C107の新刊を脱稿しました!二日目東館ス41bにてお待ちします!詳しくは中島食堂X(Twitter)にて!
これは、GPX(スクールアイドルグランプリ)が開催されると、彼方が知る少し前の話だ。
「瑠和先輩の記憶を取り戻そう作戦~!」
提案者はやはりというかなんというか、中須かすみだ。部室にくメンバー全員を集め、なにやら計画していた。
「急に集まって大事な話ってそれ?」
「もちろんです!この間先輩のこと好き好き組は勝手に動いてたみたいですけど」
かすみはしずくと嵐珠の方を見る。その視線に気付くと二人はバツが悪そうに顔をそらした。
「かすみんたちそれぞれでアプローチをかけて、それで記憶が戻れば万々歳じゃないですか!」
「それはまぁ…そうかもね」
「え、ベイビーちゃん賛成なの?」
「うん」
嵐珠が彼方に宣戦布告し、しずくを焚き付けたことで部内になんとなく不和の空気が漂っていることを侑は感じ取っていた。無駄な衝突がなく瑠和の記憶が戻れば一番いい。だから侑は賛成したのだ。
「私も、現直君と協力すれば何かできるかもしれないから」
「では!先輩の記憶を取り戻そう作戦!スタートです!」
ーチームラボー
「で、なんで俺はそんな勝手な企画に巻き込まれてるわけ?」
瑠和は急にそんな作戦を聞かされ、無理やり校外に連れ出されている。最初の実行者はかすみだった。かすみは瑠和を連れてデジタルアートミュージアムチームラボに来ていた。
「まぁまぁそう言わずに。かわいいかわいいかすみんと、デートしたらすぐ思い出しますから!」
近場にあった場所だが、少なくとも今の瑠和は来た覚えがない。光が照射され、美しく飾られた空間に音が響き、何とも不思議な空間である。
(ライブ終わって、嵐珠ちゃんとのことが収まったら、彼方ちゃんとここでデートしよ)
「…」
記憶にない言葉が急に頭に出てきた。いったいいつそんなことを言われたんだろう。まるで思い出せないのに、一言一句明白に思い出せる。
「先輩?」
「あ、ああ、どうした」
「ほらぁ、かすみんこんなにかわい~くポーズ取ってるんですから、ちゃぁんと写真に収めてくれないと」
「ああ…」
これがかすみなりのデートの仕方なんだろうか。どちらかというと瑠和が引っ張られていただけだが、それでもなんとなく楽しく過ごしていた。
「はいどうぞ、かすみん特性のコッペパンです」
「…定番デートスポットだな」
チームラボを楽しんだ後はすぐ上の観覧車でお台場の街並みを眺める。かすみからもらったパンをかじりながら瑠和はかすみを見つめた。
「……な、なんですか?先輩、かすみん照れちゃいますよぉ~」
「かすみちゃんがこれ企画したって聞いたけど、なんで俺なんかのために」
「……実はかすみん、先輩とそこまで親しい間柄じゃなかったんです。先輩の恋愛を勝手に追いかけてたりしてましたけどね」
「なにしてんだか…」
「だけど、先輩はかすみんのこと、ちゃんとかすみんって呼んでくれるからかすみんにとってが大切です!もちろん先輩だけじゃないです!かすみんにとって、同好会のみんなは仲間でライバル、それにもう家族みたいな大切な存在ですから!」
「家族…」
刹那、瑠和の脳裏に再び声が蘇る。
(………この観覧車から見える景色………こんななんですね)
「!?」
さらに、声が蘇った。だがさっきと違うところが一つだけある。それは強い頭痛を伴うことだ。瑠和は蘇った声の正体に気付く前に痛みに耐えきれず、地面に倒れこむ。
「うぁぁ!」
「先輩!?大丈夫ですか!?」
「あ、ああ………急に頭が痛くなってな………あぁ、大丈夫だ。落ち着いた」
「………記憶を失った時も、急に頭を押さえていたそうです。なにか関係あるんですかねぇ」
「さぁな………」
それからヴィーナスフォートなども回ったが、結局何も思い出せず、その日は解散となった。
「じゃあな」
「………先輩」
「ん」
「さっきも言いましたが、先輩の記憶はなくたって、先輩はかすみんにとっても、同好会のみんなにとっても大切な存在です」
「ああ………」
「だから、「俺なんか」なんていわないでください!アイドルは前を向くものなんです!だから先輩も、前を向いてください!ね?」
夕暮れのお台場、夕日を背に受けた少女はそう言ってほほ笑む。その笑顔のおかげで、瑠和は少しだけしがらみから解き放たれた気がした。
「…………家族…か」
ストーリー中に出す次元系の設定(ナタや不思議な石等)って必要だと思いますか?
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これまで通りでいい
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減らしてほしい