彼方の近衛   作:瑠和

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いよいよ今日!第二章公開!璃奈ぁぁぁぁ!お兄ちゃん頑張るぞぉぉぉぉ!
お台場の9時のやつにバカみたいに璃奈推してるやつがいたら私です!


るなよん!のべらいず!EX
第0話 グランプリ開幕前夜


「瑠和君ってさ、どうして髪伸ばしてるの?」

 

「……ああ、これ」

 

天王寺瑠和は髪を伸ばしている。正確には襟足の部分だけ伸ばしているという方が正確だろうか。男子であるのに瑠和は髪を伸ばしていることに彼方が疑問に思ったのだ。

 

昔は何も思わなかったし、聞こうともしなかった。だが、改めて気になったから聞いてみたのだ。

 

記憶を失い、まっさらになった青年に。

 

「…………これは、俺の贖罪です」

 

「贖罪?」

 

「ええ、璃奈を一人にした時間だけ、髪を伸ばしてるんです。つまりは小学三年から……もう8年近くになりますかね」

 

「へぇ…でも、それにしては伸びてないような気がするけど」

 

 

確かに、一般的な男子生徒に比べれば長いほうではあるのだが、8年も伸ばしている割には短いような気がした。少なくとも彼方や嵐珠よりもずっと短い。

 

「あー俺の毛ってはねてるじゃないですか。ゴムを解くとわかりますけど」

 

瑠和はそう言って襟足の毛を縛っている髪を解く。普段は縛られている髪が解かれると、伸ばしている髪も一緒に跳ねる。

 

「今はわかりやすいですけど、こんな感じでほかの髪と一緒になっちゃうんで。かなり伸ばさないとほかの髪と見分けつかないんです。だから割と最初のほうは一緒に切っちゃうこと多くて」

 

「そうだったんだぁ………彼方ちゃん知らなかったぜぇ」

 

ずっと一緒にいた。いろいろな話もした。それなのに、知らないこともあったことに驚く。いや、天王寺瑠和という一人の人間が歩んできた17年間があるのだ。知らないこともあって当然だ。

 

その日、彼方は一人で下校をする。

 

「さびしいなぁ」

 

愛していた。大事にしていた。離れることなんてないと思っていた相手が、目の前にいるのに、これまで通りの会話もできなければ、知らない表情もする。

 

きっと、彼方と付き合っていた時は、いや、同好会の一員としているときは見せないようにしていた一面もあったのだろう。それは無論瑠和に限った話ではない。

 

誰にでも社交的な仮面というものはある。

 

それが今、同好会の一員でも彼方の恋人でもなくなったことでその仮面が剥がれ落ちていたのだ。

 

 

 

ー天王寺宅ー

 

 

 

「…これは、知らない」

 

開催が近づくスクールアイドルグランプリに向け、瑠和は身支度を進めていた。荷物を整理していると、知ってる荷物と、知らない荷物が出てくる。

 

「…………本当に、大切な存在だったんだな」

 

様々な荷物や写真から「大切な存在」であることが感じ取れた。

 

「………ここいらの荷物は俺に必要なのか?…………ちょっと璃奈に聞いてみっか」

 

瑠和は自身の部屋から出てきた様々な道具が必要になるかわからず、とりあえず璃奈に聞いてみることにし、璃奈の部屋に向かう。

 

「…………」

 

一方、こちらは璃奈の部屋。璃奈の目の前にあるのは長いマフラー。これは、彼方が瑠和に誕生日プレゼントとして渡したものだ。

 

瑠和が記憶を失った日、とりあえず璃奈が回収したが、返すタイミングを逃していたのだ。

 

そして、返したくないという気持ちが璃奈の中に僅かながらも生まれたことも事実だ。これは、二人が並んでマフラーを巻いたりするためのもので、璃奈からすれば、嫉妬の対象でもあるからだ。

 

「璃奈ー」

 

「わっ」

 

急に扉を開けられ、璃奈は跳び跳ねながら驚く。

 

「どうした?」

 

「う、ううん。どうしたの?お兄ちゃん」

 

「ああ、これ、俺のものっぽいんだけど、必要になるのかいまいちわからなくてな」

 

そういって瑠和は段ボールからいろいろ並べていく。一眼レフのカメラ、接着剤、薬、懐中電灯、精密ドライバー、銅線等々、色々だ。

 

「どこにあったの?」

 

「あー、俺の部屋のクローゼットの中。まとめてこの段ボールに置いてあったから」

 

「…」

 

璃奈は並べられた道具に全て見覚えがあった。虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が同好会だけのファーストライブを行ったとき、瑠和が持っていたものだ。

 

精密ドライバーがあるのは、璃奈の故障したボードを直すために使ったからだ。

 

「…………お兄ちゃん。本当に記憶はないの?」

 

「え?」

 

「私になら、言っていいよ。お兄ちゃんの辛いこと、全部受け止めて見せるから」

 

「……なに言ってんだ?」

 

「…」

 

璃奈は、瑠和が視力を失ったときのことを期待していた。回りには視力を失ったと伝えたが、璃奈にだけは本当は見えていることを伝えていた。

 

その理由は瑠和がもう人の心が読めるのがいやになっていたからだ。そのときのように、何かしら理由があって記憶をなくしたふりをしているのではないかと

 

「…ごめんな。本当なんだ」

 

「そっか」

 

璃奈は少し気を落としながらも、マフラーを取り出し、瑠和に巻く。

 

「…璃奈?」

 

そして、余った反対側の部分を璃奈自信に巻き、瑠和の横に座る。そして、瑠和の肩に頭を預けた。

 

「…お兄ちゃん、もうすぐグランプリが始まるよ」

 

「…そうだな」

 

「きっと、お兄ちゃんが見とれるようなライブをやって見せるからね」

 

「ああ…」

 

瑠和にも選択の時が、覚悟を決めるときが来ている。いっそ誰も選ばないなんてこともできる。

 

だが、彼女たちの努力を、魅力を無視することなんて瑠和にはできなかった。

 

 

スクールアイドルグランプリが、始まる

 

 

続く

ストーリー中に出す次元系の設定(ナタや不思議な石等)って必要だと思いますか?

  • これまで通りでいい
  • 減らしてほしい
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