さてスパスタの2期もいろんな意味でいいスタート切りましたねw。
一年生ズが想像の三倍濃いキャラで面白かった。
それでは本編をどうぞ
「あなたを愛してます、彼方さん。初めて会った時から。俺と、付き合ってください」
恋愛なんてしたことがなかったし、あんまり興味もなかった。だけど、いつかはお嫁さんになりたいなぁっていう漠然とした願望みたいなのはやっぱりあって。そんな彼方ちゃんの日常に青春の色が差し込んだのは瑠和君が現れてから。
人に頼ることを知って、多分親以外で初めて頼ったその子はとても素敵な妹想いのお兄ちゃん。
大切な仲間には少しひどいことをしてしまったけど、みんなは私たちの関係を認めてくれた。
ずっとそばにいてくれるってどこかで思っていて。彼方ちゃんもずっとそばにいてあげたかった。だけど、そんな理想が打ち砕かれたかもしれない瞬間は急にやってきた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
名前の通りと言うか、突如として現れた鐘嵐珠はその場を盛り上げ嵐のようにその場を去っていった。嵐珠が見えなくなるや否や果林が瑠和に急接近し、大きく振りかぶった平手を瑠和の頬に打ち付けた。
バチンと痛々しい音が廊下に響き渡る。
「果林ちゃん!」
果林の予想外の行動に同好会全体が驚く。
「こうされた理由、わかるかしら?」
瑠和は叩かれたことに文句も言わず、小さな声で謝罪をした。まるで最初からそうなるのをわかっていたように。
「………すいません」
「彼方だったらいいって思ったから!あなたの想いを知っていたから!!だからあなたを諦めたのに!!その結果がこれ!?」
果林は瑠和の胸倉を掴んで叫んだ。
「………………」
何も言わず黙っている瑠和に対し、果林は再び手を振り上げる。瑠和がそれを甘んじて受けようと目を瞑った瞬間、その手を誰かが止めた。
「果林ちゃん!ダメ!」
「彼方………」
止めたのは先ほどの事態に一番動揺し、ショックを受けていたはずの彼方だった。瑠和は果林を止めた彼方の表情を見てすこし驚く。見たことがない色だった。悲しそうな責任を感じているようななんともいえない苦しい色。瑠和は彼方の心情を察しつつも堪えられなくなり、その場から走り出した。
「瑠和君!?」
「私、見てくる!」
「私も!」
駆け出した瑠和をすぐに侑とエマが追いかけていった。そして、果林の手を止めた彼方を果林が心配そうに見つめる。
「彼方……」
「ごめんね……!」
彼方は相違って瑠和が去った方向とは逆がわにかけていってしまった
「彼方!」
「ああもう!なんでうちの先輩方は急に走り出すのが好きなんですかね!!」
「見てくる!」
彼方の方にはかすみと璃奈が走っていった。
ーカスケード広場ー
ここは夢の大橋付近のカスケード広場。そこで瑠和は一人うずくまっていた。うずくまった瑠和を発見し、おってきたエマと侑はそっと近づく。
「瑠和君」
「…侑……エマさん」
「大丈夫?」
「俺は…………最低な男です。こんなクズ放っておいてください」
瑠和は近くにあった石を掴んで河に投げ入れた。普段の瑠和らしからぬ行動にエマも侑もさすがに心配する。
「………どうして嵐珠ちゃんのキスを拒まなかったの?」
放っておいてほしいと言われたがそんなことできるわけがない。侑は意を決して瑠和に訪ねた。
「…………………………初めて会ったときから………あいつにはすごくなんと言うか………放っておけない色を感じてた」
「放っておけない色?」
「俺がまだ実家に戻ったばっかりだったとき、璃奈の卒業式の日に見た、孤独の色………」
瑠和はキスをされた瞬間、その衝撃で嵐珠に感じていた色の正体を思い出していた。それはかつて自分の妹にもみた色と同じ色だった。回りに距離を置き、孤独でいる人間が見せる色。
だから、拒めなかったのだ。
「そっか……私は瑠和君みたいにそういうのは見えないけど……なんとなくわかる気がする…」
侑は瑠和の事情をなんとなく察する。
「でも、俺は……それ以上に最低な男だ…………俺は彼方さんの彼氏で彼方さんを第一に考えなきゃいけないのに………俺は………っ!」
自分の情けなさ、ふがいなさに苛立ちを覚えた瑠和は地面を殴った。瑠和の拳に血が滲む。それでも自分の中のモヤモヤした気持ちは晴れず、再び地面を殴ろうとした。そんな瑠和の手をエマが優しく掴んだ。
「そんなことしたって、誰も幸せにはならないと思うよ?」
「エマさん…」
エマは傷ついた手にハンカチを巻いてやる。
「大丈夫。ついつい人にお節介しちゃうのがが瑠和君のいいところだもん。そのお節介に、みんな助けられてきたんだし」
「そうだよ。私も瑠和君のそういうところ素敵だと思う。それも彼方さんはわかってくれてると思うよ?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
一方こちらは彼方の方面。彼方は瑠和と合宿のときに話した場所まで来ていた。初めて会ったときからお人好しの固まりみたいな人間だった。嵐珠の行動を拒否しなかったのもそれが理由だろうというのもわかっていた。
「彼方さん!」
「彼方先輩!」
「璃奈ちゃん、かすみちゃん……」
彼方を心配してきたかすみと璃奈が合流する。
「大丈夫?」
「…………ごめん、わかんないや」
いつもなら大丈夫だと言うところだが珍しく弱い部分を見せた。彼氏の妹である璃奈がいたからだろうか。
「彼方先輩……瑠和先輩ってほら、優しい人だから…きっとあのひとのキスにもなにかしら意味があったのかもしれませんよ!」
「………それは……彼方ちゃんもわからないでもないんだけど………」
「じゃあ………どうしたの?」
瑠和のキスが原因ではないのならいったいどうしたのだと璃奈が訪ねる。璃奈に訪ねられ、彼方はすこしの間沈黙しながら髪をくるくるといじっていたが小声で話し始める。
「……………………最近ね、彼方ちゃんが瑠和君の枷になってるんじゃないかって思うんだ」
「彼方先輩がですか?」
「うん………瑠和君って人の顔色が見えるでしょ?だからけっこうデートとかしてるとき、困ってる人のこと見つけてるっぽいんだけど……彼方ちゃんが近くにいると彼方ちゃんのこと優先してくれるから…」
「あー。確かに瑠和先輩荷物持ってるおばあさんとか助ける質ですからね」
「でも、彼方ちゃんを優先することが、少し瑠和君にとって辛そうに見えるときもあって…。でも、ちゃんと彼方ちゃんを見て欲しいって気持ちもあって………」
彼方の悩みはわかったが璃奈もかすみもかける言葉は見つからなかった。彼方はとりあえず一人になりたいといったので璃奈とかすみはヴィーナスフォートに移動し、今後どうするか話し合った。
「…お兄ちゃん、同好会の問題を解決してるうちに、困ってる人の色に敏感になったんだと思う………」
「人の感情が色が見えるって言うのも案外難儀なものなんだねぇ」
「ずっとそれで苦しんできてたから……」
「璃奈ちゃん?」
二人頭を悩ませているとそこにエマが現れた。エマもかすみたちと同じく瑠和のことで頭を悩ませていたのだ。
「瑠和先輩も瑠和先輩でめんどくさいことになってるみたいですねぇ。主に原因があるのは瑠和先輩だと思いますが」
「でも、好きでやってることでもないから…難しいんじゃないかな…。困ってる人を切り捨てるのは簡単だけど、それができるほど瑠和君単純じゃないし…」
オープンキャンパス後の休みを挟んだ休み明け、瑠和は学校を休んだ。彼方に会わせる顔がないからだ。そして、瑠和のいないクラスに元気な声が響き渡った。
「香港からの短期留学で来たわ!スクールアイドルの鐘嵐珠よ!」
嵐珠は今日から普通科の瑠和と同じ、つまり歩夢と同じクラスになったのだ。元気よく挨拶したがすぐに嵐珠の眉にシワが寄る。
「……………?」
「どうしました?嵐珠さん」
「先生、このクラスに瑠和はいないの?」
「ああ、天王寺瑠奈さんなら今日はお休みですよ」
「そうなの……まぁいいわ。みんな、よろしくね!」
それから一時間目が終わり、嵐珠は休み時間に歩夢の席に来た。
「歩夢、改めてよろしくね」
「うん、よろしくね」
「ところで、瑠和はなんで休みなの?風邪?」
歩夢への挨拶というよりか瑠和の状態を聞きたかったらしい。
「えっと……風邪…じゃ、ないと思う。なんだか、体調が優れないんだって」
「そう…」
一目惚れしたと言うだけあって瑠和に会いたかった気持ちが強く感じられた。偶然かなにかしらコネを使ったのかはわからないが瑠和と同じクラスに来るくらいだ。
歩夢は瑠和とには彼方という彼女がいると伝えるべきか迷ったがまだ二人のこともちゃんと解決できていないのに話をややこしくするべきでないと判断して口をつぐんだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「…」
こちらは学校を休んだ瑠和の部屋。瑠和は布団にくるまり虚空を見つめていた。彼方と付き合い始めたスクールアイドルフェスティバルから、妙に人の顔色に敏感になった。元々お節介な性格も相まって困っている人間を放っておけなくなった。
ましてやかつての妹と同じ色を持った少女のことなど拒絶できるわけがなかった。
「都合のいい神様にはなっちゃいけない…だけどそれって誰かを切り捨てていいってことなんですか……?」
そうは思うものの、心のそこから彼方のことを愛しているというのも事実だ。大事な存在である彼方をないがしろにすることも、困っている不特定多数の人間を切り捨てることもできない。二律背反の状態だった。
それに、それ以上に、彼方を傷つけてしまった。そのことが情けなくて、不甲斐なさが堪らなく瑠和は部屋から出られずにいる。
「果林さんを傷つけてまで、彼方さんを選んだ…その結末がこれかよ…」
ー翌日ー
「お疲れさま」
同好会部室に果林が来た。一通り部室にいるメンバーの顔を見渡してから小さくため息をつく。
「はぁ……瑠和は?」
「今日も…休み」
璃奈が申し訳なさそうに答えた。
「……………るなりん、大丈夫かな?このままさよならなんてないよね!?」
「させないわ。そんなの。させてたまるもんですか。それより、彼方は?」
「…」
部屋の隅を見ると枕を抱きながら俯く彼方がいた。傍らに心配そうに見つめる歩夢と侑がいるが、できることなどなにもない。とても普通な状況ではなかった。
「この二人、早めにどうにかしないとね。YGとのこともあるし…」
瑠和がいない間にYG国際との合同ライブも決まっていた。瑠和はともかく彼方は出演するメンバーの一人だ。ライブまでに彼方を復帰させなければならない。
そして、彼方を復帰させるには瑠和が必要不可欠でもあった。
「とにかく、瑠和がいつ戻ってくるかわからないんだし、彼のことをあまり意識させない方がいいんじゃない?」
「そうですね……なにか別のことで意識を逸らせればいいんですが…」
なにかいい案がないか同好会メンバーで話し合って考える。そんなとき、璃奈が嵐珠のファンサイトを見つけた。瑠和、嵐珠、彼方、今問題となっている三人の関係を考え、璃奈はひとつの結論へ至る。
「そうだ!」
珍しく璃奈が大きな声を出して立ち上がったことに愛が驚く。
「りなりー!?どったん!?」
「うまくいくかわからないけど………………彼方さんとお兄ちゃんのこと…私に……………………任せてほしい……」
遠慮気味な声で璃奈は言った。同好会メンバーは少し驚いたような顔をしていたがすぐに微笑んだ。
「お願いできる?」
丸投げではない。信用の意味での言葉が返される。璃奈は力強くうなずく。そして、それなりに関わっていたエマとかすみがサポートとして一緒に行くと言う。璃奈は彼方のことは自分に任せてほしいと伝え、彼方を連れてどこかへ出掛けていった。
「じゃ、愛さんたちはYGとのライブ準備、進めますか!」
信用できる仲間に大切な仲間を任せ、愛たちはライブ準備に勤しんだ。
「嵐珠ちゃんの本音を聞き出す?」
璃奈はうなずく。
「お兄ちゃんがどうして嵐珠さんのキスを拒まなかったのかっていうのはお兄ちゃんが嵐珠さんの本音をわかってたからだと思う。だから、私たちでそれを聞き出せればお兄ちゃんの代わりに嵐珠さんをどうにかできると思う」
「瑠和君の代わりに…」
「そうですよ!瑠和先輩の代わりにかすみんたちがぜーんぶ解決してあげて、かすみんたちだってできるところを瑠和先輩にわからせてあげましょうよ!」
「もう瑠和君が誰かの悩みを抱え込んじゃわないように………私たちになんだって相談できるように!」
「…でも、どうやって?」
「それは……………あんまり考えてないけど、とにかく次のYGとのライブで私が嵐珠さん以上のパフォーマンスをして見せる!嵐珠さんが本音を話せるくらいの実力を持ってるって思ってくれれば…」
なかなか難しい課題であることは明白だがそれができない限りはどうにもできない。そんなことを考えていると、遠くの方に嵐珠が歩いていくのが見えた。
「あ、嵐珠ちゃん!」
「そういえばゲリラライブやってるって言ってましたよね…」
ふとかすみの頭の中にいいアイデアが浮かぶ。
「そうだ!みなさん、鐘嵐珠のこと追跡してみませんか?」
ーダイバーシティー
一方こちらはやることがなくなんとなくお台場をぶらついている瑠和の方面。この二日でずいぶんと元気のない顔になっていた。食事もろくに喉を通らず、少しげっそりしている。
ふらふらと歩いていると、放課後にダイバーシティへ遊びに来ていた他校の生徒とぶつかる。
「おっと」
「…」
ぶつかった相手はそのまま去ろうとした。正しくは少し会釈はしたが下ばかり見ていた瑠和はそれを見逃した。
「…………待てよ」
「え?」
「人にぶつかっておいて謝罪のひとつもなしか…?」
「え?あ…すいません」
他校の生徒は普通に謝罪した。しかし、瑠和のなかで渦巻いた黒い感情は収まらずなにも悪くない相手にぶつけた。
「はっ、心の籠ってない謝罪だな。いいよなお前みたいな気楽に生きてる人間はよぉ…」
「え?な、なんですか?」
「人の顔色も見ないで毎日気楽に生きてるんだろ?人のことも考えないで………………なんでお前みたいな人間が幸せで、俺はこんなに不幸なんだよ!」
相手に掴みかかろうとしたとき、その腕を誰かが止めた。
「なにをしているんですか!」
「…………栞子」
そこに現れたのはたまたま学校で使う文具などを買いに来ていた栞子だった。瑠和の荒ぶる声が聞こえ、慌てて止めには言ったのだ。
「申し訳ありません、行ってください!」
「は、はい…」
瑠和に絡まれた相手はそそくさと去っていった。
「……いったいなに…………を…」
栞子が振りかえって瑠和を見ると、その顔から見えた色に驚愕する。
「なにが……………あったんですか?」
「…………栞子」
瑠和は自然と栞子に抱きついてしまった。栞子が彼女であったのは過去のことだ。抱きしめたのは恋愛感情ではない。同じ感性を持つ栞子に助けを求め、それがこういう形になったのだ。
「瑠和さん!?いったいなにを…」
「ごめん…………ごめん…」
二年前、付き合っていたときにこんな姿の瑠和を見たことはなかった。ただ事でないことはそんなことされればすぐに察しがつく。栞子はあえて突き放す真似はせず、そっと抱き締めた。
「なにがあったのですか?私でよければ…話を聞かせてください」
ーデックス東京ビーチー
瑠和と栞子は浜辺まで移動しそこで話をした。瑠和がぶつかった悩み、恐れ、そのすべてを話した。同じ感性を持つ栞子にだからこそ話せたといえるだろう。
「…そうですか、嵐珠とそんなことが…」
「嵐珠だけじゃない。俺は彼方さんをないがしろにした…………そのことが一番嫌なんだ…。だけど、困っている人を見過ごすこともできなくて。」
「まぁ、わからなくないです。私も大勢の色を見てきましたから。姉さんのときも…………」
「え?」
「いえ、なんでもないです」
瑠和はちらりと栞子の方を見る。以前と変わらない感情の写らない瞳。あまり表情を変えることがないので色も見えにくい。
「栞子は…………自分のこの感性が嫌になったことないのか」
「…………ありますよ。何度も。だけど、もって生まれた以上それと付き合うしか…………自分の適正に会わせて生きていくしかないと、私は思います」
「そりゃそうだけど…」
「なぜ、相談しないのですか?素敵な仲間がいらっしゃるじゃないですか」
「他の人のことを考えて彼方さんをないがしろにしてるって思われたくない」
果林を傷つけてまで彼方を手に入れた。その経験を、果林の心の傷をなかったことにしたくなかった。
「…………でも、見捨てることもできないんだ」
「……あなたの気持ちはわかりました」
栞子はそっと瑠和の頬を撫でた。
「昔に比べてずいぶん痩せました。あなたがここに来てどれだけ大変な思いをしたか、どれだけ頑張ったかはすぐわかりました…………だけど、だからこそ、あなたは休むべきです」
「え?」
意外な言葉を言われ、瑠和は少し困惑した。そして、困惑している内に栞子は頬においていた手のひらを上へ動かし、額にデコピンを食らわせた。
「あたっ」
「あなたはすこし自惚れすぎなんです」
「自惚れ………?」
「はい。私はあなたと同じ感性を持っていますが、例えば病人がいたとして、その人を助けようとしたときに傷の治療を施して完治するまで私がすべてやろうとは思いません」
栞子は立ち上がり、瑠和の方を見た。
「私は、この感性を使って誰かのサポートをすることが一番適正があることだと信じてます。だけど、全身全霊でサポートするのはこれくらい」
栞子は瑠和の前で両手を広げて見せる。
「………」
「私の手が届く距離までです。人にはそれぞれ適正があります。いくら困ってる人がわかったからってなんでもかんでもあなたがやる必要はない。そしてそのとき、他の人に任せるのは見捨てるのではなく、「託す」というのではないんですか?」
「託す…………」
「それから、嵐珠のことですが…………ひとつだけ教えておきます」
「嵐珠の?」
「私と嵐珠は昔友達でした。近所に住んでいたからなんですが…………実は嵐珠は昔友達がいなかったんです」
「え?」
「彼女は時々刺のある言い方をするし、なによりなんでもできた」
「なんでも?」
「ええ、一緒に遊んでも常に嵐珠が勝つから彼女の周りの子供はつまらないと。もちろん嵐珠に悪気はありません。常に真剣勝負が彼女のモットーですから。ともかくそんな要素が合わさって彼女の周りから友達と呼べる人は去っていきました。私が彼女の友達になれたのは……」
最後の言葉はすでにわかっていた。瑠和は自然とその答えを口に出していた。
「色が、見えたから」
栞子は頷く。つまりは栞子は嵐珠の考えややり方を色を見ることで理解できた唯一の友達なのだ。
ようやく瑠和の頭のなかでパズルが完成した。なぜ嵐珠は瑠和を求めたのか、なぜ孤独の色が見えたのか。きっとスクールアイドルフェスティバルの動画の中で瑠和の臨機応変な動きと栞子と同じ瞳の色で瑠和にも栞子と同じ感性があることに嵐珠は気づいたのだろう。
そこで、人生の伴侶として相応しい感性を持つ異性として瑠和を求めたのだ。
「そういうことか………っ!」
「あなたは少し頑張りすぎです。たまには休むのも大切だと思いますよ」
「…………ありがとう栞子。ちょっとだけ、わかった気がする」
「お役にたてたのなら光栄です」
瑠和はどこかへと走っていく。栞子はそれを見送った。
「本当に、昔と変わりませんね」
ー嵐珠宅付近ー
瑠和は彼方に会いたいと連絡した。そして、嵐珠が住んでいるマンションの近くの公園に集まっていると聞き、そこまで駆けてきた。
「彼方さん!!!!」
息切れ混じりの叫び声が公園に響いた。
「瑠和君…」
「お兄ちゃん………」
「お願いが………ありますっ!あんなことしておいて都合が良すぎると思うけど……どうか………手を貸してくれませんかっ!?」
瑠和は頭を下げた。瑠和の言葉、行動に彼方はしばらく黙っていた。さすがに虫が良すぎたかと瑠和が考えていると瑠和の前まで歩いてきた。そして、そっと瑠和を抱き締める。
「ありがとう、瑠和君。彼方ちゃんたちを頼ってくれて」
彼方の優しさに瑠和は涙が出そうになる。彼方を抱き返し、瑠和は二度と悲しい思いはさせないと心に誓う。
「もう………離しませんっ!」
続く
次回辺りからイチャラブスタートかと思われます。先のことは特に決めてません!