その日、たまたま同好会に持ち込まれた一つのトランプが物語の始まりとなる。
「あら、みんな、なにしてるの?」
「神経衰弱だよ~」
「トランプを持ってきたのでみんなで遊んでるんです」
「へぇ~」
漏れ出す笑み、そわそわとする動作は明らかに「混ざりたい」という感情を押さえきれていなかった。
「嵐珠ちゃんも混ざる?」
「ええ!もちろんよ!」
嵐珠も混ざり、そんなこんなで、瑠和、彼方、嵐珠、しずく、果林でババ抜きをすることとなった。
「さぁ、誰がババを持っているのかしら?瑠和?」
「どーだか」
「彼方?」
「どうかな~」
「しずくが怪しいわね」
「持ってても言いませんけど…」
どうにも、嵐珠のノリはよくわからないなと思いながら瑠和はゲームを進めていく。
そんなゲームの途中、嵐珠は彼方からジョーカーを引いた。
「きゃあ!ジョーカーよ!ジョーカーを引いたわ!さぁ、奪ってみなさい!出きるものならね!」
「お前本当にババ抜きのルール知ってるか」
そう思いながらも、瑠和はふとさっきの出来事を思い出す。トランプの遊びを嵐珠に提案させたとき、嵐珠が提案したのは独りでやる遊びばかりだった。
(ああ、そうか)
ずっと一人でいた彼女にとって、ただのババ抜きですら、きっと楽しくて楽しくて仕方ないのだ。自分に不利になる状況になっても、それすら楽しいくらいに。
「…」
ゲームが進んでいくなかで、果林、しずく、彼方の順で上がっていき、最後に残ったのは瑠和と嵐珠だけになった。
「さぁ、かかってきなさい、瑠和」
「………」
瑠和は一瞬、璃奈の方を見て嵐珠からは見えない角度でハンドサインを出した。
「………っ!」
瑠和の意図を理解した璃奈は、自然な動きで嵐珠の後ろに立ち嵐珠の手札を覗き見た。
そして、腕を組むフリをしつつ嵐珠の手札に握られているカードのうち、右と左どちらがジョーカーであるかを示した。
(璃奈、ありがとな)
瑠和は璃奈に心の中で礼をいいつつ嵐珠のジョーカーを奪い取った。
「っ!」
「おっと、こっちはジョーカーだったか」
「やるわね瑠和、このランジュからジョーカーを奪うなんて」
「さぁ、今度はお前の番だ」
瑠和は手札をシャッフルしてから嵐珠に差し出す。
「…こっちよ!」
嵐珠が引いたのはハートのエース。それで嵐珠も上がりになった。
「やれやれ、負けちまった」
「さて、次はなんのゲームをやりましょうか」
次のゲームの提案が次々と上がるなか、嵐珠はちらりと瑠和の持っているジョーカーをみて、ボソッと呟く。
「…やっぱり特別なカードはいつも…ひとりぼっちなのね」
「…嵐珠」
嵐珠の言葉に、瑠和は少し笑う。
「…………一人ぼっち…か。確かにな」
「…」
「けど、俺ならその役割くらい引き受けられる。俺にびったりじゃねぇか」
「瑠和……………そんなことないわ!たしかにジョーカーはババ抜きなんかじゃ最悪のカードだけど、ポーカーや大富豪じゃ最高のカードに変わるのよ!」
「………嵐珠。そうかい」
「瑠和君」
「ん」
彼方はゲームから取り除かれたジョーカーのカードを瑠和に差し出す。
「これで一人ぼっちでもないぜ~」
「…そうだな」
瑠和はそれを受け取り、瑠和も上がることができた。
ストーリー中に出す次元系の設定(ナタや不思議な石等)って必要だと思いますか?
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これまで通りでいい
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減らしてほしい