銀河帝国召喚   作:秋山大祭り

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 お久しぶりです。秋山です。
 近々、投稿を再開したいと思います。 



第4話 崩れゆく日常

 「このビルか!?まったく!」

 

 「ヒーソ巡査!2ブロック先でも、事故が…」

 

 「お前達は事故処理に行け!避難誘導は俺一人でも足りる!」

 

 「了解であります!」

 

 

 ロナウド・ヒーソ巡査長は部下達と別れて、ビルのエレベーターの扉が開くのを待つ。

 

 「…まったく…次から次へと…」

 

 息を整えながらエレベーターの表示版を睨みつける。このビルは30階建て高さがおよそ140メートルの大きさであり屋上にはビアホールが設置されており、夕方から夜中までには日中の疲れを癒やすべく、大勢の人々で溢れかえる場所だ。

 しかし、今は早朝。当然ビアホールは営業しておらず、通常ならば今の時間帯は閑散としているはずなのだが…

 

 「どこのバカだ?こんな時間から酒盛りし始めたのは?」

 

 ヒーソはエレベーターの操作盤の最上階を苛立ちながら押して呟く。避難誘導を行っている時に、新しい通報が入ったのだ。それによると、このビルの屋上で大勢の人々が集まっているというのだ。

 エレベーターの扉が開き、ヒーソが屋上に出る。

 

「おい!どいてくれ!邪魔だっ!」「何言ってんだ!後からきた癖にっ!」「すごいな、それ、ムー国製か?」「あぁ、半年前に第二文明圏に行った時に買ったんだ。」「ホラ、並んで並んで。」「ちゃんと写ってる?友達に自慢しなきゃ!」

  

 屋上には二十人程の群衆がひしめいていた。それぞれ避難など考えもしなかったのだろう。ムー国製のカメラで上空の巨大物体を撮る者。記念撮影をする者。ヒーソは怒りよりも呆れの感情で、ため息をついた。階下ではたかが魔導ラジオ1個のために殺人事件までおきているというのに。

 

 「全員聞こえるか?!今から、退去してもらう!皆、避難するんだ!!直ちにな!」

 

 「今、撮影中なんだ。後にしてくれ。」「肩の力、抜きなよお巡りさん。」

 

 ヒーソは声を挙げるが、ほとんどの人々は気づかなかった。気づいた者も迷惑そうな顔で相手にもしない。

 

 「…」  ツカツカ…

 

 ヒーソは無言でカメラを持った男の前に立つ。そして、手に持っていたカメラを取り上げると、後ろに放り投げた。

 

 「ああ!何をするんだ!」

 

 「周りがどうなっているか知らないのか?下では、何十人も死人がでているんだぞ。」

 

 「そんな事、俺達に関係ないじゃないか!」「これは権利の侵害だっ!警察の横暴だっ!」「公権力に断固として立ち向かうぞっ!」

 

 ヒーソは腰のホルスターのボタンを外す。カバーから覗く黒光りする魔導拳銃の銃床に一同は息を呑む。

 

 「俺にこれを抜かせるんじゃない。警告はしたぞ?」

 

 「クソっ だから、警官は嫌いなんだ…」

 

 「好きなだけ言うがいいさ。だが、大人しく俺の指示に従ってもらうぞ…」

 

 ヒーソは自分の癇癪が爆発しないように抑えながら、上空を占領する巨大物体を睨みつける。

 

 「ふ…不公平だ!俺達だけが真っ先に逮捕されるなんて!他の連中はどうなんだ!?」

 

 「他の連中?一体どういう事だ?」

 

 「ホラッ!あっちのビルにだって、沢山、人がいるのに!」

 

 「私達だけ、罰を受けるなんてズルい!」

 

 ビーソは慌ててビルのフェンスから、他のビルを見る。街の様子は相変わらず混乱に包まれている。だが、他のビルの屋上はそれとは相反して、自身がいる屋上とさほど変わらない様子に見えた。むしろ、通りのちょうど真正面にあるビルに至っては、このビルの倍近く、およそ50人程がたむろしており、他のビルでも同じような群衆がいた。

 

 

 (よりによって、こんな場所で!こんな時に!馬鹿騒ぎしやがって!)

 

 「司令部!司令部!こちら、巡査番号4569番ロナウド・ヒーソ巡査だ!大至急応援を求む!市民の避難誘導に人が足りないっ!もっと応援を…!?」

 

 ヒーソはそこまで言って、魔導無線から耳を離す。無線からは、ジジジやガガガといった耳障りな音しか出ず、明らかに使い物にはならなかった。

 

 (こんな時に…!故障したのか!)

 

 自分だけでは事態を収縮させる事はできない。一体どうすればいいのか?

 

 

 「皆!あれを見ろ!」

 

 (今度は何なんだ…!)

 

 苛立ちながらも、群衆の1人が指差す方向に目を向ける。

 

 「す…すごい!あんなにたくさんの天の浮舟が…」

 

 「エルペシオ3だ!ムーの飛行機械もいるぞ!」

 

 「魔写を撮れっ!一面スクープもんだぞ!」

 

 

 ヒーソもその光景を目を丸くして見ていた。神聖ミリシアル帝国が誇る最新鋭の天の浮舟。それが空を埋め尽くさんと飛行している。

 

 「すごいな…これは…」

 

 100、200いや、もっと多い!特徴的な轟音を轟かせ、飛行物体に向けて飛ぶ様は、まさに圧巻であった。

 

 「一番後ろを飛んでいるのはゲルニカだな。多分、爆撃機仕様のタイプだ。」

 

 「その前を飛んでいるのはワイバーンで…真ん中にいるのがムー国のマリンって奴だな。」

 

 「そんで一番先頭を飛んでいるのは!我らがミリシアルが誇るエルペシオ3だ!見よっ!あの雄々しい姿を!」

 

 

 群衆達がさかんに、それぞれ思ったことを口にする。上空の光景はある意味、現在の各国の軍事力を示していた。

 エルペシオとジグランドが先頭を飛び、その後ろをマリンが追い、ワイバーンが遅れまいと羽ばたいていた。

 

 (これだけの数…相手が何であれミリシアルが負ける事は無いだろうな。)

 

 ヒーソはそう思った。これだけの規模の軍勢を打ち破るなど、世界の何処を探しても見つかりはしないだろう。それこそかの魔帝であっても。

 

 「おい 見てみろ!あの巨大物体の形が変わっているぞ!」

 

 「バカ!方向が変わっただけだろうが!」

 

 「あっそうか…でも、あれだけの大きさなのに、よく一斉に向きを変えられたな。」

 

 男達の会話を何気なく聞いていたヒーソは上空の巨大物体に目を向ける。確かに先程とは向きが変わっている。まるで小島に建てられた城郭をそのまま宙に浮かしたような姿は見る者に異様な威圧感を与えている。

 

 (しかし、いったい、どうやって浮いているんだ?)

 

 ヒーソは半ば、警官としての職務を忘れ目の前の光景を眺めていた。上空を覆う謎の巨大物体に、この世界で最高の戦力を持つ航空機達

 余りにも現実味が無かったからだ。

 

 

 

 瞬間、巨大物体から閃光が走った。そして、正面にいた、ありとあらゆる物体が一瞬で消滅した。

 

 「え?」

 

 思わず、出た声が自分から発せられた事にも、ヒーソは気づかなかった。巨大物体からは緑色の光線が束になって、数百、数千にも及ぶ、それこそ光の絨毯とも呼べる程の弾幕が空を覆ったのだ。

 

 「うっうわぁ!」「なんだよあれは!」「直視するなっ!目をやられるぞ!」「エ…エルペシオ3が…」

 

 光の絨毯の直線状、すなわち世界連合軍の大部隊はほとんど避けることが出来ずに飲み込まれ、原子の海に回帰していった。

 

 「う…嘘だろ…?」

 

 目の前の光景が信じられず、その場に立ち尽くすヒーソ

 帝国の象徴だったエルペシオ3はその性能を生かせぬまま空中で火球と化し、ジグラント3は搭載されていた爆弾もろとも爆発し、不細工な花火と化した。ムーのマリンがティシュペーパーのように燃え、ワイバーンに至っては搭乗していた竜騎士ごと跡形もなく蒸発していた。

 

 「夢だ…こんな事、ありえるはずが無いっ!」

 「きっ…きっと幻覚かなんかだ!そういう魔法を使って、ありもしない幻を見せているんだっ!」

 「そ…そうだ…夢か、幻に違いない…きっとそうだ…」

 「敵は俺達に勝てないから、こんな卑劣で卑怯な攻撃しかできないんだ!」

 

 

 集まっている群衆達が次々と自分達に都合の良い、現実逃避の夢の中に逃げ込み始めた。彼らが信じる世界の常識、列強最強の祖国神聖ミリシアル帝国

 幼い時よりミリシアルは世界の中心であり、列強序列第一位の超大国であり、他の文明を導く存在であると教育されてきた。そして、いずれ訪れるであろう、魔帝ことラヴァーナル帝国との終末戦争を乗り越え、この世界を本当の意味で調和と融和で包む。

 ゆえに、たとえどんな相手が挑んで来ようとミリシアルが敗北する事などあり得ない。いや、あってはならないのだ。神の祝福を受け、世界を魔帝の脅威から救うであろう自分達、神聖ミリシアル帝国が敗北してしまえば一体、誰が世界を救ってくれるというのか?

 

 

 だが、現実は非常であり不条理に満ちていた。彼らから逃避する権利も奪っていったからだ。

 

 突如として、疾風が彼らの前を駆け抜ける。まるで悲鳴のような轟音を鳴らしながら、それはものすごい勢いで世界連合軍の編隊に襲いかかった。

 

 「こんどは何なんだっ?!」「もういいかげんにしてくれっ!」

 

 それは、エルペシオやマリンとは異なる技術で作られているのは、すぐに分かった。ボール状の胴体を挟むように2枚の板のような翼を持つ物体等、聞いたことも見たこともないからだ。

 ビルの谷間を抜け、上昇していく飛行機械。彼らの向かう先にはジグラントの編隊がいた。この部隊はジグラント2と3の混成部隊であり、特徴的な機体には巨大な爆弾が搭載されていた。その飛行機械は下方からジグラント隊の無防備な腹部に向けて、緑色の光線を放った。

 

 「ッ…!!」

 

 爆弾に直撃したのか数機が派手に爆発し、何機かが尾翼や主翼から炎と黒煙をあげて落ちていく。

 攻撃を加え去っていく飛行機械にエルペシオの編隊が追いすがっていく。だが、速度が遅いため、どんどん差が開いていく。

 「負けるなっ…!頑張れっ…!」

 

 それでも、追いつこうとするエルペシオ隊に別の飛行機械の編隊が接近する。

 

 「あ…危ない!」

 

 ヒーソはそう叫ぶが非情な事にエルペシオ隊は攻撃を受けてしまう。

 

 「あぁっ!」

 

 エルペシオ3の機体が爆発し、空を覆う残骸の一部と成り果てた。他の天の浮舟やマリンの部隊も、明らかに飛び方に精彩さを失っていた。他の編隊同士で連携を取れている者は殆どおらず、それぞれがバラバラに空中戦を始めていた。

 しかし、ミリシアル軍のエルペシオやジグラントでも歯が立たない機体相手に、マリンやワイバーンでは、太刀打ちできるはずも無く、あっという間に返り討ちにされていた。

 

 (天の浮舟の性能でも向こうが上回っているのか…!)

 

 ヒーソはショックを受ける。素人目に見ても、世界連合軍の苦戦は明らかだった。敵機は縦横無尽に空を駆け巡り、エルペシオやマリンを集団で追い回しては火球に変えていく。それに対して、世界連合軍の天の浮舟や飛行機械の統制は完全に失っていた。だが、それはある意味当然の帰結であった。

 そもそもエルペシオやマリンにワイバーンのような運用方法も戦術すらも異なる兵器と兵員を一緒くたに連携させる事事態が無理な話なのだ。

 

 (ッ…!)

 

 上空から轟音が迫ってくるのを聞いたヒーソはその方向を見て、目を見開いた。エルペシオが真っ逆さまで自分達のいる街めがけて墜落しているのである。機体は主翼から炎と黒煙をあげながらキリモミ状態で墜落していた。

 

 「みんなっ!!!伏せろっ!!!」

 

 そう叫びながら、彼自身も頭を両腕で覆う。刹那、凄まじい爆発音とコンクリートが崩れる音とガラスが割れる音が同時に鳴り、地響きと悲鳴、そして一瞬、覆われていない両腕の隙間から熱風混じりの粉塵が彼の顔に吹き付ける。

 

 「ゲホッ!…ゲホッ…」

 

 咳き込みながらも周りを見回すヒーソ。モウモウと周囲には粉塵が舞い、目の粘膜をひりつかせる。天の浮舟用の液体魔石の燃える匂い、鉄の焼ける匂い、そして肉の焼ける甘ったるい匂いが充満していた。

 

 「さっきの機体は…どこに…っ!」

 

 何気なく横を向いた。そこにはビルだった物の残骸が建っているだけであった。屋上だった場所は跡形もなく吹き飛んでおり、ビルの大きさも、さっき彼が見た時の半分程になっていた。爆発に巻き込まれていない階下の部屋も炎上しており

窓から激しく炎が吹き出していた。

 

 (液体魔石が階下に流れ込んだのか…)

 

 炎は激しく燃え上がり、このまま放っておけば、この辺り一角の建物も火事で燃え尽きるだろう。そう考えてヒーソは思い出した。さっきまで、そのビルの屋上には大勢の人々がいたことに。

 

 (た…確か50人はいたはずだ…あの人達は……っ)

 

 そこまで考えるのが限界だった。ヒーソは胃袋を巨人に握り潰されるような感覚を覚え、文字通り今朝の朝食の残骸を地面に吐き出した。

 

 「ハァハァ…クソったれが…」

 

 不快感を押し殺しながらもヒーソは冷静さを取り戻しつつあった。自分がこのビルにいる人達を安全な場所に避難させる為にここにいるのを思い出した。事態は刻一刻と悪くなっている以上、急いで避難させなければならない。

 

「あれを見て分かったろう…今すぐ逃げないと、ますますヤバい事になるぞ…」

 

 「あ…あぁ…そうだな…」「こんな事になるなんて…」「うぅ…神様…」「俺達は…これからどうなるんだろう…」

 

 群衆は明らかに憔悴していた。無理はない。世界最強とも言われていたエルペシオがここまで簡単に一蹴されていく様を見せつけらればそうもなろう。

 

 「お…おい…エレベーターが動かないぞ!」

 「非常階段だ!どこにある!?」

 「だめだっ!鍵がかかっているっ!」

 

 男たちは扉やフェンスを押したり蹴ったりするが真新しい金属の光沢を放つ様から見てもそれらが最近、作られた物なのは明らかだった。

 

 「どいてくれっ!俺が開ける!」

 

 魔導拳銃を両手で構え、2発発砲する。鍵と鎖が破壊され、力なく垂れ下がる。ヒーソは扉を開けて非常階段を調べる。

 

 (全員、一度に避難させるのは無理だな。一列で順番に下りてもらおう。)

 「皆!一列でゆっくり降りるんだっ!落ち着いて降りれば安全だ!」

 

 「よ…良かった…私達は助かるのか…」「ありがとう!お巡りさん!」「あんたが居て本当に良かったよ…」

 

 「わ…分かったから早く行け!」

 

 ヒーソは心の中に奇妙な満足感が満たされていくのを感じていた。彼はかつては警察官に憧れていたが、いざ自分が警官になってみると、その現実に幻滅していたのだ。

 交通整理では轢き殺されかけるは、酔っぱらいを介抱しようとしたら反吐を吐きかけられ、酔ったチンピラに鼻をへし折られた事もある。(ちなみに、そのチンピラはすぐに彼に病院送りにされた。)不愉快な仕事だが誰にも感謝されない、そんな日々に鬱屈とした日常を送っていたのである。

 故に直接、真当に感謝される事に照れくさく感じた。

 

 「そこのあんた!あんたも逃げろ!」

 「ま…待ってくれ!この機材だけでも、持って帰らないと…」

 

 男は明らかに、一人では持てない程の荷物を持ち込んできていたようだ。ヒーソは内心、呆れながらも荷物の一部を肩に担いだ。

 

 「ほらっ。こっちは俺が持つから行った行った。」

 「あ…ありがとうございます!」

 

 この街にいる市民、全てを助けるのは不可能に近い、だが助けられる人もいるはずだ。ならば、この場にいる人達だけでも助けなければいけない

 

 「ん?」

 

 ヒーソは不気味な轟音が迫っているのに気づいた。空を見上げて、自分の不運を呪った。

 

 「クソ!神よ!」

 

 爆撃機型ゲルニカが自分達のいるビルに向けて墜落していた。ゲルニカは主翼から火を上げており、ぐんぐんと高度を下げていた。彼らは知らなかったが、この時点でゲルニカのパイロットはすでに事切れており、この機体を止める事は誰にもできなかったのだ。

 

 主翼がヒーソ達のいるビルの側面をえぐり、火花と粉塵が舞った。

 

 「うっ…うおぉっ!」

 

 金属が軋む音、コンクリートが粉砕され、崩れ落ちる音、舞い上がる粉塵、そして沸き上がる悲鳴

 

 「ゆ…揺れているぞ!大丈夫なのかっ!」「おいっ!早く降りろ!」「無茶言うなっ!」「クソっ!退け!」「よ…よせ!バカ野郎!」

 

 非常階段でもパニックが起こっていた。元々、あまり大きくもない階段を無理に通ろうとして、すし詰め状態になってしまいほとんどの人間が降りれなくなっていた。

 

 「ビルが崩れる!」

 

 ビルは倒壊しつつあった。正確には彼らがいる屋上のビアホールが傾斜しつつあった。酒瓶やグラスが地面に落ちて割れ、イスやテーブルが傾斜に従って滑り落ちる。

 ヒーソは必死に手摺に捕まって落下しないようにしたが、もう一人の男はパニックになったのか、突然、走り出した。

 「おいっ!危ないぞっ!」

 「助けてくれぇ!」

 

 悲鳴を上げながら走り出すが、彼には運が無かったのだろう。駆け出した足元に丁度、大量の酒瓶が波の様に転がってきたのだ。バランスを崩し、ビンやイスに押し流される様に倒れ込み、屋上の傾斜を滑り落ち行く。

  

 「落ちるぅ!助けて!」

 「手を!早く!」

 

 彼の手を掴もうとしたが、遅かった。崩れたフェンスから悲鳴を上げながら地面に落ちていった。

 

 「畜生がっ!」

 

 目の前で助けを求めていた人を助けられなかった。ヒーソは自身の無力さに苛立ちの怒号を上げる。

 非常階段に殺到していた人々も激しい揺れとすし詰め状態のせいで降りれないでいる。

 

 「早く降りてくれぇー!」「だめだっ!上に戻れっ!」「もうお終いだ!」

 

 その時、ビル全体が激しく揺れ、傾斜が酷くなった。更に追い打ちをかけるように地面が激しく揺れる。小規模だが地震が起きたのだ。

 

 「さっきの…ゲルニカが落ちたのか…」

 

 地震の原因はヒーソ達のいるビルに壊滅的なダメージを与えた爆撃機型ゲルニカが墜落、爆発したのが原因だった。

 

 (とにかく、なんとか降りないとな…皆を落ち着かせなくは…)

 「っ…!」

 

 ヒーソが目を向けると非常階段は消えていた。降りようとしていた人達と一緒に無くなっていた。ヒーソは気づかなかったが、先程の地震で、既に構造材が限界を越えていた階段が落下したのだ。下を見るが粉塵と煙で確認できなかった。だが140メートル近くあるビルから落ちたのだ。さっきの男と同様に命はないだろう。

 

 「何故だ…なんでこんな事に…」

 (この人達はただ見物に来ていただけなのに…)

 

 避難指示を無視し続けたとは言え、彼らが死ななければならない理由がどこにあろうか?理不尽に殺されるような事をしたのだろうか?怒りとも虚しさといえないものが心を覆っていく。

 

 「くっ…」

 

 体力は人並み以上にあるとは言え、さすがに辛い。懸垂の要領で登ろうとするが手摺りが汗で滑り思うように進めない。

 

 「あっ…」

 

 目の前に酒樽が転がってくるのが彼の見た最期の光景だった。頭部に強い衝撃を受け、自身の体が惑星の引力に引かれていくのを感じた。

 

 




 やたら長い割に、まったくと言っていい程、進んでないんですよね。内容も前作とほとんど同じような内容ですし…

 明日、もう一作投稿します。
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