それから、最終回完成しました。少々ここからグダグダなところが出るかもしれませんが、最終回は多分面白いです!今回含めあと3話です!お楽しみに!
合宿二日目のトレーニングはある程度終わった。ランニング途中にランニングがドロケイに変わったが、それはトレーニングにもなるのでよしとした。
そして、長いこと走ってかいた汗を流すのに最適として皆プールへ集合した。合宿先が知らされてなかったせいか皆水着を持参している。行き先を知っていたせつ菜までだ。
「水中は普段使わない筋肉を使いますからね、トレーニングにもいいと思います」
「男子組はノリが悪いですね。せっかくの合宿ですよ!」
仮に水辺での合宿だったとしてもマネージャーが水に入ることはほぼないということもあってか瑠和と現直は水着など持ってきてなかった。
「はは、そもそも僕は泳げないので…」
「ていうか、同好会メインメンバーはともかく、なんで高咲まで持ってきてんだ」
「え?いや……その……なんていうか…あはは」
侑も女の子だ。色々楽しみにしていたのだろうと瑠和は考えた。
「じゃあ、いっくよ~!」
エマの掛け声で全員がプールへ飛び込んだ。みんながプールで遊ぶ様子を瑠和と現直はプールサイドで眺めるだけだった。
「体調が良くなったようで、良かったです」
「ああ…………まだ気持ち悪いのが続いてるが、かなり楽になった。もう大丈夫だ」
果林がそばにいてくれると違和感が安らぐ。同好会にいる果林でもすでに素にかなり近いおかげか色の違和感も少ない。しかし、瑠和自身から発せられる色の違和感は残ったままだ。それに、歩夢に見える違和感も。
「…」
これからどうしたものかと考えていると、瑠和の顔面に水がぶっかけられた。
「!?」
「何暗い顔してるの!?」
水をかけてきた犯人は水鉄砲を持った愛だった。さらに愛は現直にもぷっかける。
「宮下ぁ…」
「ほら、悔しかったらやり返してみなって!」
二人が水面に近づき、愛に水をかけようとしたとき、二人の背後に影が近づいていた。
「璃奈ちゃんアターック!」
「かすみんタックル~♪」
「なっ!?」
「おわ!」
璃奈とかすみに体当たりされ、二人は頭からプールに落ちた。
「あっはっは!作戦大成功~!」
瑠和はプールに足を付け、ゆっくりと態勢を整えた。
「み~や~し~たぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
瑠和は愛を鬼の形相で追いかけ始めた。一方現直は何とかプールサイドの縁につかまって瑠和の様子をほほえましく見ていた。
「現直君!」
そんな現直の手を歩夢がつかんで救出する。
「大丈夫?」
「はい、何とか………ありがとうございます」
「も~現直さんもせっかくの合宿なんだしもっとはしゃぎましょうよぅ~」
「あまりはしゃぐのは得意でなくて………皆さんが楽しければそれで」
なにやらかすみにいわれのない文句を言われている現直だったが、歩夢はそんな現直を見ていて懐かしい気持ちになっていた。現直は水に飛び込んだことで普段は整っている現直の髪型が崩れ、すべて下がっていた。その姿に、見覚えがあったのだ。
「………」
「歩夢先輩?どうかしました?」
「……ううん」
一方、瑠和は愛を追いかけまわしていたが、着衣水泳は思った以上に体力を持っていかれたのでもう愛を捕獲するのはあきらめた。
「はぁ、はぁ、もういいよ、許してやる…」
「えー?もっと遊ぼうよー!」
「大丈夫?」
そこにバタフライ型フロートに乗った果林が流れてきた。瑠和は果林の乗っているフロートに上り、寝っ転がった。
「ふぅ、無駄な体力使わされました……」
「たまにはいいんじゃない?動くのも」
「そうかもしれませんが………」
瑠和は小さくため息をついてからちらりと果林を見た。偽りのない美しい色が見え、瑠和は安心感を覚える。少し動かした手が果林の手に当たる。
「ぁ……」
「……」
手が触れあったことで反射的に手を離してしまったが、果林は瑠和を見てそっと手を元の位置に戻した。瑠和も果林を見つめた。果林の顔は少し赤くなっている。
「……」
「……」
瑠和は果林の手に自らの手を重ねる。二人の指が絡まりあい、いわゆる恋人繋ぎの状態になる。二人の繋がれた手は二人の身体が壁となり回りからは見えない状態だった。二人だけの秘密の空間がそこにはあった。
「………どうして私が良かったの?」
気になっていたことを果林が訪ねた。
「……………ずっと、気持ち悪いんです。昨日の夜から。ずっと、俺から見える色が。でも、果林さんから見える色が、それを和らげてくれる。それはきっと、俺があなたのことを…」
「…」
すこし理由に違和感があったが、果林は何も言わなかった。今はこの時間を楽しみたかった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
そしてその日の夜。この日で合宿は終了だったが、現直はこの日にすべてをかけていた。夜の消灯時間の前に歩夢を呼び出していたのだ。
「現直君!」
「歩夢さん。こんばんわ」
「こんな遅くにお話ってどうしたの?」
「…」
海が見える校舎の屋上。夜風に吹かれながら二人の男女は相対する。一人は絶望か希望か、二つに一つの選択を目の前にいる少女に託すために。もう一人は心の中に秘める思いを、目の前にいる少年ではない人物に馳せながら。
―研究棟 トイレ―
一方こちらは寝る前にトイレに向かった朝香果林。トイレを出ると、そこで偶然近江彼方にばったりと出くわす。
「彼方…」
「果林ちゃん…」
互いを発見したことで反射的に名前を呼びあうが特に意味はない。果林は彼方の横を通って寝室に向かおうとした。
「ねぇ、果林ちゃん」
彼方が果林を呼び止めた。
「…なに?」
「今日………さ、プールで……たまたま……見えちゃったんだけど…瑠和君と………手…つないでたよね」
「………ええ。それが?」
「なんでかなぁ…って」
二人が手をつないでいた時間は二人にとっては長いようで、実際は短い時間だった。その間に偶然見られてしまったらしい。それをなぜ彼方が気にするのか。理由は何となくわからないでもない。
仮に彼方が瑠和に好意を抱いていたとすると理由を聞いてくるのは当然だ。だが、彼方は瑠和に救われている。好意とまではいかずともそれなりに瑠和の言動を気にするのもまた当然だ。
「………その、もしかして」
「ええ。付き合ってるの。彼と」
「……………そっかぁ。仲よくね」
彼方は笑っていた。もしもここに瑠和がいたら彼女の顔色もわかっていただろう。残念ながら果林にそんな力はない。ただ気になっただけだろうと割り切った。
何人かの思いが膨らみ、交差した夜だった。
あるものは夢を見つけ
あるものは希望を叶え
あるものは想いを打ち明け
あるものは悩み
あるものは気づき
あるものはよりどころを見つけた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
合宿が終わり、もうしばらくすれば夏休みも終わりを迎えるという時期。同好会は部室に集合した。理由は侑の提案した「私たちのライブ」、即ち「スクールアイドルフェスティバル」についてだった。生徒会に提案書は出してみたものの、未確定な部分が多くそう簡単に承認はされなかった。
「だから未完成過ぎると言っただろう」
「うー…勢いで何とかできると思ったんだけど」
瑠和は止めたものの、侑は勢いのまま行ってしまったことを反省している。
「まぁいいんじゃないか?どこを直せばいいか分かったことだし。で、会場はどこにする?ダイバーシティ?ヴィーナスフォート?科学未来館か?」
「それついて皆さんに意見を聞きたいとも思っています。瑠和さんはどう思いますか?」
「俺の意見聞いてどうするんだ。やるのはみんななんだから。自分が歌いたい場所で歌えばいい」
「そうはいっても、誰かのライブをどこで見たい!っていうのはあるんじゃない?」
「俺が?」
そう言われ、同好会の全員を見る。それぞれのメンバーの色が重なり合う。彼女たちは個性が強い。それを一か所にまとめるのは難しいと感じる。それに、一人色に動揺が出ている人物もいる。
「そうだなぁ、俺は璃奈が最高に可愛く可憐に映るであろう場所がいいな。ダイバーシティのユニコーンガンダムの肩とかどうだ?」
「ちょっと高くて怖いかも…璃奈ちゃんボード「ぶるぶる」」
瑠和は璃奈を撫でながら適当に答えた。そしてちらりと歩夢を見た。さっき感じた動揺の色は歩夢から感じる。きっと合宿のとき現直とのことだろうと思い、瑠和は無理に関わろうとしなかった。
合宿最後の日の夜。現直が歩夢に告白したことは本人の口からきいていた。結果は聞いていないが歩夢の色を見る限りあまりうまくはいかなかったのだろう。今後どうなるかは二人、主に現直次第だとおもって口は挟まなかった。
その前から違和感は感じていたが、現直が挟まったことでさらにややこしいことになったがそれを解決できるであろう余力がないことを瑠和は感じていた。
(現直に一応話しておくか………それにスクールアイドルフェスティバル………誰のステージを、どこで見たいんだろうな、俺は)
それからスケジュールを立てたり、他校との打ち合わせをしたり一週間の間にやれることはやろうと瑠和たちは努力した。だが最後まで場所が決まらずそれだけが難航していた。かすみんボックスという手段をかすみが提案していたが、夏休みなのでそれは効果がなかった。
―翌日―
「で、どうだったんだ?あの日は」
「考えさせてほしいと、言われました」
藤黄と東雲の打ち合わせを終えた後、瑠和は現直を呼び出して結果を聞いていた。
「そうか………まぁすぐに決めるのは難しいだろうから気長に待ってみればいいんじゃないか?」
月並みな言葉になってしまうがそれ以上言えることもなければ言うつもりもなかった。これは現直の決めることだと思ったからだ。
「それから、初日の夜から歩夢の様子が変だった。それも起因しているかもしれない。チャンスがあったら聞いてみてやってくれ」
「そうですか……………そういえば、瑠和さんは、どうなんですか?」
「何が」
「彼方さんと果林さん………どちらを選ぶか決めたんですか?」
「………俺は果林さんと付き合うことにしたよ。果林さんといると、心が和らぐ」
「……そうですか」
恋に悩める男二人の会合を終え、瑠和は自宅に帰った。帰ってから自室に籠り、果林のライブを動画サイトで見る。素晴らしいパフォーマンスだ。いつ見てもあの会場で歌うべきだったのは果林だったと思わされる。
「…」
『butterfly 夢へ、羽ばたいて…』
彼方の動画を見る。果林とは曲やパフォーマンスのベクトルが違う。比べるものではないが、やはり彼方の曲が瑠和の心に響く。だけど、あの日の夜、彼方と一緒にいた時から感じる気持ち悪さはまだ続いている。彼方の近くにいるとそれが悪化する。であれば、一緒にいて気持ちが和らぐと感じる果林の方が好きなのだろうと瑠和は思い込んだ。
そして、そんな悩める兄の様子を璃奈はドアの隙間から眺めていた。
―数日後―
色々と紆余曲折あったが最終的にやはり問題として残ったのは会場をどこにするかだった。こんな時マネージャーとしてビシッと決めたいところだが残念ながら瑠和にもどこが一番かというのは選び難かった。
「大変です!事件ですよぉー!」
そこにかすみが飛び込んできた。かすみの手には以前は空っぽだったかすみんボックスが抱えられ、そしてその中は意見が入った紙でパンパンだった。
「これは………」
「一週間足らずでこんなですよ!こんっな!」
瑠和は適当一枚とって内容を見る。会場募集をしていたはずだがそこに書かれていたのはファンレターとさして変わらないものだった。
「これは……すごいな。読んでるだけで感情が伝わってくるような手紙は初めてだ」
「…そうだ………ねぇみんな!いっそのこと!全部でやるっていうのはどうかな!」
「…」
侑が提案したことはこれまでの考えを全部ひっくり返すような大きな意見だった。一か所の会場で開こうと思っていたライブを、街全体を巻き込んだお祭りに変える。侑だから出た意見と言って相違ないと瑠和は思った。
侑は思いつくままにどんどん計画を進める。このノリで、あとは生徒会に承認さえされれば問題はないだろうと感じた。虹ヶ咲だけじゃ予算的にも人員的にも難しいだろうが、これは藤黄も東雲も一緒のライブだ。それだけいればそこまで難しくもないだろう。
侑が瞳を輝かせて自分の考えを説明をしている傍らで瑠和はかすみんボックスの中に入った意見を一枚ずつ見ていく。
「…」
(この意見をくれた生徒たちには感謝の念が絶えない。だけどなぜだろう。こう………たまに心がもやっとする…)
瑠和は持っていた意見の書かれた紙を机の下でクシャっと潰してゴミ箱に投げた。
―その日の夜―
「せつ菜ちゃんの方が大事なの!?」
ここは高咲侑の部屋。夜に歩夢の叫びが響いていた。戸惑いと、葛藤と、様々な感情に縛られた叫びだった。
「違うよ…………歩夢に伝えたかったのは、もっと、先のこと」
「え?」
「私ね、夢ができたんだ」
侑が告げた言葉。それは、今の歩夢を最も追いつめる言葉だった。それ以上聞いたら、歩夢の悩みも、これまでの時間も、全部無に還ってしまうような気がしたから。
「嫌!」
侑の言葉を止めるとともに歩夢は侑を抱きしめ、ソファーに押し倒すように抑え込んだ。
「聞きたくないよ………私の夢を一緒に見てくれるって…ずっと隣にいてくれるって、言ったじゃない…。私、侑ちゃんだけのスクールアイドルでいたい…だから………私だけの侑ちゃんでいて…?」
そこまで言葉が出た時、歩夢はふと少し前に瑠和に言われた言葉を思い出す。
(誰かの日常は誰かの日常の一部なんだ。そうやって世界は繋がっている。それを迷惑がる人間もいるにはいるが。そうやって、自分の知らないところでできたつながりを「うれしい」って言えるのは、上原のいいところだ)
「…ごめんね?」
歩夢はふらりと立ち上がり、そのまま侑の部屋を出ていく。
「歩夢…?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「はぁ、はぁ、はぁ!」
歩夢は走っていた。目的地などない。ただ、走っていた。ずっと悩んでいた。自分自身の在り方を。最初は侑に見てもらいたかった。成長したからと好きなものをごまかしていた自分でなく、本当の自分を。なのに、そんな自分を良いと言ってくれる人がたくさんいた。それがうれしかった。
だがそれは同時に歩夢を追い詰めていた。侑に見てほしいという気持ちだけでなく、応援してくれるみんなにも見てほしいと思っていた。それは心が侑から離れてくようで、だけど侑は自分のそばにいてくれて、だからそれに甘えていた。
「夢ができた」そう言った侑の心が自分から離れていくようで。
自分勝手なわがままだというのはわかっている。自分の心だって侑から離れていたのに。誰を取ればいいのか、どうすればいいのか自分の二つの心に縛られ、引っ張られていた歩夢はわけがわからなくなった。
何が正解なのか。正解なんてあるのか。
(だれか………誰か…助けて!誰か…)
夢中で走っていると、曲がり角から現れた人に思いっきり当たってしまった。歩夢はぶつかった衝撃でそのまま後ろに倒れそうになるが、ぶつかった相手に手を引かれると同時に背中に手を回され、倒れずに支えられる。
「大丈夫ですか?って………歩夢さん!?」
偶然だが、歩夢が出会ったのは現直だった。
「現直さん…っ!」
歩夢は現直に抱き着いた。一瞬驚き、慌てふためく現直だったが歩夢の尋常じゃない態度を見てすぐにひとりの男からスクールアイドルマネージャーに切り替わる。
「………そこにベンチがあります。とりあえずそこに座りましょう」
現直に誘われるまま、歩夢はヴィーナスフォート付近の公園のベンチに座る。現直はバッグの中から水筒と紙コップを取り出し、水筒から注いだお茶を差し出す。
「どうぞ。フラワーティーです。落ち着きますよ」
「…ありがとう」
歩夢は精神が参っている状態だったが一応受け取り、フラワーティーに口を付ける。
「料理は出来ませんが、メンバーのためにこういうものの研究なんかはしているんです」
「そうなんだ………」
「…………………なにか、あったんですか?」
現直が思い切って話しかけるが、歩夢は俯いたまま何も言わない。
「…」
「歩夢さん?」
「……………………この間、告白された時、うれしかったよ。私、誰かに告白されたことってなかったから」
急にこの間の合宿で告白したことの話を持ち出された。
「え?」
「だけど、私は、現直君も応援してくれるファンのみんなも、最初に見てほしかった侑ちゃんのことも大好きなの……………私、どうしたらいいのかな…」
藁にもすがる思いだった。歩夢は手放したくなかったのだ、全部を。だが、今ここで侑に見てほしい自分を取らなければ何かが取り返しのつかなくなると思った。逆を言えばファンのみんなが好きな自分を犠牲にしたということだ。
「詳しく………聞いても良いですか?」
現直は歩夢から何があったかを聞いた。聞いてしまった。侑のことをどれだけ大切に思っているか、せつ菜に対して嫉妬をしてしまったこと。現直は聞いたうえで少し考えて話を切り出す。
「……歩夢さん。僕のことを覚えていますか?」
「え?」
「僕は昔、歩夢さんに会っています」
「………」
突然何をと思いながらも歩夢は現直の顔を見つめる。そして、少し思い当たる節があったのを思い出す。合宿のとき、水に落ちて髪が下がった現直をみて感じた既視感。それは過去にあっていたからこそ感じた既視感だったのだ。
「え………?もしかしてあなた…」
「かつて会った時は、シノノメリクって偽名を使いました……」
その名前を言われ、歩夢は完全に思い出した。かつて、とある少年を助けて何度か遊んだ日々を。何回か遊んだ後、彼はいつも遊んでいた公園に現れなくなり、歩夢は心配していた。
「あの時の………リク君?あなたが?」
「はい。見た目はだいぶ綺麗になりましたが、僕は間違いなくシノノメリクと名乗った少年です」
歩夢は驚きを隠せずにいた。あの頃からずいぶん変わったからだ。髪は短くなって背もかなり高くなっている。なによりこんな形で再会するとは思ってなかった。
「歩夢さん。あなたが僕に優しくしてくれたから。今の僕がいます。あなたの優しさは、必ず誰かの役に立つ。あなたがスクールアイドルになったことは確実に間違いではなかった」
「…」
「僕はあなたと何の気兼ねなく一緒にいるために、DVをしてくる父に死をも覚悟して反発しました。結果、平和は手に入れましたがあなたを失った。施設預かりになってこの街を離れたからです。だけど今、僕はあなたの前にいる」
現直は歩夢の手を取る。
「因果応報。自分の行いは巡り巡ってあなたのところへ帰ってくる。だから、信じてください。今は不安でいっぱいかもしれませんが、きっといい結果になります」
「本当に、そうなるのかな…」
「なりますよ……………それから、ひとつだけあなたに謝ることがあります。あの日、あなたに告白したこと、あれは嘘です」
「え…?」
突然訳のわからないことを言われ、歩夢は驚く。
当然嘘と言ったことが嘘だ。だが現直は歩夢にとって誰が一番大事なのかが分かったのだ。ずっとずっと想っていた思い出の人。出会えただけでも不幸な自分には十分すぎる報酬だと思った。
「あなたの様子が少しおかしいと感じていたので、あなたの心の拠り所になれれば悩みが聞けると思って試しただけです。ほら、僕って顔がいいじゃないですか」
「そんな理由で…?」
人の心をもてあそぶような行為に、歩夢は現直を信じられないような瞳で見た。
「ええ、そんな理由です。また何かあったら相談に乗りますよ。では」
そう伝え、現直は荷物をまとめてその場を去った。
(完全に嫌われたかな………でも、これでいいんだ………)
続く
どうでもいい語り
そういえば土日にラブライブサンシャインの一挙やってたので見ました。当時は1期最終回から2期の出来にがっかりしてたのですが、改めてみるとすごく面白かったです。たぶん1期の最終回の終わりかたが終わりかただったので2期に期待しすぎたっていうのとぐだぐだしたところが多いのが面白くないと思った理由だと思います。一気に見てようやく2期の面白さにきづけました。
虹ヶ咲も好きですが、やっぱりサンシャインも大好きです。ありがとうラブライブ。