銀河帝国召喚   作:秋山大祭り

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開戦前夜 第2話

 神聖ミリシアル帝国 アルビオン城

 

 「しかし…いささか性急過ぎはしなかっただろうか。いくら属国化を要求されたとしても…」

 

 「ですが陛下…あの要求を形だけとは言え受け容れれば我がミリシアルの沽券に関わります。」

 

 「左様…そもそも身の程知らずの蛮族の戯言とは言え恐れ多くも陛下に対して奴隷のごとく振る舞えなどど…」

 

 アルビオン城の謁見の間において神聖ミリシアル帝国皇帝《ルキウス・エルダート・ホロウレイン・ド・ミリシアル》通称ミリシアル8世は言った。第一第二文明圏会議での奇妙な乱入者のおこした騒動と顛末について報告を受けていたのだ。

 

 「その銀河帝国を名乗る者共は我が国だけではなく会議に出席した全ての国に対して服従を要求してきました。ここで甘い顔をすれば我が神聖ミリシアル帝国がむしろ弱腰だと侮られる事になりましょう!」

 

 外務大臣ペクラスは興奮気味に言葉を並べた。当初はうまく懐柔しようとダルダの無礼な態度に我慢していたが、当の銀河帝国の要求はあまりにも酷いものだった。その内容は以下の通りだった。

 

 第一に各国は銀河帝国ならびに銀河帝国皇帝シーヴ・パルパティーンに忠誠を誓い帝国と皇帝の意思を無条件で受け入れる事。

 第二に各国の王または首相は皇帝の代理人として一地方自治領首としてのみ存続を許される。なお選定に関して銀河帝国側に全権が許されており、これ以外の決定は認めない。

 第三に惑星全土を保護するために銀河帝国より派遣された総督を惑星の管理者として新たな統治者として認める。これには一時的にベイダー卿が着くとする。

 第四に各国は治安維持のために銀河帝国宇宙軍を無条件で駐留させる事。ならびに維持費用捻出のために軍備予算を現在の3割に削減する事。

 第五に各国は銀河帝国軍による治安維持行為に関して無条件かつ無償の協力を惜しまない事を確約する。

 

 

 以上が銀河帝国が提示した条約の内容であった。この他にも数十にも及ぶ屈辱的な要求に対して、無論各国政府の出席者達は激怒し、ダルダが帰ったあとミリシアル政府と各国政府は協調して銀河帝国の脅威に対抗する事を決定した。

 

 「すでに、ムー国を含めアガルタ法国、トルキア王国、リビズエラ王国の軍がここ、ルーンポリスに集結しております。また我が国、いや世界最強と言っても過言ではない第零式魔導艦隊も到着しております。銀河帝国とやらがどれ程の戦力を持っていても破る事などできないでしょう。」

 

 そう国防省長官アグラ・ブリンストンは言った。最も彼から見れば自国の軍だけで事足りると思ったが各文明国に対して神聖ミリシアル帝国の軍備を見せつけるのに良い機会だとも思っていたので各国の軍の受け入れに関して積極的に受けていた。

 

 「うむ…貴公らの言いたい事はよく分かった。余もこの軍勢が敗れるとは思えん。二人とも大義であったな下がってよいぞ。」

 

 ペクラスとアグラが退室した後、ミリシアル8世は深い溜息をつく。銀河帝国を名乗る謎の勢力について何も知らないまま戦争を起こそうとする臣下たちの浅はかさに内心、疲れたのだ。

 

 「まったく次から次へと厄介な問題を…」

 

 無論、あの要求を無条件で受け入れる事などできない。しかし落とし所を見つける事はできなかったのだろうか。近年ミリシアルでは列強第一位という自信からか他国を見下したり自国以外の価値観を認めない等、視野が狭くなっている者が増えていることを危惧していた。現在のミリシアルでは、かの魔帝に敵わないというのに建国当初の人類の盾としての理念を失いつつある現状に大きく危機感を抱いていた。

 

 (しかし…悩んだ所で何も解決せん。私もやれる事をやらねばな。銀河帝国…嫌な予感がする。)

 

 ミリシアル8世は自身の書斎の魔導電話、皇帝以外に使う事ができないある秘匿回線に連絡する。

 

 「私だ。例の〘アレ〙は使えるか?期限は5日後だ。うむ…無理は承知の上で上手く調整してほしい。今回は魔帝の遺産をかなり大量に保有する者達が相手だ。分かった分かった鹵獲、接収した物は真っ先に貴公に調査させるよう取り計らうようにしよう。では頼んだぞ。」

 

 チリンと受話器を置くとミリシアル8世は椅子の背もたれに深く腰を下ろし再びため息をついた。相手が魔帝の遺産を持っている以上、万全の態勢で挑まねばならない。各国への協力依頼や関係庁舎への連絡等、皇帝としての職務は多忙だ。目の前の書類に目を通す。

 

 「今日は徹夜だな…」

 

 

 

 ムー王国 首都オタハイト

 

 第二文明圏の雄にして、この世界では珍しい科学文明を持つ国家、ムー国の首都である。そこではムー国国王ラ・ムーが国防大臣ルゲウスから報告を受けていた。

 

 「派遣する艦隊の内訳はどんな内容かね?」

 

 「はい。我が国からはラ・カサミ級を3隻、ラ・コスタ級を2隻、ラ・デルタ級を6隻派遣する事を決定しました。」

 

 「最新型のラ・カサミ級を3隻もか…本国の防衛は大丈夫なのかね?近頃はレイフォルの動きも気になる。その上、銀河帝国とやらが真正直にルーンポリスに奇襲をかけるとは思えんのだが…彼らのブラフという可能性は無いのかね?」

 

 「ご安心ください。首都オタハイトを含め各地の哨戒に抜かりはありません。レイフォルに関しても国境の警戒レベルを上げており猫の子一匹入る事も出来ないでしょう。」

 

 ルゲウスは楽観的に言った。正直に言って彼は銀河帝国の使者が言った事をほとんど真に受けていなかった。軍勢を差し向けるのであれば徹底的に叩き伏せれば良いだけだし何も来なければ、それはそれで列強の力に臆して逃げ出したという風に宣伝できる。言うなれば今回のルーンポリス防衛戦はいわば各国軍のお披露目と言ったほうが正しいだろう。

 

 「しかし…この銀河帝国という国家…かなりの自信を持っているようだがミリシアル帝国に喧嘩を売るような行動にでるとはな。」

 

 「どちらにせよミリシアル側は本気で対処するとの事です。我々も同じ列強国として支援していくべきです。」

 

 「うむ。よろしく頼むぞ。」

 

 

 

 

 

 惑星軌道上 デヴァステイター艦橋

 

 「現在、偵察用ドロイドを含め捜索を続けていますが…反乱軍の痕跡はほとんど確認できていません。」

 

 「捜索を続けさせよ。どこかに潜んでいるはずだ。」

 

 ベイダーはダルダに指示を出す。今の所、反乱軍の潜伏していそうな場所にドロイドを派遣して調査させているが限界があるようだ。

 

 (あれだけ騒ぎを起こせば反乱軍も黙っていないと思ったがこの大陸にはいないようだ。)

 

 ベイダーら銀河帝国艦隊にとって、この惑星の征服などあくまでついでに過ぎず本来の目的は反乱同盟軍の討伐である以上、関係があると思われていた列強諸国への服従要求をすれば何らかしらアクションを起こすと思っていたがいまだに進展はない。

 だがベイダーは確信を持って反乱軍が潜伏していると断言できた。彼がかつて名乗っていた名前、まだジェダイの騎士だった時に彼がよく知る人物の気配を感じたからだ

 

 (必ずどこかにいるはずだ。)

 

 

 

 

 

 

 中央暦1638年2月20日

 神聖ミリシアル帝国 首都ルーンポリス

 

 今日この日、神聖ミリシアル帝国いや、この星全土を揺るがす日となる事をこのルーンポリスの住民達は知らずに過ごしていた。

 ルーンポリスにある集合住宅のベランダにて一人の主婦が洗濯物を干していた。上空を特徴的な爆音が過ぎ去っていく。彼女は知らなかったが、テーパー翼を持ちジェットエンジンに似たエンジンを搭載した神聖ミリシアル帝国軍が誇る最新鋭の天の浮舟《エルペシオ3》である。

 

 「いやねぇ…こんな朝早くから飛ばなくてもいいものを…」

 

 彼女は特に軍に対して悪感情を持っているわけでは無い。しかし、ここ最近頻繁に空を飛ぶ天の浮舟やワイバーンに辟易していた。通るたびに爆音はうるさいし、もし墜落したらと考えると心の底からゾッとする。夫や息子達は喜んでいたが正直に言っても何がおもしろいのかまるで理解ができない。

 気を取り直してベランダからリビングに入り朝食の準備を始める。彼女を含め一週間前のルーンポリス国際会議場での一件の事を正確に把握している者は皆無であった。国内でのテロ騒ぎで市民を混乱させない為に政府が情報を統制したからだ。何よりもほとんどの一般市民にとって今回の騒ぎよりも日常を過ごす事の方が忙しいからだ。

 事実、情報統制があったとは言えほとんどの市民にとってルーンポリス国際会議場で爆弾騒ぎがあったのだの非文明国が宣戦布告したのだの天下のルーンポリスでそんなことが起きるはずも無いような噂などに誰も相手にしなかったのだ。

 

 彼女は朝食を作りながら今日の予定を考えていた。

 

 「今日は天気も良いから、お昼は外でピクニックにいこうかしら。」

 

 今、ルーンポリスでは不要不急の外出は自粛するように公共放送で言われていたが近くの公園でピクニックをするぐらいなら許されるだろうと。

 

 ふとベランダを見ると先程まで明るかったのに大分薄暗くなっていた

 

 「ちょっと…雨?まったく天気予報もあてにならないんだから…」

 

 せっかく立てた予定が台無しになり少し不機嫌になった彼女は洗濯カゴを持ってベランダを出る。雨はまだ降っていないようだと何気なく空を見上げた…そして持っていた洗濯カゴがベランダのコンクリートの上を転がった

 

 彼女は大きく見開いた目でソレを見た。ソレはあまりにも大きすぎた。何故誰も気づかなかったのか、何故空を浮いているのかと彼女だけではなくソレ〔インペリアル級スター・デストロイヤー〕に同じ感想をいだいたのだ。

 

 「あ…あなた…あなたー!」

 

 神聖ミリシアル帝国の崩壊は今まさに始まろうとしていた。




 正直、突貫で書いたので読みづらいかもしれません。
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