銀河帝国召喚   作:秋山大祭り

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第5話 戦争のはらわた

 《タイ・ファイター》

 

 銀河帝国が開発した汎用スターファイターである。タイタニウム複合合金製のコックピットにクワダニウム製のソーラーパネルを備えたシンプルで信頼性の高い性能である。

 シールドこそ備えてはいないが、その代わり圧倒的な加速性と機動性を有しており、何よりも操作が素直でパイロットの思ったように飛んでくれる事からも、防御力が低い事を抜きにしても、タイ・パイロット達は自分達の駆るタイ・ファイターに愛着と誇りを持っていた。

 彼女もその一人であった。

 

 

 

 「落ちろっ!」

 

 敵の大型飛行機、正確には爆撃機型ゲルニカにレーザー弾を撃ち込む。ゲルニカは呆気なく爆発し、地上にスクラップをばら撒きながら落ちていく。

 

 「後ろかっ!」

 

 後方から、弾丸が迫る。彼女は自身の駆るタイ・ファイターを急旋回し、攻撃を回避する。

 

 「この私を落とそうというのか…身の程知らずめが!」

 

 元々はゲルニカを護衛していた部隊であろう。エルペシオ3が3機追尾してきた。護衛の対象を破壊され、頭にきているのか射程距離にも入っていないにも関わらず機銃弾を放っている。

 

 「驚かしてやるか」

 

 正面のパネルを操作し、カウンターメジャーを起動した。

 タイ・ファイターの後部からミサイルが発射され、丁度、真後ろにいたエルペシオが直撃を受け爆発する。

 サイナーXX-5シーカー弾頭である。元々は、自機に接近する震盪ミサイルやプロトン魚雷を迎撃するための兵装だったが当然、ミリシアル軍のパイロット達に分かるはずもなく迎撃する事も回避する事も叶わず直撃を受けたのだ。

 

 僚機を撃破されて、動揺するエルペシオを尻目に、彼女は自機を一気に加速させ、急旋回し、敵の1機に照準を合わせる。

 

 「喰らえっ!」

 

 L-s1レーザー砲から放たれたレーザーがエルペシオの胴体を貫き、木っ端微塵に爆発させる。逃走する残る1機に狙いを定める。

 

 「終わりだ!」

 

 震盪ミサイルを発射しようとするが、その前にエルペシオの機体がレーザーで貫かれて撃破された。レーザーが放たれた方向に彼女は怒号を挙げる。

 

 

 「おい!私の獲物だっ!」

 『早い者勝ちさ。お嬢様』

 

 『ソル、ヴォンレグ、二人共落ち着け。』

 

 彼女達の上官であるヴァルコ・グレイ中尉が諌める。

 

 『ここは敵地だ。任務を忘れるな。』

 

 『しかし、本当に反乱軍と協力関係にあったのか?手応えが無さ過ぎる。』

 

 ヴォンレグが、つまらなそうに言う。一般兵士と違い彼ら《タイタン中隊》のメンバーは今回の遠征が反乱同盟軍の殲滅にある事を知らされている部隊の1つであった。

 

 『飛び方が違う。ミサイルを避けようともしない。』

 

 『反乱軍のXウイングやYウイングもいない。ベイダー卿はこの惑星に反乱軍の造船所が建設されていると仰っていたが』

 

 「コイツらの操縦、まるで、素人以下だ。ドッグファイトも回避もロクにしない。」

 

 

 

 タイタン中隊は銀河帝国軍が誇るエースパイロットを集めた文字通り、精鋭部隊である。故に彼らが派遣される戦場は極めて危険な激戦地か、もしくは友軍の掩護が受けられない孤立した宙域か、あるいはその両方の場合もある。

 しかし、彼らはどんな状況下に置かれても生きて帰還してきた。帝国、いや銀河系においても彼ら程、実戦経験の豊富なパイロット達はいないだろう。だからこそ、ミリシアル軍機の行動は極めて奇異に思えた。

 まず、機体性能からして異常だ。シールドやカウンターメジャーの類は装備しておらず、速度も500キロをいくか、いかないかの速度でしか飛べず、はっきり言って自殺志願でもあるのかと、疑う程だった。

 

 

 『通りで楽なわけだ。対空砲なぞ掠りもしないぞ。』

 

 『シェン そっちの様子はどうだった?』

 

 タイタン中隊のメンバーの一人であるシェンが合流する。

 

 『対空砲25門とファイター4機にザンドゥー擬きを8匹だ。お前らは何機落とした?』

 

 彼の乗機であるタイ・ボマーを近づけ、質問してきた。

 

 「私はファイター15機と爆撃機型を3機だ。」

 

 『…ファイター14機と飛行型クリーチャー7匹だ。』

 

 「なんだ。デカイ口を叩いた割には、お前が最下位か。」

 

 『フン すぐに追い抜いてやるさ!』

 

 

 殺伐とした戦場には似合わない遅緩した雰囲気が漂う。彼らからみれば、今回の遠征は比較的簡単だったからだろう。

 

 『撃墜数など、どうでもいいだろう。問題は無事に任務を完了させる事だ。』

 

 『グレイ そう言うアンタはファイターだけで30機は落としただろう。』

 

 『機体のおかげだ。このタイ・ストライカーのな。』

 

 

 

 グレイの乗る機体、タイ・ストライカーは一般的なタイ・ファイターとは明らかに異なる設計をしていた。ソーラーパネル状の翼がある事は同じであるが、ストライカーの場合、平面に設置されており、あたかも、この惑星の飛行機にも見える様な外見であった。無論、それには理由があり、本来タイ・ストライカーは大気圏内での運用を目的に試作された機体をベースに再設計された機体であり、宇宙空間よりも惑星内での戦闘に特化した、この任務にはもってこいの機体なのだ。グレイの乗る機体は先行量産型の1機であった。

 

 『……待て。通信だ。』

 

 『デヴァステイターより、タイタン中隊へ 新たな任務だ。ゼノスグラム空港で部隊が足止めを食らっている。これを撃破し、強襲制圧を援護せよ。』

 

 『了解した。直ちに向かう。』

 

 グレイは正面のコンソールを操作し、ゼノスグラム空港の位置をリンクさせる。

 

 『聞いていたな?俺に続け。』

 

 『まったく、ベイダー卿は人使いが荒いな。』

 

 『俺は敵を倒せればそれでいい。』

 

 ソルも自身のタイ・ファイターのエネルギーをエンジンに集中させ一気に加速する。

 

 「敵がなんだろうが構わん。帝国に仇なすクズは私が根絶やしにしてくれる。」

 

 

 

 

 

 




 
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