お布施が足りないなら、もっと出すよ。だから、だから、劇場版を最高に盛り上げてくれ。最高の作品に最高の終止符を打ってくれ
ある昼下がりのことだった。瑠和は昼食を食べる約束を彼方としていた。
瑠和はいつも二人で昼食を食べている中庭で彼方を待っている。特に急いでなにかをする日でもなく、珍しく暖かな陽気で、瑠和は穏やかな気分で日向ぼっこをしていた。
「Hey、璃奈」
後ろから声をかけられた。振り向くとそこにはミアがいる。どうやら後ろ姿で璃奈と勘違いしたようだ。
「って、なんだ瑠和か」
「悪かったな、璃奈じゃなくて」
「………前から思ってたんだけどさ、瑠和は身長こそあるけど結構璃奈と似てるんだから格好まで似せないでくれる?」
「そんなややこしいかね」
瑠和は冬になってから学校指定の冬服を来たり、璃奈と同じパーカーを来たりしている。璃奈と同じパーカーの日はややこしく見えるのだ。
「なんで璃奈と同じパーカーを着てるのさ」
「また一緒に暮らし始めて、璃奈とちゃんと話し合ったあと、璃奈から貰ったんだ。俺は制服の方が好きだけど、これ着てやると、璃奈がちょっと嬉しそうな顔してる気がしてさ」
「……」
ミアは少し、申し訳ないと感じた。
話でしか聞いていないが、瑠和と璃奈にもわだかまりがあり、いろいろあって今の仲良し兄妹になれたのだ。
「そっか………じゃあ、別にいいさ。悪かったね」
「いいや」
ミアは瑠和の隣に座り込んだ。
「………どうした」
「ここで僕もランチにするのさ。悪い?」
ミアはニヤリと笑いながらハンバーガーとポテトを取り出した。
「………俺と彼方の時間を邪魔しないでもらえるか?」
「いつでもお構いなしにいちゃついてるやつらが何言ってんだよ」
「…」
瑠和は少しむすっとしてからミアのポテトを掴んで己の口に放り込んだ。
「あ!なにすんだよ!」
「いいだろ一本くらい!俺と彼方の時間を邪魔した罰だ」
「返せよ!」
ミアは瑠和の頬を引っ張る。瑠和はそれ気にも止めず、ポテトを租借して飲み込んだ。
「もうふっひまっはよ」
ミアと瑠和は、兄妹のようにじゃれあっていた。
「…はぁ、まったく。彼方はこんなやつのどこがいいんだか」
「お子様に恋愛は難しいかな?」
「誰がお子様だって?」
ミアは再び瑠和の頬を引っ張る。
「おれふぉかなはのあいはひはふほはひほははほは、へひはふはへはふぁいふはよ(俺と彼方の間にあるのは、人柄とか性格じゃないんだよ)。ほへはははははひほうやはまはまはおほはははな(それがわからないようじゃまだまだお子様だな)」
「僕は3年生で先輩なんだぞ!」
「ほーゆーほほほはよ(そーゆーとこもだよ)」
瑠和ののらりくらりとした態度を見て、相手にするだけ無駄だと思ったミアは小さくため息をつき頬を離した。
「しかしまぁ、ミアが明るくなってくれてよかった」
「…どういうこと?」
「初めてあったときから、ミアからは暗い色と、楽しむことを忘れた色しか見えなかった。俺が事故ったときも、酷い面してたからさ」
「………あの頃は、本当に余裕がなかったんだって、改めて思うよ」
「…」
珍しく、ミアがしおらしい態度を見せた。そして、普段の見せないような表情で瑠和の顔を見てきた。そのことに瑠和も少し不思議な気分になった。
「だから………さ」
「おんやぁ?ミアちゃ~ん」
そこに待ち合わせていた彼方がきた。
「なぁに、ミアちゃんも一緒にお昼ご飯~?」
「ん……ああ、いいかい彼方?」
彼方が来たせいか、ミアはいつも通りの態度に戻った。
「うん♪いいよぉ。みんなで食べるご飯はおいしいからねぇ。瑠和君と二人きりじゃないのはちょっと悲しいけど」
彼方としてはそんなつもりはないのだろうが、どこかミアがジャマだというような言いぐさにも聞こえる。
「彼方も彼方だね」
―ミアの部屋―
家に帰ってから、ミアはこれまでの思い出を振り返っていた。いままで同好会で取ってきた写真。思い出の数々。
「…………僕がここにいられたの、あいつのおかげなんだよな」
思えば、初めて会った時からずっと気にかけてもらっていたことを思い出す。
「…………」
―翌日―
翌日、ミアは中庭のあたりをうろうろしていた。
目的の人物がいないことを確認すると、ミアはそのまま中庭を去ろうとした。すると、その前に璃奈が現れた。
「ミアちゃん」
「璃奈………瑠和を見なかったかい?」
ミアの質問に璃奈は少し考えてから答える。
「…今日は、裏庭だと思う。曜日ごとで彼方さんとごはん食べる場所変えてるから」
「そっか、Thank You、璃奈」
昨日は璃奈を探していたのに、今日は璃奈に瑠和の居場所だけ聞いてすぐに去っていってしまった。
ー裏庭ー
「瑠和はどこに…」
瑠和を探して裏庭に来たミアは、ふと、横になっている学生を見つけた。
「Hey、瑠…」
近づくと、瑠和は寝息を立てていた。起こそうかと思ったがミアはその手を止める。そして、小さく微笑んで瑠和の頬に手を置き、髪を撫でた。
くすぐったかったのか、瑠和は少し表情を歪める。それを見てミアはつい表情が緩む。
「結構cuteじゃないか。ベイビーちゃんよりbabyみたいだ」
しばらく瑠和の髪を撫でながら遊んでいると、瑠和は目を覚ます。だが、瑠和は寝ぼけ眼で目の前にあったミアの足を見た。
(ああ………彼方か)
寝ている瑠和の髪を弄って遊んでくる女生徒は彼方であろうと、寝ぼけた頭で考える。そして、そう考えた瑠和は少し体を起こし、頭をミアの足に乗せた。
「!!!」
瑠和の行動に驚いたミアは目を見開くが、すぐに声は荒げなかった。その理由は、瑠和の行動に対して、ミアの中に沸いた母性が原因だ。
「…………こんな、気分なんだ…。………案外、悪い気分じゃないかもね…」
普段、エマが誰かにの膝枕にしてあげて嬉しそうにしている光景を見て、してあげる側はなにが嬉しいんだと思っていたのだ。
「…………まったく、君は自分をケンソンしすぎだよ。君に好意を抱いている人が周りにいることを、もう少し意識したほうがいい。そんなんじゃ、いつか彼方に愛想をつかされるよ。まぁ、最も彼方もかなただからね。君が彼方に捨てられる未来も、見えないけど」
ミアは小さく笑い、瑠和の頬を軽く引っ張った。
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「遅くなっちゃった、瑠和君がお腹空かせて死んじゃう!」
少しクラスの用事で遅くなった彼方が慌てて弁当を持って裏庭に向かっていた。すると、前の廊下から、ミアが歩いてくるのが見えた。
「ミアちゃん?」
「………彼方」
「こんなところでどうしたの?あ、はんぺんでも探してた」
「………そうかもね。はんぺんみたいに愛嬌のあるやつを探してただけさ」
「?」
ミアは何やら意味深なことを言ってどこかへ去って行ってしまった。頭に疑問符を浮かべながらも彼方は急いで裏庭に向かっていった。
―裏庭―
「ん………和君………瑠和君!」
「んぁ……?」
すやすやと眠っていた瑠和は彼方に起こされた。
「おお、彼方」
「おお、じゃないよ~。ほらこれ」
彼方は瑠和に鏡を差し出した。その鏡に映った瑠和の顔には、猫のひげと鼻が落書きされていた。
「うぉぉ!?なんじゃこりゃ!!」
「多分ミアちゃんだよ~。さっきすれっ違ってたし」
「恨みを買った覚えはねぇんだけどなぁ……」
ミアの気まぐれのいたずらか、そんなことを思っていると瑠和は足元に何か紙袋が置かれていることに気付く。
「ん?」
―翌日―
「おはよー!カナちゃん!るなりん!」
翌朝、いつも通り登校する瑠和と彼方を見かけた愛が挨拶すると、少しムスッとした感じの彼方と、見慣れないパーカーを着ている瑠和がいた。
「およ?るなりんそれ………」
「ああ、これか?」
最初は新しいパーカーかと思ったが、よく見るとどこかでみた記憶があった。瑠和はそれに気づいたことを知ってか知らずか、微笑んでフードをかぶる。フードには可愛らしい猫耳がついていた。
「あわてんぼう………いや、いたずら好きなのサンタクロースのプレゼント…かな?」
続く
ストーリー中に出す次元系の設定(ナタや不思議な石等)って必要だと思いますか?
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これまで通りでいい
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減らしてほしい