魔法少女リリカルなのは 魂を受け継ぐ魔神皇帝   作:ユニコーン

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大変お待たせいたしました!

なんとか更新です!

それでは、どうぞ!


第六話

 

「ユウ…君…?」

 

「久しぶりだな。怪我は無いか、スバル、ギンガ」

 

 

 目の前に突然現れた自分達の想い人…あまりにも突然過ぎて思考の処理が間に合わないで居るスバルとギンガだが、ユウヤに自分達の名を呼ばれて二人の時が動き出す。

 

 

「ユウーーー君ーーーーー!!」

 

「おっと。ははは、スバル…」

 

「ユウ君だ、ユウ君だぁ! ユウ君だぁー!!」

 

 

 スバルはユウヤに文字通り飛び付き、ユウヤの胸に顔を埋めてその温もりを貪る様に泣きながら額を擦り付ける。

 ユウヤは飛び付いて来たスバルを優しく受け止め、頭を撫でながらギンガに視線を向ける。

 ギンガは涙を流しながらも今だ信じられない様な表情をしてユウヤを見ていた。

 

 

「本当に…ユウ…君…?」

 

「ギンガも…元気そうだな」

 

「ユウ君…ッ、ユウ君ーーー!!」

 

 

 啖呵が切れたギンガも、ユウヤに駆け寄って抱き付いた。

 

 

「バカッ! 心配したんだからッ寂しかったんだからぁーー!!」

 

 

 ギンガはスバルに負けないぐらい泣き叫ぶ。

 ユウヤはギンガをスバルと同じ様に頭を撫でる。

 ティアナは自分の知っている先輩がここまで泣き叫ぶのを初めて見たので、びっくりしていた。

 

 

「ティアナさん」

 

「え?」

 

「あの、誰なんですか、あの人…?」

 

 

 エリオがティアナにあの男は誰なのかと聞くが、ティアナもユウヤの事はスバルからチョコチョコとしか聞いてない為、一概にどう答えればいいのか言えばいいのかわからないでいた。

 

 

「彼はユウヤ・シュテンベルグ君。スバルとギンガの大切な人だよ」

 

「え、なのはさんにフェイトさん!?」

 

 

 自分達と別行動を取っていた二人が自分達のところにやってきた事に驚いたエリオ、キャロ、ティアナ。

 スバルとギンガは今だユウヤに抱きついて泣いている為、二人が来たのに気付いていない。

 

 

「彼は4年前に起こったミッドチルダの臨海空港火災で今まで行方不明になっていたんだ」

 

「え、じゃああの人が、スバルさんが言っていたずっと待っている人……」

 

「そうだよ、エリオ」

 

 

 二人からユウヤの事を知ったフォワード陣は、今だ二人に抱き付かれているユウヤに視線を向ける。

 

 

「………」

 

 

『悔しいのはティアだけじゃないんだよ! あたしだって、あたしとギン姉だって、目の前で大切な人がいなくなったんだから!!』

 

 

「(スバル…)」

 

 

『ヒック…ユウ君……ッ』

 

 

「…よかったね、スバル。大切な人が戻って来てくれて」

 

「(ティアナ…)」

 

 

 なのはは羨ましそうにスバルに視線を送るティアナを見てどう声を掛ければいいのかわからないでいた。

 あの時、二人の訓練の成果を見せて貰う筈だったあの時に、二人は訓練に無い危険な動きばかりをしていた。

 その事に頭に来たなのはがティアナの思いを自分が粉砕しようとしてしまった時、スバルがティアナを庇って訴えた。

 『練習通りばかり行かない事件で効かない基礎ばかりの訓練で、何時人を護れるのか』と…あの時、スバルは瞳を金色に輝かせて涙を流していた。

 なのははその時、やっと気が付いた。

 自分は部下の気持ちを理解しているつもりで本当は理解していない、ただ勝手に思い込んでいたことを…訓練の最中に、練習と本番と、命のやり取りなのに考え方が競技に結びついていた事を…

 ティアナも境遇は違うにしても、兄を亡くし、そして自分が才能がないという劣等感に縛られていて、皆と同じ練習量では足を引っ張ってしまう。

 このことはヴァイス陸曹から聞いていた。

 そしてスバルは姉のギンガと一緒にユウヤを助けられず、訓練では血気迫る勢いでこなし、一人で居る時は暗い表情をしている。

 その後、直ぐに駆けつけたはやてとシグナムが事態を収拾して訓練はお開きになったが、スバルとティアナはなのはによって受けたダメージの蓄積と疲労により気絶して医務室に運ばれた。

 その直後にアラートが鳴ってなのはとフェイト、ヴィータがガジェットを掃討しに向かい、シグナムとシャリオが何故なのはが基礎を徹底する訓練メニューに拘っていたのかをエリオとキャロに説明した。

 ガジェットの掃討が終わって帰還したなのはは直ぐにティアナとスバルの元へ向かって自分の訓練メニューの拘りと二人の行き先の経験者が自分である事について全てを語り、二人の不満と焦りを募らせてしまったこと事を謝罪し、ティアナにはダガーモードを伝授した。

 それにより、3人の間のわだかまりが無くなったと思う。

 

 

「高町」

 

「あ、シグナムさん」

 

 

 シグナムとシャッハが廃墟ビルから降りてきた。

 

 

「あの男がナカジマを助けたのか?」

 

「近くに居た私達でも反応できないスピードであのガジェットを破壊しました…実力は相当のものでしょう」

 

 

 シグナムとシャッハはユウヤを見る。

 見た感じ、破壊力は有りそうだが素早く動けそうにないバリアジャケットを纏っているにも関わらず、ほぼ音速の速さで距離を詰めてガジェットを破壊し、余裕の表情をしているユウヤ。

 二人のバトルジャンキーとして流れる血が疼いていた。

 

 

「シ、シグナムさん。今はそれよりも事情聴取ですよ…」

 

「む、わかっている」

 

「にゃはは…」

 

 

 僅かに顔を赤らめて誤魔化すシグナム。

 初対面相手にいきなり勝負を挑もうとするシグナムのバトルジャンキーに苦笑いするなのは。

 しかし、横に居るフェイトもまた、顔を若干赤らめて下を向いていた。

 どうやら彼女もユウヤの実力を知りたかった様だ。

 

 

「おい」

 

「ん?」

 

「そこで感動の再会を邪魔するようで悪いが、事情聴取の為に一緒に機動六課に来てもらうぞ」

 

「ああ、構わないさ」

 

 

 ヴィータが早く事態を収拾する為に三人の下に行き、ユウヤに同行を要求すると、ユウヤは快く承諾した。

 その後、ヴィータははやてに連絡して撤収の準備に取り掛かり、ユウヤはなのはとフェイトの元に二人を引き連れて歩いていく。

 

 

「ユウヤ君…」

 

「久しぶりですね、なのはさん、フェイトさん」

 

「ええ、久しぶり…」

 

 

 二人はあの時のことを謝ろうとした。

 自分達の状況判断の甘さでユウヤを救えなかった事を…

 しかし、二人が話す前にユウヤが先に話し出した。

 

 

「二人を、ありがとうございました」

 

「「えッ!?」」

 

 

 何と、ユウヤが二人に頭を下げてお礼を言ったのだ。

 

 

「お二人がスバルとギンガ救ってくれたお蔭で、また二人と会うことが出来ました。それに、俺はこうしてちゃんと生きています。背負い込む事なんて無いですよ」

 

 

 ユウヤの一言で、なのはとフェイトはひとりでに涙が流れた。

 突然の出来事にエリオとキャロはあたふたと慌てるが、シグナムが大丈夫だと諭した。

 当時自分達の力不足で助けられなかった人から、お礼を逆に言われ尚且つ、許されたのだ

 二人の中に居座っていた黒く重い何かが胸からスゥっと消えた様に感じた―――

 

 

 

 

―――地上本部―――

 

 

 

 

 時刻は夕刻、地上本部の上層階のミッドチルダを一望できるガラス張りの部屋を、夕日が赤く照らしている。

 その一室に、地上に属する時空管理局レジアスとオーリスはいた。

 

 

「う~む…」

 

「中将、今回のガジェット出現とレリックについての報告ですが」

 

「そんなことは検討がついておる。大方、あのガジェットの大群はレリックの回収の邪魔になる機動六課の小娘共を足止めする為に繰り出したのだろう…だが」

 

 

 レジアスはそう言い切ると、空中に一つのディスプレイを展開して指を指す。

 

 

「ワシが気になっているのは、あのヘリから出てきたこの存在だ。アレは一体何なんだ?」

 

 

 ディスプレイに映っているのは、爆煙に包まれているヘリから謎の存在が飛び出した瞬間の映像だ。

 部下から送られて来たこの映像を直ぐに解析班に映像をクリアにさせたが、爆煙から出てきた存在の姿は明らかに出来なかった。

 

 

「わかりません。ですが、ヘリを庇い、ガジェットを破壊していることから推測して、我々管理局と敵対している存在ではないと思われます」

 

「そんなもの、こちらの目を誤魔化す為の可能性もある! 只でさえ機動六課が設立されてから厄介な事件ばかりミッドチルダで起こっている! 土に塗れ血を流して地上を護ってきたのは我々地上の局員だ。それを軽んじる上の連中や傲慢な協会の連中に好き勝手されてたまるか! 幸い、最高評議会は私の味方だ。そうだろ、オーリス?」

 

「はい…」

 

「オーリスよ、公開意見陳述会も近い。査察では、協会や本部を叩けそうな材料を揃えて来い」

 

「その件ですが、機動六課について事前調査をしましたが、アレは中々巧妙にできています」

 

 

 オーリスはレジアスと一緒に見れるようにディスプレイを開き、機動六課の情報を公開する。

 

 

「さしたる経歴もない若い部隊長を頭に据え、主力の二名も移動ではなく、本局からの貸し出し扱い。部隊長の固有戦力である身内を除けば、後は皆新人ばかり…そして何より、期間限定の実験部隊扱い…」

 

「ふん、つまりは使い捨て扱いか。だが、部隊長が犯罪者…んん……」

 

「中将…」

 

 

 レジアスは思い出した。

 かつて、ユウヤがまだ健在だった時、ユウヤが留守番を任されレジアスが一緒に居た時、レジアスは大人気なく、ユウヤに犯罪者を局員として働かせる事の不満を酒に酔った勢いで話してしまった。

 その時、ユウヤは言った。

 『犯罪者でも二種類あると思う。自分の思い通りにする為に周りをかき乱すのと、巻き込まれて仕方なくしてしまったのと。一概に犯罪者だからってそんなカテゴリーで括り付けたら、何の為に保護観察と奉仕活動があるのか?』と…子供とは思えない事を口にしたのだ。

 確かに、罪を犯せば犯罪となるが、償いと言う言葉を自分が潰していると…

 しかしレジアスの言っていることもまた正論だ。

 人数は3桁は行っていないが、司法取引で魔法ランクの高い犯罪者を局員として管理局は取り込んでいるが、現状その犯罪者が好き勝手暴れているのが7割を超えている。

 残り3割が自らの罪を償う為に局員として協力しているが、数の違いでどうしても犯罪者を局員にしたくないという批判が自分から出て行ってくれない。

 ユウヤに言われた時から今日までずっとこのことについて悩んでいた。

 

 

 

<バンッ!!>

 

 

 

「レジアス、こんなところにいたのか!」

 

「何の用だナカジマ、騒々しい! 今は大事な―――」

 

「そんな事は、後回しにしろ!」

 

「何じゃとッ……?」

 

 

 オーリスと公開意見陳述会についてと、今自分が悩み事をしている時に、ナカジマ三佐がスライド式のドアを強引に押し開けて入ってきた。

 あのナカジマがココまで息を切らして走ってくるだけの切羽詰った状況は何事なのだろうかと思った二人だが、ゲンヤの次の言葉でレジアスとオーリスに旋律が走った。

 

 

「ユウ坊が、ユウ坊が帰って来た!!」

 

「何だと…?」

 

「ユウヤ君が…?」

 

 

 ゲンヤから驚きの言葉が発せられた。

 

 

「今、地上本部のエントランスに着いたと娘達から連絡が来た! 早く行くぞ!」

 

 

 レジアスとオーリスはやりかけの仕事を放り投げて真っ直ぐにエントランスへと走って向かった。

 

 

 

 

―――地上本部エントランス―――

 

 

 

 

「「ユウ君~♪」」

 

「ははは…」

 

 

 事情聴取を終わらせてゲンヤの元に向かう為、ゲンヤに連絡したギンガはユウヤとスバルと共に地上本部にやって来た。

 聴取の最中もずっとユウヤから離れなかった二人は、機動六課を出てもずっと離れず地上本部までの道のりもくっつきぱなしだった。

 加えて、スバルとギンガの二人は地上のエントランスに居るにも関わらずユウヤの腕に自分の両腕を絡ませて顔を擦らせてご満悦でいた。

 今の二人にシッポが生えていれば、ブンブンとはちきれんばかりの勢いで振っているだろう。

 ユウヤは二人のあまりの甘え様に思わず苦笑いをするが、自分が原因でもあるし、振りほどこうとしないのも満更ではないのだろう。

 その様子を周りの局員達は様々な思惑で見ていた。

 

 一方、エントランスに辿り着いたレジアスとオーリス、ゲンヤの三人。

 エントランスを見ると、そこにはギンガとスバル、そして成長したユウヤがいた。

 ユウヤはドタドタと近付いていた足音が近くで止んだのを不審に思い、顔を向けるとレジアスとオーリス、ゲンヤが息を切らせて立っていた。

 

 

「ユウ坊…ユウ坊なのか…?」

 

「…久しぶりだね、レジアスおじさん」

 

「「れ、レジアス中将!?」」

 

 

 二人と周りで三人を見ていた者達は慌てて敬礼をするが、レジアスの目にはユウヤしか入っていなかった。

 

 

「おお、ユウ坊…もっと近くで顔を見せてくれ」

 

 

 レジアスは周りには目もくれず、ユウヤに近付き、両手をユウヤの頬に触れる。

 まるで、これが幻影ではないのかと確かめるように、手袋をはずしてぬくもりを確かめるようにユウヤの頬を両手で包む。

 

 

「ただいま、レジアス叔父さん」

 

「ユウ坊…よくぞ…、よくぞ生きて戻って来てくれた…ユウ坊ッ」

 

「ユウヤ君…」

 

 

 レジアスは俯いて涙を流す。

 ユウヤはレジアスに静かに微笑み、オーリスの方に視線を向けるとオーリスは口を両手で覆って涙を堪えていた。

 

 

「ただいま、オーリス姉さん」

 

「ユウヤ君…ッ!」

 

 

 ユウヤに声を掛けられ、オーリスは我慢できなくなり、ユウヤに駆け寄って抱きついた。

 

 

「バカ! 連絡も寄越さないで! 私達がどれだけ心配したと思っているのよ!!」

 

「…ごめん、オーリス姉さん」

 

 

 オーリスはユウヤに抱きつきながら、泣きながら文句を言った。

 

 

「あれがナカジマ陸曹の言っていた…」

 

「戻って来たのか…」

 

「結構いい男じゃない♪」

 

「何者なんだあいつ? ナカジマ三佐だけじゃなくレジアス中将まで来てるぞ」

 

 

 周りは口々にユウヤの噂をする。

 中には少々危険なセリフが聞こえてきたが、ユウヤはあえて聞き流した。

 

 

「ユウ坊…」

 

 

 最後にユウヤは、自分の父親代わりのゲンヤに視線を向ける。

 

 

「…ただいま、ゲンヤ叔父さん」

 

「このバカ野郎…今まで、連絡もッよこさないで……心配かけさせやがって…!」

 

「…ごめん…ゲンヤ叔父さん」

 

 

 ゲンヤは目に涙を溜めたままユウヤに言った。

 ユウヤは今感じている。

 大切な人達から送られてくる、暖かく、優しい思いを。

 

 

 

 

「二人とも、俺は三人に話があるから、先に帰っててくれ」

 

「「え~~…」」

 

 

 頃合いを見計らって二人を先に帰そうとすると、スバルだけでなくあの堅物のギンガまでが駄々をこねるような事をしたので、ゲンヤは驚いていた。

 スバルはともかく、しっかり者のギンガまでもが幼くなったと…

 

 

「ちゃんと今日中に帰るから、また後でね」

 

「「ブ~~…」」

 

 

 二人は膨れながらも、渋々と帰路についた。

 帰りに何かを買って帰らないと家で何をやらされるか身の危険を感じたユウヤだった。

 

 

「こりゃたまげたぜ…あのしっかり者のギンガがあそこまで素直になるとは…」

 

「仕方ありません、四年間…目の前で失った思い人が自分達の手の届く所に、やっと戻って来てくれたのですから、あの頃に戻ったのでしょう」

 

「それもそうか」

 

 

 二人はギンガとスバルの事を微笑ましく話していた。

 

 

「二人共その辺にしろ。して、ユウ坊…ワシ等に話とは何じゃ?」

 

「…レジアス叔父さん、今回は俺のわがままを聞いて欲しいんだ」

 

「ん?」

 

 

 ユウヤが突然、顔を真剣にしてわがままを聞いてくれと言ってきたことに、何か重要な事があると悟った三人は、場所を移動してユウヤの話を聞いた。

 

 

「…俺が独自の調査をして、近いうちに大規模な事件が起こる事が分かった…それも、放って置けば何万もの命が、ここミッドチルダにいる人の命が散る、血生臭い事件だ」

 

「なんじゃと!?」

 

「そんなッ!?」

 

「その情報は確か何だろうなユウ坊!?」

 

 

 第一声から余りにもショッキングな内容に驚きを隠せない三人。

 しかしユウヤは、三人の反応を気にせず続ける。

 

 

「本当さ。それに、互いに血生臭い戦いになるから…本当は俺一人で事件を片付けるつもりだったんだが…表に俺が大々的に出ちゃったからさ。動きが制限されちゃったんだ。ほら、あのヘリの襲撃のやつ。だから…俺は一番動きやすい機動六課で動こうと思う。レジアス叔父さんは、局員達を出来るだけ地上本部に集めて戦力を整えておいてくれ」

 

 

 ユウヤが言った表とは、ヘリと砲撃の間に入ったことである。

 そのことを知った三人はユウヤに驚いていた。

 

 

「ユウ坊…わかった」

 

「父さん! 証拠もないのにそんな事をしたら越権行為で父さんが!?」

 

「オーリスよ、ユウ坊がわがままを言う時はほぼ我々が被害を受けるのを避ける事ばかりだった。突然戻ってきた者が、ただのわがままでこんな頼みを押し付けてくると思うか?」

 

「そ、それは…」

 

 

 レジアスの安易な決定にオーリスは局内である事を忘れて父さんと呼んでしまった。

 確かに、いかに中将という階級を持つレジアスならそれも出来るが、証明出来るものが無いのに戦力を集中させてしまえば、越権行為となる。

 処罰されれば、階級が落とされるか、下手をすれば管理局を辞することもある。

 しかし、それを承知でレジアスはユウヤの願いを聞き入れた。

 

 

「ワシ等とユウ坊の付き合いも長いし、一人で解決しようと言ったということはそれだけの実力を身につけたのじゃろう? ならばここは、ユウ坊の言う事を信じよう」

 

「…ありがとう、レジアス叔父さん、オーリス姉さん」

 

「だが忘れるなユウ坊。ワシは昔も今も空の連中は気に食わん。今回の大規模な事件が終わり次第、お前は地上に来るのだ。いいな?」

 

「……クス、わかったよ。レジアス叔父さん」

 

「ふん、一丁前に大人になりおって…ではな。ワシはお前のわがままを叶える為に動かねばならぬのでな」

 

「父さんッもう…ユウヤ君、今度ゆっくりお茶でも飲みながらお話をしましょう」

 

「うん、またね、オーリス姉さん」

 

 

 レジアスは最後にそう言って去って行き、オーリスもレジアスの後を追った。

 

 

「ナカジマ三佐、こちらにおられましたか」

 

 

 レジアスとオーリスと入れ違いに入って来たのは、ゲンヤの副官だった。

 どうやらゲンヤはまだ仕事の途中に抜けだして来たようだ。

 

 

「じゃあ、俺も帰るよ。ゲンヤ叔父さんはまだ仕事でしょ?」

 

「そうだな、ならさっさと終わらせて帰るか」

 

「それでしたら三佐、後は私が引き受けましょう」

 

 

 副官の陸士がゲンヤに言った。

 副官はゲンヤの隣にいる男の面影が、ゲンヤのデスクに飾られている写真に写っている少年と似ていると気付き、尚且つゲンヤおじさんと言った事で、ゲンヤが口にしていたユウ坊だと分かったみたいだ

 

 

「そうか…悪いな。なら、後は任せるぜ」

 

「はっ!」

 

「すみません、急にお邪魔して…」

 

「何を言いますか、久しぶりに家族が戻って来たのに仕事などせず、ゆっくりとしてきて下さい。では」

 

 

 ゲンヤの副官の陸士はゲンヤの残りの仕事を引き受けて去って行った。

 

 

「じゃあ、帰ろうか。ゲンヤ叔父さん」

 

「ああ、帰ろうか。ユウ坊」

 

 

 二人は背丈は変わったが、四年振りに肩を並べて夕日に照らされている道を歩き、帰路についた。

 

 

 

 

 

 ―――しかし、夕日に照らされて映ったユウヤの影だけは、その姿を見るものに畏怖を感じさせる影をしていた……

 

 




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