彼方の近衛   作:瑠和

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コミケが近くなってきましたね。当日は二日目東41bでお待ちしております。
それから、完結編執筆盛り上がってるんですけど、よく私が使ってるナタや不思議な石による次元超越や未来の娘であるアスカの時間跳躍の話って面白いですかね?需要があれば完結編で話増やしたいなぁって思いますし、なければ必要最低限にしたいと思います。アンケート用意したのでご協力いただければ幸いです。


第四話 エマの場合

「あ~おいしかった!」

 

この日、エマは食堂から教室に戻る途中だった。

 

満足感を味わいながら歩いていると、部室等の近くのベンチで横になっている瑠和を見つける。いまは昼休み。最近は嵐珠とお弁当を食べることが多いと聞いていたが、今日は一人だったらしい。

 

「…」

 

近くまで行ってみると瑠和は小さな寝息をたてながら眠っていた。

 

「瑠和君、瑠和君」

 

だが、記憶をなくす直前、瑠和は突然倒れたという話を聞いていた。エマは念のため声をかけてみる。

 

「んぁ…ああ、えっと、エマさん」

 

「大丈夫?」

 

「ん…すいません。なんかこの時間は眠くなって…。前はそんなことなかったんですけど」

 

「ああ、それはきっと、以前はよく彼方ちゃんとお昼寝をしてたからだねぇ」

 

時々見かけてた微笑ましい光景を思い出し、エマは微笑みながら伝える。

 

「そっか……」

 

エマは微笑ましい光景を伝えたつもりだったが瑠和は暗い表情になってしまった。エマはそっと瑠和のとなりに座る。

 

「…大丈夫……?」

 

「…」

 

瑠和は黙ったままだ。エマは少し深呼吸してから瑠和の頭を掴み、自身の膝に乗せる。

 

「うおあ!?」

 

「あ、ごめんね、いやだったかな?」

 

「…………あの、俺男なんですけど」

 

「大丈夫だよぉ、よく私の膝枕使ってたから」

 

「そうなんですか………」

 

照れくさそうな、恥ずかしそうな、申し訳なさそうな表情でいる瑠和を見てエマは少し考える。

 

「ねぇ、瑠和君はどうして私がスクールアイドルになったか、覚えてる?」

 

「いえ………」

 

「私は、昔アイドルの映像を見たとき、心がぽかぽかってなったの。だから私も、みんなの心をぽかぽかにしたいんだ。もちろん瑠和君も」

 

その言葉を聞いて瑠和はようやくエマの言動の理由を察した。エマなりに瑠和を励まそうとしてくれていたのだ。それに気づいてから、瑠和は少し考える。

 

「……………ちょっとだけ、弱音をはいていいですか?」

 

「もちろん」

 

「すいません恋人でも何でもないのに…でも、璃奈や彼方さんに心配かけたくなくて…」

 

記憶をなくしてから瑠和を度々見てきてはいたものの、ここまで弱気な瑠和は初めて見た。どこまで力になれるかはわからないが、エマは笑顔で答える。

 

「うん、わかるよ」

 

「…怖いんです」

 

「怖い?」

 

「将来、これから、明日…少し先の未来が怖い…。それだけじゃない。しずくや嵐珠から寄せられる好意が…こわいんです」

 

意外な言葉が出てきた。確かに弱気なときもある人であったが、ここまではっきり口に出すのは初めてな気がする。

 

「…」

 

「二人が俺が好きってことはわかった。でも、俺は以前の俺じゃない。それなのに俺を好きでいてくれる二人が、少しこわい」

 

(ああ……そっか…)

 

エマは瑠和がずっと頼りがいのある人に見えていた。だが、彼に頼りがいがあると思えたのは、同好会との出会いがあったからだと、エマは察した。

 

彼方と出会い、同好会を復活させ、璃奈と和解し、スクールアイドルフェスティバルで彼方を救い、告白するために奔走し、嵐珠を救い、栞子を救い…その積み重ねがエマの知っている天王寺瑠和を作り出したのだ。

 

「瑠和君…」

 

エマはそっと瑠和の頭を抱きしめる。

 

「……エマさん?」

 

「嵐珠ちゃんもしずくちゃんも、ずっと彼方ちゃんに隣をとられてきたから、少し浮かれてるだけなんだよ」

 

「………それはわかりますけど」

 

「でも、私はもっと、その位置を夢に見てた人を知ってる」

 

エマはスクールアイドルフェスティバルの時の果林の涙を思い出していた。瑠和には申し訳ないが、エマにも親友を思う気持ちがある。

 

このまま回りの空気に流されて、果林と瑠和の時間が作れたらと考えていたのだ。

 

だって、果林が瑠和を諦めているのはプライドと見栄の問題だからと、エマはわかっていたから。

 

「それって………」

 

「だから、少しだけ夢を見させてあげて?弱音だったら、私が受け止めてあげるから」

 

「……ありがとうございます。少しだけ、寝てもいいですか?」

 

「うん、もちろん」

 

瑠和はエマの膝枕に体重を預け、そのままリラックスをする。まだ冬の冷たい空気は残っているが、暦の上ではそろそろ春だ。

 

ぽかぽかした陽気と、日頃この時間眠っていた癖もあり、瑠和は再び眠気に襲われる。

 

「なんか……以前にも………こんなこと…あった気が……」

 

「そうだねぇ…」

 

瑠和は気付けば寝息を立てていた。まるで張り詰めた緊張の糸が緩んだように。

 

エマは少しだけ、瑠和の心をぽかぽかにできたのだろうかと思い、笑みをこぼしたがその笑顔はすぐに曇る。

 

瑠和が言った通り、あのときと同じなのだ。果林に告白され、どうしたらいいか悩んでいた時と。

 

「またあなたに、委ねちゃったね……ごめんね?だけどやっぱり私…果林ちゃんの笑顔が見ていたいから…」

 

エマは謝りながら瑠和の頭を撫でる。親友を思うが故の優しさと、わがままをほんの少しだけ、瑠和に許してほしかったのだ。

ストーリー中に出す次元系の設定(ナタや不思議な石等)って必要だと思いますか?

  • これまで通りでいい
  • 減らしてほしい
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