天王寺瑠和。虹ヶ咲学園のマネージャーにして天王寺璃奈の兄。朝香果林が好きなったのはそんなまっすぐで人助けが得意な男。そんな男のことを果林はその日も遠くから見つめるだけだった。
しかし、ある日事件は起こる。瑠和と彼方が二人でどこかへ出かける姿を見てしまったのだ。彼方のライブのときの瑠和の反応を見るに、瑠和が彼方に特別な思いを抱いている可能性が高くなった。
「…本当の弱い私を受け止めてくれる人………だけど…彼は」
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「…」
ある日の休み時間、瑠和はスマホで同好会メンバーの活躍を見ていた。
「なに見てるの?」
「ん」
いつのまにやら背後に歩夢が立っていた。瑠和は歩夢の横とクラスを見回した。以前侑が一人でいたときと同じく、歩夢が一人なのは珍しいと思ったのだ。
「……高咲は?」
「今、レポート出しに行ってる。瑠和君が楽しそうにしてたから何してるかなって」
「うさぴょん見てる」
そう言って瑠和はスマホの画面を歩夢に見せた。歩夢が自己紹介してるときの映像が流れている。
「あはは、恥ずかしいな」
「そーいや、上原はなんでスクールアイドルなんか始めたんだ?」
「え?」
単純な疑問だった。このように自己紹介動画ですら恥ずかしいという歩夢がなぜスクールアイドルを始めたのかと思ったのだ。
「高咲がスクールアイドルに興味を持ったのはいつもの高咲見てりゃ何となくわかるけど。上原って人前がそこまで得意なわけじゃないだろ?スピーチとかならできるだろうけど」
「私は…………侑ちゃんに引っ張られる形だった」
「高咲に?」
「………うん。侑ちゃんがスクールアイドルに興味を持って……私も、一緒に興味を持ったんだ。それで、スクールアイドルになりたいって思った。侑ちゃんがあそこまで夢中になってる姿を見たから私も始める勇気を持てたんだ」
歩夢が照れくさそうに話している姿を見ながら瑠和は動画のコメント欄を見る。歩夢の可愛さを絶賛する人々のコメントを見て瑠和は現直を思い出す。
「……高咲に感謝だな。この人たちはそのおかげで上原に出会えたんだから」
「………私ね、ずっと自分をごまかしてたところがあるんだ。好きなものとか、高校生になったんだし、こういうのは卒業しなきゃって思って。だけど、それでも好きな気持ちは会って。素直にそれを表現できるスクールアイドルの姿、侑ちゃんに、みんなに見てほしいって思ったんだ。最初は侑ちゃんに見てもらいたかっただけだったと思う。だけど、今はたくさんの人に喜んでもらえてすっごくうれしいんだ」
「…………そうかい。上原のそういうとこ。良いと思う。例え、そういうつもりじゃなかったとしても、上原がこうやって振りまいた笑顔が誰かの助けになったり励まされていく。侑がせつ菜のライブでスクールアイドルに感化されたように。誰かの日常は誰かの日常の一部なんだ。そうやって世界は繋がっている。それを迷惑がる人間もいるにはいるが。そうやって、自分の知らないところでできたつながりを「うれしい」って言えるのは、上原のいいところだ」
「そ、そうかなぁ…」
「ああ。誰にでもできるわけじゃない。それができるから、上原が好きって言ってくれる人がいるんだと俺は思う」
―放課後―
「ふぁ……」
「眠そうだね瑠和君」
しずくの舞台も大成功に終わり、それからしばらく大して忙しいこともなく虹ヶ咲スクールアイドル同好会は平和だった。瑠和も背負うものが少なくなり、気楽に過ごしていた。
人前で何の躊躇もなくエマの膝枕でくつろぐくらいには気楽だった。
「エマさんの膝枕で過ごす午後は格別ですね」
「瑠和さんもすっかりエマさんの膝枕の虜ですね」
「エマちゃんの膝枕の心地よさから、逃れられたものはいないという…」
同好会では今、少しずつ認知度も上がったことで次の段階へと行けるのではないかという話でもちきりだった。ソロアイドルとしての活動は出来ているが同好会として何も成し遂げてない。そのために「私たちのライブ」を行おうとしていた。
そのことに瑠和はあまり口出しはしない。ライブに関しては彼女たちが望むものを手伝うだけだと思っていた。なにやら合宿をしようという話も出ていたので合宿用の練習メニューを考えるかと瑠和が思っていた時、彼方に遥からの連絡が来た。
―数十分後―
「お邪魔します」
「いつでも大歓迎だよ~」
連絡の詳細はまた同好会に来たいとの連絡だった。断る理由などないのですぐに了承され、遥は同好会にやってきた。
「おう、いつでも大歓迎だし是非くつろいで行ってくれ」
「瑠和さん………かなりくつろいでますね」
来客だというのに瑠和は膝枕から動こうとしてなかった。さすがにどうかと思うところもあり、璃奈が無理やり瑠和を起こす。
「お兄ちゃん、だらしない。璃奈ちゃんボード「ぷんすか」」
「悪い悪い。で、どうしたんだい?遥ちゃん」
「うん、実は…」
遥が今回の目的について話そうとしたとき、見覚えのない人物が同好会部室に現れる。
「大事なお話がありまして…」
「…あなたは?」
「はじめまして。私は藤黄学園スクールアイドル部の、綾小路姫乃と申します。突然ですが虹ヶ咲スクールアイドル同好会の皆さん、私たちとライブに出ませんか?」
突然の提案に同好会は同様に包まれる。綾小路姫乃から提案されたのは、ダイバーフェスという毎年お台場で行われる音楽イベントでライブを行わないかという話だった。
しかし、そこで壁となるのがスクールアイドルの枠が三曲しかないということだ。東雲と藤黄はグループだが虹ヶ咲はソロアイドルという特性が逆に問題になり、誰か一人しかでられないとなったのだ。
同好会はとりあえず誰が出るべきかを話し合う。
「…ねぇ、あなたなら感じたかしら」
話し合いの場に向かう道中、果林は瑠和に尋ねる。
「………あの姫乃ちゃんって子のことですか?」
「ええ」
「まぁ、口調は丁寧でしたけど。明らかに何かしらの目論見があるように感じました」
「……あなたが言うなら間違いなわね」
全員が校舎裏にたどり着いてダイバーフェスをどうするか話し合いが始まる。
「メドレー形式はどうかな?」
「それなら一曲だよね!」
「9人のサビだけを繋げればまぁ5~6分程度に収まらなくはないけど、それじゃこの同好会の魅力を伝えきれないですよ。みんなも、それじゃ嫌でしょう」
「うーん…」
イイ解決案など出るわけもないのは目に見えていた。少し行き詰まりそうな空気の中、果林が口を開く。
「あれこれ考えるだけ無駄よ。今回のステージに立てるのは、この中の一人だけ。誰が出るか決めましょうよ」
「…お兄ちゃんと侑さんは、どう思う?」
助けを求めるように璃奈が瑠和を見た。視線が一気に瑠和と侑に集中する。
「……………………………悪いが今回は俺は口を出さない。今回に限っては、俺の言葉を頼りにしたらダメだと思う………何より俺自身、身内や個人の感情でひいきしない自信はない…」
「…私も。理由は瑠和君と同じ」
二人は少し九人から離れる。
「…………ねぇ、ここにいる全員の気持ちは同じだと思うわ。こんなこと言うのは、正直気が引けるけど…………私は、今回のライブに出たい。みんなに睨まれる結果になったとしても。もし、衝突を恐れてここで参加の意思を表明できないのなら、私に任せてほしい」
「果林ちゃん…?」
「…………誰もいないなら」
「落ち着いてください果林さん」
瑠和が間に入った。
「果林さんの気持ちはわかりますが………一回考える時間が必要だと思います。似たようなことが原因で衝突したのは果林さんも知ってるでしょう?」
「だとしても、それが足かせになるなら意味はないわ。そんなので本当にソロアイドルとして成長できたといえるのかしら」
「やり方が強引だって言ってるんです。順を追うべきだ。俺はもう、この同好会をバラバラにはさせません」
「それは私も一緒。だけど、今回は同好会が試させるライブになるのは間違いない。だからこそ真剣に考えて、それに真正面から立ち向かえるメンバーが出るべきだと私は思うわ」
「果林さんならそれができると?」
「やって見せるわ」
二人の間に夏にしては冷たい風が吹いた気がした。
「…まぁ、あなたが考えた方がいいというなら今日は解散にしましょ?私も今日は帰るわ」
結局特に何かが決まるわけでもなくその日は解散になる。全員解散してから愛とかすみ、璃奈は再集合した。集合した理由は当然果林のことだった。
「カリンがあんなこと言ったの多分…」
「うん、きっと…」
きっと、彼方のライブのことがあったからだろうというのは容易に想像できた。本人は否定しているが、あの時の瑠和の反応は明らかに彼方に対して何かしら特別な感情を抱いているとみて間違いない。
それを果林も見ていた。
おそらく危機感というか、何となく予感めいたものを感じたのだろう。そう遠くないうちに瑠和は手に入らなくなると。だからこのステージにすべてをかける決断をしたのだ。
「果林先輩の気持ちはわかりますけど、かすみんもダイバーフェス出たいですよぅ!」
「それは愛さんもそう思うけどねぇ…」
「……私も」
出たい気持ちは同じだ。しかしそれ以上に果林の気持ちを盗み聞きしてしまった罪悪感というかが彼女たちには少なくとも存在した。
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翌日、果林はモデルの仕事を終わらせ、次のダンスレッスンの会場に向かう。しかし、方向音痴の果林は当然迷子になる。
「エマに助けてもらおうかしら…」
そう思いながらスマホの連絡用SNSを開くと、瑠和の名前が目に入る。
(すこし………大人気なかったかしら…)
果林はどうしても今回のダイバーフェスという大舞台を逃したくなかった。その理由はもちろん瑠和だった。彼方のライブを目の前で見た瑠和は通常とは明らかに違う反応を見せていた。その意味も分かっていた。しかし瑠和をあきらめたくなったのだ。
だからこの大舞台で瑠和を振り向かせたかった。
しかしそのために貪欲になった結果、手入れたのは瑠和との間の亀裂という最悪の結果だけだった
「それでも…私は」
―天王寺家―
この日は休日で瑠和は優雅な午後を過ごしていた。
せつ菜たちに買い物に誘われたがたまには休みもゆっくりしたいと思い断った。
スクールアイドルの雑誌を読みながら紅茶を飲んでいる。璃奈はしずくたちと出かけたので一人で過ごしていた。しばらく雑誌を読みふけっていると瑠和のスマホに電話がかかってくる。
「ん?」
瑠和は電話を取って少し電話先の人と話してから電話を切ると、ため息を瑠いて出かける準備をした。
一方果林はお出かけ中のせつ菜たちに出くわしてしまいともに軽く買い物をした。そして道に迷っていることを伝えると、そのダンスレッスン場が目の前にあることを伝えられる。
「気づいてなかったんですか?」
「地図を見てもわからないなんて…」
「もしかして方向音痴?」
「わ、悪い?」
「意外だけど、可愛いです」
果林の意外な一面がバレてしまった時、横から声がした。
「見つけましたよ果林さん」
そこに瑠和が現れた。
「瑠、瑠和!?」
「ダンスレッスンの先生からまだ時間はあるが姿が見えないのが怖いからって連絡受けたんです。電話にもでないからって。なにしてたんですか?」
どうやら買い物の間に電話がかかってきていたようで果林はそれに気づかなかった。
「どうしてダンスレッスンの先生から瑠和さんのところに電話がかかってくるんですか?」
「え?」
せつ菜がもっともな疑問をいう。瑠和はその時にせつ菜たちの存在に気づく。
「………」
瑠和は鞄からノートを取り出し、簡易的に顔を描いて自分の顔の前に持ってきた。
「瑠和君ボード、にっこりん」
「いや、ごまかせてない」
侑がツッコんだ。
瑠和は観念する。このまま果林を連れて逃げることはできなくもないが部室での追及は逃れられないだろう。少し前の二人の関係を、三人に話した。
「そうだったんだ」
「瑠和さんなりに璃奈さんのために何かしようと頑張ってたんですね」
「璃奈に謝って直接手伝うことから逃げてた男の悪あがきってだけさ…………璃奈には言わないでくれ」
「別に言ってもいいと思うけど…」
「俺が嫌なんだ。恥ずかしい」
「それでまぁ、私の……その、方向音痴を先生は知ってたから、何かあった時のために私の手伝いをしてた瑠和と連絡先を交換しておいてもらったのよ」
話を聞き終えると、侑は笑った。
「二人の意外な一面が見れてなんだか新鮮」
「果林さんも瑠和さんも、陰で努力してるなんて尊敬します」
「……………努力しなきゃ、ライバルに追いつけないからね………あなたたちのことよ。なんていうか、手を抜けないのよ。せっかく部活に入ったんだから、楽しみたいって気持ちもあるんだけれど……彼方やしずくちゃんのライブを見て、負けられないって思って、それで……昨日はあんなこと。だから、色々と言い過ぎたかもしれないわ。ごめんなさい」
ライブに出たがった理由は、半分本当で半分嘘だ。瑠和はそのことに何となく気づいてはいたが、あえて何も言わなかった。
「謝らないでください」
「果林さんは正しかったと思います」
「私たちはソロアイドルだもんね」
「ええ、お互い切磋琢磨なければ成長できません。それなのに私は、また皆さんに迷惑かけたくなくて、遠慮してましたし……瑠和さんが間に入ったことに甘えてました。ちゃんと言ってくださり、ありがとうございました」
「…わかってもらえてよかった。またあんなことにならなくて」
瑠和は安堵し、胸をなでおろす。そんな瑠和の様子を見て、果林も少しホッとする。嫌われてなくてよかったと思ったのだ。
「まだ少し時間はありますか?」
「え、ええ」
「誰がダイバーフェスのステージに出るか、みんなで相談しませんか?」
「今!?」
せつ菜の急な提案に、瑠和は驚く。
「はい!果林さんの本気は、皆さんに伝わってると思います!私たちの同好会が次のステージに進むために必要なことだと思いますから!」
「………いいんじゃない?」
話し合いの結果、自分以外に投票する形で決まった。瑠和と侑は投票から抜け、9人がお互いに投票する形となった。
―ダイバーフェス当日―
ダイバーフェスには多くの音楽関係者が集まる。そしてその各々のファンが集まることによって相乗効果でかなりの人数が集まるのだ。そのステージに立つにふさわしいと選ばれたのは、朝香果林だった。
投票の結果、朝香果林に四票が入れられ、彼女がダイバーフェスに出ることとなった。票を入れたのは、璃奈、愛、かすみ、エマの四人だったがそれを知る者はいない。
そして、出番が近づき、衣装に着替えた果林が現れる。
「似合ってますよ。果林さん」
「ありがとう」
瑠和は果林に誉め言葉を伝えるが、そもそも似合ってないなんて瑠和が言うはずないことを果林はわかり切っていた。だから勝負は今じゃない。ライブの時だと果林は考えていた。
「虹ヶ咲学園の皆さん、こんにちは」
控え室代わりのテントに現直がやってきた。
「現直さん」
「今回は果林さんが出られるんですね。期待してます」
「心にもないことを…」
衣装に着替えた果林を見て現直は笑顔で言ったが本心は歩夢の衣装姿を見たかったであろうことを、瑠和には表情を見るまでもなくわかり切っていた。
「東雲もこの場に恥じないステージを届けるつもりですが、果林さんも頑張ってください。それから、瑠和さん、それから侑さん、少しよろしいですか?」
「ん?」
「私も?」
二人は現直に連れ出される。
―十数分後―
テントに侑と瑠和が戻ってくる。
「あ、お帰り」
「ああ。みんなにちょっと聞きたいことが………」
瑠和が何か話そうとしたが、辺りを見回して言葉を止めた。
「………果林さん?」
瑠和は座っている果林の前まで歩き、目線の高さにしゃがむ。
「…………どうかした?」
「………強がらないでください」
果林はいつもどおりの態度を見せていたが、瑠和はそんな果林の「色」が乱れているのがよく分かった。
「瑠和君、どういうこと?」
「……具合悪いの?」
瑠和の言葉に全員が果林を心配し、集まってくる。ここで強がっても、見抜いている瑠和には意味がないことはわかっていた。
「………相変わらず仮面を見破るのが得意で、おせっかいね…………。ビビってるだけよ……我ながら、情けないったらないわね。こんな土壇場で、プレッシャー感じちゃうなんて。ほんと、みっともない………あんな偉そうなこと言ったくせに……………ごめんなさい」
内なる感情を吐露した果林は顔を両手で覆った。やって見せると言った手前、皆に会合わせる顔がないのだ。それを見たせつ菜は果林に近づいてその隣に座る。
「そんなことないですよ」
「…」
「大丈夫だよ、果林ちゃん」
エマは果林の手を取り、優しく握る。
「でも、こんなんじゃ…」
「大丈夫」
璃奈も果林の手に自らの手を重ねる。
「私たちがいるじゃん」
「そうですよ。ソロアイドルだけど、一人ぼっちじゃないんです」
こんな情けないことを言ったのに、誰一人として果林を責めようとしなかった。みんなだって出たかったはずだ。それなのに、エールを送ってくれる仲間に、果林は自然と涙が滲む。
「……どうしてそんなに優しいのよ」
「わかるでしょ?そんなこと。言わなくても」
その通りだ。言わなくてもわかっている。この同好会は、その心持ちでやっているから。
果林は大きく深呼吸をする。
「……うん、大丈夫」
果林はそう言って笑う。瑠和には果林の「色」がいつも通りになったのが見えて安心した。
「果林先輩!」
かすみが手を挙げる。
「ほら!タッチですよ!かすみんのエネルギー分けてあげます♪」
それを見て同好会メンバーはそれぞれ手を出して二列に並び、果林が進む道を作り出した。皆が笑顔で待っているロードを果林は一歩一歩歩き出す。
かすみ、愛、璃奈、しずく、彼方、侑、歩夢、エマ、せつ菜とタッチをしながら進み、最後に瑠和が微笑みながら手を差し出す。
「もう、大丈夫ですね」
「ええ。私を暴いてくれてありがとう。あなたがいなかったら、逃げ出していたかもしれない」
二人のタッチが決まる。そして、それから間髪入れずに果林は瑠和にハグをした。
「!?」
「お願いがあるの………今日は…………ううん、今この瞬間だけは………私だけを見ていて」
果林は瑠和の耳元でささやいてから離す。
「行ってくる」
「あ………はい」
瑠和は呆然としながら果林を見送った。果林もこんな状況だから気持ちが高ぶったのだろうと瑠和は伝え、果林と瑠和の事情を知る者以外は皆納得していた。
果林はそのまま舞台袖に向かい、ステージ中央に立った。本来であれば緊張で動けなくなりそうな熱気と圧力があるが果林は気にも止めない。仲間から託されたエネルギーと、一つの恋心が原動力となり彼女を強くさせていた。
(仲間だけど、ライバル………ライバルだけど…………仲間!)
続く