っていた。
「マギカライヒ通商担当です。貴国の開発した蒸気機関車という乗り物を我が国でも導入したいのですが詳しく教えていただけませんか?」「ありがとうございます。では、詳細の方を後々担当の者に近々お伺いさせます。」「例の魔石鉱山の件について我が国も参入させて頂きたい。」「これが我が社が開発したガラッゾ350です。他社の製品とは…」「我が社の方が…」「その件に関しては…」「ハハハ…」「ではでは…」
第一第二文明圏会議
この日ルーンポリスにおいて第一文明圏と第二文明圏に属する国家が通商や技術交流、文化振興を目的とした会議が行われているからだ。元々、魔法技術においてトップクラスをゆく神聖ミリシアル帝国と科学技術において最も最先端技術を持つムー王国の相互理解のために始められた会議であったがこの十数年で参加国も増え、今では覇権主義の強いレイフォルと文明圏の違うパーパルディア皇国以外の先進国が全て参加する大規模な会議になったのだ
ルーンポリス国際会議場で開かれた会議は順調に進められいよいよ閉会となった時、突如として轟音が街に鳴り響いた
「何事だ!」
「あぁっ 初代皇帝陛下の石像が…」
「バカな… ルーンポリスの対空防衛網は完璧のはずなのに…」
ルーンポリス国際会議場の正面にはかつて魔帝の残党を駆逐し神聖ミリシアル帝国を建国した国父ミリシアル一世の10mに及ぶ石像があるミリシアル自由広場があるが、無惨にもその石像は破壊せれていた。
「おのれ… 何故こんな事を…」
その場にいたミリシアル人はその光景を見て怒りに震える残党とはいえ強大な魔帝 光翼人を滅ぼし今の安全な祖国を手に入れられたのは国父と祖先達の血と犠牲のおかげである事をよく知っている。この広場と石像も祖先達の偉業と功績そして失われた命を忘れないために現在の皇帝であるミリシアル8世が建てたのだ。
「!!あれはなんだ?」
一人の参加者が指を指す 全員がその方向に目を向けると同じ疑問を感じた。
それは飛行機械の機首に箱型の胴体をつけ3枚の翼を持った奇妙ななにかであった。それはゆっくりと広場に着陸しようと下の2枚の翼が変形し静かに着陸した。
「これは貴方方のデモンストレーションか何かですか?あまりにも悪趣味だと思いますが…」
ムーの大臣が不愉快そうな表情を浮かべながらそう言う。
それをミリシアルの代表が即座に否定する。
「まさか! 我々が大恩ある猊下の石像を破壊するとでもお思いか! あれがなんなのかにせよ私達は何も知りません!」
「では…いったいアレは…」
10分前
ダルダはラムダ級シャトルの中で眼下に広がるルーンポリスの街並みを見ていた。
(フン 野蛮人らしい低レベルな文明だな インペリアル・センターとは比較もできん。)
彼はベイダーからの指示で神聖ミリシアル帝国に対して銀河帝国による服属を要求するための使者としてえらばれたのだ。
「少佐殿 まもなく到着いたします。」
ラムダ級のパイロットが報告する。
「あぁ その前にあの広場にある石像を破壊しろ目障りだ。」
「よろしいのですか?あまり現地民を刺激しない方が」
「構わん どのみちここを制圧したら破壊するんだ。結局の所、早いか遅いかの違いだよ。」
「し しかし命令書ではこちらからの発砲を禁ずると無駄に挑発するのは…」
「帝国こそ法であり掟そのものだ。恒久的な平和を実現するためには下等な野蛮人共に身の程を分からせてやるのが彼ら自身のためになる。」
ダルダは物わかりの悪い生徒に一般常識を教える教師のように話した。
「これは一種の啓蒙なのだよ。銀河帝国とパルパティーン皇帝陛下という正義と秩序の前には反逆など無意味だと教えこむのだ徹底的にな。」
「ハ ハァ…」
「分かったら撃ちたまえ」
ルーンポリス会議場 今その中は剣呑な雰囲気で充満していた。理由は会議場の中心にいる人物にある。
銀河帝国艦隊から派遣された使者を名乗る人物だ。
「おやおや…野蛮人の首領どもが雁首揃えてお集まりとはなかなか都合の良いこともあるものだな。」
長身で痩せ型、金髪碧眼の容姿を持つその男は外見上は一般的なヒト族の成人男性に見えるが少なくともこの会議場にいる人々に微塵も敬意を持っていない事は明らかだった。
開口一番に侮蔑と嫌悪の入り混じった嘲笑を周囲に浴びせると適当な席にドッカリと腰を下ろした。
「なんと無礼な!!」「キサマッ!一体なんのつもりだ!」「使者だと言うからわざわざ面会してやっているのだぞ!」「よくも猊下の石像を破壊してくれたな!」「この事は貴様の本国にも抗議してくれる! 大事にしてやるぞ!」
会議場にいた全員が一斉に声を挙げる。しかし当のダルダは馬鹿にしたような笑みを浮かべてまるで意に介さない。
「皆様!お静かに願いたい!!」
一瞬で声が止み声を挙げた人物を見る。
「皆様どうか落ち着いて頂きたい」
声の主神聖ミリシアル帝国外務大臣ペクラスはそう言った
「皆様方、ここは第一文明圏と第二文明圏の交流を深める場です。決して罵詈雑言を言い合う場所であってはなりません。」
「し…しかしペクラス殿」
「我々はこの世で最も優れた先進国であり他の国々を導く存在でしょう。彼らはただ単にルールを知らないだけの子供の様なものです。ならば彼らにもこの世界のルールを教えるのも大人である我らの義務です。」
「おぉ…なんと寛大な」
「さすがは列強最強 器が違いますな」
「茶番は終わりかね?そろそろ話を進めたいんだが?」
まるでそれが当然とでもいうかのようにダルダは椅子にふんぞり返ってニヤニヤと相変わらず馬鹿にしたような笑みを浮かべている。
「ハハハ…これは失礼…銀河帝国と言いましたか?新興国の方が何用でわざわざここまでお越しにならねたのてすかな?」(クソっ!誰が蛮族だ!こっちが下出に出ていれば頭に乗りおって…本来ならば問答無用で逮捕拘禁にでもできておったのだぞ!)
内心ペクラスは腸の煮えたくる思いであった。そもそも相手は国交も無くミリシアルの領空を侵犯し石像を破壊するなど明らかなテロ行為を行っており国交樹立はおろか宣戦布告とも見える明らかな敵意を示している事からも、わざわざ会議場に呼ばなければならない理由などミリシアル側にはないはずである。
(だが、そう簡単にいかんのだよ…)
ミリシアル側にとってこの男を拘束できない理由があった理由の一つとしてミリシアル側のプライドの高さがあった。この世界において神聖ミリシアル帝国は世界一の超大国であり相手が外国の使節を名乗っている以上、それ相応の態度で扱わなくてはならないのだ。それこそ第三文明圏のパーパルディア皇国や第二文明圏のレイフォル国のような列強と呼んでいいのかというようなレベルの国や人口だけやたら多いロウリア王国のような国とはレベルが違うという事を内外に示していかなければならない。
とどのつまり非文明圏や下位列強ならば使者に公然とワイロを要求したり酷いときは刃傷沙汰を起こしても『所詮は民度の低い蛮族だから』と白眼視はされてもさして問題視はされない。だが同じ事をミリシアルが同じ事を行えば一体どうなるか、国内外から盛大なバッシングを受けるのは間違い ないだろう。蛮族と同じだと思われる事をプライドの高いミリシアル国民は最も許せないのだ。無論この場合先にテロまがいの事を行ったのは向こう側であり他国の関係者もこの場で見ている事からも逮捕拘束してもそこまでは非難される事はないだろう。だがペクラスにはもう一つ思惑があった。
ペクラスはチラリと広場に目を向ける。3枚羽の奇妙な飛行機械はいまだにそこにある。
(あの男が乗ってきた飛行機械…あれはまさしく天の浮舟!しかも我が国が保有している物とはかなり違う!一体どこから手に入れたのだ?)
ペクラスは外交官であり技術畑ではないので、あの飛行機械正確にはラムダ級シャトルがどれほどの性能を持っているかは分からない。しかし20m近くある鉄の塊を空に飛ばすような芸当をただの蛮族ができるとは思えない。何者かが手引きしたのか、もしくはもっと別の理由か。
まず1つ目はミリシアルを含む魔法文明圏。だが、これはあり得ない。列強第三位のエモール王国は竜人族の性格からしてもわざわざ新興国相手に飛行機械を渡すとは思えない。列強第四位のパーパルディア皇国も絶対にあり得ない。そもそもあの国では、いまだに博物館の骨董品クラスの戦列艦やマスケット銃のような旧式武器を見せびらかしているような程度の低い文明であり自力で飛行機械を運用する事など根本的に不可能だ。
(ならばムーならばどうだろうか?いや、これもあり得ん)
総合的には列強第ニ位の実力を持つムー王国。しかし技術的には科学なる分野の技術を持ち奇怪な代物を作り出している。これもあり得ない。まず他の国の領空に侵犯しテロまがいの事をしでかすような連中に技術提供なり飛行機械の譲渡なりしてもメリットは無くむしろテロの共謀を疑われる等デメリットしかなく政治的にあり得ない。
(もっともムーごとき、科学文明国風情にあれだけの代物が作れるとは思えんしな。ならば…)
ペクラスの予想でもっとも可能性が高いもの
(間違いなくあれは魔帝の遺産!恐らくは状態の良いものを運良く発掘したのだろう。)
これが一番可能性大だ。いや、それしかあり得ない。神聖ミリシアル帝国が現在のような超大国になれたのは魔帝ことラヴァーナル帝国の遺した技術の存在が一番大きい。ペクラスは考える。
(あの自信…恐らくあの飛行機械以外にも、まだ発掘兵器を保有しているかもしれん。ならば!)
ペクラスの野望それは銀河帝国を間接的に保護国もしくは属国にして魔帝の遺産を独占する事だった。魔帝の技術は今のミリシアルでも再現する事ができない程、高度な技術なのだ。すなわち魔帝の遺産をより多く保有する事ができれば神聖ミリシアル帝国はより発展できる。
(ここは耐えるのだ…なんとか国交樹立を成立させてしまえばコチラの有利に動かせるはずだ。奴らの本土や国力すら分からん状態では軍や調査隊を送る事すらできん。)
「ほう…野蛮人にしては殊勝な態度だな。」
「我々は文明ある民族です。決して暴力に頼らず、ここは対話による相互理解と国際協力の名において貴国を招きました。ここはお互いに文明国らしくお茶でも飲んでお話しましょうではありませんか。」(いい気になってるのも今の内だ!我がミリシアルを侮った事を子孫末代に至るまで後悔させてくれる…徹底的に搾り取ってくれるわ!)
どちらせよ国交を締結させたら今回の賠償責任を取らせた上でもっともらしい理由をつけて魔帝の遺産は全てとりあげる。断ったとしてもむしろそっちの方が好都合だ。先に手を上げたのは向こう側の方なので徹底的に叩き潰してくれる。ペクラスはそう考えた。
「くだらん…話し合いだと?ククク…それなら都合がよい!今日はお前たちに良い話しを持ってきたのだ!」
ダルダは芝居がかった口調で高らかに叫んだ
「蛮族共よ!聞け!今日は貴様らにとって最高の記念日となる日だ!栄えある銀河の至宝にして法と秩序の番人!全銀河の支配者にして平和の体現者!神聖不可侵なる銀河帝国皇帝シーヴ パルパティーン皇帝陛下より書状を読み上げる!」
ダルダの持って来た書状、それは銀河帝国への無条件の服従を要求するものだった。一応国家の存続は認めるものの列強諸国が形だけとは言え到底のめるはずも無く交渉は決裂、最終的には罵詈雑言の言い合いになり終了した。最後ダルダは一週間後に最後通牒を行う事を告げ携帯型のホログラム投射装置を置いて去っていった。
デヴァステイター艦橋
「よろしかったのですか?本当にあんな男を交渉に向かわせる等…」
「決定事項だ大佐。奴ほど適任は居ない。」
デヴァステイターの艦橋の中でベイダーは一人の士官と話していた彼はこの惑星との交渉にダルダを向かわせたのがどうしても納得できなかったのだ。
「彼は軍服を着たケダモノです。余計な敵愾心を向こうにあたえるだけです!」
そう彼、ザミュエル・レノックス大佐は言った。帝国軍の中でも珍しい部下思いの士官である彼がそこまで言うには理由があった。
ダルダ・ワイートの資料には彼が現在のベイダー艦隊に配属される前の軍歴を記していた。そこには上官への命令無視ならびに軽視、民間人への暴行、殺害疑惑について書いてあった。特にエイリアン種族への常軌を逸した虐殺に関してはエイリアン種族への排斥運動を行う帝国軍においても眉をひそめる程過激かつ残忍なものだった。
レノックス自身は今回の交渉で帝国の技術をミリシアル側に見せつけ戦わずに支配する事は可能だと予想していた。幸いな事に当初予想されていたような反乱軍の軍事拠点化は無く今の所、反乱軍より先に影響力を及ぼしておけば反乱軍に付く事は無いだろうと思っていた。
「奴がケダモノであればむしろ都合が良い。」
ベイダーは淡々と述べた。
「生贄の祭壇に上げられるのはいつだって獣だ。ある程度の犠牲はやむを得ん。」
「犠牲ですか…しかし…」
レノックスはそれでも反論しようとするもベイダーに言葉を遮られる。
「どの道、戦争は起きる。この星の住民の文明力は我々の想像よりも低い。卿の考えているような方法で支配しても、いずれ反乱を起こすだろう。どれだけ力の差があろうともな。ならば最初から我が帝国に逆らうという事がどんな末路をたどるか見せつける必要がある。」
まるで自分の心の中を読んでいるような発言にレノックスは内心、恐怖を感じる。だがそれ以上に最初から武力攻撃による支配をするのは衝撃だった。それでは交渉に向かわせたダルダを最初から見捨てる事と同じだからだ。
「では、彼を最初から捨て駒として使う予定だったのですか…」
「最初に言ったように奴ほど適任は居ないそれに…我が銀河帝国に無能は必要ない。」
「………」(哀れなものものだな…組織の歯車という奴は…いやそれを言えば私も同じ歯車か…)
レノックスはダルダを哀れに思った。銀河帝国と皇帝に対して狂信的とも言える忠誠心を持っている彼であっても当の帝国にとって彼の存在は、いくらでも換えのきく部品の一つにすぎないのだろうから。
更新遅れました。もっと短くまとめたかったんですが思うように書けなくて…