銀河帝国召喚   作:秋山大祭り

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 お久しぶりです。秋山です。
 今回もヤマトネタが多めとなっております。


第22話 陸の王者、蹂躙せよ!

 ズダン要塞地下

 要塞最高司令部

 

 「あれは……一体何なのだ……?」

 

 望遠魔法でモニターに映し出される巨大な四足獣の姿に司令官たるライオネル中将ら司令部要員達は自分達が見た物を信じられなかった。

 まるでビルのようにそびえ立つ巨大な体躯。立ち塞がる者全てを踏み潰そうとする重厚感のある足取り。口も鼻も無く、バイザー状の目らしき機関でこちらを睥睨する不気味な頭部。

 相対する者全てに恐怖と威圧感を与える巨大な怪物。それらが隊列を組みながらコチラに向けて進軍する様はそれだけで要塞守備隊の士気を叩き落とすには充分であった。

 

 《ATーAT》

 

 銀河帝国地上軍が誇る主力戦車とも言える兵器である。その装甲はレーザー、実弾に対して強い耐性を持つブラスト耐性アーマープレートで覆われており、顎部に搭載されたティム・バック社製MSー1連動式重レーザー砲は分離主義勢力、銀河共和国時代の大半の陸上兵器を破壊可能な威力を有していた。

 全長25.9メートル、全高22.2メートルと極めて巨大でありながら最高速度時速60キロ、巡航速度40キロと直線での歩行は極めて速い。

 これだけの巨体でありながら基本的にインペリアル級スター・デストロイヤーは1隻あたり20機程のATーATを常時配備しており、惑星への降下上陸の際には重装甲、重火力を武器に敵中枢への主に先駆けを務めていた。

 

 

 「四足獣とはリンドヴルムではないのか?!」「伝説に聞く、カイザーゴーレムよりも大きいぞ!」「しかも何て数だ!10匹以上もいるぞ!!」

 

 彼等が驚愕するのは無理もない。四足獣と聞いて彼等が予想していたのは地竜リンドヴルムのような一種の生物であり、目の前の四足獣のように全身を金属の鎧で覆っているのか、まるで金属の塊のような物体とは予想もつかなかった。更に凶報が届く。巨獣は一体だけでは無かったのだ。

 

 「各主要塞から報告!同型の大型獣を10匹確認したとの事です!いずれも本要塞へ向けて進撃中!」

 

 「馬鹿な!となるとあんな化け物が50匹もいるという事になるぞ!」

 

 参謀の一人が顔を引き攣らせて思わずそう叫ぶ。各主要塞から確認されたという事は既に敵軍はズダン要塞の正面全域に部隊を展開し終えているという事だ。それが意味する事は只、一つ。

 

 「どうやら敵は本気でこの要塞を攻略する気らしいな……」

 

 航空機による空爆で地上戦力の大半を殲滅し、混乱が収まらない中、間髪入れずに地上部隊を突入させる。敵にとっては正に理想的なシチュエーションで事が進んでいた。いや、初めからそうなるように作戦を進めていたのだろう。

 

 「司令!敵から魔信です。『前方の武装勢力に告ぐ。直ちに降伏せよ。』との事です。返信はどうなさいますか?」

 

 「……『馬鹿め』と言ってやれ」

 

 「は?」

 

 「『馬鹿めだ』!!!」

 

 「はっ!」

 

 その場にいた幕僚達が不安そうな表情を浮かべてライオネルを見る。彼等はATーATに圧倒され怖気づいていた。

 

 「全員落ち着け。まだ、我々は負けたわけでは無い。見よ。」

 

 ライオネルは全員に中央の魔導ディスプレイを見るように促し、要塞周辺のマップを拡大した。新たに追加された巨獣を示す赤い点を指さす。

 

 「敵の異形に騙されてはいかん。50匹と言えど、敵は分散し、この要塞を目指しておる。だが、そこに付け入る隙がある。」

 

 一旦、そこで言葉を切り、マップを操作する。巨獣達は10匹づつ、楔形陣形をとり5隊に分かれて進軍していた。5隊という事は恐らくはこちら側の主要塞の攻略に当てるのであろうが、広大な要塞と防御陣地に対しては数は少なく実際には寡兵としか言えない。

 

 「見た所、敵の布陣は薄く広く展開している。それに数の上では我々の方が圧倒しておる。少なくとも陸の上での戦いでは我々に地の利がある。」

 

 敵の空爆でかなりの兵力を削がれはしたが、それでも要塞内に秘匿された重砲、主に口径200mm、もしくは175mmといった砲兵戦力の大半は無傷であり、増援の戦車部隊もいる。

 

 「諸君らも知っての通り戦略上、攻撃側は防御側に対して最低でも3倍の戦力を必要とする。その上、無敵のダビデ砲も100基以上健在だ。それに見た所、武装しているようには見えん。負ける筈がない。」

 

 「閣下の仰る通りだ。しかし……」

 

 若い幕僚の一人が怯えの混じった表情を浮かべ言い淀む。ライオネルは手をかざして彼の発言を静止する。

 

 

 「あの巨獣の正体が何なのかは私も分からん。だが、そんな事はどうでもいい。重要なのはアレにどう対処するか、だ。」

 

 ライオネルはハッキリと言い切った。

 

 「諸君らが恐れる理由はよく分かる。私自身、あんな化け物が実在するとは未だに信じられんからな。だが、目的を忘れてはならん。」

 

 集まった兵士達の目に光が戻った。彼等は思い出す。何故、自分達がここにいるのか、何故、自分達が軍服に袖を通したか。誇り高き軍人としての使命。例え、どれ程の戦力の差があろうとも彼等に退くという二文字は存在しない。怯えて恐れおののく暇があるならば、どう敵に対処するかを考える方が建設的だ。

 

 「我々は軍人だ。この地を守る義務と責任がある。やれる事をやろうではないか」

 

 「「「ハッ!!!」」」

 

 職務に戻る兵士達を横目にライオネルは残った幕僚達に矢継ぎ早に指示を出す。

 

 「増援部隊を全て前線に送れ。出し惜しみは無しだ。」

 

 「宜しいのですか?要塞自体の護衛が手薄になりますが」

 

 「装甲魔導アーマー隊を後衛につける。それとアームストロング大佐に第1防衛ラインに移動するよう通達を頼む。早急に前線の穴を塞がねば。」

 

 「なるほど、この位置なら敵の巨獣の側面をつけます。」

 

 「大佐も元は騎兵隊の出身だ。うまくいけば包囲攻撃のチャンスもありえる。」

 

 ライオネルは与えられた戦力を全て前面に押し出す事にした。無論、これには下手に戦力に小出しに出すよりも持っている戦力を一気に押し出して防衛ラインの層を厚くする為だ。

 

 (どちらにせよ、ここを通す訳にはいかぬ。何としても守り抜かねば。)

 

 ズダン要塞を突破されれば敵の進路上に首都ルーンポリスへの侵攻を妨害する防壁は存在しない。敵は一直線に何の抵抗も受ける事も無く進撃を続け、そして首都ルーンポリスは容易く蹂躙されるだろう。

 

 (市街地戦になれば市民に逃げ場は無い。ルーンポリスは地獄と化す……)

 

 世界の首都とも称されるルーンポリス。無論、そこに住まう人々の数は小国の人口を軽く凌駕する程だ。そして、これら非戦闘員を無事に首都から脱出させる事など現実的に考えて不可能であり、そこから導き出される答えは未曾有の大虐殺だ。ここで降伏など出来るはずが無い。例え、40万の兵士の命全てと天秤に賭けても、ここを通す訳にはいかないのだとライオネルは苦渋の決断を強いられた。

 

 (そもそも今回の戦闘は余りにも急過ぎた……住民の疎開なり、何らかの手を打っておくべきだったのだ……)

 

 ライオネルは心中そう思わずにはいられなかった。何故、銀河帝国とやらを調べもせずに戦争を始めたのか、政府上層部は余りにも敵を軽視し過ぎていた。敵を侮った結果が制空権も奪われ、ここまでギリギリの状態で戦う羽目になっているのだ。

 

 (これでは死んだ部下達が浮かばれん……)

 

 無論やれと言われればやらねばならないのが軍人、組織人としての最低限の義務だ。ある程度は割り切れる。しかし、だからと言って兵士達を死ぬ事が確定している死地に送り込んでおいて平気な顔が出来る程、破綻しきっている訳では無い。

 

 「……応援が来るまでの辛抱だ。それまで何としても時間を稼がねば……」

 

 応援が来れば事態は好転する。それまで耐えれば何とかなる筈だと自分に言い聞かせる。しかし、彼は知らなかった。既に手遅れだという事に。

 

 

 帝国地上軍ブリザード・フォース

 エリートATーATコックピット内

 

 「全部隊、陣形はこのまま、最大速度で前進を続けろ。」

 

 エリートATーATの頭部に位置するコックピット内で、敵要塞からの返信を受け取ったヴィアーズ准将は即座に全軍にそう指示を出した。ヴィアーズが立てた作戦は極めてシンプルで堅実な物だった。

 タイ・ボマー隊の先行爆撃で対空砲座や重砲、トーチカの類を一掃し、次にATーAT、その内訳は量産型の通常ATーATが45機、指揮官機として開発されたエリートATーAT5機で構成された機甲部隊が敵陣を突破、最終的にストームトルーパーとドロイドの混成部隊が要塞全土を制圧するというのが作戦の大まかな流れであった。

 

 「閣下、重レーザー砲の射程圏内に入りました。発砲の許可を」

 

 「待て、我々の任務は囮だ。敵が先に我々を認識する必要がある。その為にも敵に先に撃たせる。その後に一斉射を加え、一気呵成に殲滅する。」

 

 「宜しいのですか?」

 

 「このウォーカーがやられると思うか?」

 

 ATーATウォーカーはその分厚い装甲と高出力のジェネレーターから直結した高威力のレーザー砲を搭載していて、鈍重な見た目の通り、機動性は皆無と言っても言い。だが、その代わり単純な装甲の頑強さでは他の陸上兵器の追随を許さない程、頑丈であり並大抵の攻撃ではびくともしない。帝国の建国当初に勃発した初期反乱運動では旧分離主義勢力で使用されていたAATホバータンクや、ATーATの前級であるATーTEと言った戦車の砲撃を全てその装甲で跳ね返し、逆に搭載されたレーザー砲で返り討ちにしていた。圧倒的な火力と防御力。正に重戦車とも言えるのがATーATウォーカーなのだ。

 

 「自分達の最大火力が通用しないと分かれば自ずと奴らの士気と戦意は崩れ去る。まずは敵の士気を折る。」

 

 ヴィアーズはミリシアル側に先に撃たせる事にした。無論、相手を侮っている訳では無い。数の面ではミリシアル側が圧倒的に優位なのはヴィアーズも理解している。だからこそ『質』という面で自分達には絶対に敵わないという事実を叩き付け、士気を根底から叩き折る事は極めて重要であった。

 

 (装備と数で劣っていようとも果敢に挑んで来る反乱軍のような連中の例もある。先に心理的プレッシャーをかけるとしよう。)

 

 軍隊にとって士気は重要な意味を持つ。歴史上、士気で勝る軍が寡兵で数で勝る敵軍を相手に勝利するという例は幾つもある。そして戦う軍集団とならねば烏合の衆と変わらず最早、数の差は意味を為さなくなる。

 

 (飽くまでも抵抗する道を選ぶか……帝国の理念を受け入れれば生き残る道もあったろうに……)

 

 敵を斃すならば自身の命を捨てる事も厭わない。少なくとも敵の司令官はそれだけの覚悟を持って『馬鹿め』と返したのだろう。そういった覚悟を持った敵は極めて強大で厄介な相手になるとヴィアーズはこれまでの経験でその事を知っていた。

 

 「哀れとも愚かとも思わん。せめて私の手で引導を渡してやろう。情けをかけるのは寧ろ非礼に当たる。」

 

 マクシミリアン・ヴィアーズという軍人は実質剛健な軍人であり、銀河帝国という国家に対して絶対的な忠誠を誓っていた。仮に銀河帝国が滅亡する事態が起これば彼もそれに殉ずる覚悟を持って最期まで戦い死を迎える気概を持つ人物であった。

 とは言え相対する敵の司令官の心情を理解する事は出来た。同じ宮仕えの悲しき性とも言うべきか、そもそも一軍人に政治的な選択肢、決定権など与えられる筈も無い事はヴィアーズ自身理解している事。戦う、戦いたくない、と言った二元論は無意味で戦わざるを得ない、と言った方が正解なのだろう。

 無論、だからと言って相手に合わせてやる必要も意味も無い。軍人は与えられた任務を全うする事に全神経を使えば良い。ヴィアーズは邪念を一度捨て、目の前に戦場に集中する事にした。

 

 (恨むなら我々と正面きって戦おうなどと考えた上層部を恨む事だな)

 

 

 

 

 

 

 ズダン要塞

 第28ダビデ砲

 管制室

 

 「クソっ!化け物共め!目にモノを見せてくれる!」

 

 管制室内で砲術長を務めるエル・ステン中尉はそう吼えた。彼の心の中は怒りと復讐心に満ちていた。目の前で同僚や部下達を焦げた挽肉に変えられたのだ。まだ、地上戦で死ぬならば納得はできた。だが空爆で一方的に蹂躙されるなど只の殺戮に過ぎない。

 

 (こんな死に方……納得いくわけねえっ……!)

 

 「隊長!砲撃許可が降りました!いつでも撃てます!」

 

 「よし!タイミングを合わせろ!5、4、2、1……ってーー!!」

 

 次の瞬間、各ダビデ砲から一斉射が行われ砲口から青白い弾体が超音速で放たれる。その威力はかつてミリシエント大陸を蹂躙し尽くしたカイザーゴーレムすらも一撃で粉砕しうるとされる程だ。この時まで、この場にいる全てのミリシアル兵は自国の勝利を確信していた。

 飽くまでこの時までは……

 

 

 ガァン!ギィーン!

 

 

 「なっ!」

 

 超音速で飛翔するレールガンの弾丸は巨獣達の群れの先頭、群れのボスであろう体格の大きい黒い個体に確かに直撃した。ちょうど頭部、それも顔面にピンポイントに当てたのだ。しかし、呆気なく弾かれたのだ。敵の巨獣は何事も無かったように歩行を続ける。この光景を見て思わず呆然とする兵士達。

 

 (確かに直撃させたはずだ!?何故だ!?)

 

 彼等は知らなかったが巨獣ことATーATウォーカーの装甲はスター・デストロイヤー、即ち宇宙戦艦と同じ素材で作られているのだ。これらの装甲板を貫通するにはプロトン魚雷やプロトンミサイルのような大質量対艦兵器か、もしくは戦艦クラスのターボレーザーぐらいでなければ、その正面装甲を抜く事は事実上不可能であった。

 無論、弱点が無い訳では無い。四足の脚部は滅多な事ではバランスを崩す事は無いが、一度転倒してしまえば自力で起き上がるのは不可能に近い。また、砲塔を兼ねたコックピットに相当する頭部を繋ぐ、ちょうど首に当たる連絡通路は構造上装甲で覆われておらず、この部位に限れば小型スピーダーのレーザー砲でも撃破は可能であった。

 実際に惑星キャッシークや惑星ジェダでの戦闘では複数機が撃破されており、後に勃発するホスの戦いでもこれらの弱点を突かれ数機が撃墜される結果となっている。

 最も、この時の戦闘にはかつて銀河の裏切り者として抹殺された『ジェダイの生き残り』、そして『新たな世代のジェダイ』が関わっていた事も大きいであろう。

 

 そして、ここで巨獣達の動きに変化が出る。歩行は続けながらも、それぞれの個体が要塞全土を観察するように首の向きを変えたのだ。歩き方といい巨体ながらも実際の動物がするような自然な動作は逆に不気味で威圧感のあるものだった。

 

 「何だ……?一体、何をする気だ?」

 

 巨獣の一体がこちらを向いた。次の瞬間、赤い光弾が放たれる。光弾は隣に設置されていた第27ダビデ砲の砲身部を正確に撃ち抜いた。

 

 「っ!?」

 

 ダビデ砲内では次弾の発射準備の為に魔力のチャージと電力の変換を同時に行い、魔力エネルギーが極めて不安定になっていた。そんな中、砲撃を受ければどうなるか。刹那、第27ダビデ砲は爆煙と共に火柱を上げる。

 

 「っ!…バカな!?砲撃だと!!」

 

 エル・ステンは驚愕する。確かに件の巨獣には驚かされたものの、あくまでもその巨体に驚愕しただけであって、まさか反撃を受けるとは思っていなかったのだ。しかも明らかに砲撃という形で。

 

 「……っく!チャージはまだかっ!?」

 

 「後、3分必要です!!」

 

 「えぇい!遅いわ!」

 

 何もできない事に焦燥と苛立ちが募る中、巨獣達は次々と赤い光弾を放ち、塹壕を吹き飛ばし砲台やトーチカを破壊する。何台かの戦車が側面を砲撃すべく、大回りするように陣地の合間を縫うように履帯から土を巻き上げ走行する。しかし敵の巨獣からは丸見えであり、呆気なく捕捉され集中砲火を受ける。直撃を受けた数台が爆散し、生き残った戦車も履帯が千切れ行動不能になる。それでも果敢に砲撃を試みる車両もいたが全て弾かれた上に反撃を受け残骸を大地に撒き散らす事になった。

 

 「戦車隊もこの有様か……!」

 

 分厚い装甲を誇るとされた35式重魔導戦車も、火力と機動性のバランス性を評価されていた28式魔導中戦車も、まるで性能を生かせないまま一方的に屠られていく。移動できないトーチカや砲台はそれ以上だ。内部にいる兵士達は脱出する間もなく生き埋めになる。最早、戦闘と呼べる物ではなく余りにも一方的に葬られていく。

 

 (虐殺なんてレベルじゃない!これじゃあ只の家畜の屠殺も同然だ!)

 

 敵の砲撃は確実に味方を殺していくのに対して、自分達の扱うダビデ砲を含む兵器はクソ程の役にも立たない事を改めて理解させられた。最早、ここに居るのは無意味だとエル・ステンは部下達に退避を呼び掛ける。

 

 「全員、退避しろ!これではただの的だ!」

 

 部下達に呼び掛けながら、ふと照準器から外を覗く。四足獣の一体とちょうど目が合った。

 

 (こっちを見ている?……!!)

 

 「に…逃げっ……!!」

 

 その意味を理解した瞬間、エル・ステンを含む第28ダビデ砲要員を爆炎が包み込む。殆どの者は何が起こったのか分かる間も無く原子レベルまで分解され消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 エリートATーAT内部

 

 「各機、状況を報告せよ。」

 

 『第01より問題ありません。』

 

 『第02問題ありません。』

 

 『第03よりコマンダーへ、38番機の主砲が損傷。されど戦闘に支障はありません。』

 

 『第04より報告します。44番機が歩行ダンパーを損傷し、後退させました。しかし問題ありません。』

 

 「宜しい。敵要塞との距離は?」

 

 「約10kmです。」

 

 「……10kmか……どうやら敵の砲手はかなり腕が良いらしい。」

 

 ヴィアーズは率直にそう評価を述べた。甘く見ていた訳ではないが初弾で直撃弾を当ててくるとは予想外だった。少なくとも初手の空爆で相当なダメージは与えた筈だが、立ち直りが早い事から見ても相当有能な指揮官なのだろう。兵士の練度も高いと理解した。

 

 「全機、最大速度で突撃せよ。並びに砲撃戦用意。前衛はレールガンと要塞重砲を叩け。中衛並びに後衛はトーチカと対戦車砲を潰せ。」

 

 『『ハッ!!』』

 

 重厚な駆動音を上げながらATーATは歩速を上げる。ヴィアーズが駆るATーAT、正確にはその強化発展型の《エリートATーAT》を最先頭に楔形陣形をとりズダン要塞へと歩みを進めた。

 巡航速度50キロ、最大速度で60キロで歩行出来るATーATであれば僅か10km程度、走破するのにさして時間は必要無い。そしてその僅かな時間に全ての火砲や陣地といった障害を排除するのに充分な時間だとヴィアーズは考えていた。

 ヴィアーズは自機のペリスコープ・ディスプレイを覗きながら指示を出す。タイ・ボマー隊の爆撃のお陰で厄介な重砲の大半は破壊され想定よりも敵の戦力は半減していた。更に情報通り、敵のレールガンは連続して発射はできないらしく沈黙したままだ。そして、この機を逃す程、彼は甘くは無い。

 

 「全機、発射用意……撃て」

 

 ヴィアーズの号令の元、一斉にATーAT隊はレーザー砲を放つ。刹那、派手な赤い光弾は次々と要塞各所に設置さされていたダビデ砲を含む重砲群やトーチカに殺到し、着弾と同時に爆炎の渦を巻き起こす。距離は10kmと言えどATーATにとって問題は無かった。

 顎部に搭載されたティムバック社製MS-1連動式重レーザー砲の射程は17kmもある。その上、帝国地上軍きっての精鋭たるブリザード・フォースだ。彼等にとっては『当てて当然。外すなど論外。』な距離だ。レーザー砲の威力自体も小型のコルベットクラスならばシールドごと装甲を貫通する程、高威力だ。

 

 『敵レールガンの沈黙を確認しました。引き続き重砲への砲撃を続けます。』

 

 『敵砲兵戦力の75%を撃破。敵歩兵はどうしますか?』

 

 「歩兵は無視しろ。要塞への進撃が最優先だ。」

 

 ATーATは苛烈な砲撃を受けながらも、その全てを跳ね返し逆に一門づつ、ミリシアル軍砲陣地を着実に駆逐していった。敵の主要塞はシールドを解除し、重砲や対空砲で果敢に砲撃を行ってくる。塹壕からも対戦車砲が狙い撃つ。正に袋叩きだ。だが……

 

 

 ガァン!チュチュイーン!!キィン!キィーン!!

 

 

 ヴィアーズの乗るATーATに重砲の榴弾が直撃し激しく揺れる。更に対空砲の弾幕が連続して直撃し、更に対戦車砲の徹甲弾が2発直撃した。

 だが、それだけだった。苛烈な砲撃もエリートATーATに何らダメージを与える事は無かった。それは他の機体も同様で何一つたりともATーATに損傷を与える事は無かった。精々塗装が剥げたくらいであろう。逆に反撃の重レーザー砲の集中砲火を受け戦車と思しき車両は砲塔がビックリ箱のように車体から吹き飛び、お椀を逆さにしたような重砲や要塞砲は地響きと共に火柱を上げて永遠に沈黙する。

 更には副砲のR90ーC中型ブラスター・キャノンも砲火に交わる。これは重レーザー砲に比べて威力と射程に劣るが連射性能に優れており、速射砲に近い兵器であった。文字通り連射性に物を言わせて塹壕内を薙ぎ払うように掃射する。小銃や短機関銃を向け必死に抵抗の意思を示す兵士も、武器も何もかも捨て背中を見せて逃げ出そうとする兵士も区別無く死を与える。一切の容赦の無いレーザー掃射の前に歩兵の僅かながらの反撃も徐々に減りATーATが要塞に近付くにつれ、その砲火の勢いは明らかに下火になりつつあった。

 

 「残存する砲台に砲撃を集中させろ。通信兵、後衛に突撃命令を出せ。歩兵戦力を投入する。」

 

 「ハッ!」

 

 「それとスター・デストロイヤーからの情報に変わりは無いか?」

 

 「現状、敵軍は全戦力を要塞方面に集中させているとの事です。」

 

 「宜しい。そうでなければ、ここまで派手に暴れ回った甲斐が無いからな……別働隊の展開を急がせろ。首都包囲網を完成させる。」

 

 

 

 

 

 

 ズダン要塞

 第1防衛ライン

 

 「撃て撃て撃ちまくれっ!!」

 

 大地に砲声が鳴り響き土埃が舞う。轟くような砲声の轟音の合間に魔光砲の連続した射撃音と歩兵の扱う小銃と短機関銃の射撃音に負けずに近衛師団所属第一機甲師団師団長ファング・アームストロング大佐は檄を飛ばす。

 

 「砲身が融け落ちるまで撃ちまくれ!!」

 

 砲声の数瞬後、敵の四足獣に殺到した砲弾が直撃し、凄まじい雷鳴のような爆発音と金属どうしが打ち鳴らされる不快な金属音で戦場を満たす。

 

 「どうだ!?」

 

 流れ弾の巻き上げた土煙がモウモウと四足獣達を隠す。少なくとも最低でも数十発の砲弾の直撃を受けた筈だ。これだけの砲撃を受けて無事な兵器……いや、存在などあっていい筈が無い。だが、土煙が晴れるとそんな彼の予想を尽く裏切る。

 

 「〜〜っ!!」

 

 ファングは大きく目を見張り、思わず声にもならない叫びを挙げる。四足獣達はこちらから見る限り大した損傷も無く、砲撃前と変わらずに整然と進行を続けていた。

 確かに砲弾は直撃した筈だ!?何故、死なない!?何故、斃れない!?何故、破壊出来ない!?

 

 「……化け物めがっ!」 

 

 余りにも現実離れした光景を前に思わず毒づかずにはいられなかった。四足獣達は全ての攻撃を跳ね返し、今度は自分達の番だと言わんばかりに苛烈な砲撃を始める。

 

 『ダメです!!徹甲弾も榴弾も効き目がありません!』

 

 『撃っても撃っても近付いて来るぞっ!?』

 

 『こちら第89砲座!砲弾がもう無い!!』

 

 『こ……こちら11番機!僚機が全滅!!本車両も損傷!至急、応援を!!』

 

 『こちら第8中隊所属22番機!!これ以上は持ち堪えられない!!戦線を突破されるぞ!!』

 

 『こちら34番機!履帯をやられた!脱出する……お……おい待て……アイツこっちを見て…グァー!!』

 

 魔信からは破滅的な通信だけが届く。部下の戦車隊だけでは無く要塞各所の砲台や陣地からも悲鳴じみた通信が彼の耳に響いた。四足獣との距離は遂に1kmをきった。味方の重砲、ダビデ砲や200mmの大口径砲は全滅し、比較的、中、小口径の75mmや37mmの砲でかろうじて応戦している始末だ。無論、ダビデ砲でも貫通できなかった装甲板にそのような砲弾が通用する筈も無く、反撃を受けて無駄な損害を出すばかりであった。

 

 (ありえん!行進間射撃でここまで正確な砲撃など出来る筈が無い!!)

 

 そもそも戦車戦に於いて行進間射撃、つまり走行しながら戦車砲で目標を狙い撃ち正確に直撃させるなど、横と縦に激しく振動する戦車で行える芸当では無い。必ず停止した状態で砲撃しなければまともな命中弾を当てることなど不可能に近いのだ。

 それにも関わらず、敵の四足獣は恐ろしい程の精度と密度で行進間射撃を行っており、その正確な砲撃の前にミリシアル軍守備隊は次々と屠られていた。

 

 「……っく!このままでは戦線が突破される!」

 

 既にミリシアル軍守備隊は砲火器の大半を失い、ファングの配下にいた戦車隊も今や三分の一にまで撃ち減らされていた。そして先の空爆で散々痛めつけられた塹壕内に詰めていた兵士達の士気、戦意は既に限界に達していた。穴だらけになった戦線はいつ崩壊してもおかしく無く、仮に1箇所が崩れれば全てが崩壊する砂の城のようであった。

 

 「ええい!一か八かだ!反時計回りに迂回し敵の側面を狙い撃つぞ!!」

 

 四足獣達は遂に防衛ラインに侵入し始めた。最早、爆撃と砲撃で意味を成さなくなった対戦車障害物や鉄条網を文字通り踏み潰し、必死に抵抗を続ける砲兵陣地やトーチカを破壊しながら侵入する。

 しかし、これはファング達戦車隊にとってはチャンスだ。戦線に深く浸透するという事は、それだけ戦闘車両にとって弱点となる無防備な部分、側面や背面を晒す事になる。決して勝算の無い賭けでは無い筈だと。

 

 「怯むなー!進め!進めっ!」

 

 ファング自身35式重魔導戦車に騎乗し直接、陣頭指揮を執る。崩れかけた塹壕と大破した戦車の残骸の列をうまくかわしながら四足獣の隊列に肉薄していく。その数、およそ重、中、小、各戦車含めて20両足らず、それが今彼が直接指揮出来る最後の戦車達だ。最早、ここまで開いた戦局を挽回出来るだけの戦力では無い。だが、意地と誇りをバネに彼等を突き動かしていた。そんな彼等の思いが神に通じたのか、遂に500メートルの位置に達した。

 

 「くたばれっ!!バケモノが!!」

 

 気合いと共に37mm砲が放たれようとした、その瞬間、後続の10両が次々と爆散する。砲撃ではない。彼等が知らないもっと別の攻撃、ミサイルによる攻撃だ。

 

 『大佐!側面から敵部隊が接近しています!』

 

 「なっ!?側面からだと!?」

 

 彼等の方向からちょうど3時の方向、四足獣達が現れた森林部から何やら巨大な『何か』が接近して来る。それは極めて奇妙な形をしていた。何しろビル1つがタイヤを直接10個も付けて走行しているという余りにも馬鹿げた形状をしていたからだ。

 

 《HAVwA6ジャガーノート》

 

 クローン戦争時に開発された戦車兼兵員輸送車とも言われる機体である。共和国地上軍でクローン・トルーパーと共に戦った本車は戦後、帝国地上軍へと再編された後も一部が引き続き使用されていた。

 その特徴は全高30.4メートル、全長49.4メートルというATーATすら超える体躯に、武装は重レーザー砲一門に中型レーザー砲2門、対人用ツイン・ブラスターユニット2門の他にロケットランチャーとミサイルランチャーを2門づつと極めて重武装であり、この巨体を10輪のタイヤで支えていた。

 兵員輸送車としても優秀であり、最大で300人もの人員に加えて2週間分の物資を同時に運ぶ事ができた。

 

 そしてこの後衛に当たる後続部隊は以下の陣容であった。

 

 ジャガーノート……50両

 ATーST……200機

 オキュパイア武闘強襲戦車……500両

 ストームトルーパー……30000人

 その他、2ーMホバータンク、ATーACT、ATーTE……およそ100両程

 

 

 当初はATーATにATーSTとオキュパイアを随伴させる予定であったが、流石にレールガンや重砲クラスの砲撃には耐えられないと予想され、これらをATーATで一掃した後に突入、戦線の構築とストームトルーパーの浸透、更に戦線の押し上げますも同時に行う手筈であった。

 

 

 (一体、コイツらはどれ程の戦力を持っているのだ!?)

 

 ファングは驚愕よりも戦慄を覚えた。明らかに敵の戦力は自分達の予想を遥かに超えていた。無論、先のブリーフィングで敵の後続部隊の存在は確認していたが、これ程の戦力を派遣しているとは想定していなかったのだ。無論、これはヴィアーズによる作戦の一環であり、敢えて目立つATーATを前面に押し出したのも後続部隊の戦力を欺瞞する為でもあった。

 

 『隊長!敵車両から何かが射出されました!こっちに向かって来ます!!』 

  

 「よ…避けろっ!!」

 

 敵の車両……ジャガーノートの側面からミサイルが次々と放たれる。運悪く側面装甲を突かれた重戦車が直撃を受け爆散し、ファングの乗る戦車にも至近弾が炸裂する。

 

 「がっ……!」

 

 炸裂と同時に飛散した破片がファングの乗る35式の履帯を引き千切り、装甲を貫き操縦士と砲手を穴あきチーズに変えた。キューポラから見を乗りだしていたファングは反動でそのまま地面に叩き付けられる。全身を強く打ちつけられ、混沌とする意識の中、お構い無しに尚も戦闘は続く。

 残存する戦車やトーチカ、砲塁や歩兵陣地は頑固に抵抗を続けた。だが、既に主要な戦線を串刺しにされ、連携はおろか数的有利な状況を失った彼等にまともな反撃などできず、散発的で纏まりの無い抵抗は彼等自身を余計混乱させ、既に敵の手中に収まりつつある戦場に置き去りとなった。

 それに対してジャガーノートを主軸とした帝国地上軍後続部隊は全くの無傷であり、旺盛な戦意と士気を保ったまま防衛ラインに突撃。障害となる全てを血祭りに上げた。空爆で散々に痛めつけられ、ATーATの砲撃で戦力の大半を喪失した守備隊は次々と各個撃破されていった。

 戦局は完全に決した。ささやかな抵抗を早々にねじ伏せ、ミリシアル兵の屍と兵器の残骸を尻目に巨獣達は文字通り歩みを早める。

 

 「よせ……やめろ……そっちに行くな……そっちには俺達の街が……」

 

 友軍の兵士の遺体に埋もれながら、霞むその光景をファングは見送る事しか出来なかった。やがて彼も意識を手放した。

 

 

 

 「総員、降車用意!!」

 

 ジャガーノートやそれに随伴するオキュパイア武闘強襲用戦車やATーSTが、先行したATーATの足跡の上を道のように進む。対戦車障害物も地雷の類も文字通り踏み潰して無力化しているので安全に進む事が出来た。

 ジャガーノートの車内で元クローントルーパーの士官が窓の外の死体の山を見て顔を顰める。

 

 「……酷い光景だ。セレノーを思い出す。」

 

 「ドゥークーの故郷ですか?連中も相当な抵抗を続けたと聞いていますが……」

 

 「あの星の奴等はドゥークーが死んだ事を認めようとしなかった。必ず伯爵はご帰還なされる。それまでの忍耐だ……そう言って女子供も俺達にブラスターを向けてきたよ……」

 

 元クローントルーパーの士官は悲痛な表情を浮かべる。あの頃の自分は戦争について何も知らなかった。年上の兄達から聞いた勇敢なジェダイ将軍との共闘やバトル・ドロイドとの戦闘や遥かな宇宙空間でスター・ファイターとスター・シップ同士の艦隊戦は幼いクローン達に憧れを持たせた。

 

 (はやく兵士になりたい!銀河の英雄達と一緒に戦うんだ!……あの時はずっとそう思っていたな……)

 

 だが、最終世代の自分達が兵士になった時、クローン戦争は終わり共和国は帝国へと変わっていた。ジェダイ将軍は最初からいなかった事にされ、戦う相手もバトル・ドロイドでは無く雑多の小火器で武装した貧相なレジスタンスだった。

 

 (彼等のあの目……一生忘れる事はできんだろうな……)

 

 彼の初めての任地はかつての分離主義運動の中心地だった惑星セレノーだった。当然だが、現地の住民達は帝国に対して一切の協力も共存も拒んだ。彼等の敵意と憎悪の混じった視線はヘルメット越しでも分かる程だった。最早、実現不可能となった共和国からの脱退を掲げ、虚しい抵抗を続ける彼等を銀河帝国は軌道爆撃という形で徹底的に殲滅した。

  

 『これは殺戮ではない!正当な刑の執行である!銀河を分裂させ未曾有の大戦禍を巻き起こした戦争犯罪者の妄言を信奉する狂信者共は自ら招いた罪に対しての罰を受けたのだ!!』

 

 戦後処理を任されたモフのドラ声を今でも思い出す。廃墟と化したセレノーシティと、野晒しにされた白骨の山を見て、自身の見ていた憧れがただの幻想に過ぎない事を思い知らせられた。都合の良い英雄など何処にもいなかった。自分達がやっている事は一握りの権力者の為に大多数の、本来は守るべき人々を無力で管理しやすい存在であり続けるように維持し続ける事だと理解した。それでも彼は例え悪しき国家であろうとも今の帝国に忠誠を尽くすだろう。『優秀な兵士は命令に従う』からだ。

 

 「下手なプライドなり憧れを持つよりも現実を受け入れて潔く諦める事の方が重要だと思うのだがな……」

 

 例え独立国としての立場を失おうとも、屈辱的な条件と言えど服従の道を選べばこの兵士達とて死ぬ事は無かったろうと、彼はセレノーの住民とミリシアル人を重ねて同情を禁じ得なかった。

 

 

 

 ズダン要塞

 地下指令部

 

 「……こんな……こんな馬鹿な事が……」

 

 司令部内は重苦しい雰囲気に包まれていた。要塞各所から報告が上がってきているが、いずれも悲惨なものだ。

 虎の子にして切り札たるレールガンことダビデ砲は禄に活躍する間もなく全滅し、要塞砲や重砲の類も数を減らし今では残骸を晒すだけとなっていた。敵の四足獣はさしたる損傷もなく侵攻を続け前線の防御陣地は既に突破されていた。

 

 (ほんの3時間前までにこの地には我が軍最大の戦力が集結していた筈だ……それが今では……)

 

 中央に設置された魔導ディスプレイには味方を示す青い輝点をまるで侵食するように赤い矢印が徐々に迫って来るのが確認できた。それに反比例するように青い輝点は数を減らし、味方が劣勢なのは明らかであった。

 

 「報告します!敵四足獣が第3防衛ラインを突破しました!現在、最終防衛ラインで食い止めていますが……」

 

 「戦車隊が全滅したとの報告が!」

 

 「……なっ!!そうか……」

 

 絶望的としか言えない報告の山にライオネルら司令部の面々は頭を悩ませる。

 

 (こうも簡単に戦線を突破されるとは……兎に角、時間を稼がねば……!)

 

 戦線は予想以上に多い敵の数に動揺、混乱しており、戦線の縮小と再結集もままならない程であった。

 

 「結界の出力を上げるように。多少は持つだろう……おい、どうした?」

 

 そこまで言いいかけた時、通信士が血相を変えて彼の元に駆けてきた。通信士は息を整え説明した。

 

 「……増援部隊は来れません……」

 

 「今、なんと?」

 

 「カンブリットからの増援部隊が敵の奇襲を受け、全滅したとの事です……一体、何故……」

 

 

 増援は来れない。その場にいた全員が絶句した。理解が追いつかなかった。神聖ミリシアル帝国の破滅は近い。

 

 




 ATーATに関しての描写ですが、M1エイブラムスにマスケット銃で挑むようなような物だと思います。
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