「你好!みんなのアイドル、嵐珠よ!」
「…」
某日、部室を訪れた瑠和の目の前に現れた嵐珠はひとさし指を頬に置き、かわいい笑顔を見せている。
「どうかしら?」
「どうって…………」
一緒に部室に入った歩夢と瑠和は顔を見合わせる。一方、同じタイミングで部室に入った果林は嵐珠を少し見て考える。
「あ、髪切った?」
「切ってないわ」
「シャンプー変えた?」
「変えてないわ」
歩夢も何か違いがあるんじゃないかと考え、意見を出してみるがそうではないらしい。瑠和も困惑していると奥からマイクを持った侑が出てきた。
「いま、嵐珠ちゃんと愛ちゃんで可愛さ対決してるんだ」
「…………ふーん」
瑠和はそれを聞いて納得し、ソファに座る。それと同タイミングで彼方が瑠和の膝に寝転がる。瑠和はそれを少しも意に介さず頭を撫でて彼方の眠りの質を向上させた。しばらく愛と嵐珠の可愛さ対決が開催されていたが、瑠和はそれを尻目に彼方とのんびりとした空間を楽しんでいる。
「じゃあ、瑠和はどうかしら?」
「え」
唐突に、瑠和の方に話題が振られる。
「そうだね、るなりんどうだった?愛さんとランジュ、どっちかわいかった?」
下手に答えられる質問ではなかった。瑠和としては同好会で魅力度ランキングをつけるとすれば一位は当然彼方。二位は妹の璃奈といったところ。それ以外はあまり考えていないし、瑠和を求めた嵐珠がいる手前もあるからだ。
瑠和は少し考えてから答える。
「…………嵐珠はかわいいっちゃかわいいが、やっぱり妖艶な感じが強いし顔が整ってるから可愛さとは意外とミスマッチなんだよな。愛も悪くないけど愛が可愛さで勝負するなら…やっぱり無邪気な笑顔が一番なんじゃないかな」
「お、言うねぇ」
「なら、瑠和はこの同好会でだれが一番かわいいと思う?彼方と璃奈以外で」
「え」
ランジュの聞いてきた質問に瑠和は再び固まる。
「あ、愛さんも気になる!」
「そんなのかすみんに決まってますよねぇ」
師匠と呼ばれ、有頂天になっているかすみがずいっと前に出てくる。
「…そうだな」
瑠和は再び少し考える。考えている間の間がなんとも言えない空気を同好会に流れさせる。
「俺は、果林さんかミアだと思うけど」
「ブッ!」
「はぁ!?」
まさか自分の名前が挙がるとは思ってなかった果林は啜っていたコーヒーを吹き出し、ミアは憤りを見せながら立ち上がる。あとあまり関係ないが選ばれなかったかすみがショックでその場に崩れ落ちた。
「ちょっとミアはともかく私が可愛いってなに!?」
「僕はともかくってなんだよ」
「いやだって、可愛いって思ったから」
「瑠和さん!具体的に可愛いと思った部分はどこでしょう?」
マイクを持った侑が瑠和の言葉に深掘りしてきた。
「いや、ミアはなんだかんだ子供らしいところとか、果林さんも普段気取った態度だけどかわいいもの好きだったり、時々見せる緩んだ笑顔とか……まぁ一言で言うならギャップかなぁ。決して貶してるわけじゃないですよ?俺はそんな果林さんが好きだったんですから」
「………」
真正面から聞いてる方が恥ずかしくなるような惚気を言われ、果林は顔を赤くし、髪の先を指でいじることで照れ隠しをし始める。
「hey 瑠和、子供らしいってどういうこと?心外だよ全く」
「だって実際まだまだ子供だろ。いくら飛び級で背伸びしたって」
瑠和の言葉に少しむすっとしたミアが反論しようとした。しかし、瑠和はそれより早くミアの頭に手を乗せた。
「時々見せる意地っ張りとか、感情のまま素直な表情とか可愛いところ、隠しきれてないんだ。まぁお前のそういうところを見つけるのは案外楽しいけどな」
瑠和はミアの目線まで顔を下げ、ニッと笑った。その笑顔にミアは少し顔を赤くし、そのまますごすごと引き下がっていく。
「85点ですかね」
「1000不可思議~」
採点者側が瑠和の対応に点数をつける。少し点数が低いのは元カノである栞子のプライドからだろうか、エマに至っては採点基準が謎である。
「別に狙ったわけじゃないんだが………」
「あ~優勝者の瑠和さん。後ろ、後ろ……」
「え?」
振り返ると、枕を抱えたままムスッと頬を膨らませる彼方がいた。
「あ………いや!無論彼方もめっちゃ可愛いよ!」
「え~じゃあどんなところ~?」
瑠和からは見えない角度で彼方はいたずらっぽく笑う。不機嫌そうに見えたがそうではない。無論少し嫉妬した面もあるが彼方は瑠和をからかっただけだった。
そんなことにも気づかず瑠和は必死に彼方の機嫌を取ろうと誉め言葉を並べる。
同好会はそんな光景に笑うばかりだった。
続く
ストーリー中に出す次元系の設定(ナタや不思議な石等)って必要だと思いますか?
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これまで通りでいい
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減らしてほしい